「なぜ日本でPMFをやるのか」「韓国で証明できないものを、日本でやる?」
「なぜ日本でPMFをやるのか」「韓国で証明できないものを、日本でやる?」
〈シーズン12の主人公を探しています〉
ちょい事情通の記者のお知らせです。シーズン12のインタビューを受けるスタートアップ起業家の推薦を受け付けます。セクターも問いませんし、起業家自身で「私をインタビューしてください」、チームメンバーが「うちの代表を推薦します」でも構いません。VCやACの「うちのポートフォリオ会社は本当に素晴らしいですよ」という推薦もいいですね。
ただし、1つの条件があります。シリーズB以上のスタートアップを希望します。シーズン12では、厳しい寒さに耐えたスタートアップのインサイトと教訓を共有したいからです。このようなプロセスを経たスタートアップを主観的に判断するのには限界があるので、シリーズB以上のスタートアップという条件をかけました。
実際に「ちょい事情通の記者にまだインタビューされていないのですが、インタビューの条件はありますか?私はまだ不足ですか」というコールドメールを送ってインタビューを行った起業家もいました(全文を見る)。皆様からの推薦をお待ちしております。 startup@chosun.com までメールください。
[Woodstock]ブライアン・ユン「なぜPMFを日本で?」 「韓国で証明できなかったことを、日本で証明しようとするな」
- Woodstock|ブライアン・ユン
ちょっとユニークな「ニッチインタビュー」です。日本でスタートアップを立ち上げた起業家に聞く「日本進出の際にこれだけはやってはいけないこと」。Woodstock(ウッドストック)のブライアン・ユン代表です。まずはWoodstockというスタートアップの話を聞き、その後、彼のアドバイスをお聞きします。ユン代表は中2の時にカナダに渡り、ウォータールー大学コンピューター工学とシカゴ大学MBAを卒業後、東京でバークレイズ証券、Twitter(ツイッター)、Coinbase(コインベース)などを経て、独立して起業しました。日本には18年間住んでいました。
Woodstockは、韓国人、日本人、中国人の3人で共同創業し、現在、Pre Aシリーズ投資を受けました。累積投資額は約70億ウォン(約8億円)レベルです。3年目の日本のスタートアップに何を聞くのか?韓国では地盤がしっかりしてきたシリーズB,Cであっても、日本ではこれから始めるスタートアップのように必死に走らなければならないように思います。ちょい事情通の記者の考えです。日本で18年間、ビジネスと起業を経験した韓国人の率直な視線を聞いてみましょう。 「日本進出のアドバイス」を先に読みたい方は、目次[5]番からお読みください。
日本で起業したWoodstock ブライアン・ユン代表/Woodstock提供
1.日本人はお金の心配をしながらも、友達同士ではお金の話をしない。Woodstockはそんな日本人の投資ハードルを下げるスタートアップです。
-韓国人と日本人が東京で一緒に設立したスタートアップですよね?
「Woodstockは日本で設立されたスタートアップです。3年ちょっと経ちました。PreAまで受け取った状況です。」
「日本は(株式などの)投資文化がアメリカや韓国のような国に比べて非常に遅れていると思います。日本の若い人たちも、まだ(株式)投資というものに対して非常に不慣れです。しかし、ちょうど今のタイミングは、ある意味、日本における非常に大きな過渡期ではないでしょうか。日本政府も投資を推奨していますし、投資教育も義務化しているので、今後日本の株式投資市場は大きく成長すると思います。3年前、このようなチャンスを掴もうという思いで起業しました。」
-Woodstockのペインポイントは何ですか?日本社会が抱える、解決すべき問題は?
「ペインポイント?日本が高齢化しているにも関わらず、個人的にはどんどん資産がなくなっていっている気がしています。若い世代はますます不安を感じ、老後を心配しています。アメリカや韓国の場合、自分の資産についてよく考えたり、友達と話したり、どうすればもっと豊かに暮らせるか情報をたくさん共有するのに対して、日本人はお金の話をすることに少し抵抗があるんです。友達同士でそういう話をすることに、やや保守的です。Woodstockはこれを解決したいと考えています。」
-どうやって解決するんですか?今、具体的に何を提供しているのですか?
「前職はTwitter(ツイッター)です。日本人は面と向かってお金の話や自分の資産に関する話はあまりしません。でも、オンラインで匿名では、すごく盛んです。オンラインでそのような場が設けられると、その後は本当に一気に爆発するんです。日本の人たちは、お金にまつわる内心を語り尽くします。それがWoodstockです。他の人はどのように資産形成をしているのかを見せながら、ここではこんな話や質問をしてもいいという場所。お金や投資に関する疑問を解消できる空間です。」
「Woodstockはそんなコミュニティも提供し、匿名性も提供しています。人々は質問することもできますし、他の人が取引したものを、見ることもできます。 「ああ、最近の人はこういうトレンドでこういう取引をしているんだな」と見て、「じゃあ私も少しずつ始めてみようかな」となるのです。投資のハードルを下げてくれるプラットフォームがWoodstockです。そして、取引までできるような空間です。」
2.リアルタイムで他の人の実際の株式取引を表示...20代の若者が真似しながら学ぶシステム
-Woodstockのユーザー、つまりターゲット層は20代の若い層なんですね。
「ユーザーは20代が一番多いですね。日本では25歳の男性で、社会人3~4年目くらいです。平均的な収入はそれほど多くありません。400万、500万円程稼いでいます。このような人がユーザーとして入ってくるのですが、何も知らないのです。インスタやTikTokを見て入ってきて、「新NISA」のようなものは聞いたことがあり、私もそれが何なのか見てみようと思った、と言って、今すぐネット証券会社に加入するのはち少しハードルが高いため、Woodstockはただの気楽なコミュニティなので、気楽な気持ちでアクセスしてきます。」
「AIや半導体のようなトレンドを他の人がどのように見ているのかを知ることができます。他の人の意見を見たり、直接取引だったりも、すべてライブで見ることができます。他の人が今週は何を買って、来週は何を売るか見るのです。なんでみんなこんなものを買っているんだろう、じゃあ私も何かやってみようかな、と思うんです。何よりも、「株式投資って大金じゃないといけないと思っていたけど、ここを見てみると、みんな小額、1000円~5000円単位で取引しているんだな」と実感します。私もやれるという確信が持てるんです。勉強と割り切ってやってみようかな、と。」
「口座を開設したり、企業の決算発表の時、株価が動くのを見たり、その都度、他の人が投資する取引も見ています。そうやって、日本の若者が初めてNVIDIA(エンビディア)を購入する経験をするというか。」
-他の人が株を売買するのを、リアルタイムで見ることができるんですか?
「Woodstockは掲示板の概念ではありません。掲示板ももちろんあります。意見交換とか、そういうのは当然あるんですけど、それを超えて、みんなのポートフォリオが全て見えるんです。」
-みんなのポートフォリオ?それでは、私の取引状況もリアルタイムで他の人に見えるんですね。
「そうです。もちろんオプションです。選択ですが、通常はみんなオープンにしています。Woodstockは文化的にオープンな雰囲気です。みんなのポートフォリオを見ています。投資に応じた銘柄の割合が何パーセントとか、そういうふうにどんどん表示されます。人それぞれの性格が出ますね。この人はどの程度儲かったのか。」
「ただ、いくら投資したのか金額は出ませんが、元金と比較して何パーセントの利益が出たのか、リアルタイムで今、この人が何を買って何を売ったのかまで全部出ます。ここには、昨夜、人々がどの銘柄を一番多く買ったのか、売ったのかの比率まで表示されます。マーケットのコンセンサスもわかりますね。例えば、「この銘柄を整理する人が多いんだな」というような情報です。」
-AppleMusic(アップルミュージック)で「他人のプレイリスト」を見る感じですね。なぜ金額を公開しないのですか?金額が出れば、他の人も安心して投資できるのではないでしょうか?
「金額は少しセンシティブなものだと考えています。多額の投資をしている人を見せると、少額しかない人は躊躇してしまうのではないでしょうか。ということで、パーセンテージで表示します。」
3.20代ユーザーを固めた後、年齢層を広げる戦略
-Woodstockの現状はどうですか?まだ初期?
「Woodstockはリテンションを最も重要な指標と捉えています。Woodstockという、製品が本当に良いものかどうかを見極めるのに最適な指標であるためです。人々がどれだけ継続的にWoodstockを使い続けるか。アカウントを作成したユーザーの70%以上が、1~2ヶ月以上同じように継続的に利用しています。現在、サインアップユーザーは数万人程度です。口座を作った人は、そのうち数千人程です。」
-現在のビジネスモデルは手数料なんですね?
「Woodstockは取引手数料を取っています。取引に1%の手数料を付けています。すごく高額を受け取っています。とりあえず製品を作っている現時点では、むしろ高価にして、高価でも人が使うかどうかをテストしています。価格はいつでも下げることができますから。」
-株式取引もできるということは、証券会社と契約しているんですよね?
「Woodstockアプリで取引が完了します。Woodstockは日本では現在、イントロデューシングブローカーというライセンスを取得して活動しています。仲介業者ですが、Woodstockの後ろに証券会社があるので、連携しています。長期的には、Woodstockが直接証券会社になる準備をしています。」
-日本の証券会社に顧客をつなぎ、そこで口座を作ることで収益を分配するモデル?
「はい。すべての取引で発生した収益を分配します。」
-落とし穴があるのではないでしょうか。消費者の立場からすると、Woodstockで本当に良い情報を得ることができ、1000円くらい投資するときはそこで取引する、しかし、本格的に1000万円規模になると、手数料が安いところに行くのでは?
「スタートアップであるWoodstockがすべてのユーザーをターゲットにすることはできないと思っています。まだ3年しか経っていない会社ですし、ライセンスなど準備しなくてはいけないことがたくさんあります。Woodstockが初期に狙うユーザー層は、ビギナーの20代です。実際、多額の投資をする20代のビギナーは多くないんです。Woodstockが若年層のコミュニティをしっかり固めてから、その上に上がっていくのですが、その時は手数料のパーセンテージの調整が必要だと考えています。」
-証券会社の免許を取ってから考える問題ということですね。
「そのタイミングかもしれませんね。はい。」
4.メンバー8名...外注なしでローンチ、マーケティング、デザイン...徹底したスタートアップシステム
-現在の従業員や組織の現状はどうなっていますか?
-Woodstockは韓国人、日本人、中国人が共同創業した会社だとお聞きしました。
-8人で証券・金融系のプラットフォームを作る?日本はもちろん、どの国でも金融側のソリューション開発は大変ですよね?日本は簡単な国?
-売上は今ほとんどないんですよね?
-数百万人単位のユーザーまではいかないと、有意義な成果が出なそうです。
5.「カナダで大学を卒業し、ソウルではなく、東京に来た」
-20代社会初心者のための株式投資ガイドというべきでしょうか?広げれば資本増強ガイド?中高年層への拡大は?
-ご自身のキャリアはどうなっていますか?
-カナダで大学を卒業して、なぜソウルに行かずに東京に来たのでしょうか?
-珍しいですね。エンジニアからトレードするケースが多いんですか?
-トレーダーになると儲かるのでは?
6.「起業家が日本もよく知らないのにとりあえず進出?それは間違ってるかも」
-インタビューの本題です。韓国のスタートアップが東京にとても興味を持っていて、実際に進出もたくさんしています。かなり多くの試行錯誤をしています。日本でビジネスをしている起業家の立場から、「これはやれ、これはするな」というアドバイスをお願いします。
-スタートアップ起業家は、韓国でPoC(Proof of Concept)を成功させると、すぐに「日本でも通用するのではないか」と考えますが。
-起業家はだからといって、1年間日本に住めないじゃないですか。韓国マーケットも見ないといけませんから。
-1年住めないなら、最低限これくらいはしないといけないというものは?1ヶ月くらいは住んでみないとわからない?
-日本を観察する必要がある?
7.PMFをなぜ日本で...韓国で証明できなかったものを、日本で証明しようとするな
-日本語のレベルはある程度は必要だと思います。「起業家がある程度まではやるべき」
-結局、日本の拠点には法人長を選ぶ必要がありますよね。「 日本で大学を出た韓国人」と「ただの日本人」のどちらかを選ぶとしたら?
-給料をもらっている日本法人の社長には、そこまで情熱を燃やすモチベーションは生まれないですよね。
-Danggeun Market(タングンマーケット)の共同創業者であるキム・ヨンヒョン代表や、MEGAZONE(メガゾーン)のイ・ジュヨン代表みたいなケースですか? モチベーションのある人、これを成功させれば自分の株の価値が上がる人が来る必要がある? (※キム・ヨンヒョン代表は現在カナダに滞在中。MEGAZONE日本法人長のイ・ジュヨン代表は、MEGAZONEイ・ジュワン代表の実弟である)。
-日本に進出した韓国のスタートアップ起業家とはかなり顔を合わせた経験がおありだと思いますが、「これは絶対にやってはいけない」というのは?些細なことでも良いです。
-韓国で証明できなかったことを、日本で証明しようとするな?
-それなら、起業家が日本に来て再出発するくらいじゃないとダメなんですか?起業家はソウルにいながら、ソウルでもまだ証明されてないのに、日本法人に月給取りの社長を雇っておいて証明しろ、これはダメだと?
8.日本は韓国より定着に2倍以上時間がかかる...アーリーアダプターが少ない
-もう一つの「これは絶対するな」は?
-その速い時間の基準は何ですか?
-韓国で達成した時間の2倍の時間を考えて日本に入国しなければならないということですか?実は韓国の起業家は、ソウルで1年かけてPMFを行ったら、日本では試行錯誤を減らして6ヶ月でできると考える傾向があります。
-結局、日本進出には想像以上に資金がかからざるを得ないわけですね。
-特に韓国のスタートアップは、日本進出時にマーケットローカリゼーションに疎いという話もあります。
-日本企業はブランディングの際に、日本語の「読点」を入れるべきかどうか、にまで悩みますが、韓国のスタートアップが日本に製品を出す中では、「日本語の翻訳さえ合えばいい」というレベルです。
-韓国の起業家がブランディングの日本語まで検証する目を持つのは難しいですよね。
-韓国の起業家が東京に来たとします。誰に会う必要がありますか?
-日本でターゲットユーザーをどうやって見つけるのですか?
-日本語が得意な法人長が日本人ターゲットユーザーと会えばいいのではないでしょうか?
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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