エンタープライズ向けエージェンティックAI企業のEnhansが512億ウォン(約58億582万円)規模のシリーズC資金調達を完了したと17日に発表した。累計調達金額は810億ウォン(約91億8,500万円)となる。
今回のシリーズCは、既存株主のTIME FOLIO Asset Managementと、新規投資者として参加したStonebridge Venturesが共同でリードを担った。IMM InvestmentとSTIC Venturesが新規投資者として参加したほか、L&Sベンチャーキャピタル、AOAキャピタルパートナーズ、KTインベストメント、現代技術投資など既存株主も追加投資に加わった。POSCO技術投資、LG CNS、LOTTE VENTURESも今回の投資に合流し、新規株主として名を連ねた。
POSCO・LG・Lotteグループ内の顧客企業がEnhansのソリューションを実際の業務に導入して運用している中、各グループの系列会社が戦略的投資者として参加したのは今回が初めてとなる。今回のシリーズCに先立ち、2025年1月にシリーズB投資を調達しており、2026年4月にはNAVERベンチャーズから戦略投資を受けたことがある。
Enhansは、企業や政府によるAI導入が試験適用の段階を過ぎ、全社的な運用へと拡大している流れに注目している。同社は、Sovereign AIの範囲が自社AIモデルの確保にとどまらず、企業や国家が自らのデータと業務知識を蓄積し、AIの判断・実行・運営を直接統制する方向へ広がっていると見ている。これに伴い、モデルだけでなくデータ・業務・AI実行をつなぐ運用システムが中核インフラになると展望している。
Enhansの主力製品であるAgentOSは、SAPをはじめERP・CRMなど企業内の複数のシステムに分散されたデータと業務ルールをオントロジー(Ontology)方式で構造化する。AIエージェントがこれを基盤に判断し、実際の業務を遂行できるようつなぐ仕組みで、特定のAIモデルに依存しないため、企業はデータからAIの判断・実行までを直接統制できる。製造、金融、流通、ヘルスケア、公共、国防など、迅速な意思決定と実行が求められる分野へ適用範囲を広げている。
Enhansは、大企業の実際の業務環境でAIを構築・運用してきた過程で積み重ねた顧客レファレンスと、オントロジーを基盤とするデータ・業務連結の技術力が、今回の投資プロセスにおいて主要な競争力として評価されたと説明した。ウェブサイトやソフトウェアを人間のように操作して業務を遂行するComputer Use技術を適用した行動型AIエージェント「ACT-2」は、2026年8月に公開されたOnline-Mind2Web評価において、自動評価部門でグローバル2位を記録した。Microsoft Pegasusプログラムへの選定やMicrosoft AIスタートアップアライアンスへの参加など、グローバル事業基盤も投資判断に反映された。
Enhansは今回の調達金をAgentOSのデータ・プロセス・実行インフラの高度化に活用する計画だ。システムに保存されたデータや文書だけでなく、現場専門家の意思決定基準や業務方式までAIが自ら捕捉して連結・蓄積できるようにする方針だ。製造・金融・流通・公共など産業別のデータ構造と業務ルールを盛り込んだ「インダストリーパック」も開発し、導入初期から実際の業務に適用できるようにする計画だと伝えた。Computer Use技術をAgentOS全体に拡大し、セキュリティ・ガバナンス関連の技術も強化する一方、グローバルな技術・事業人材を確保して海外顧客とパートナー基盤も広げていくと発表した。
Stonebridge Venturesのソン・ヨンドン常務は「エンタープライズAIが単に回答を出す段階から業務を直接遂行するエージェントの段階へ移行する転換期に、Enhansはすでに複数の顧客企業を通じて検証を終えたAIエージェント運用システム製品を保有する企業だ」とし、「韓国内エンタープライズAI市場での先行だけでなく、グローバル市場へ事業を拡大しながら成長を続けていくことを期待する」と投資背景を説明した。
イ・スンヒョンEnhans代表は「顧客の現場で共に成果を作りながら積み重ねた信頼が、事業拡大を越えて資金調達へとつながったという点で、今回のシリーズCはより意味深いものだ」と語った。続けて「Sovereign AIの核心は、モデルだけでなく企業や国家が自らのデータとAIの判断・実行を直接運用・統制できる運用システムにある」とし、「グローバル企業や政府が選ぶAI Native OSの基準を作っていく」と述べた。
