【Abearのキム・スンヒョン】WINDLYって何?PMI(Product Market Fit)の定石
【Abearのキム・スンヒョン】WINDLYって何?PMI(Product Market Fit)の定石
- WINDLY|キム・スヒョン
イム・サンウクのピック(pick)最終回です。B2Bを主に見ているXenon Partners(ゼノンパートナーズ)イム・サンウク アジア総括パートナーは、実は「プライベート・エクイティ・ファンド」です。気づかれていたでしょうか?イム・サンウク・パートナーのピック4つとも「遠い理想論」ではなく、「手に取れるような現実」にこだわる会社でした。4つ目WINDLY(ウィンドリー)のキム・スンヒョン代表は「絶対に1円でもお金を稼ぐスタートアップ」です。イムパートナーと"pick(ピック)"した4社のことを話すと、"面白い"が連発します。
イム・サンウクパートナーが直接書いた「WINDLYの紹介文」です。
Abear(アベア)はWINDLYという購入代行SaaSソリューションを提供するスタートアップです。Asan Nanum Foundation(アサンナヌム財団)のMARU(マル)メンタリング活動でAbearのキム・スンヒョン代表とお話しました。実はWINDLYは以前から注目していた会社です。WINDLYは私がいるXenonのポートフォリオ会社であるBaremetricsの顧客になって半年ほど経っていました。初期のスタートアップなのに、目覚ましい売上成長です。
WINDLYは、最近多くの方が副業として参入している海外購入代行を簡単に行えるようにするサービスです。例えば、中国のtaobao(タオバオ)や日本の楽天などで面白い商品を見ました。その後、それを「ワンクリック」で入れて、オープンマーケットcoupang(クーパン)、11Street、Gmarket(ジーマーケット)などにアップします。これは「大変な」仕事です。海外購入代行をしたことのある方しか知りません。この作業は、「力作業」なのです。WINDLYは商品画像の外国語までAI機能を活用して翻訳してくれます。顧客のかゆいところに、ひたすら手が届くのです。
ローンチ当初は中堅企業をターゲットにB2Bを考えていましたが、予想外に「副業を目指す個人」に口コミで広まりました。SaaSの基本であるSEOもなしに、驚異的な売上成長を見せています。数値は公開できませんが、私が見たすべての数値(創業して1.5年、売上、成長率、コンバージョン、チーム規模まで)が驚異的です。もっとクレイジーな成長をするために、WINDLYに「SEOをやってみること」と「中期的に日本など海外進出を検討すること」を話しました。PMF(Product Market Fit)が明確な会社です。
WINDLYをサービスするAbearのキム・スンヒョン創業者/Abear提供
[1]イム・サンウクパートナーが選んだ理由「面白いね」+「日本で通用しそう」
[ちょい事情通の記者制作チーム]WINDLY?初めて聞きました。有名なスタートアップですか?
[イム・サンウク パートナー] すごく面白い製品です、何かというと、購入代行のホームページに入ってみたことがありますか?中国や日本の通販で面白いものがあれば、それを持ってきて、韓国で売るんです。
[ちょい事情通の記者]知ってます。インターネットの行商人みたいな人達。
[イム]しかし、実際に海外で買って韓国で売っているわけではありません。ただ、海外のECサイトをそのまま、韓国のオープンマーケット11Streetのようなところに載せているのです。注文が入ったら直配送を行います。ただ、ものすごく手間が多いのが難点。WINDLYはその手間を解消するアプリを作りました。中国のECサイトで「これ、韓国で売れそうだな」というものがあれば、chrome extension(クロームエクステンション)があるので、それをクリックして情報を全部引き出します。その後に、中国のECサイトなので、商品情報や、画像も中国語ですよね。AIで画像を消してハングルに変えます。そうして、韓国のECサイトに流すのです。もちろん価格は中国・日本より本当に多い時は4倍、5倍の値を付けて。
[ちょい事情通の記者]デジタル行商人の手間をなくしたスタートアップ?
[イム] なくしてあげたのです。そうやって数十個を持ってきてアップして、誰かが韓国で買ったら、その時に海外の本物の販売者に注文して、その差額だけ持って行くのです。以前はすべてエクセルで作業していましたが、WINDLYはアプリで行うことができます。海外購入代行をしている人達はWINDLYを物凄く使っています。個人で、月15万ウォン(約1.6万円)でも、「高くないな」と使い始める雰囲気です。
[ちょい事情通の記者]月15万ウォン(約1.6万円)?
[イム]14万ウォン(約1.5万円)かな?とにかくお金が使われています。
[ちょい事情通の記者]ただ、上手くいっている構図です。
[イム]本人たちもこんなに売れるとは思っていなかったと思います。売り上げがすごい勢いで上がっていっています。
[ちょい事情通の記者]そうです。意外とそういう人は多いんですよ。例えば、日本に住んでいるとささいなことだけども、これは売れそうな気がする、と。ちょこちょこお小遣い稼ぎをしている人もたくさんいます。
[イム]そうですね。口コミで広まりました。その方面の方たちの間では有名になりました。海外購入代行をしない人には言っても、誰もWINDLYを知りません。
[ちょい事情通の記者]面白いですね。最近聞いたスタートアップの中で一番面白いです。
[イム]持ってきて、日本でやればいいんです。本当は韓国のECサイトのアイテムを取り出して日本で販売する機能さえあればいいのですが、まだ開発されてないので。
[ちょい事情通の記者]開発するでしょう。オッケー、紹介ありがとうございます。
WINDLYのスタッフとキム・スンヒョン代表/Windly提供
[2]WINDLY代表インタビュー 「日本の楽天にWindlyボタンがある」
-Abearのビジネスモデルを教えてください。
[Abearのキム・スンヒョン代表] 「会社名はAbear、サービス名はWINDLYです。WINDLYは、一言でまとめると、コマース事業をされている方のためのサービスです。店舗管理・運営の業務にはとても複雑で面倒なことが多いです。WINDLYは一箇所で一度にできるようにまとめたSaaSプログラムです。
また、初めて商品を販売する際、まず海外からどのような商品を輸入するか、そのソーシングから商品をオープンマーケットに登録し、販売ができたら、注文の管理までサポートしてくれます。最初から最後までWINDLY内で可能です。」
-オンライン個人ECサイトを運営している方にソリューションを提供しているのですか?
「はい。フォーカスしている対象は自社モールではなく、Naver(ネイバー)やcoupang、11Streetのようなオープンマーケットで販売を行っている方です。中でも海外の商品を韓国で販売している方。
-中国や日本で売っているものを持ってきて、韓国で売るのを手助けしてくれる?
「そうです。例えば、日本の楽天で韓国にはまだない、またはあまり知られていない商品を見つけたとき、WINDLYのサービスボタンがすぐに表示されます。ウェブページを閲覧するときに、です。すると、その矢印ボタンを押すだけで、WINDLYが製品情報をまとめて持ってきてくれます。翻訳等もすべて最適化します。」
価格なども自動的に設定されます。韓国で販売するとき、いくらで売るか、どのような商品名で売るか、このようなことだけを確認したのち、WINDLYのアップロードボタンを押すと、本人が登録しておいたNaver、coupang、11Street、Gmarketなどのオープンマーケットに一度にアップされます。それがWINDLYです。WINDLYがすべてやってくれるので、売り手の方がやるべきことは「どんな商品を売るか」ブラウズすることと、登録した後に売れたら、注文管理業務をするだけです。それ以外の中間工程のことは、WINDLYが自動でサポートします。」
-日本の楽天のサイトを見ていれば、そこに「WINDLY」ボタンが出るのですか?
「はい。楽天のページから直接クリックすることができます。楽天のページでマグカップを見るとすると、そのページの右上にWINDLYアイコンがあります。それを押すだけで、その商品情報をすべて取得します。その状態でWINDLYをオンにすると、商品情報がこのようにカードの形で入っています。売り手の方はカテゴリーや商品名などを確認します。もし少し修正したい場合は、キーボード、マウスで編集を設定します。そして登録を押すと、すぐに韓国国内のオープンマーケットで販売が開始されます。ここまで5分くらいでしょうか?さっきまで楽天にあった商品が、5分後にはcoupangでも売っている商品になります。」
-価格設定はやはり手作業で行う必要がありますよね?
「基本設定であらかじめ公式を作成しておくことができます。例えば、私はマージン率を30%取りたいとか。海外価格が10万ウォン(約1.1万円)の場合、自動的に30%付与した価格で設定されます。韓国で売れたら、売り手はそれを楽天で注文を入れ、その時に受取人住所に韓国で注文したお客様の住所を入力します。売り手はその商品に触ったことも、見たこともないものの、中間でマージンを取るビジネスモデルです。」
[3]「とんでもない成長スピード」...顧客数公開
-ジーニアスですね。行商は100年以上続いている、いやシルクロードも実は行商の道だったわけですから。
「物流はまだです。後々、物流のほうもAPIでつなげて、一気にサポートする方法は考えています。
でも、実はAbearが新しく作り出したビジネスモデルではありません。従来はソフトウェアもなしに、みんなやっていました。私もこの事業を自分でやっていました。商品をインポートするときに一つ一つスクリーンキャプチャを開いて画像を保存し、再度翻訳もかけて、一文ずつ翻訳して、フォトショップを開いて画像翻訳して、このようなことはあまりにも不便で時間がかかりました。誰か手助けしてほしいのに、なぜ市場にはないのだろう。自分で作ることにしました。」
-海外購入代行を行っている人なら使わない理由がないですよね?
「使わない理由はありません。自分がソーシングするときに面倒だったことを代行してくれるのです。WINDLYを使えば、本人は本当に何を持ってくるか、マーケティングやソーシングという海外購入代行本来の業務に集中できます。ローンチしてから1年半ちょっと経ちました。成長スピードがものすごく早くなっています。 」
-WINDLYがお金を稼ぐ方法は?顧客数は?
「月額サブスクリプションモデルで、8万8000ウォン(約9700円)のライフプランがあります。月額16万5000ウォン(約1万8000円)のプロプランもあります。周りのSaaSをやっている人と話すと、当社がとんでもない数字が出しているのは事実です。顧客数で見ると、累計1万8000~1万9000人に向かっています。」
-韓国国内で海外代行販売をやっている方はどのくらいいるのでしょうか?いわばWINDLYの市場潜在力は?
「購入代行だけの正確な市場規模は統計庁から出ていないのですが、推計すると、韓国国内で売られている商品ベースで、60%程度が海外から来ているそうです。実はこのモデルでは、現時点の数字が重要というよりは、これからのことが重要です。最近、副業や複数職に興味を持っている人が多く、財テクに悩んでいるときに、海外購入代行は良い候補となります。副業の手段の一つとして。到達できる市場の大きさは、今の数字よりもはるかに大きなポテンシャルを秘めているのではないかと思っています。」
[4] 4件の特許出願、「海外ロードマップは2つの方向性」
-海外事業はしないのでしょうか?韓国製品を日本で販売する「海外購入代行」も可能ですよね?
「グローバルは2つの方向性です。一つは、韓国から海外に出る商品へのアプローチ。もう一つは、WINDLYはcoupangやNAVERのような韓国のプラットフォームだけに依存する必要はありません。東南アジアとかヨーロッパ・アメリカにもcoupangのようなスーパープラットフォームがありますよね。そこで販売されている方にもサービスを提供することができます。それが2つ目の方向性です。」
-まだ海外進出のロードマップまではない?結局、技術的には同じなので、早く進められそうですね。
「そうです。例えば東南アジアのShopee(ショッピー)なら、Shopee(ショッピー)と連動する開発さえすれば、すぐに進出できるわけです。今は韓国の業務ロードマップが大変なので、ビジョンのロードマップとして考えているだけで、実行はすぐにはできていません。追加充員を継続して行っています。人数さえ確保できれば、早く実行したいですね。ただ、韓国内の成長速度だけでも、とても大変な仕事量になっているので。韓国でできることを、できるだけ多くやってみようというのが今の段階です。」
-特許は取りましたか?他の人が同じように作ったら?
「特許は4つほど出願しています。2つは登録しました。下半期中には残りの2つも登録されると思います。現在は韓国国内特許出願中です。特許法人と話をしているところで、ポートフォリオを多様に構築しようと思っています。」
-まだスタッフ数は少なそうですね?
「ちょうど10人くらいです(※インタビューを行った2023年7月現在)人数の割に仕事がかなり多いです。」
-10人ですべての仕事をこなすというのは現実的に可能ですか?
「実のところ、B2Bサービスなので、顧客対応の面に難易度の高い業務があります。自動化も検討中です。お客様一人一人に手動で回答すると、リソースがかかりすぎます。」
-現在、WINDLYを活用できるオンラインショップはどこですか?韓国と海外それぞれで
「韓国には主要8大マーケットがあります。Naver、coupang、 11Street、 Gmarket、Auction( オークション)、LOTTE ON( ロッテオン)、interpark(インターパーク)など。顧客は、このような場所にすべて出店して活用することもできますし、1つまたは2つだけターゲットにして繋いでいる方もいます。海外商品を輸入できる対象、私たちはソーシングモールと表現しますが、中国は天猫(tmall、ティモール)、taobao、AliExpress(アリエクスプレス)、日本は楽天、そしてAmazon(アマゾン)。Amazonは10数ヶ国のAmazonが全て含まれます。ソーシングモールは、お客様とコミュニケーションを取りながらどんどん増やしていきます。」
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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