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Kurly、Zipbang、MUSINSA、Dunam、LawTalkに投資したDSCユン・ゴンスのバブル理論

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Kurly、Zipbang、MUSINSA、Dunam、LawTalkに投資したDSCユン・ゴンスのバブル理論

@シーズン6の最後はDSCのユン・ゴンス代表による番外編です。来週からはシーズン7が始まります。ありがとうございます。

DSC Investment(DSCインベストメント)は、韓国で「ユニコーン(企業価値が1兆ウォン(約1,052億円)を超える非公開スタートアップの産室」として知られるベンチャーキャピタルです。

Zipbang(チッパン/不動産仲介アプリ)、Musinsa(ムシンサ/ファッションオンラインショップ)、Kurly(カーリー/生鮮食品オンラインショップ)、Dunam(ドゥナム/暗号通貨取引所)、LawTalk(ロートーク/弁護士広告プラットフォーム)の事業初期段階に、次々と投資したことでそのスキルを認められました。

8月に運用資産が1兆ウォンを超え、プライベートエクイティファンドなしに、ベンチャーファンドのみで、1兆ウォンを超えた8つ目のベンチャーキャピタルとなりました。

親会社を持たない専業ベンチャーキャピタルのうち、1兆ウォンを超えるのはDSC InvestmentとAtinum Investment(エイティナムインベストメント)の2つだけです。ユン・ゴンス代表は、LG系列のLB Investment(LBインベストメント)出身であり、2012年に独立して今の会社を設立しました。

ベンチャー氷河期を迎えた最近の投資業界の雰囲気はどうか、上場を目前にしている投資会社(Kurly)、そして利益団体対立している投資会社(Zipbang, LawTalk)について聞きたいと思い、最近DSC Investmentのオフィスを訪ね、ユン・ゴンス代表と会いました。

 

DSC Investmentのユン・ゴンス代表が、歴代の「バブル」の流れを説明している様子。/ナム・カンホ記者


1.「昨年はバブルだった。ただ、バブルは悪いものではない。」

 -昨年はバブルでしたか?

「昨年はバブルでした。昨年のバブルは本当に凄いものでした。世界には約1,100のユニコーン企業がありますが、昨年のみで580社生まれています。昨年、ユニコーンとデカコ-ンが最も多く生まれました。

全世界の投資額の伸び傾向を見ると、毎年約4〜5%ずつ増加していますが、昨年は92%伸びています。流動性が非常に高かったためです。バブルが起こらざるを得ませんでした。」


バブルは弾けつつあり、投資するのに良い時期でしょうか?

「ですが、1つ考えておくべきことは、バブルは悪いものではないのです。トレンドを見てみると、2000年の第1次ベンチャーブーム時はインターネットバブルでした。NAVERが出てきたのはその時です。その後、バブルが弾け、次はモバイルバブルでした。

Kakao(カカオ)が出てきました。昨年まではプラットフォームバブルでした。ここでcoupang(クーパン)、Zipbang、Woowa Brothers(配達の民族)とKurlyが登場しました。バブルが起こり、そこに関心が集まり、1か所2か所のスター企業が残って、あとは消滅するサイクルです。

実のところ、投資会社の仕事はバブルを生み出すことなのです。興味を集めなくてはなりません。ただ1つ覚えておくべきなのは、1度バブルが発生した領域で、再びバブルが起こることはありません。プラットフォームバブルは現在弾けつつあり、プラットフォームだけで再び世界の注目を集めることは困難です。

バブルのフェーズでは、PDR(Price to Dream、株価対ドリーム比率)を見ます。バブルが弾けてから、PER(株価収益率)を見ます。昨年、KakaoBank(カカオバンク)は韓国の金融グループの合計時価総額を上回る価値がありました。説明できませんよね?これはPDRのせいです。

今の株価を見てください。現在、プラットフォーム企業は収益を上げるよう求められています。一方、今、ロボット会社はお金を稼ぐよう言われているでしょうか?セクターは重要です。」


-バブルはネガティブなものではないのですね。では、次のバブルは何でしょうか?

「最近はモビリティバブルです。カーシェアリング等ではありません。技術のことです。自動運転技術、電気自動車のバッテリー関連技術。また、最近のトレンドは環境管理とエネルギー関連の問題です。

現在、二酸化炭素削減とバッテリーリサイクルに関連する技術が上がってきています。自動運転インフラに関連する技術も急速に発展しています。5年後の生活を考えると、この分野が最も影響力があると思われます。また、2030年までに、すべての車メーカーは電気自動車のみを製造するようになると言われていますよね。

当社もプラットフォーム分野よりも技術分野への投資に注力する予定です。昨年、投資本部はバイオテクノロジー、ディープテック、コンシューマーテックの3部門で編成されました。将来的には、ブロックチェーン、モビリティ、バイオなどのテクノロジー分野に投資する予定です。」  


2.Kurlyの適正価値は「coupangの10分の1程度?...つまり…」

-先程Kurlyの話が出たため、お尋ねします。投資会社であるKurlyの未来はどうなるのでしょうか?

「プラットフォームバブルは弾けつつあると先ほど話しましたよね。今はどれだけお金を稼ぐかというゲームになっています。Kurlyは、配達市場バブルの主役の1人です。生きるか死ぬかのゲーム、それがKurlyが今置かれた状況です。観戦ポイントですね。

もちろん、投資会社であるため、悩みも多くなります。coupangの時価総額が約44兆(約4.63兆円)であるため、10分の1程度が適切な価値だと考えています。生鮮食品のデリバリー分野で誰が第1位になるかはわかりませんが、2位までは生き残ると思っています。」


-ベンチャー氷河期ですね。投資会社の中には厳しいところもあるでしょう。今この氷河期が雇用や若者の仕事に悪影響を及ぼしているのを見て、何か感じることはありますか?

「どこがどれだけ厳しい状況か、定性的な説明は可能なのですが、今言った状況についての数字やデータはありません。アメリカではこの種のデータを入手し、体系的に整理しました。現在、韓国の状況を数字で説明するのは難しいです。DSCのポートフォリオは200数か所あります。

昨年には、皆たくさん人を採ったと言っていました。流動性が高く、企業を運営するのが簡単であり、2人必要な仕事に3人採用したりもしていました。迅速に成長しなくてはならないため、前もって人材を確保したのです。しかし、今年は流動性がかなりなくなりました。

今では、3人がやっていたことを2人でやらなければならない状況です。マーケティングは使わず、効果は出さなければならないのです。6月までは大丈夫だったのに、急に悪くなりました。自然減少した人員をほとんど補充できていません。

さらに、開発者たちはチームで動くため、1 人削減するのも容易ではありません。MESH KOREA(メッシュコリア)のような会社が人員を減らすという記事が出ましたよね。年末まで、こうした会社がたくさん出てくるでしょう。」


3.「資金調達金利は 6% を超えている。民間部門からの資金はほとんどない。」

-では、来年の初めが本当の冬になりそうですね。

「アメリカが金利を 4.5% に引き上げれば、冒険資本は完全に凍り付きます。(インタビューの後、FRBはさらに大きなステップを踏み、基準金利は3.75〜4%に上がった。) 資本の流れは明らかです。高リスクから低リスクへと流れ、利益は低いところから高いところへと向います。

つまり、現在の調達金利が 6% を超えている状況では、お金はこちらには来ません。だからこそ、ファンド・オブ・ファンズの削減がとても残念なのです。」


-来年の政府予算からファンド・オブ・ファンズの予算は40%削減されました。

「理解はできます。政府としては、財政が足りておらず、使わなくてはいけない所も多いためです。そちらは民間中心でやれ、ということなのですが、タイミングが良くありません。企業の調達金利が 6% を超え、金利が8%になってやっと「トントン」、となる状況では、民間資本がベンチャーに投資しようというケースはほとんどないでしょう。

しかし、ファンド・オブ・ファンズの利回りは8〜9%です。ダメになったファンドをすべて合わせてもその程度ということです。現在、ボトルネック現象で資金が枯渇した状況で、政策的に収益率の良いファンド・オブ・ファンズを引き続き手に入れなくてはなりません。

現在、製造業の景気も悪く、展望も不確実ですが、良い雇用創出として創業ほど適切なものはありません。初期創業は、良い雇用を創出する上で大きな役割を果たします。資金が枯渇し、初期創業が難しくなることで、ベンチャー業界でリストラ起きます。これが経済に与えるマイナスの影響はさらに大きくなるでしょう。」


-しかし、厳しいときに投資を減らすことは理解できます。

「ファンド・オブ・ファンズは空飛ぶお金ではありません。利子を付けて、戻ってくるお金です。先ほども言ったように、利回りは8〜9%です。R&Dの予算を見ると、使えば終わりですよね。また、個人的には、小規模事業主への支援や補助が韓国の将来を担ってくれるとは思いません。

革新的な未来の企業を育てる必要があります。ベンチャー出身の最大手企業を見てみましょう。NAVERです。2000年当時、冒険資本がなかったならば、NAVERは存在するでしょうか?おそらくGoogleが韓国のすべてのポータルサイトを支配していたでしょう。

当時、政府がどれだけお金を使ったのかは分かりませんが、現在時価総額30兆ウォン(約3.15兆円)のNAVERを作り、5,000人を雇用するには想像もできない大金を使わなければなりません。冒険資本で育ったベンチャーが韓国経済を支え、雇用も創出しているのです。」

 

DSC Investmentのユン・ゴンス代表が、歴代の「バブル」の流れを説明している様子。/ナム・カンホ記者


4.LawTalkの対立「商店街の1階にある不動産会社?すべて費用のせい。アメリカでは1階ではなく、上の階にある。」

-投資会社たちは利益団体と深刻な対立に陥っています。LawTalkは弁護士協会と、Zipbangは仲介士協会と対立しています。

「LawTalkという聞いたこともない小さなスタートアップが出てきて弁護士をプラットフォームの労働者とするため、話にならないと考えられているのです。韓国は今、小さな訴訟がかなり多い国です。

しかし、多くの国民には弁護士の知り合いはいません。高コストであるうえ、探すのも容易ではない状況です。協会の反発と懲戒は国民の便益に反する措置です。

Zipbangも同様に、新規事業をきちんと進められずにいます。昨年10周年を迎え「ペーパー免許」公認仲介士の開業を手助けするという事業モデルを発表しましたが、仲介士協会の反発で進展のない状況です。なぜ彼らは事業を開けないのでしょうか。とても多くの費用がかかるのです。

韓国では、主要集合住宅団地の中央商店街の1階に不動産会社があります。これはすべて、費用のためです。一方、アメリカでは、仲介事務所は1階ではなく、最上階にあります。しかも、今のような不動産取引の氷河期には、韓国の不動産業が存続するのは難しい構造です。

ペーパー免許を持っている仲介業者は、会社で働きながら副業としても働けなくてはいけないのに... 残念です。しかし、不景気はむしろチャンスだと思います。」


-不景気はスタートアップにとってチャンス?

「不景気は、むしろ革新的なサービスが再び登場するチャンスです。今のように運転手の需給ができないためにタクシーが捕まえられず、不動産取引が途絶え、売り物が溜まり、既存の業界が沈滞する時期であればあるほど、ZipbangやTADAが浮上することができます。

もしTADAが今サービスを始めていたら、政府が先頭に立って、後押ししてくれていたことでしょう。不動産会社もZipbangのプラットフォームに入れば、わざわざ1階の高額な家賃を払わずに取引できます。この時期が続き、若者の流入が増えるにつれて、不動産市場は変わると思います。」

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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