【そのとき投資】NaeYiLuLi、準備不足の超高齢社会を解決する糸口を発見
【そのとき投資】NaeYiLuLi、準備不足の超高齢社会を解決する糸口を発見
NaeYiLuLi|Bluepoint Partners
- Bluepoint(ブルーポイント) チョン・テヨン審査役
@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)では、現役の投資家がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。
保健福祉部の統計によると、韓国はOECD加盟国の中で高齢者貧困率、高齢者自殺率が圧倒的1位の国に該当する。毎年3千人以上の高齢者が自殺している状況である。実は、私たち全員が一度はこのような問題を聞いたことがあり、認識しているが、率先して解決しようとする人は少ない。政策的なレベルでの努力は多くされているが、まだ進むべき道は遠い。2025年に65歳以上の人口が20.6%を超えると予想される中、今後、このような高齢者問題によって発生する打撃は想像を絶するものであり、我々は一日も早くこの問題を必ず解決しなければならない。
2年前の秋、韓国の高齢者疎外と自殺問題を解決すると言う「NaeYiLuLi(ネイルリ)」という大学生起業チームに初めて出会った。約200万人の仕事が見つからない高齢者に適した仕事を作り出すことで、他の高齢者問題を大きく解決することができるということだった。最初にこのような主張を聞いたときに思ったのは、「果たして高齢者にできる仕事とは何があるのだろうか」、「できる仕事があるとしても、その規模はどれほどだろうか」ということだった。しかし、NaeYiLuLiチームの視点は違った。シニアでもなんとかできる仕事ではなく、シニアだからこそできる仕事がきっと存在する、というものだった。このチームは、その最初の雇用市場を「物流(定期配送)」領域で見つけた。
NaeYiLuLiサービスの様子 /NaeYiLuLi
定期配送の問題を掘り下げ
商品を繰り返し購入しなければならない顧客の不便さを解消し、顧客が継続的にサービスを利用する「サブスクリプションモデル」が普及し、物流では「定期配送」市場が急速に成長している。サラダ/ランチの定期配送は、一般配送(1回限りの配送)とは異なり、決まった時間に正確に到着しなければならず、固定されたルートを繰り返し移動し、10~200人分の中型以上の貨物を取り扱わなければならないという特徴がある。このような特徴に対し、定期配送に特化した専門物流サービスは存在せず、F&B企業は様々な問題を抱えている。例えば、大人数分の物流を従来のサービスで配送する場合、複数のクイック(バイク)に分けて配送しなければならないため、配送料が二重、三重にかかる。
また、リアルタイムで配車される二輪配送サービスは、物流集中時間や気象環境によって配車保証ができない。4輪車を活用したクイックサービス業者も存在するが、同様に配車を100%保証することはできない。急遽配送業者の都合で配送をキャンセルしたり、時間通りに到着しない場合、責任はそのままF&B業者が負うことになる。実際、産業通商支援部によると、配車遅延率は約30%に達する。未だF&B企業は明確な解決策が見つからないまま、注文が入るたびに現在配車可能なクイックサービスや貨物輸送サービスを探してアウトソーシングし、それでも消化しなければならない物量に対応できないため、インハウスに配送員を直接雇用している状況だ。しかし、どちらの方法にもコスト・効率的な観点からの問題が存在する。
NaeYiLuLiチームはこれらの問題をシニア配送員の定期配送専門代行サービスで解決する。正社員の配送員を固定配車する方式で配車率100%を保証し、他地区に配送しても追加運賃が発生せず、政府のシニア雇用支援金(月40万ウォン(約4.6万円))を活用し、競合他社に比べて30%安い価格で配送サービスを提供する。F&B企業の立場からすれば、本来の業務である食品の調理・販売だけに集中できるのだ。
NaeYiLuLiサービスの様子 /NaeYiLuLi
シニア配送員の勤続率90%
では、シニアたちはこの仕事に満足しているのだろうか?シニアの方の仕事の満足度に最も大きな影響を与える要素は、簡単に学べる仕事かどうか、長時間労働にならないかどうかである。大多数のシニアは、運転に大きな難しさがなく、毎回同じ時間と場所に商品を配達するため、仕事の難易度が高くないという点で、大いに満足している。また、最短3時間から最長9時間まで、好きな時間だけ働ける条件で契約できるという点でも満足度が高い。懸念される肉体的な労働強度の面でも、配送カートが内蔵された車両を提供しており、十分に行うことができる強度の業務に該当する。実際に事業開始から2年間、シニア配送員の勤続率が90%を超えているという事実から、シニアがいかに満足している仕事であるかが分かる。
Bluepointは、定期配送領域における明確な問題定義、そしてさらに新しいシニア雇用を通じて作られる社会的価値を高く評価し、高齢者問題を解決するという強い一念から集まったチームのビジョンを基に、シード投資を決定した。投資後、速いスピードで複数のF&B企業がサービスの価値を感じて顧客企業になり、中小企業を含め、Hyundai greenfood(現代グリーンフード)、GS Retail(GSリテール)などの大企業の顧客企業も確保し、現在累積250万人分の配送を行っているほど市場の反応は熱い。シニア配送員の数は70人を超え、現在、年商13億ウォン(約1.5億円)を目前に控えている。これらの成果を踏まえ、22年9月にpre‐Aラウンドでの資金調達を成功させ、Bluepointは後続投資家として再び参加した。
NaeYiLuLi配送中のシニア配送員 /NaeYiLuLi
人は誰しもいつか老いる
NaeYiLuLiのチョン・ヒョンガン代表とチームメンバーは、まだ物流(定期配送)分野でもっと多くの高齢者の雇用を創出できると確信している。実際、最初にターゲットに設定したサラダ/ランチのサブスクリプション市場以外にも、定期配送、ヤクルト、洗濯、食器、医薬品、自動販売機まで、はるかに大きな市場で、より定期配送に特化した配送システムを求められており、このようなサービスを提供するために多角的に事業を拡大している。昨年選定されたTIPSの研究開発を通じて、配送情報が入力されると同時に適切な配送員が選別され、適切な動線が割り当てられるまでの時間を15秒以内に短縮できる独自のアルゴリズムを開発した。また、顧客社ごとにダッシュボードと地図を活用して配送スケジュール、物品の状態、配送の主要情報をリアルタイムで追跡できるTMS(Transportation management system)を完成させた。シニアが簡単に使えるUI/UXで構成された配送員専用Appも開発し、実際の配送現場で活用している。
私たちは皆、いつかシニアになる。 「遠い未来の私たち(ネイルエウリ)」が幸せになれる世界を作ろうという意味からチーム名も『NaeYiLuLi』に決めたのだという。生計維持が目的であれ、時間を主体的に過ごせる環境が目的であれ、高齢者の雇用問題は必ず解決しなければならない宿命的な課題である。現在、少なくとも70人以上の人生をより豊かにしているNaeYiLuLiチームが作っていく遠い未来には、どんな疎外も、欠乏も、孤立もない、より健康的な世界を期待している。
NaeYiLuLi チョンヒョンガン代表 /futurechosun(トナウンミレ)
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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