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日韓配車サービスの現在地(4/5):今後大幅に成長する⁉「カカオモビリティ」とは

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カカオモビリティとは

「カカオモビリティ(카카오 모발리티 )」の前身であるカカオのスマートモビリティ事業は、2015年4月1日のカカオタクシーの発売で幕を開けました。「キムギサ(김기사)」というカーナビサービスを行っていた「ロックアンドオール(록앤롤)」と、駐車サービスを営む「パーキングスクエア(파킹스퀘어)」を買収して、カカオナビゲーションとカカオ駐車サービスを提供し、2017年6月にTPGキャピタルから5千億ウォン(約500億円)の投資を受けて、「カカオ(카카오)」から「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」に分社化しました。

kakaoTに乗る男性


その後、2018年9月には、タクシー事業者の「タゴソリューションズ(타고솔루션즈)」株の持分100%を買収し、現「カカオTブルー(카카오T블루)」を発売、タクシー企業9社を買収し、約900名の二種免許取得者(以下、タクシー免許)を保有しました。「カカオTブルー(카카오T블루)」とは、乗車拒否がなく、サービスの質を高める代わりに、一般タクシー料金より最大3000ウォン(約300円)を配車料金として多く設定したタクシー配車サービスプラットフォームです。2020年の売上高は2,800億ウォン(約280億円)、営業損失130億ウォン(約13億円)で、売上高は前年比167%に上昇し、営業損失は100億ウォン(約10億円)に減少しました。これは、2019年に500台から16,000台へと増加した加盟タクシーによる売上の増加と、12倍に成長した専属タクシーの売上によるものです。 今期の純損失は376億ウォン(約37億円)と前年比で増加しましたが、これは2018年に、韓国国内の共有モビリティスタートアップである「LUXI(럭시)」を買収した際にかかった費用のためです。

 

今後大幅に成長すると予想される理由

韓国タクシー市場は、2019年基準で約8.7兆ウォン(約8,700億円)規模で、免許件数は許可制であるタクシー事業の特性上、約25万件ほどになっています。カカオモビリティのタクシー事業は今後大幅に成長すると予想されています。 その理由としては以下が挙げられます。

  1. まだカカオモビリティが保有するタクシー免許の数は、全タクシー免許の8.4%の水準に過ぎない 
  2. 800万人のプラットフォームユーザーによる持続的な需要創出が見込まれる
  3. 需要創出によるタクシー事業者のプラットフォーム誘引効果への好循環が期待される


事業形態の変化∼仲介から加盟事業まで∼

「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」は、前回の記事(第三回:韓国の配車サービスの背景「旅客自動車運送事業法」)で触れたType3のプラットフォーム仲介事業に始まり、タクシー事業者をプラットフォームに呼び込みました。 仲介事業としては、登録さえできればコールタクシーのように利用可能な一般的な配車と、手数料を支払えば、タクシーとのマッチング成功率を高めることができる「スマート配車」とに分けられます。スマート配車の場合、カカオTアプリを利用するユーザーから受け取った手数料を仲介事業者とタクシー事業者がと6:4で分ける方式で、タクシー事業者をプラットフォームに流入させることができました。

その後、「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」は、前回記事におけるType2であるプラットフォーム加盟事業に進出し、9つの法人タクシーを買収するとともに、専属タクシー事業、加盟タクシー事業を開始しました。ちなみに加盟タクシーとは、業者が個人·法人タクシーを加盟店に集めて、規格化されたサービスを提供する事業方式 を指しています。加盟タクシーは、2021年の第一四半期で約21,000の免許を保有しています。専属タクシーの場合、法人タクシーの収益全体が「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」の売上になり、加盟タクシーの場合、売上高の20%を手数料の売上として計上する仕組みです。

kakaoTアプリと車

すでに述べたように、加盟タクシー事業の場合、加盟免許数が2019年の500から2020年に16,000、2021年第一四半期基準で21,000と、大きく増加しました。これは、ユーザーの運送手段に対する高い満足度によりタクシー事業者の収入が増えた結果です。スマートフォンアプリを基盤としたタクシー産業現況調査によると、既存のコールタクシーより「カカオタクシー (카카오택시)」の満足度がはるかに高く、「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」によると、タクシー運転手の収入も37.5%増加しています。結果的に好循環を生み、継続的なタクシー運転手の確保を期待することができるとしています。


画像出典:카카오T(카카오모빌리티 (kakaomobility.com)



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第一回:共有経済、「所有」から「共有」へ

第二回:日本の共有モビリティ市場「タクシー配車サービス」

第三回:韓国の配車サービスの背景「旅客自動車運送事業法」

第五回:韓国モビリティ業界初のユニコーン企業「ソカー」とは


/media/安基盛(アン・ギソン)
記事を書いた人
安基盛(アン・ギソン)

安基盛(アン・ギソン) 慶應義塾大学 経済学部 経済学科 少し面白い話を共有しようと思います。ある本で読みましたが、過去1万年の期間のうち9900年間の科学的進化速度が10だとすれば、1946年に最初のコンピューターができてから2000年までの進化速度はなんと100だそうです。 そして、2000年から2010年までの進化速度は4,000、その後の10年の進化速度は6,000、そして2030年までの進化速度は78,000以上になると専門家は述べています。 今後10年の世界では、我々は想像すらできないことが現実されるかもしれません。ますますデジタル化するこの世の中で、みんながエンジニアになる必要はなくても、少しでもI T技術の勉強に振れることは重要じゃないかなと思いました。 そこで、私の記事を通じて読者の皆さんに少しでもITの世の中に関心を持っていただけたら本当に幸いです。

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