【FITOGETHERのユン・ジンソン後編】成功の秘訣ではなく、彼が持ち堪えた理由
【FITOGETHERのユン・ジンソン後編】成功の秘訣ではなく、彼が持ち堪えた理由
- FITOGETHER|ユン・ジンソン
2022年と2023年の投資氷河期を過ぎ、「もう終わったのかな」と漠然と想像します。あるいは「投資ブームは二度と来ないロマンチックな夢」と言われたりもします。投資氷河期を過ぎたスタートアップ起業家に「生き残った者の悲しみ」を尋ねます。良い起業家とは、最後まで諦めない人でしょうか?本当にそうでしょうか?
もちろん私は知っている/ただ運が良かったおかげで/私は友人より/長く生き延びた/昨夜の夢の中で/友人が私について/話す声が聞こえた/「強い者は生き残る」/私は自分が嫌いになった。- ベルトルト・ブレヒトの「生き残った者の悲しみ」前文。
今日は[FITOGETHER ユン・ジンソンの投資氷河期、彼の成功の秘訣ではなく、持ち堪えた理由]後編です購読者の方の便宜を図るため、「後」編の後に「前」編を再び添付しました。
FITOGETHER起業家と従業員/FITOGETHER提供
「ビジネスがダメになっても諦めない起業家が正解なのかという問い」
FITOGETHER(フィットトゥトゥギャザー)はOHCOACH(オーコーチ)という製品を作るスタートアップです。サッカー選手のユニフォームに手のひらサイズの電子性能システムを貼り付け、選手の活動量、姿勢の変化などのデータをリアルタイムで測定する製品です。2020年107億ウォン(約12億円)のシリーズB資金を受け取り、海外に進出しました。海外顧客企業(主にプロサッカーチーム)を550チームまで増やしたにも関わらず、追加資金調達には失敗しました。資金繰りが悪化し、2度のリストラを行いました。代表は自分のオフィステルまで賭けて、シリーズB2ブリッジ投資を受け、やっと生き残ることができました。昨年は前年比で海外売上が7倍に跳ね上がり、再起の足がかりをつかみました。今年はアメリカでシリーズCに挑戦しています。シリーズCは米国プロと共にします。FITOGETHERの紆余曲折に関する詳しいストーリーは前編をご覧ください。FITOGETHERのことを「生き残った」と断言するのはまだ早計です。というよりも、どうせスタートアップにそんな断言は存在しないのかもしれません。詳しい話は前編をご覧ください。
ちょい事情通の記者は「投資失敗」という投資氷河期を乗り越えたFITOGETHERのユン・ジンソン代表に「難しい質問をするターンだ」と話しました。
[ちょい事情通の記者]
「ちょい事情通の記者たちがVCに「良い起業家とはどんな人ですか」と質問すると、答えの一つは、「VCの立場から見ると、良い起業家とはVCより先に諦めない起業家」という話をされます。VCはまだ諦めていないのに、起業家が先に諦めてしまうこともあります。状況があまりに難しくて。実のところ辞めるときに辞めないと、人生が終わってしまうのは、VCよりも、起業家です。そののちに、VCは被害を受けるでしょう。そうした観点からいえば、FITOGETHERはVCの言う「良い起業家」の例ですよね。自分の資産を全部つぎ込みながらも耐えたので。でも、すべての起業家に「それが良い判断だ」とは言えないんじゃないかと思います。諦められるときに、諦めなければならないのでは?」
[ユン・ジンソン]
「おっしゃる通り、これが良い時もあれば、悪い時もあると思います。私は諦めるのが苦手な性格で、振り返ってみると後悔も多いんです。シリーズBで、規模を拡大しようとした際、その中で一部の事業を早く諦めておけば、もっと選択と集中で残りを成長させることができたのに、と思うこともあります。けれど、会社の命運を賭けて諦めるかどうかはまた別の話だと思うので、難しい問題ですよね。もし私が投資会社だったら、諦めない起業家に投資すると思います。結局、起業家がどれだけ賢いかという問題ではなく....正直、スタートアップには変数が多すぎるんです。頭を悩ますスケジュールはもちろん、人事の問題もあるし、あれもこれも、イシューだらけじゃないですか。そうやって諦めるに値するような状況がたくさんあるのに、諦めない起業家が長く残ってチャンスをつかめるのでは、というのは私も同じように思います。実のところ、だからこそ、僕も諦めきれないところがあるんだと思います。」
-ユン・ジンソン代表は結果として現在、生き残っていますからね。不都合な真実は、「諦めずに最後まで頑張っても、失敗するスタートアップは失敗する」ということです。同じような状況で、本当に最後まで頑張ったにもかかわらず、結局廃業してしまったら、起業家個人が人生で受けるダメージはものすごく大きいです。一生がかかっているかもしれない。
「はい。私はまだ結婚もしてないし、だから自分のことだけ考えて、まだそんな感じだった気もしますが、悩みどころだと思います。周りの交流のある他の起業家の方ともそういう話をします。実際、起業家同士では、会社が潰れたら、早く廃業して再出発した方がいいのではとも言っています。どうせ、持ち株が全部ダメになっていていて、新たにお金をもらって再成長できるポテンシャルもない、会社に人がいてこそ何かできるけれど、それすらもなければ、粘り強く耐えて何がどうなるのか、と。まだ私もそのような状況に直面したことがないので、判断するのは難しいです。その状況がどれほど大きなストレスであるかには共感するので、何が正しいか正しくないかを判断するには経験が不足していると思います。」
FITOGETHERは2022年にどん底に落ち、再び上向きの画を描き始めた。FITOGETHERの過去売上と今後の展望/FITOGETHER提供
「投資氷河期以前は嫌だった「姑のような、代表に意見する投資家」...投資金がバーニングした時、真っ先に走ってくれた。彼らが良い投資家ではないだろうか」
-少なくとも、諦める起業家に石を投げることはできないということに同意するわけですね。逆に、起業家にとって「良いVC、投資家」とはどのようなところでしょうか?
「むしろ、やり合って喧嘩してくれるVCがいいと思います。FITOGETHERは何度もラウンドを行ったので、機関投資会社が多いんです。10個程あります。まったく助けてもくれないけど、免責もしない、そんなハウスもあります。逆に、昔はよく揉めていたのに、最近はすごく味方してくれるVCもあります。正直、すごく関心を寄せてくれるVCの意見を起業家側が全部受けいれるわけにもいきませんよね。数年前にこの質問を受けたら、「私が主張することに、すべてうんと言ってくれるVCが一番いい」と答えたと思います。 けれど、(投資氷河期に耐えてきたので)それだけが正解ではないです。」
-起業家の意思を常に尊重してくれるVCが正解ではないこともある?
「とにかく何か犯した時に責任を負うのは創業者の方がダメージが大きいのですが、その時にもう一度考えることができるように一緒に真剣に議論してくれる過程。以前はすごく嫌で、3年前の私に尋ねていたら、「こういうハウスは本当に良くない」と言ったと思いますが、振り返ってみると、そうやって言い合い、喧嘩をしながら、後にこうやって一緒に力になってくれるVCは、本当に良いVCだと今は思います。」
「VCの立場から見ても、それがエネルギー源じゃないですか。ある会社をしっかり把握し、市場を把握し、サーチもし、周りの状況も見てから、スタートアップの起業家にフィードバックをするのに、そもそも関係の深度が低いと、VCが起業家とディスカッションすること自体できないと思います。ディスカッションができるVCは、企業の代表からすれば、タダで使えるリサーチ要員です。」
-姑であることもありますよね。
「姑ですね。姑なのですが、利害関係が絡んでいるので。潰そうとは言わないじゃないですか。FITOGETHERには様々なVCの方が混ざっています。ビジョナリーなのに、夢中でサポートしてくれる人もいれば、保守的な意見を出し続けながらディスカッションする人もいます。とにかくたくさん話をして、会社をよく把握し、意見をくれる方が私は良い方であると思います。」
「ほぼ破綻しそうになっていて大変な時、私は投資会社にいつも透明性のない話ばかりしていました。一部の投資会社の方々は、自分たちのファンドがなくても、あちこち聞いてくれて、これはああだったよ、とご自身で調べてくれました。誠心誠意サポートしてくれました。沢山助けられました。」
海外市場に本気であるFITOGETHER ユン・ジンソン代表がFIFAでPTしている様子/FITTOGETHER提供
「1~2時間電話...「こうしよう」という議論も、辛いと泣き言を言えば感情的な共感もしてくれる投資会社たち」
-投資氷河期以前は、投資会社とあれこれ揉めることが多い方だったのでしょうか?
「3~4年前、株主の方々と意見の相違があり、大変な喧嘩をしました。職員のストックオプションの行使について。私は行使価額は無条件に額面通りに近いものを出さなければならないと主張し、株主の皆さんはナンセンスなことを言うな、もともと投資会社の企業価値基準で30~40%割引するのが慣例だと。慣例はどうでもいい、どうせスタートアップの平均勤続年数は4年にもならず、私たちはベスティングが4年だ。そして、職員が数十万円、数百万円の差益を得るといっても、投資会社と競るわけでもないだろう。少しでもベネフィットが得られる仕組みを作り、会社への忠誠心を高める方が100%正しい。」
-投資会社の主張を押し切って、創業者としての信念を貫いたのですか?
「ずいぶん揉めました。結局、意見がまとまらず、私は「いや、そうやって反対意見を出すなら、私は次からは会議に参加しない。どうせ同意しないなら、同意しない旨の通知をしてください。時間を奪わないで」とまで言いました。結局、ほぼ額面価格へと変更しました。投資会社の方々の同意を得て。その後、FITOGETHERが苦しくなった時、リストラをする時、投資会社の方々が綿密に一緒に調べてくれて、心からの共感してくれることが多かったです。」
-投資資金が枯渇した時、むしろ揉めていた投資会社が力になった?
「その時、私が辛くて泣き言を言っていると、1~2時間ほど電話で一緒に話し合いながら、「どうにかしてみよう」といった技術的な話し合いをしたり、感情的な訴えも聞いてくれました。私もすごく元気をもらいました。そうして1~2時間電話したVCが2~3社ほどあります。投資会社の方々は「どうにかしてうまくいってほしい」という思いが多いんです。FITOGETHERの株主の方々も、会社の存続が危ぶまれるとき、ものすごい心配とストレスを受けたと思います。最近は、私が何かやると言ったら、お前も十分苦労して悩んできただろうから、滅多に変なこと言わないだろうと、より信じて貰えるようになった気がします。」
米国プロサッカーのパートナーに選定...今年は米国でシリーズCに挑戦
-今年は再び駆けあがるチャンスなんですね。アメリカへの扉が開いた?
-投資資金がなくてリストラを行う際には、様々な葛藤の中でストックオプションも問題になります。
-会社にお金がないのに、職員が旧株を買ったということですか?
-残った人たちがこの会社の価値を最後まで認めていたということですね。
-シリーズCは今年下半期に米国で行うと?米国のVCからお金をもらう?
数cm単位の精度を持つのは、世界でもFITOGETHERが唯一です。他のBMに応用可能な技術力が強み
-現在のFITOGETHERの製品は以前よりさらに革新されましたか?
-価格競争力が優れているとしたら、どの程度ですか?
-開発やビジネスに反映される部分は?
FITOGETHER ユン・ジンソンの成功ではなく、持ち堪えた秘訣[前編]
2021年には皆が愛したユニコーン候補、2022年には投資資金をすべて燃やし尽くした起業家...2024年に死なずに生き延びたFITOGETHER(フィットトゥゲザー)のユン・ジンソン起業家に「生き延びた秘訣」ではなく、「そういう時、良い投資家とはどんな人なのか」を聞く。
- FITOGETHERの2017~2019年
2017年、浦項(ポハン)工科大学出身のユン・ジンソン代表など3人はFITOGETHERを共同設立しました。 「OHCOACH(オーコーチ)」というブランドでした。サッカー選手がユニフォームの中に着るベストに手のひらサイズの電子性能システム(EPTS-Electronic Performance Tracking System)を入れておけば、選手の活動量、姿勢の変化、疲労度などのデータをリアルタイムで測定・分析してコーチに送信します。創業の翌年、国際サッカー連盟FIFA(FIFA)からIMS(International Match Standard)認証を取得しました。世界のウェアラブルEPTSの中で4番目でした。実は創業3年目の2019年まで、FITOGETHERは「韓国国内向け」でした。
- 2020年~2021年
シリーズBで10億円台のお金を受け取る]事件(?)は2020年1月に発生します。「FIFAで複数の会社のソリューションをテストしたところ、FITOGETHERが1位というレポートが出ました。ああ、これでグローバル市場をタッピングできる、と思いました。その年にグローバル市場に製品を大量に投入し、グローバルスポンサーシップも獲得し、潜在的な顧客層を大幅に増やしました。2021年にFIFAが再びテストしたところ、FITOGETHERは再び1位になりました」(FITOGETHER ユン・ジンソン創業者)
その年に107億ウォン(約12億円)のシリーズB資金が入ってきました。Hashed(ハッシュド)とSTIC Ventures(スティックベンチャーズ)、WIDWIN INVESTMENT(ウィドウィンインベストメント)、Magellan Technology Investment(マゼラン技術投資)IPSVentures (IPSベンチャーズ)などが参加しました。当時はスタートアップ投資が活況を呈しており、FITOGETHERは当時の成功の法則で駆け抜けました。
「当社はこれからもずっと続くだろうと信じていました。高い評価で投資も多く受けました。大きな反響を呼びました。当時、FITOGETHERの製品を使用している海外の顧客社(主にプロサッカーチーム)は約250~300チームレベルでしたが、投資されたお金で、550チームに拡大しました。ただ、問題なのは、有償のお客さんが多くなかったことです。でも今振り返ってみても、悪い判断ではありませんでした。新商品でしたから。プロサッカーチームやサッカー選手が直接使ってみて、当社の製品の性能を知る必要があるからです。使わせて、それからお金をもらう。そうやって拡大するために投資を受けたわけで、そのお金で顧客を倍増させたのですから、きちんとやっていたということです」(ユン代表)。
- 2022年
全ての資金をバーンアウトし、目標のグローバル進出数にも成功したが、資金繰りは詰まった]投資資金を全てバーンアウトし、目標としたグローバル展開には成功しました。コロナパンデミックも問題ではありませんでした。とにかく駆け抜けました。さて、2022年。投資景気が凍り付きました。
「すべての資金を使い果たし、目標としたグローバル進出の数字にも成功したが、資金繰りが詰まった」
「もう一度投資してもらえると思っていました。FITOGETHERは、以前に受け取った投資金で、顧客をグローバルに視野を広げ、すぐに世界トップのマーケットシェアを獲得するというバックグラウンドも作っていたので。AIチームも運営し、AI関連のトップジャーナルに論文も出しています。FIFA側もそういう論文を出して、特許を取ろうだの取るなだのという構図も展開してるんですよ。そして、突然、投資景気が一気に冷え込みました。本当にきちんと活動し、グローバルまで捉える機会を作ったのに、突然門が閉じられたのです。損益分岐点(BEP)はまだ先の話です。急に追い詰められました」(ユン代表)。
- 2024年
再び戻ってきたFITOGETHER。成功の秘訣ではなく、持続の秘訣]本日のニュースレターは、現在165億ドル(約2兆4700億円)の潜在市場に挑戦しているFITOGETHERのユン・ジンソン代表のインタビューです。
FITOGETHERは2度のリストラを経験し、創業チームメンバーが借金をしながら会社の金庫を満たして、耐えました。記者と会った2024年、FITOGETHERは死にませんでした。売上は急増し、海外の顧客とは「有償契約」が続いています。米国プロサッカーのメジャーリーグサッカー(MLS)と提携し、米国市場にも進出しています。損益分岐点も「2024年達成」が目前です。2年前の2022年に失敗したシリーズCにも再挑戦します。ただし、韓国ではなく、米国の投資家を対象に行う予定です。アメリカのプロサッカーMLSと一緒に準備中です。破滅の危機まで行ったFITOGETHERは、わずか2年で再び右肩上がりの成長軌道に乗りました。
-(ちょい事情通の記者)シリーズCは今年下半期にアメリカでやる予定なんですよね?米国のVCからお金をもらう?
(ユン・ジンソン代表)「私の希望はそうです。VC(ベンチャーキャピタル)であれ、PE(プライベート・エクイティ・ファンド)であれ、とにかくアメリカの資本で大きな投資を受けたいと考えています。アメリカには、スポーツだけに投資するファンドもたくさんあります。アメリカはチケットの規格が大きいじゃないですか。FITOGETHERが本当にグローバルトップに成長するには、数億円単位の投資では難しいです。もっと大きな投資を受けて、一度本気で戦いに行かなければならないのですが、今年はそのようなチャンスがあるのではないかと期待しています。」
ちょい事情通の記者は今週と来週の金曜日でユン・ジンソン代表のインタビューを[前][後]と続けます。ニュースレターのテーマは、「スタートアップ投資氷河期で返り咲いたFITOGETHERの秘訣」ではありません。「2022年、氷河期に資金を使い果たしたとき、彼らの選択は果たして正しいものだったのか」です。
「良い起業家とは」「良い投資家とは」という質問がテーマです。FITOGETHERの創業チームは、第2金融機関はもちろん、家族からもお金を借りて持ち堪えました。ユン代表は最後に投資会社にブリッジ投資を要請し、自分所有のオフィステル(事務所兼用のマンション)も差し出すから、私たちをあきらめないでほしいと、最後まで堪えました。生き残った者が振り返って「あの時の選択は正しかった」と言うのは簡単です。でも、その時「同じ選択」をしても、生き残れなかった人の方が圧倒的に多いのも事実です。
「生き残った秘訣ではなく、それでも持ち堪えた理由」
-2024年2月現在、FITOGETHERの状況はどうですか?
「FITOGETHERは一昨年(2022年)は非常に厳しい時期を経験しましたが、昨年(2023年)は最高の成長を記録しました。もともと海外事業にすごく重きを置いており、その成果が一昨年まで出なかったのですが、昨年は前年比で海外事業の売上が7倍も伸びました。FITOGETHERの昨年の売上は40億ウォン(約4.5億円)ちょっとでした。約85%が海外売上です。売上が出る国も34カ国ほどに拡大しました。スタートアップの新製品は、市場で評価を受ける時期がありますよね。使うに値するのか、そうではないのか。上手くいきそうな新製品は、ある程度のラインまで売上が伸びるじゃないですか。FITOGETHERの現在の状況としては、そのような段階に入ったと評価しています。」
-今日のテーマは少し重いのですが、「どうやって生き残ったか」ではなく、「起業家にとって良い投資家とは」「投資家にとって良い起業家とは」という質問です。スタートアップは何度も崩壊の危機を経験します。危機の瞬間、起業家や投資家は最高の協力者であることも、時には最も冷静な他人であることもあるでしょう。
「テーマが何なのかは事前に聞いていました。なかなか難しい質問です。」
-FITOGETHERが脚光を浴びていた時期、シリーズBで100億ウォン(約11.25億円)以上の投資を受けたのが2021年ですよね?
「はい。2021年です。その前に、2020年の話も少ししないといけませんね。2017年に創業し、スポーツを分析するソリューションを作り続けてきました。2019年まではほとんどが国内でした。しかし、2020年1月にFIFAで複数の企業のソリューションをテストしたところ、FITOGETHERが1位というレポートが出ました。FITOGETHERは「これなら私たちもグローバル市場をタップしてみることができる」と見て、2020年にはグローバル市場に大量に(新製品を)投入しました。グローバルスポンサーシップも獲得し、クライアントベースもこれだけ増やしました。2021年に再びFIFAでテストしたところ、また1位になりました。 「わが社はこれからずっと上手くいくだろう」と信じていましたし、高い評価で多くの投資も受けました。
-約11億円台の投資を受けてから、あちこちからラブコールをもらい、文字通り順風満帆でしたよね?
「はい。事実を申し上げますと、当時、FITOGETHERは海外でスポンサーシップを大量に獲得し、大きな反響を呼んでいた時期だったのは、そうです。ただ、実際は有償顧客は多くありませんでした。当時、FITOGETHERの海外顧客は約250~300チーム程度でした。投資を受けたことで、それを550チームまで増やしました。」
-顧客は倍増したが、お金を稼げる契約ではなかった?
「スタートアップの立場としては、今見ても悪い判断ではなかったと思います。新しい製品なので、その人たちが使ってみてこそ、製品のことを知ってもらえるので。使わせて、それからお金をもらう。そうやって拡大するために投資を受けて、そのお金で顧客を倍増させたので、そこまでは良かったんです。当時は投資が活況を呈していたので、もう一回投資を受けられると思っていました。FITOGETHERはグローバルな視野を広げ、マーケットシェア世界トップまで行けるようなバックグラウンドを作っていたからです。AIチームも運営しながら、AI関連のトップジャーナルに論文も出し、それでFIFA側と特許をどうこうするという構図も展開しました。そんな状態だったのですが、突然、投資景気が一気に冷え込みました。FITOGETHERは、本当に一生懸命チャンスを作ってきたのに、いきなりドアが閉まってしまったのです。損益分岐点(BEP)はまだ先の話です。すごく追い詰められました。結局、2022年末に既存株主を中心にブリッジラウンドを1回行いました。つまり、シリーズB2をもう一回やりました。」
-投資資金を使い果たし、損益分岐点は遠かった。当時の創業者と創業チームはどのような雰囲気でしたか?
「ブリッジラウンド直前の状況はどうだったか、ですか?FITOGETHERの経営陣は第2金融圏(証券会社、保険会社などの非銀行金融機関)から信用枠の限界まで借金し、ある方は家族からお金を借りてきて、このように個人的なお金を可受金として数千万円使っている状態でした。私は月給を6ヶ月以上もらえなかったし、他の方も人によって差はありますが、30~50%ずつカットしました。チームリーダーレベルはその状態で6ヶ月以上過ごしました。」
-創業チームが借金して会社にお金を入れている状況ですから、ブリッジラウンド(シリーズB2)も簡単に進んだわけではなさそうですね。
シリーズB2には様々な制約がありましたが、『このビジネスはいける』と判断していた私は、投資会社に『自分の持っている資産を全部賭けるから、もう一回だけ続けさせてほしい』とお願いしました。 『目の前にチャンスがはっきりと見えるから』と。シリーズB2の状況は複雑で大変でした。B2で30億ウォン(約3.4億円)を受け取ったのですが、当時は最後の10億ウォン(約1.1億円)が投資決定されず、入ってこない状況でした。投資会社たちは皆、最後の10億ウォン(約1.1億円)が入らなければ自分も投資をしないと言っていました。」
-ブリッジ投資なのに、「他が先に投資してこそ、私もついていく」だったということですよね?2022年末、投資氷河期ですから、VCの立場としても。
「色々絡み合って、既存の株主の方々もすごく躊躇していました。創業者として、当時、『私が持っているオフィステルも全部掛ける。これを掛けても10億ウォン(約1.1億円)は埋まらないけれど、数千万は埋められる。なので、これで一区切りつけましょう』『来年2月までには必ず成果を出します。もう一度信じて行ってみよう』と話しました。お金をもらって、すぐに海外にたくさん行きました。」
-株主が創業者の口約束を信じて、道を開くために30億ウォン(約3.4億円)をブリッジしてくれたということですか?
「はい。既存株主が数か所、1カ所は新規の株主でした。その時、私は「お金を入れる」という確約書を書きました。とにかくある資産を全部持っていくから、今すぐお金をインジェクションして貰わないと(一緒に潰れると) ....すでに創業チームはお金を作れるだけのことはやり尽くし、これ以上搾り出せるものはない。残念ながら、創業チームには金持ちはいませんでした。1億ウォン(約1.1億円)、2億ウォン(約2.2億円)も簡単ではありませんでした。絞れるほど絞った状況でした。とりあえず投資会社が入ってくださり、その後「2月までに何かやり遂げる」という約束を果たしました。 2月にFITOGETHERはドイツのある会社と3年間で60億ウォン(約6.7億円)程度を納品する取引を成立させました。」
「既存の投資会社たちに、オフィステルを差し出すから、一度だけブリッジ投資を、とお願いしました」
-2022年下半期、つまり資金が使い果たされ、お金がなくなったので、創業チームが私費を投入した時点。ユン代表を含め、創業チームメンバーでどれくらい集めてきたのですか?
-それでもオフィステルは、生き延びましたね。ユン代表が当時保有していた現金はどのくらい?
-昨年2月のドイツでの契約後は、少し楽になったでしょうね。
-現在公開可能な実績の数字は?
-リストラは辛いですよね。何人ですか?
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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