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【Stonebridge(ストーンブリッジ)のそのとき投資】CLOBOT、知能型ロボットの知能(ロボットSW)を作る

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【Stonebridge(ストーンブリッジ)のそのとき投資】CLOBOT、知能型ロボットの知能(ロボットSW)を作る

Keullobos|Stonebridge Ventures

  • Stonebridge Ventures(ストーンブリッジベンチャーズ) イ・ジョンヒョン常務

@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)では、現役の投資家がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。

 筆者は子供の頃、他の男の子と同じようにSFアニメや映画がとても好きだった。特にロボットが登場する作品が好きで、1980年代の「ウレメ」、「テコンV」、「トランスフォーマー」、「ゴールドライタン」、「ゲッターロボ」、「マクロス」はもちろん、1990年代の「鉄人28号」、「サンガード」、エヴァンゲリオンなど本当に多くの作品を見た記憶がある。小学校に入学する頃には、漫画図鑑に載っていた偽のロボット設計図をコツコツと集め、いつか必ずこのロボットを作ってみようと心に決めたりもした。ロボットは作れなかったが、40代に入った今でも時間が許す限り、ロボット関連のゲームや映像を見たり、時折、我が家の内務大臣の承認を得てロボットフィギュアやスタチューを購入し、いつの間にか倉庫2つをいっぱいにするほど、筆者はロボットとロボット産業に本気である。

ロボットは昔から映画やアニメの定番の題材だったが、ロボット産業の現実はそう甘くはなかった。もちろん、製造業をはじめとする産業環境で製品の取り扱い、組み立て、加工する産業用ロボットは、1970年代から導入された。しかし、このような産業用ロボットは、人の安全のために人の動線と物理的に分離された環境に限り、事前にプログラムされたルールベースで決められた作業を行う、一種の機械に近いだろう。

黄金戦士ゴールドライタン。ライターがロボットになる設定だった。1980年代にヒットしたロボット物 / AmazonJapan

人々がロボットといえばよく思い浮かべる人のそばで安全に動作できる協働ロボットの最初の事例は、ドイツの企業KUKAが2004年に発売したLBR3であることを考えると、その歴史は思ったほど長くはない。また、最近よく話題になる物流ロボットの代表的な事例は、2012年にAmazonが自社物流センターに適用したKivaであることを考えると、物流ロボットが商用化された時期もそれほど昔ではない。韓国でもこのような時代の流れに同調し、韓国科学技術研究院(KIST)が2003年頃に「フロンティア知能ロボット事業団」を発足し、10年間総研究費1千億ウォンを投入して知能型ロボット「SILBOT3(シルボット3)」、「Mero S(メロS)」を完成させるなど、ロボット技術の高度化及び商用化を推進したことはあったが、しばらくはその流れが途絶えていた。

ロボットは私たちにとって非常に身近な単語であり、産業現場では古くから導入されてきたが、私たちの生活の身近になり始めたのは、思ったより最近だ。近年、協働ロボットを筆頭に物流ロボット、ウェアラブルロボットなど様々なロボットが脚光を浴びているが、ロボット分野が全く注目されていなかった2017年度から着実にロボット技術を開発し、着実にリファレンスと実績を積み上げ、今年下半期にIPOを計画しているCLOBOT(クローボット)を紹介したい。

ソフトウェアを作る知能型ロボットソリューション会社「CLOBOT」

 2018年の桜の開花シーズンに、家族と共に家の近くに新しくオープンした大型ショッピングモールを訪れた。フードコートを訪れた際、筆者の目に留まったものがあった。キオスクである。当時、ロードショップではキオスクはほとんど見かけなかったが、その大型モールは例外なくすべての店舗にキオスクが設置されていた。31アイスクリームにもキオスクが設置されていて、店員さんの業務の様子を見ながらキオスクの効率を見た。以前は、客がアイスクリームを選び終わるまで、店員は客に着いて行き、アイスクリームを1つずつアイスクリームカップに入れなければならなかったため、1つの注文を処理するのに長い時間がかからざるを得なかった。

しかし、キオスクでは、客がすべてのアイスクリームを選択し、支払いまで完了した後に注文書が出力され、店員はその時点からアイスクリームを盛り付ければよく、これだけでもかなりの作業効率を引き出しているようだった。現場を目撃して、私は2つのヒントを得た。1)ロボットがたった1つのTaskを完璧に処理するだけで、人の業務効率は大幅に向上すること、2)今はまだ、既存店舗にキオスクを導入するコストは負担だが、すべての設備を初めてセットアップする新規店舗であれば、店員雇用に伴う人件費などを考慮し、キオスク機器の導入を十分に検討できるROI臨界点(つまり、人件費と機器導入費用の交差点)に達したということである。この頃から、筆者はロボットメーカーを積極的に検討し始めた。

当時も物流ロボット、案内ロボット、教育ロボット、ソーシャル/介護ロボットなどを開発する様々なロボット企業が存在したが、そのほとんどがロボットHW開発企業だという共通点があった。ロボットを作る会社としては当然のことであり、自然な流れだったが、筆者の単純な考えとしては、まだ顧客のニーズも、市場の存在もはっきりとはしていないのに、多くの資本が投入されるHW開発をメインとするビジネスモデルが果たして正しい事業形態なのか疑問があり、投資を進めることができなかった。そうして数ヶ月の時間が淡々と流れていた時、知り合いの某スタートアップの代表からロボットSW開発会社を1社紹介された。筆者は当時、ネイバーD2SF所属で技術スタートアップに投資する役割を担当していたため、すぐに最初のミーティングを行い、そのミーティングで投資をコミットした。CLOBOTとの出会いは、2018年12月、このようなストーリーから始まった。そしてその縁で、Stonebridge Ventures(ストーンブリッジベンチャーズ)でも2023年12月に再び投資する機会を得た。

ロボット産業が脚光を浴びるようになった背景と示唆 

 すでに多くのロボット専門家が明らかにしているように、ロボット産業が脚光を浴びる理由は自明である。筆者も他の方の意見に同意しており、特に主な理由は2つに絞れるように思う。

1つ目に、ロボットに適用できる様々なSW技術の高度化である。クラウド技術、SLAM / MMS類の位置認識やマッピング技術などを挙げることができる。その中でも筆者が考える代表的なSW技術はAI/機械学習だ。過去のロボット産業は機械工学がメインであり、SWはロボットを使用目的に合わせて制御するための用途で使用されていた。そのため、わずか10年ほど前まで、ロボットSWは各種作業を行うためのルールベースのコーディングが中心であったため、新しい作業環境や突発的な状況への対応を十分に準備することは困難であった。しかし、AIにより、ロボットは学習を通じて作業環境を認識し、作業方法を定義するなど、最適化されたアルゴリズムを自ら構想できるようになり、ロボットの活用度が飛躍的に向上した。また、AIによって別途の入力装置がなくても人間の命令を正確に理解できるようになったのも大きな進歩だろう。

2つ目に、世界的な現象である少子高齢化、人件費の上昇、3D業種の敬遠など、社会環境の変化だ。その中でも特に急激な人件費の上昇は、初期のロボット導入コストのハードルを下げる役割を果たしたと思われる。現在、事業主はそれぞれの事業現場に様々なロボットを導入しようとする動きを見せている。導入規模の大きい製造や物流産業だけでなく、農村、病院、オフライン店舗、家事など小規模な事業所でも、それぞれの目的に合ったロボットが導入されている。

このようにロボット導入の余地が高まるにつれて、ロボットの種類も増えており、それだけ事業主のロボット使用目的やシナリオも多様化され、それによって、高度化されたロボットSWの必要性も大きく増加する傾向にある。端的な例として、同じAMRロボットであっても、製造工場に導入する場合と、Eコマース物流倉庫に導入する場合では、各顧客の要求は大きく異なる。同じサービングロボットであっても、そのロボットを病院やPCショップ、飲食店などに導入する場合、顧客のニーズは大きく異なる。しかし、ロボットHWは仕様が決められた一種の工業製品に近いので、ロボットSWパーツが各事業主の要求に合わせる役割は担っている。

先に説明したロボットが脚光を浴びる2つの理由をまとめると、結局、ロボットSWをどれだけ精巧に扱えるかが、顧客のロボット採用の可否を決めると見るべきだろう。そして、CLOBOTはこのようなポイントを的確に攻略したチームである。

20年以上ロボット事業に没頭してきたキム・チャング代表

まず、CLOBOTのキム・チャング代表の経歴を簡単に紹介したい。キム・チャング代表はKISTの研究員として8年間勤務し、2005年には両腕作業ロボット、2008年には「フロンティア知能ロボット事業団」の一員として世界初の感性インタラクションを可能にする二足歩行ロボットKiboを開発し、タイムズの今年の10大発明品に選ばれた顔ロボットMeroのソフトウェア開発に直接参加した。

2013年には、KISTフロンティア知能ロボット事業団の事業団長であったキム・ムンサン博士が創業したKIST1号出資企業である「ROBOCARE(ロボケア)」の事業開発理事として参加し、本格的に事業を開始した。大量量産モデルを目指してサービスロボット事業を本格的に開始したが、残念ながら当時はロボットが普及している時期ではなかったため、大規模な量産には至らなかった。その後、半導体装置専門企業のグローバルスタンダードテクノロジー(GST)が2015年にROBO CAREを買収し、自ら起業に乗り出すことになった。

上述した経験をキム・チャング代表はロボット事業に関する多くのインサイトを得る貴重な時間であり、まだ体力のないスタートアップには大規模な量産が必要なロボットHWよりSW及びロボットサービスの分野に事業機会があると確信してCLOBOTを設立した。サービスプロバイダとしてのポジショニングを考え社名もクラウドとロボットの合成語であるCLOBOTと名付けた。

顧客が望むどんなロボットでもデリバリー可能

CLOBOTの事業は、ロボット導入を希望する顧客にロボットコンサルティングを提供することから始まる。CLOBOTが顧客のロボット導入趣旨、ターゲット性能、予算などを確認した後、それに適したロボットHWを子会社であるROAS(ロアス)を通じてソーシングする。ちなみに、ROASはグローバルロボットHWメーカーであるCLEARPATH(クリアパス)、Fetch Robotics(フェッチロボティクス)、Robotic(ロボティクス)、Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)など約20社とパートナーシップを結んでおり、対応可能なロボットの種類は、モバイルロボットはもちろん、4足歩行ロボット、ロボットアーム、グリッパーなど、顧客の現場で必要なほとんどのロボットを取り扱っている。

子会社ROASを通じてソーシングしたロボットHWに、親会社のCLOBOTが独自開発した異種ロボット統合制御SW「CROMS(クロムス)」、自動運転SWソリューション「Chameleon(カメレオン)」、その他顧客の要求に合わせたモジュール型SWコンポーネントまで総合提供している。  

CROMSは、特定のロボットメーカーやロボットOSに依存することなく、多数のロボットを統合制御制御、管理、モニタリングできるクラウドベースのロボット管理ソリューションだ。自社のロボットHW中心のRMS(Robot Management System)である他社のロボットHWとは異なり、多数の異種ロボットとの連動互換性が高いのが最大の長所である。補足説明すると、CROMSに案内ロボット、防疫ロボット、警備ロボットなど様々な目的のロボットを連動させると、各ロボットが相互認識、判断及び制御できるようになるため、異種ロボット間の群集走行、協業走行、回避走行、追従走行が可能であり、各ロボットが行った作業力管理まで可能である。そのため、様々な目的のロボットが導入される事業所ほどクロムスの価値は発揮される。

黄金戦士ゴールドライタン。ライターがロボットになる設定だった。1980年代にヒットしたロボット物 / AmazonJapan

「Chameleon」は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を活用して高精度の地図を作成し、位置と物体を認識することはもちろん、自動運転経路を計画するロボット自動運転SWである。少なくない数のロボット企業が、ROS(Robotics Operation System)が提供する自律走行オープンソーススタックをカスタマイズして自律走行を実装したのに対し、CLOBOTは独自に自律走行SWを開発した。

かなりの数の競合他社が格子地図ベースのSLAM技術を使用しているのに対し、 Chameleonは走行空間を細かく表現できるポイントクラウドベースのSLAM技術を使用しているため、精度の高い自動運転地図を作成することができる。また、Chameleonにはディープラーニング基盤の物体認識技術が搭載されており、走行経路上の障害物の種類によって安全距離に差をつけたり、走行通路の幅をリアルタイムで計算し、通路が広い空間は遅い回避を試み、狭い空間は速い回避を試みるなど、繊細な自動運転が可能である。

先に説明したCROMS、Chameleonは優れたSWだが、それだけでは顧客の様々な要求に対応するにはやや不十分である。CLOBOTはこれを解決するために様々なモジュラー型SWをコンポジションの形で保有しており、人員と時間を無駄にすることなく効率的にSWを開発し、ロボットHWに搭載することができる。

SW コンポーネントは大きく3つのレイヤーに分けられるが、1) Reactive Layer :シナリオ対応に必要な様々なセンサデータを取得するSWモジュール、2)Sequencing Layer:Reactive Layerで取得したデータを集計/分析し、顧客のシナリオ別対応策(走行ルート編成、物/呼び出し認識、感情表現など)を策定するSWモジュール、3) Application Layer :Sequencing Layerのシナリオ別対応策により、実際にそのシナリオを実装及び管理(ロボット発話/表現、ロボット遠隔制御管理)するSWだ。


(左)ポイントクラウドベースのSLAM、(右)走行経路上の障害物認識/CLOBOT提供

モジュラー型ロボットSWアーキテクチャ構成図 / CLOBOT提供

あらゆるロボットHWメーカーと協力することができ、ターゲット顧客に制限がない

ロボット産業に関心のある人はよく知っているように、ロボット産業の見通しは非常に明るいが、まだ大きな売上を記録している企業は多くない。そして、ほとんどのロボット企業はロボットHWの開発に重きを置いているため、ロボットSWの開発に力を注ぐ余力があまりない。追い打ちをかけるように、ロボットHW企業でロボットSW人材を採用しても、規格が決められたロボットHWにロボットSWを合わせなければならない状況において、ロボットSW人材は相対的に乙の立場になり、離職率も高い。

上記のような状況により、現在のロボットHWメーカーは、自らロボットSW人材を内在化するのではなく、自社のHWに顧客が望むロボットSWを搭載し、うまくセールスしてくれる協力会社を必要としている。この点で、ロボットSW開発力が強い競争力の光を放つ。また、CLOBOTは特定のロボットHWに従属することなく、個々の顧客の要求に合ったロボットHWをソーシングすればよいため、ターゲット顧客の制限はなく、こうして蓄積した事例は他の顧客を誘致するのに優れたリファレンスとなる。

CLOBOTのリファレンスとしては、HYUNDAI(現代自動車)、アムウェイなどへの案内ロボット、国立がんセンターへの異種医療ロボット(医療搬送ロボット、防疫ロボット)、Boston Dynamicsの4足歩行ロボット「SPOT」にロボット制御ソリューションを組み合わせた工場巡回/防犯用などが代表的である。また、最近需要が集中しているAMR事例も多数保有している。Lotte Global Logistics(ロッテグローバルロジスティクス)利川(イチョン)物流センターに物流ロボットを供給し、HYUNDAI(現代自動車)のジョージア工場ラインへのAMR導入プロジェクトにも参加している。現在、CLOBOTは過去5年間、前述のHYUNDAI(現代自動車)をはじめ、KT、韓国文化情報院などを含め、約60社以上の顧客を確保した国内1位のB2B知能型ロボットサービス会社に成長した。 

2018年の年末、CLOBOTの投資契約書に捺印した日を覚えている。当時、ロボット分野は万年有望株という不遇の称号がかかっていた。当時、キム・チャング代表は「CLOBOTのメンバー達すら投資は難しいと考えていたが、やっとメンバーに良い知らせを伝えることができる」と本当に明るく笑った。

その後も何度も困難な時期を過ごしたが、絶えず技術を開発し、ビジネスモデルを改善し、良いリファレンスを積み重ね、現在はどのロボット企業よりも高い売上を記録する企業に成長した。代表取締役をはじめとする従業員が一丸となって努力し、困難な時期を乗り越えれば、最終的に良い結実を結ぶことができるということを確認したが、クローボットは筆者の投資家人生に様々な面で良い経験と思い出を与えてくれた企業である。CLOBOTは今年下半期にIPOを控えている。世界に出しても誇れる企業である。ロボット産業はまだ開花したばかりであるため、CLOBOTは今後さらに高く飛翔する企業だと筆者は確信している。



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