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【catchtable】TUDARIのPOS端末から始まった、飲食事業全体を目指す夢

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【catchtable】TUDARIのPOS端末から始まった、飲食事業全体を目指す夢

「catchtable(キャッチテーブル、社名WAD(ワド)」の始まりは1996年、母が経営していた焼き鳥フランチャイズ「TUDARI(トゥダリ)」に立ち戻らなければなりません。全国のTUDARIの中で売り上げ上位5位に入るほどの成功した店舗でした。

大学生の頃はバイト生と同じように、母の仕事を手伝っていました。当時、出勤して最初にやる仕事は紙の帳簿に定規を当てて、線を引くことでした。注文を書き付け、金額を書き、明け方に締め作業をして。すべて紙に書いて手作業で行っていました。

 そんな中で、母がコンピューターを店に置こうと言い出したんです。POS(ポス)端末というものが新しく出来たらしい、と言って。新しい世界でした。うわー、このマシンはどのレストランでも使われるだろう。その時考えたんです。「飲食業界のプロセス全体にわたる統合ソリューション」について。

 当時、店舗の売り上げが増えても純利益は増えないということが起きていました。調べてみると、早朝に、スタッフが現金で受け取った売り上げの一部をPOS端末から消して、取って行ってしまうということが頻繁に起こっていたんです。

NHNのプランナーだった私と、開発者だった弟は、ふたりで在庫把握に役立つ簡単なプログラムを作成しました。焼き鳥の在庫が10個で、POS端末に記録された販売量が3個であれば、翌日には在庫が7個残っていないと、ということをお知らせしてくれるプログラムでした。それを近所の店にも置きました。それがcatchtableの始まりでした。

 Baemin(配達の民族)の始まりは、キム・ボンジン会長が義母の家に立ち寄ったときに見た冷蔵庫でした。「扉に沢山張られた宅配店のチラシやマグネットをなくすなら?」 この質問から始めました。

catchtableのスタートは、母の焼き鳥屋で見かけた手書きのノートとPOS端末です。catchtableを利用するお客様の多くは、簡単にレストランを予約したいという人達ですが、catchtableがペインポイントを最初に見出した分野は「レストラン経営が難しい自営業者」でした。

 実は、モバイルの黎明期とも言える2010年代初頭から多くのレストラン予約アプリやサービスがありました。しかし、そのサービスはレストランレビューアーカイブと同様のレベルにとどまりました。Baeminが最初にアプリで入ってきた注文を確認し、スタッフがレストランに直接電話して注文したように、レストラン予約アプリはすべて手動でした。

Baeminはアプリや店舗間のリアルタイム接続を自動化することに成功しましたが、予約の自動化には失敗しました。最終的に、当社が自宅への配達は自動統合ソリューションが作成しましたが、オフラインでのレストラン訪問は自動化できませんでした。

 そのため、catchtableは、開拓されていなかった予約の分野を最初に掘り下げました。そして、事業主の立場からはリアルタイム予約管理 - お客様の立場からもリアルタイム予約とデポジット決済が可能な予約ソリューションを作りました。 また、最近、POS端末事業に参入しました。

最初から、本当の目標は本来POS端末をやることでした。私たちが使っているcatchtableのアプリがマーベル映画でいうとフェーズ2だとするとPOS端末はフェーズ3です。

フェーズ1では、レストラン事業主向けのアプリを販売し、死の谷に3年間耐えました。「これらはすべて、レストランビジネスの統合ソリューションを作成するための計画だ」と語るヨン・テスン代表にお会いしました。


catchtableのヨン・テソン代表/WAD提供


10月にPOS端末リリース、実は先にオーナーを攻略

-POS端末が10月にリリースされ、現在ベータテストが行われていると聞きました。

「創業当時、最初のプランとしては、POS端末から始めようと思っていました。しかし、競争が激しすぎました。POS端末製造メーカーは数十社あり、その市場での地位はすでに固まっていました。

POS端末ではない分野、飲食業以外の分野で何ができるか悩みました。当時ブルーオーシャンだと感じたのがレストランの予約プラットフォームでした。

 しかし、私たちが究極的に進もうと考えている方向は、B2BとB2C全体を網羅する飲食業統合プラットフォームです。B2BにはPOS端末、予約、待ち列管理、収益管理、人材管理、食品管理が含まれます。

B2Cには、予約、オンライン待機、注文端末、テーブルオーダー、スマートオーダーなどがあります。catchtableの目標は、先ほどお話ししたB2BとB2Cの両方を網羅するソリューションとプラットフォームになることです。POS端末はそのプロセスのデバイスなのです」 


-POS端末の市場シェアトップは、OKPOSという強力な中堅企業です。また、長い間地道に続けていた会社もたくさんあります。企業数は100社を超えています。

「オーナー達がcatchtableのPOS端末を使うべき理由は、当社の予約管理ソリューションとリンクしているためです。すでにcatchtableを使って予約を管理している4,000店舗の店主はcatchtableのPOS端末を使う方が快適であり、来年初めには店舗の待機管理ソリューションも出す予定です。

待機管理もPOS端末と連動する予定です。タブレットPCを使ったPOS端末です。UI/UXも最高水準です」


-2016年に最初に事業を始めた際、予約市場はPOS端末よりブルーオーシャンだと感じていたと仰られていました。しかし、当時もさまざまなアプリやウェブサービスがレストランのレビューや予約サービスを提供していました。

「POS端末の方が市場の構造ははるかに複雑です。POS端末製造会社、販売競合他社、流通業者、ハードウェア会社もあります。また、飲食業界でPOS端末を使っていない所はありませんでした。

新しい市場を開拓するのではなく、現在市場にいる競合他社の製品を取り除き、catchtableの製品にしなければいけないという話です。一方、予約市場はそうではありませんでした。技術的な完成度は低かったため、十分にそれ以上には作れるだろうという判断をしました」 

 



-予約ソリューションを考えていつつも、客がレストランを予約できるアプリは、事業を始めてから3年経ってやっとリリースされたのですね。開発に長くかかったのですか?

「オーナー向けの予約管理プログラムを作って、最初に売りました。そうして、レストランやショップを一つずつ開拓していくのに3年かかりました。つまり予約の観点で見ると、B2Cの前にB2Bに入りました。

従来の予約アプリやウェブの普及が遅れているのは、今でもほとんどのレストランや店舗が予約を手書きで管理しているからです。アプリでレストランを予約しても、結局誰かがそのレストランに電話をかけたり、メールを送ってこそ、予約が成立するのです。キャンセルも同じでした。

そのため、店舗に自動化ソリューションがあってこそ、客も適切な予約ソリューションを使用することができます。そこで私は、タブレットPCとオーナー向けの予約管理ソリューションでを持って営業に回りました」


-既存のPOS端末にも予約管理機能があります。

「不便で最適化されていないため、ほとんどの店舗では使用されていません。食材管理機能があるPOS端末もありますが、同じようにレストランでもこのような機能を使うことはほとんどありません。POS端末の中核は収益管理であるため、POS端末は会社の収益管理機能のアップグレードにのみ焦点を当てていました。

20年間、収益管理機能以外のUI/UXはほとんど進歩していません。 だから私が最初に営業に回り始めたときは、『予約管理機能、うちのPOS端末にあるよ』と断るオーナーがたくさんいました。しかし、当社のプログラムを使う中で、みんな考えを変えました」


-オーナーのためのcatchtable予約ソリューションと既存のPOS端末との違いは?

「まず、店舗に電話がかかってくると、連絡先情報や既存の顧客または常連客の名前を含むこのようなポップアップウィンドウがタブレットに自動的に表示されます。そして、顧客が予約したい日付を言うと、このように店全体のテーブルと構造が表示されます。

そこでテーブルを押して指定し、詳細を入力すると、自動的に顧客の要求事項を入力できるウィンドウも表示されます。コルクチャージ、ビジネスミーティング、ワイングラスのセッティング、アレルギーの有無、YouTube撮影などのタグを入力します。これらのタグは、店ごとにカスタマイズすることもできます。

電話を受けながら手書きで入力するより、確実に顧客の予約を速く、簡単に行えるアプリを作ったのです。

 もちろん、今はB2Cのcatchtableアプリ、つまりお客様が当社のアプリを使って予約すると、これらの手続きはすべて自動的に入力されます。デポジットの機能はとても便利です。

デポジット口座を呼び出して、入金を確認する必要なく、お客様がアプリで簡単に決済してすぐに確認できます。予約がキャンセルされた場合でも、デポジットを返金する面倒な仕事はなくなりました」



ローンチから2か月で月額利用料をスタート、「製品だけを無料で提供するのは時間とお金の無駄だ」

-最初の営業に成功した店がどこか覚えていますか?

「板橋(パンギョ)KCCウェルツタワーの近くにある牛肉専門店、wootable(ウーテーブル)という店でした。本当に思い切って会食する際に、行く所でした。オフィスの近くから行った理由はベータテストのレベルで、故障したり異常が生じたりしたら、すぐに駆けつけて調整しようと思って。 

当社の用語では、「回訪」と呼ばれています。回りながら訪問するという意味です。私もそうですし、メンバー全員が1日30〜40箇所に回訪しました。営業は思ったよりうまくいきませんでした」


-投資家は説得されても、オーナーは説得できない?

「韓国の有名店のオーナーは、お客がいない時も食材の準備や掃除にとても忙しいです。また、私たち以外にも、浄水器の交換や食材の配達など、オーナーへいわゆる『ピッチング』しに来る人もかなりたくさんいます。一番多く聞いた言葉は『時間がない、出て行って』でした。 

それで、ドアを開けて中に入る時にはすでに、タブレットとアプリを手に持ってオーナーにお見せしながら、話し始めるというノウハウを学びました。IRのピッチングのように言うと、オーナーは『お前らの自慢を聞く時間はない』と言われます。どのように役立てるのかすぐに説明しなくてはなりません。 

 最も反応が良かったポイントはアラームトークでした。電話でよく尋ねられる、営業時間や駐車場の空き状況に関して記載されたテキストメッセージが自動的に送信されるのです。店側からすると、この電話をテキストで返すだけでも、かかってくる電話の数は半分に減ります。

 ターゲットももう少し明確に調整しました。最初はすべてのレストランを営業対象にして通っていましたが、予約をたくさん受ける店はペインポイントが明確でした。例えばホン・ギルドンという名前なのにホン・ギルドゥンと書いたり、電話番号を間違って書かれるほど、予約の電話がたくさん来るお店です。

お客さんや予約のない屋台は少なく、これらの場所には予約を管理するためのペイントポイントがないか、ほとんどありません。私は話題の名店と人気レストランを集中的に訪ね歩きました」


-最初から月額料金を課していたと聞きました。無料で使えないかと思っていましたが、給料を貰いました。

 「はい。予約数は異なります。1か月あたり150件以下のアイテムは33,000ウォン(約3,500円)から始まり、1か月あたり450件以上は最大99,000ウォン(約10,000円)。一方、料金は予約数に基づいて決定されます。

 もちろん、ビジネス初期の2か月間は、タブレットとプログラムを無料で利用させてくれと頼まれました。予約のないお店にも、使えるようにしてほしいと何度も頼む方も居ました。

アプリは確実に使えるのですが、1か月あたりの予約数は2~3件です。時間と労力の無駄だと思いました。データベースを収集するためこの作業に取り組んでいました。

 多くのレストランに当社ソリューションを使用してもらい、そのレストランのリアルタイム予約DBがないと、消費者が予約できないように。しかし、データが蓄積されることはなく、虚数の顧客しか増えていませんでした。

 製品を設置しに行くチーム員の人件費、機器代ばかりかかり、DBは集まらず。残ったのは自己満足だけです。『ああ、今月さらにいくつかの店舗を増やした。顧客は私たちの製品を気に入っているんだな』 こういう感情です。

 ただ有料で売ることにしました。そうすると、オーナーたちは悩まれ、すぐに空気が変わりました。それでも、有料で販売し続けることにしました。

なぜなら、ビジネスは、何も得られず、自己満足で終わるわけにはいかないからです。それが顧客が100人未満のときに起こりました。それでも有料で順々に製品を売っていき、3年間で事業者向けアプリを使う店舗2000ヵ所を集めました」


事業初期のcatchtableの様子。写真に写っているのでチーム全員だったそうです。/WAD提供


120万人を集めるためのマーケティングコスト、3億2,000万ウォン

事業者向けの製品を売っている間にも、3年間ずっと今のcatchtable、一般的なレストランの客がレストランを予約する際に使うB2Cアプリを開発されていました。

「2019年12月に初めてCBT(クローズドベータテスト)を行い、2020年にはさらに2つのテストを行いました。全面的な再編成も行いました。現在のcatchtableの予約画面とは異なり、初期のcatchtableはGoogleのものと同じくらいシンプルな画面でした。

料理や地域のおすすめ、こうしたものはなく、中央に検索ボックスがあるだけであり、『必要なものだけを検索』するUI/UXです。しかし、韓国スタイルのポータルサイトであるNAVER(ネイバー)がうまくいっているのと同じように行くでしょうか?ユーザーはむしろかなり困惑していました。

Googleと似ているため、『なんだ、使うほどでもないね』という反応でした。全部ひっくり返して、今のようにメイン画面から様々な料理カテゴリーと地域をおすすめする形に変えました」


-コロナウイルスが本格化した2020年にリリースされました。累積マーケティング費用は3億2,000万ウォン(約3,400万円)で、同じ層のスタートアップと比べると、おそらく1位か2位だと思います。そしてそのお金を使って120万人のユーザーを集めました。

「広告は打ちませんでした。3億ウォン(約3,000万円)を超える金額の半分は、アラームトークの費用として使いました。つまり、KakaoTalk(カカオトーク)の案内メッセージを顧客に大量に送信するコストです。

たまに数百万ウォン(約数十万円)の景品をかけてプロモーションを行い、去年の年末の景品に5,000万ウォン(約530万円)程使ったものを合わせてこのくらいの費用です。

  コロナが大流行していた昨年9月にリリースされました。当時、コロナの感染拡大により、ソーシャルディスタンスというのが非常にあり、コロナウイルスがいつまで続くかはわかりませんでした。とりあえずリリースしてから、緩むまで待ちました。指標が回復したのはその時になってからでした。

  マーケティングはレストランと協力します。レストランのソーシャルメディアで予約をクリックすると、すぐにタグをつけて、catchtableに遷移されます。アクセスポイントをなるべく増やしました。

例えば、catchtableで予約したあと、KakaoTalkで友達に予約内容を共有したり、友達に通知をシェアしたりする機能も一種のアクセスポイントです。catchtableを使用していない、使ったことがない人達にもcatchtableというアプリの存在を伝えてくれるのです。

場所を確認しようと、クリックしてもまた、catchtableのページにアクセスすることになります。知らなかったお客様も、良い店を知っている友達がずっとアプリを使って予約している、ということを体験する中で、興味を持つようになります。何だ?catchtable?という感じで。

最近ではレストランやレストランの壁、テーブルにcatchtableのステッカーをたくさん貼っています。

 広告を通じて多く知られることにも落とし穴があります。『よく知られている』ということ自体が、なんというか、ブランドの品質が悪いという印象を与えることもあります。

なぜなら、catchtableが今ターゲットにしているお客様は、『ああ、ただ食事をする周りの人よりも、もっとおいしいものを選んで食べるべきだ』と考えられている人々なのです。食に真剣に取り組み、意志のある方々。こうした方々は、一般大衆向けマーケティングとは別の方法でアプローチしなければなりませんでした。」



yanoljaのユニコーン化と、飲食業界全体を狙うという大きな夢

-POS端末市場の規模はどのくらいですか

「機械1台あたり平均100万ウォン(約10万円)で、全国に飲食店は727,000あります。すべての場所でPOS端末を使用すると仮定すると、約720億ウォン(約76億円)になります。ただし、この市場には補助金があり、携帯電話事業者の端末をめぐる競争と同様に非常に競争が熾烈です。POS端末は始まりであり、目標は飲食業界全体市場です。

2019年の時点で、144兆ウォン(約15.2兆円)で、おそらく現在は160兆ウォン(約16.9兆円)を超えているでしょう」


-そのため店内待機システムにも進出されているのですね。各レストランにすでにタブレットがあれば、予約をしておいてメッセージを受け取るサービスがいくつかあります。

「POS端末があれば異なります。他のサービスは前に何人程いて、もう入る番だと通知を受けるレベルで終わっているとするなら、当社は予約をしておいた状態で先に注文しておくこともでき、レストランとしても予約したお客さんが何を食べたのか事後に確認と管理もできます。

catchtableにはすでに前払いやデポジットの機能があるので、長期的には『待つ-事前注文-支払う-入店する』といった機能は、今後も続くでしょう。

 Kakao Tを見てください。タクシーを呼ぶことから始めて、決済まで全部アプリでできたり、アプリが自動ですべて終わらせて、当社はただ車から降りるだけです。レストランに行って食べ終わって出てくるまで。catchtableアプリが関わり、簡単に終わらすことのできるサービスを作っていきます」


-累計440億ウォン(約46.5億円)の投資を受けました。最初は資金調達するのは簡単ではなかったが、yanolja(ヤノルジャ)がユニコーンになったのは、きっかけに気分が変わった?

「B2BやPOSについて話すだけでも投資しないという人がたくさんいました。創設者から、チームはB2Cビジネス出身ですが、B2Bビジネスはどれだけ難しいのに、挑戦しようとしているのかと。チームも良いから、アイテムを変えたら投資するよという人がいました。

 その後、yanoljaは孫正義会長のビジョンファンドから資金を調達し、すぐにユニコーンとなり、雰囲気が変わりました。yanoljaの核心はB2Bサイド、モーテルの客室管理プログラムを作成し、それを使ってDBをすべて収集し、B2Cアプリを使ってモーテルを予約しています。

B2BサイドとB2Cサイドが好循環を起こして成長しているのです。これまで、このようなアプリはなく、yanoljaは、このモデルが歯車のように連携して成功する可能性を示しました」


-NAVERは検索からレストランの予約もできます。NAVERとKakaoには途轍もなく大きなB2Cパワーがあります。

「NAVERはcatchtableの非常に重要なパートナーです。B2B アプリとして連携しています。私たちがNAVERで検索してレストランの予約をすれば、catchtable事業者用ソリューションを使っている店舗ではNAVERに入力された値を持ってきて予約を整理します。

つまり、NAVERの予約機能を利用している店舗は、catchtableのB2Bソリューションの顧客や見込み客となります」

 

済州(チェジュ)島のワークショップでcatchtableのメンバーが撮った団体写真/WAD提供


 映画監督と起業家のDNAは似ているのでしょうか?

-「PUBG: BATTLEGROUNDS」を作ったPUBGのキム・チャンハン代表と一緒に仕事をしていたとお聞きしました。

「卒業後、広告代理店を勤めました。2年ほど働いていましたが、その会社は今潰れました。入社したときから創業を目標としていました。最初は、母のTUDARIを引き継いで、飲食業をしたいと思っていました。母が社会生活を最低3年はしろと言って職場に勤めていたんです。

 広告主の中に、Freestyle Football(フリースタイルフットボール)というゲームを作っているゲーム会社がありました。ゲーム業界は楽しそうに感じました。ゲーム会社に入社し、マーケティングチームのリーダーとしてさらに2年ほど働きました。

 当時私がマーケティングを担当していたゲームは、Gino Games(ジノゲームス)が開発したDevillianというゲームでした。マーケティングをしながら、私が「今はモバイルゲームの時代だ。ビジネスを始めるなら、モバイルでやる必要がある」とチームを動かしました。

すると、キム・チャンハン代表が私に『いや、テスンさん、このようなチームをどうやって動かしたの?』と尋ねつつ、Gino Gamesに完全に移籍することを提案されました。創業が夢だということは知っているけど、会社を出てすぐにやっていくのは大変だろうから、Gino Gamesに来て、事業統括の仕事を少し手伝ってくれないか、と。

 それでGino Gamesに行き、Bluehole(ブルーホール)がGino Gamesを買収し、彼らが作っていたPUBGがヒットし、会社名がKRAFTON(クラフトン)に変わりました。あとは、皆さんご存じの話です。

Blueholeに行って、なんというか...大企業特有のもどかしさが嫌で、辞めました。チャン・ハン代表は私のメンターであり、先輩であり、今でも好きな兄です。

 その後、マーケティングの仕事をするためにNHNに移り、今の共同創業者たちに会いました。NHNで約4年間働いて辞めたのが2015年、2016年に事業を開始しました。40歳を過ぎて創業しました。これ以上遅れてはダメだと感じたためです。」


-もともと劇場や映画方面に行きたかったとお聞きしました。

「中高生の頃のもう一つの夢は、映画監督になることでした。大学修学能力試験が凄くよくできて、上位0.3%に入りました。歯科大学にも願書を出すことが出来ましたが、中央大学の新聞放送学科に願書を出しました。実技試験がない専攻科の中で唯一映画や映像について学べたためです。

学校に入って、映画を作りたかったんです。それで、演劇映画科を複数専攻することを目標に入学しました。学校には天才があまりにも沢山いました。演出学部の人たちも見ましたが、ほとんど映画や演劇の天才でした。監督になるという夢はすぐに諦めました。

 しかし、実際にやってみると、映画製作者と起業家には似たようなところがありました。私が全部をやることは出来ないけど、それぞれの要素やリソースを集めて、何かを作り、人々に示すという仕事。仕事の本質はよく似ています。そして、それを見たり楽しんだりしてくれる人々から、自分が幸せを感じるのです。

技術的に、『1つのものをキレイに作ろう』というよりは、人々とコラボレーションし、ぶつかり、その中である調和を生み出して披露する仕事。そして、そのサービスに人々が満足している姿を見ながら、また嬉しくなるというDNAがあるのではないでしょう。」




/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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