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【シーズン5#2】Switのイ・ジュファン代表、シリコンバレーで70ヶ所へピザ配達と十二顧の礼

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【シーズン5#2】Switのイ・ジュファン代表、シリコンバレーで70ヶ所へピザ配達と十二顧の礼

 

ちょい事情通の記者 2号 イム・ギョンオプ

ちょい事情通の記者 3号 チャン・ヒョンテ

 

「Swit(スウィット)は社内政治を無くしています。メッセンジャーや電子メールは、中心となって、上司に上手く話をする人が仕事ができる人と誤認される可能性がある仕組みですよね。KakaoTalkは手軽だと言われますが、すべてのメッセージが揮発性です。記録は飛んで行き、KakaoTalkで、すばやく多くのことを答えた人というイメージだけが記憶に残ります。

一方、Switは業務を始めるにあたり、会話ウィンドウ内にチームメンバーを集め、会議の内容と各種の進捗状況を透明に記録しながら、誰がどれだけ働いて貢献したのかを一目で把握できます。自分たちのチームが行った仕事に、他のチームのメンバーが呼び出され、手助けをしてくれたら、それも記録に残ります。HR(人事管理)の次元で、むしろチームメンバーの役割、成果を構造化することが必要です。大きな会社も小さな会社も。」

 生産性ツール(Tool、道具)、コラボレーションツールなどと呼ばれる多数のプログラムやSaaSは、果たして私たちの働き方や会社の文化を変えることができるでしょうか。

Slack(スラック)、Asana(アサナ)、Trello(トレロ)、Notion(ノーション)など多数のツールを会社で使用していませんか?もしや大企業に勤めているにも関わらず、このようなツールを使えば企業文化が変わると期待する上司の下にいませんか?

このような質問を投げてみたことのある方や、このような状況にぶつかった方たちは、今日お伝えするSwit のイ・ジュファン代表とのお話がとても響くと思います。彼は「Switは働き方を変えることができる」と固く信じる創業者です。実際にコラボレーションツールのピッチングと彼らの論理を聞いてみると、非常に哲学的でありながら難解でもあります。

SaaSツール1つが数十年働いていた方法すら変えることができると主張しているのです。そのため、雲をつかむような話に聞こえたりもします。

 しかし、イ・ジュファン代表の話は少し異なります。彼が感じたことはほとんどの場合で、現実に足を踏み入れています。例えば、70社の米国企業を回りながらピザを奢り、彼らの働き方を見守ったこと、Slackをはじめとする複数のコラボレーションツールを機能単位で分けて分析することなど。

Switを使ってみると、PCを使って仕事をする人々が感じる不便さを本当に丁寧に捉えていると感じます。 すでに数十~数百のコラボレーションツールが市場に出ており、もう新しいものが出てきようがないと思われた市場に挑戦したSwit。

GoogleCloudイベントでGoogle理事陣がSwitを見て「私たちにもできなかったGoogleWorksとの連動を小さなスタートアップがやってのけた」とし「失われたピース」だと絶賛したというのです。目標は30兆ウォン(約3兆円)で上場したSlackの2倍の値段、60兆ウォン(約6兆円)でNASDAQに入ることです。果たして可能でしょうか?

 

イ・ジュファンSwit代表/Swit  

 


大企業の幹部がSlackを使わない理由  

 Switをまだ使っていない人は多いです。

「Switは『オールインワンコラボレーションプログラム』です。単純にコラボレーションツールというよりは、WindowsやMacのように1つのコラボレーションオペレーティングシステム(OS)のように機能します。スタートアップにおられる方の中にはSlack、Trello、Asana、Notionを使っておられる方々がいると思います。Slackはチャット、TrelloとAsanaはプロジェクト管理、Notionはメモアーカイブなどの機能が核心ですよね。

このすべての機能を一つのツールに実装したのがSwitです。それに加え、Google G-suite(ジースウィット)やMSオフィスなど、いくつかのオフィスツールとすぐに連動します。Swit内でWordやExcelを作成することもでき、それをGoogleDriveで他の部署やチームメンバーと共有できます。簡単に言えば、現在のIT企業でホットなオフィスツールの重要な役割と機能を一つに体現しました。」

 

企業はSlackを使用しても良いのに、Switに替える理由があるのでしょうか。

「今会社でSlackを使用していますよね?私はSlackのペインポイントを予測します。まず、組織図がありません。50人以下のスタートアップなら関係ありません。しかし、規模が大きくなった組織や大企業となると話が違います。

ワークスペース(Slackのチャットルーム)にアラームが上がってきても、そのアラームが自分に関連しているのかどうかはわかりません。そしてSlackを業務進行のためのプロジェクト管理、私的チャットの両方の用途に使用します。 『夕食は何にするか』こんな会話がSlackに上がります。けれど、その時間はすでに退勤した夕方8時です。

Slackもサードパーティーアプリ、つまりAsanaとTrello、Googleアプリとは連動は可能です。ただし、Slackの中で使用できるのではなく、該当サードパーティのアラームは表示されるくらいのレベルです。結局のところ、Slackはアラームが多く、すべてを確認するのが難しいレベルにまでなります。

Switは最初からこのようなペインポイントを考慮して設計しました。Slackでは外部サードパーティのアラーム程度しか確認できなかったプロジェクト管理機能を、内在化しました。大企業、一部スタートアップの中にはメッセンジャーはみんなでSlackを使うが、AチームはAsana、BチームはTrelloなど、異なるプロジェクト管理SaaSを使っているため、互いにコミュニケーションができない場合もしばしば発生します。

当然複数のSaaSを使用するためコストもより多くかかり、特に大企業は、何百ものプロジェクトが同時に進められているのに、その中でツールがお互いに違っており、衝突してしまう問題まで生じています。だから2〜3年使ってみて、「あー、前よりもっと慌ただしい」となりながらSaaSを変えることがよくあります。

Swit内では、1つのツールですべての機能が使用できるため、そのようにコミュニケーションが途切れることはありません。今年下半期には、Swit内にアプリマーケットを開きます。そこではSlackのように単純なアラーム連結ではなく、Swit内で該当機能を使用できるようにします。

仕事のために、Google、MS、Asana、Notionをすべてオンにするのではなく、Switアプリを駆動するだけで、その中ですべてを解決可能になるようにするのです。仕事の進捗のためのチャットと管理機能を集めたため、通知も最小化されます。通知は、少なくとも50%削減されます。

SwitはSlackと重なっているところがありますが、同じアプリではありません。目的と機能が異なります。ちなみに、Slackのチャットには機能が約400個あります。Switはそれよりチャットの機能が多いです。」 

 


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Swit製品動画/Swit 

 

開発者や専門的なコラボレーションツールが必要にはなりませんか?多数の開発プロジェクトが精密に進められていますよね。他のチームでもSwitを使うべき理由があるでしょうか。

「よくわかっていない会社の役員や上司は、『私たちは難しくて、複雑なコラボレーションツールを使う必要はありません』あるいは、『なぜうちではコラボレーションツールを使っていないの?』というような話をします。それぞれの組織には、それぞれの仕事の流れがあります。

JIRA(ジラ)のような開発者専用のコラボレーションツールを見て難しく感じるのは、当然です。開発者に合わせたツールですから。チームと部署ごとに仕事の仕方と流れは違います。例えば、PRやマーケティングでは一日や数日のうちにプロジェクトを進めなければいけない場合もあり、他のチームでは一ヶ月、長ければ一年のプロジェクトを進めることもあります。そうすると、お互いにツールが違い、他のチームが使っているプログラムやツールを難しく感じます。これらすべての共通要素を反映して作成すれば、この問題は解決されます。

さらに、もう一つ、情報が共有されます。ほとんどの企業では、隣のチームがどんな仕事をしているのか知りようがありませんよね。それぞれのサイロ(silo)が別々になるのを防ぐことができます。」

 

カリフォルニアで70社にピザを奢ったと聞きました。

英文科を出ました。学校(ソウル大)に通っている時から英語の家庭教師の仕事を沢山しました。当時英語講師としてそれなりに名前が売れ、高額な授業も行い、学生たちの成績も良かったです。その時、多くの教育系の大企業からコラボレーションの提案が入ってきたのですが、自分で創業すると言って、教育アプリを作りました。

英文学科でしたが、コーディングが少しはできました。小学4年生から趣味でコーディングをしていたんです。2014年にGENIUS FACTORY(ジニアスファクトリー)を創業し、アメリカ市場に進出しようと、とりあえずアメリカに行きました。大きく失敗しました。企業向け社内教育管理システムを作って企業に売ったのですが、あまり売れませんでした。

すでに教育管理システムの分野は創業数十年になる企業がしっかりと位置を占めており、システムのクオリティと技術力とは別に、ただ革新のない死んだ市場でした。競争になりようもありませんでした。教育分野には慣れているという理由で正しく市場調査を行わなかったのです。だから次の創業の目標は一つでした。 『市場と企業が本当に必要としているもの』を作ろう、です。

当時、企業の営業を見てみると、雰囲気として一方的な教育、つまり誰かが誰かに教えるというのではなく、コラボレーション方式に変わっているのを感じました。IT企業、スタートアップにおいては特に。そのため、1年間市場調査を行った結果がSwitです。

ランチタイムごとにカリフォルニアのすべての企業を回りました。インタビューするために。彼らがどのように働いているのかを知ってこそペインポイントを知ることができますから。

『私が昼食を奢るので、仕事の様子を見たり、インタビューさせてください』とせがみました。門前払いですか?たくさんされました。それでも、そのようにして70社をインタビューしました。ランチのメニューですか?事業が一度潰れたので、ピザやドーナツのような安いご飯を奢るしかありませんでした。

そうして、働く姿を隣で静かに朝から晩まで見守り、『このプログラムを使う時、不便じゃない?』『ここにこういう機能があったらどうかな?』などと聞いて全て記録しました。そこで得た教訓とワークプロセスの問題を反映した、その結果がSwitです。」 


CTOに十二顧の礼 

 

Switの共同創業者三人。左からイ・ジュファン代表、イム・サンシクCTO、パク・ジンホ韓国支社長 

 

CTOを連れてくるために十二顧の礼?三顧の礼でもなく、フィリピンまで十二顧の礼を行ったとお聞きしました。


「企業のニーズをすべて満足させるためには、私よりはるかに実力があるエンジニアが必要でした。知人のコンサルティングファームに勤めている方に推薦してもらいました。 『ビッグデータ分析と開発、そしてグローバル運営まですべて経験している人が必要だ』と言って。

その時推薦された人が今のイム・サンソクCTOでした。Auction(オークション)で1999年からCTOを勤め、フィリピンAuctionを経てフィリピンで自己事業を行っていました。

何度提案しても韓国には戻らないと言っていました。しかし、イムCTOをどうしても連れて来たかったのです。本当に彼とぴったりの席でしたし、彼が必要だったんですよ。だから12回頼んだのです。12回全てフィリピンを訪れたわけではなく、4~5回ほどフィリピンに行ったと記憶しています。

行って、普通にイムCTOの会社を訪ね、その時勤務していたフィリピンのチームメンバーとご飯食べて。そして一晩中酒を飲みながら『お願いだから一緒に働こう』と泣きつきました。フィリピンまで来た私を突き放しはしないだろうと。

最初はサンソクさんが『ならオンラインでコードを送ってくれれば、コードを見てあげる』になり、『可能な時間の25%を使い、副業として開発を手伝ってあげる』になりました。そして最後の12回目でやっと『OK、なら一緒に仕事しよう』になりました。本当に気味悪いほど付いて回りました。正確には12回よりも沢山提案したと思います。」

 

イムCTOはなぜ提案を受け入れたのですか。

イム:「自分の事業を一日で整理することはできませんから。それで、断り続けていたのです。ですが、聞けば聞くほどイ・ジュファン代表の話に説得されました。実はアイテム自体は初めて聞く瞬間から行けそうだと思っていました。当時事業を行いながら経験したペインポイントの一つが『乱雑な生産性ツール』だったからです。

そして結局…なびいたんです。イ・ジュファン代表は本当にすべてを準備していました。入念な市場調査から計画まで。本当にたった一つ。技術を作ってくれる人だけがいませんでした。

まるで決まっていたみたいに、私がそこにぴったり合うパズルのピースのようでした。だから受け入れました。結局フィリピンにある法人はきちんと整理し、職員たちにも補償をして、韓国に戻ってきました。」


 

Google、Appleの開発者の父親たちの中で、スタートアップの代表の父親は

 学習塾企業から同業を提案されるレベルなら、本当に有名な家庭教師だったのですね。

「家庭教師は本当に頑張りました。そうしているうちに、講師というよりは学生全体を指導するチューターのようになりました。後に本当に大きな企業が私が一人でやっているビジネスの事業化を提案してきました。しかし、断りました。いつか私教育はやめたかったんです。自分がお金に埋没しているような気がして。

家庭教師を熱心にした理由も、私が貧しい牧師の息子だったからです。英語に親しんでいた理由は、父親が幼い頃にアメリカに宣教に行って、という訳です。父は他の人が、あまり行かない難しいところに宣教に行く牧師でした。いつも田舎の廃教会や島、そんなところに訪ねて行きました。だから母も本当に苦労して生計を立てていました。私の外見や英語の発音を見て留学者だと勘違いする方がよくいますが、違います。本当に貧乏な子どもでした。」


シリコンバレーの小学校では、Appleの開発者であることが最高の自慢だとお聞きしました。

 本当に大変です。シリコンバレーの家賃は本当に厳しいです。子供も3人いるため、家探しが日常茶飯事で、個人貸付も残っています。ご存知のようにスタートアップの創業者はお金持ちではありません。

たまに子供たちが学校から帰ってきて『〇〇のお父さんはGoogleで働いてるんだって、Appleで働いてるんだって』と話します。シリコンバレーの子供たちの間では、父親がビックテックで働いてるのが自慢なんですね。子供たちも『出張の多いスタートアップじゃなくて、他のパパのようにGoogleやAppleで働いちゃだめ?』と言います。

だから教えました。お父さんがどんな仕事をしているのか。彼らは会社に勤めているけれど、お父さんは会社を作ったんだって。お父さんは未来にラリー・ページやスティーブ・ジョブズになれるかもしれない、って。今は子供たちはスタートアップがどんな夢と目標を持って進む組織なのか理解しています。それでも出張が多くなる時は『スタートアップはやめて!』とよく怒ります。

 

60兆ウォン(約6兆円)のバリュー上場が目標です。

「Slackが30兆ウォン(約3兆円)で上場しました。Switはその2倍に大きくなれると思います。現在、韓国語と英語のみサポートしていますが、今年の第2~第3四半期に11カ国語を追加し、13カ国に進出します。

第二に、Switストアが開きます。誰かが、Switに追加できるアプリを作り、アップして売ることもできるアプリ市場です。Switの機能ははるかに豊かになるでしょう。他のコラボレーションツールをすべて追いやるほどの競争力がすぐにSwitに生まれるでしょう。」


イ代表が送ってくれた3人の子供とのビデオ通話画面キャプチャー。出張が多いお父さんに早く帰って来るようにせがむ姿だ。2番目の子ども(写真右)は泣く演技がまだ苦手だという。

 






/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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