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日韓配車サービスの現在地(5/5):韓国モビリティ業界初のユニコーン企業「ソカー」とは

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ソカーとは

「カカオモビリティ(카카오모빌리티)」とともに韓国の共有モビリティや配車サービス市場をリードしている会社がもう一つあります。2012年に100台の車両でスタートし、まず韓国のカーシェアリング業界を先導し、韓国モビリティ業界初のユニコーン企業(企業価値1兆ウォン以上)として成長した「ソカー(SoCar・쏘카)」です。「ソカー」は現在1万2000台の車両を保有していて、630万人近くの会員を持つ韓国1位のカーシェアリング企業です。カーシェアリングで成長した「ソカー」は、事業の多角化と「カカオモビリティ」の共有モビリティ市場の独占を牽制するため、2018年から「ソカー」の子会社である「VCNC」を通じて配車サービスプラットホームである「タダ(타다)」を運営し始め、サービス展開した当初からから大きな話題を集めました。   

ソカ―の車


当時多くの反響を呼んだ「タダ」の最初のサービスである「タダ・ベーシック(타다 베이직)」というサービスは、スマートフォンアプリで呼び出せば、利用者を乗せてワゴン車が目的地まで移動してくれるサービスです。 「タダ」は既存タクシーの乗車拒否・不当に高い料金・不親切なサービスに不満を感じていた若いサラリーマンを中心に人気を博しました。その理由は、「アプリで車両を自動的に配車」「料金は移動時間や距離によって自動的に計算」「特に用がなければ乗客に話しかけないよう管理されていた」という3点です。 これまでなかった無料Wi-Fiやスマートフォンの充電器が提供されることも、ユーザーの満足度を高めました。


「タダ(타다) 禁止法」とは

一見、一般の配車サービスと変わりはありませんでしたが、実際のサービスの運営方式は全く新しい方式です。「タダ」が「ソカー」の11人乗りの専用ワゴン車をレンタルし、運転手を利用者に対して斡旋するという構造です。このことからタダ」は自社のサービスをレンタカーサービスと呼んでいました。 当時、韓国の法律ではレンタカー事業者が運転手を提供できないように定めていましたが、乗客が外国人、65歳以上の高齢者、または当該自動車が11~15人乗りのワゴン車の場合は例外的に運転手を提供できるようになっていました。なので、「タダ」のサービスは法的に問題がないように見えました。

しかし、このような「タダ·ベーシック」サービスは問題となりました。タクシー免許などと関係なく、事実上タクシー同様のサービスを提供しており、不法ではないかという議論やタクシー業界からの反発が持ち上がったのです。 これが韓国国内の新規共有モビリティ産業への制度整備につながり、結局、いわゆる「タダ禁止法」と呼ばれる法案が通過するに至りました。結局、「タダ」は「旅客自動車運送事業法」に違反したとして裁判となりました。サービスについては、2020年2月に無罪を言い渡されたものの、タクシー業界の反発が続いたため、「VCNC」は昨年4月に「タダ・ベーシック」サービスを全面的に終了しました。 

このため、カーシェアリング事業を基盤にモビリティ事業まで手を広げようとした「ソカー」の計画には大きな支障を来たすことになりました。その後「タダ・ベーシック」を打ち切った半年後にタクシー業界との加盟契約を結び、新しいtype2(第3回:韓国の配車サービスの背景「旅客自動車運送事業法」で説明)のタクシー配車サービスである「タダ・ライト(타다 라이트)」を提供し始めましたが、264億ウォン(約26億円)の赤字を出し続けました。

結局、「ソカー」は昨年10月、「VCNC」の株の60%を韓国の電子金融会社「ビバリパブリカ(비바리퍼블리카)」に譲渡しました。 これにより、 「ソカー」は、重要な意味を持っていた子会社の「VCNC」を手放したことになります。 しかし、これにより、赤字要因を改善した「ソカー」は、黒字転換に成功し、国内モビリティプラットフォーム企業の中で初の上場を果たせるかどうかというところまで至っています。


 韓国共有モビリティの現況と展望

最後に、前回紹介した「カカオモビリティ」と「ソカ―」の2020年の実績を見てみると、「カカオモビリティ」は2,800億ウォン(約280億円)「ソカー(SoCar・쏘카)」は2,637億ウォン(約264億円)の売上高を記録しました。 また、「カカオモビリティ」と「ソカー」の営業利益率はそれぞれ-4.6%、-10.2%と、2019年比それぞれ16.5%、17.7%改善しました。


配車アプリと車



まだ韓国内モビリティサービスと配車サービス市場の規模は大きくありませんが、コロナという悪条件の中でも成長し、それに伴う収益性の改善も実現しました。 今後、長期的に人々の間に「共有」の概念が広がり、車両自体の回転率の上昇とともに、配車サービスの市場も拡大していくと思います。そうなれば、韓国でもモビリティ関連の上場企業が出てくるのではないでしょうか。

画像出典:쏘카(차가 필요한 모든 순간, 쏘카 (socar.kr)


<関連記事>

第一回:共有経済、「所有」から「共有」へ

第二回:日本の共有モビリティ市場「タクシー配車サービス」

第三回:韓国の配車サービスの背景「旅客自動車運送事業法」

第四回:今後大幅に成長する⁉「カカオモビリティ」とは



/media/安基盛(アン・ギソン)
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安基盛(アン・ギソン)

安基盛(アン・ギソン) 慶應義塾大学 経済学部 経済学科 少し面白い話を共有しようと思います。ある本で読みましたが、過去1万年の期間のうち9900年間の科学的進化速度が10だとすれば、1946年に最初のコンピューターができてから2000年までの進化速度はなんと100だそうです。 そして、2000年から2010年までの進化速度は4,000、その後の10年の進化速度は6,000、そして2030年までの進化速度は78,000以上になると専門家は述べています。 今後10年の世界では、我々は想像すらできないことが現実されるかもしれません。ますますデジタル化するこの世の中で、みんながエンジニアになる必要はなくても、少しでもI T技術の勉強に振れることは重要じゃないかなと思いました。 そこで、私の記事を通じて読者の皆さんに少しでもITの世の中に関心を持っていただけたら本当に幸いです。

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