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【彼のHow】Toss イ・スンゴンが8回失敗し、適当に作った物語

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【彼のHow】Toss イ・スンゴンが8回失敗し、適当に作った物語

ちょい事情通の記者 2号 イム・ギョンオプ 

Toss(トス)のイ・スンゴン代表が事業アイテムを8回失敗しているという事実は広く知られています。しかしなぜ、どのように失敗したのか。8回失敗する中で、何を学んだのかについては詳しく知られていませんでした。 分量が限られた既存のインタビュー方式では、その内容を十分に盛り込むこともできません。

最近イ・スンゴン代表はNextRise(ネクストライズ)2022での講演、また最近公開されたTossのYouTubeチャンネルPO SESSION(POセッション)(講演)などを通じてToss誕生と過去の失敗のビハインドストーリーを語りました。念を入れて2年間製作した製品が失敗し、「今回も失敗だろう」とアプリもなく広告から上げたのに反応が上がったアイテムがTossだといいます。それもFacebook広告で2日間、1万ウォン(約1,000円)だけ使って1人で検証した仮説で。

今回のレターは同意を得て、イ・スンゴン代表のPO SESSIONの内容の大部分をテキスト化しました。オリジナル映像もすごく面白いのですが、30分超えの時間が負担な方のためのテキストまとめです。とても長いですが興味深いです。


イ・スンゴンToss代表/Toss


1年以上特許開発…「ああ、これは何か間違っている」  

こんにちは。Tossチームリーダーのイ・スンゴンです。今日も新しい内容でPO SESSIONを始めることになりました。私たちが扱う最後の内容になるため、どんな内容について話すか悩む中で、コメントにTossの創業孤軍奮闘記?というものを見ました。どのように成長し、どのようにすべてを作ったのか、という内容で準備をしました。

だからこの内容はWinning Strategy、どのように勝つか、という話です。生きようとする者は死に、死のうとする者は生きる。これはご存知のようにイ・スンシン将軍が言った言葉ですが、実はイ・スンシン将軍の深い意志を長い間計り知ることができませんでした。それで、その言葉がどういうものなのか、一度説明したいと思います。以前にこんなアイテムがありました。

Ulablaというサービスです。これを思いついた事業家、創業家は「これが本当に世界を変えるだろうな」と、そんな夢を見ていたそうです。どんなアイテムかというと、このような画面で構成された一種のソーシャルネットワークです。中央を見ていただき、下段中央の携帯電話2台がこのように当たっている、この画面ボタンを押すと、2人のユーザーが互いにオフラインで会ったことを認証できる、というサービスです。

このように認証されれば、二人が会って何をしたかをフィードとして残すことができ、自分や周りの人々がしていることを見て楽しむことができる一種のソーシャルネットワークでした。その当時、ソーシャルネットワークやソーシャルメディアを通じて、オンラインでコミュニケーションを取る機会が増え、オフラインで会うことなくなることを、人々は結局は嫌に思うだろうし、またオフラインでの出会いが一番面白いのだからそれを記録するようなサービスが登場すれば面白いのではないか、こんな単純な考えだったと思います。

しかし、実際にはうまくいきませんでした。ローンチ後、ユーザーの使用がなかったのです。なぜ使われないのか、創業家は理解できませんでした。こんなにいいアイテムなのにこれをなぜ使わないのだろう?とても素晴らしく、面白いSNSだと思ったのに、数ヶ月が過ぎても誰も使わず、結局結論を下しました。 「ああ、これが使われない理由は、かわいくないからだ」 「やはりSNSはかわいくなきゃ」

今はもうなくなりましたが、Pathという当時とても有名だったSNSがあり、そのアプリはとても美しく、綺麗なことでも有名でした。そのため物凄く成長しており、「ああ、私たちもそれならPathのように」

「本当にきれいに作れば上手くいくだろう」そんな風に考えました。だからそんな素晴らしいデザインを作り始め、先ほどお見せした初期の少し中途半端なバージョンを抜け出し、こんな風なとても綺麗な画面を作ることになりました。

当時、このサービスにはユーザーがいませんでしたが、デザインは確かにうまくいったようです。なぜなら、Red Dot Awardというところから連絡が来て香港で賞をあげたい、そんな提案をされるほどデザインだけは本当にきちんとしていました。今見てもすごく綺麗だと思いますし、とても完璧な機能なため、真似されないかとても心配していました。ユーザーは1000人にもいっていないのに、本気で「アメリカで誰かが真似したらどうしよう」というような恐怖が先立ち、特許を取りました。

こんなに良いアイテムを真似されたらいけない、と。ここを見ていただくと、ユーザー間のオフライン対面情報に基づいたユーザー人脈管理システムという特許がありますよね?この特許の発明者は私です。実はこの創業家というのは私でした。はい、皆さん。私のストーリーなんですが、こんなに良いアイテムを真似されるのではないかと、本気でとても 

心配していたんです。そのため、なんと1年を超える期間の間、特許開発を行いました。私たちはこのオフラインでの出会いをきちんと記録することが重要だと考えていたため、虚偽の記録をできないよう、携帯電話同士が超音波通信をする技術を開発しました。本当に、「技術」です。

今でも多く活用されている技術で、携帯電話にあるスピーカーやマイクを通して超音波音を人の耳に聞こえないように発生させ、本当に携帯が近くにきた時だけ、通信することができるというものですが、当時携帯電話の性能があまり良くなく、この技術の有効な制作は本当に難しかったです。それでなんと1年もかかりました。

この特許は今でも、当社Viva Republica(ビバリパブリカ)の特許リストにある特許です。はい。かなり胸が痛い話ですが、このレベルで成功する確信を持って特許も取り、デザインも美しくしたんです。しかし、誰も使わないのです。とても不思議でした。なぜこれを使わないんだろう?理解できませんでした。

「いや、どういうものか皆知らないから、そうなんだ」と思い、「知られさえすれば、上手く行くだろう」 「広告を打とう」となり、こういうこともしました。

これは…私です。今とはかなり違う、紙のように薄い青年が一人で立っていますが、当時はお金がないため、創業競技大会に出場し、無料で数千人に知らせるこのような機会を持ちながら、これから当然少しずつ知られていくから、無条件 viral growthをしていくだろう、そんな風に考えて、すごく広報をしていました。誰も使わない…誰も使ってはいませんが、広報さえすれば、上手く行くだろう、そんな風に思っていました。それでも使われないんですよ。

そのため、それ以後6ヶ月以上かけてまた開発を行いました。それが、写真フィルター機能です。当時Instagramがとても上手くいっていたので、写真をきれいに撮って記録するというのは、人々にとって重要なニーズなのだと思い、「ああ、写真機能がないから、使われないんだ、写真をきれいに撮れる機能を入れよう」そう考え、6ヶ月にわたって心血を注いでフィルター機能を搭載しました。

これは、まだ私のInstagramに残っている写真ですが、Ulablaで写真を撮ると、このようにフィルター処理され、本当にきれいに記録できるよう、製作しました。このため、RGB値のような計算や綺麗に映すことに関しても、とても研究しましたね。当時、その開発をしていた私の共同創業者の方の手がこんな風に映っていますが、これが最初の写真です。フィルター機能も写真機能も搭載し、もううまくいくと考えていました。

それでも、ダメでした。本当に理解できませんでした。話にならない、なんでだ?それで、私たちはどうしたでしょうか?あきらめたでしょうか?違います。スタートアップは諦めてはダメなのです。うまくいくまで、やるのです。だから「あ…、バイラル機能を作らなければ」と思い、バイラル機能を作りました。バイラル機能とは何かというと、Ulablaで人々が出会いを記録し、それが自動的にFacebookとInstagramに投稿されるという、オープングラフapiを利用してSNSに自動的に拡散する機能です。

これはどこから着眼したかというと、当時Instagramが、何か写真を投稿すると、Facebookに自動的に投稿される機能を作っており、Facebookがそんなapiを開けてくれていたのです。そのため、Facebookで「この写真きれい」だと思った人々がInstagramにたくさん入ってくる、そんなgrowthが作られたことがありました。私たちも同じ論理で、Ulablaに写真を投稿すればFacebookやInstagramにもされるようにしたのです。それでも使われませんでした。

本当に理解できませんでした。この頃には、最初に始めてから1年半、2年目になっており、マーケティングをきちんとできなかったからこうなっているのだと思い、マーケティングの計画をすごく立てました。当時、私の家にあったこんなに大きなホワイトボードに書き込んでいるのを見て頂ければわかりますが、本当に詳細でディテールなマーケティングの1次、2次、3次計画を立てて、本当に…こんなに巨大なホワイトボートがいっぱいいっぱいになっていました。そのくらい熱心にやってはいましたが、実はこの頃には、少し直感していたようです。


何か間違っている、これじゃダメなのかもしれない、と。


YouTubeで見つけたulabla紹介映像チャンネル名「Seung Gun Lee」と紹介映像の声で推測するため、イ・スンゴン代表本人が直接作ったチャンネルと見られる。購読者は4人、視聴数は1,910人だ。 

 

「なぜそれを使うの?」  真実に直面するのにかかった2年

私のInstagramの「暗い夜、白い雪のように音なく散らばっていく星の光が流れている」という投稿、

このような感傷的な内容を投稿したのが、2012年5月ですね。これは…「Zitten」という歌の…December?Dcemberの「Zitten」かな?Zittenの「December」?その歌の歌詞です。聞いていて、とても泣きそうになったんです。そうしていて、私を創業競技大会で見てから、かわいがってくれていたある先輩がいました。私はこの方に会うことさえも時間が惜しいと感じていました。

すぐに製品を開発し、顧客にもっと楽しいものを作らなければならないと考えており、外の人に会って何の意味が?そのような感じでしたが、その方が会社の前まで来てくださり、30分会いましょうと。30分だけ。その方は、私にしたい話があったのだと思います。この方と会い、最近何しているのかと聞かれたため、私たちのアイテムを説明しました。ボタンを押しながら、「Ulablaはこういったものです」と説明し、「すごく良いですよね?」と話した時、尊重しながら、気分が悪くならないように、こう言ってくれました。

「なるほど楽しそうですね」 「けれど、なぜそれを使うのですか?」 「いつ使うのですか?」当時、数多くの人々がそんなことを言っていたのですが、創業家の不屈の意志で聞きいれず、私がいつもカウンターに出て、私の頭の中だけに存在する論理を毎日話し、なぜこれを使うべきなのかを熱く語っていましたが、この方がこの日そのように話してくれたのは、胸に深く刻まれました。

そうして、理解しました。このアプリが誰にも必要ないということ。2年もかかったのです。そうして、「いや、うまくいくだろう。大ヒットする」 「特許も取ろう。誰も真似できないように。機能が不足しているからうまくいかないんだ」、そうやって複数の機能をつけ、どうにかして活かそうとしていた私でしたが、結局この言葉を聞いて、違うということに気付いたのです。

その場で。当時感じた感情を少し共有したいのですが、自分でもどこか分かっていたと思います。1年ほど前からでしょうか、しかし、向き合いたくなかったのです。その真実に。怖かったのです。実は自信がなく怖かったため、これが実際は、誰も使わない機能であり、必要ないということに対面することができなかったのです。

それで、うまくいかない理由を何百も作りだして、質問に答えていました。そして私が作りだした話なのに答えているうちに、結局は自分自身もそこに陥り、それを真実だと思い込み、固く信じることになったのです。 

「うまくいく、と強がるのが強いのだ」 「上手くいきだす前には、ふりでもして、上手く行くようにしなければならない」、そういったものが強さだと思っていたのです。すべての質問にすぐに答えられるのが本当の実力ある事業家だ、と思っていたようです。しかし、それは、むしろ弱さだったのです。固い意志を持ち、どうにか解決しなければならないと考え、強がっていました。強がることが、大切だと思っていました。

ところが、そうやって生きようとする者は結局死にます。必ず死にます。それで結局死んでしまったのです。この人の考えの流れをご覧になれば、「ああ、これは本当にうまくいくよ。大当たりだ」と考えていて、とても楽観主義ですよね。 「これは最高のアイテム。上手くいかないわけない」常に、このようにして始めています。 「どうせ上手く行くから、すべて開発しよう。綺麗に作って」「どうせ上手く行くから、広告も最初から沢山やろう」 「まだユーザーの使用はないが、できるだけ多くのユーザーにこの状態で目に入れればいい」広告もたくさん打って。ある意味acquisitionから始めているのです。しかし、なぜか数字はあがらない。おかしい。そうしたら、「少しミスったんだ」「デザインが間違っていたんだ。説明が上手くできていなかったんだ。機能が不足しているんだ」このように考えるのです。

この時、通常はデザイナーから「間違っている気がするけど、正しいのでしょうか?」という話が出ます。しかし、創業者がこのように強く話すと、デザイナーは「はい…わかりました」と、こうなるのです。このようにして、機能も実装すれば、開発者たちも「でも、なんでこれを…何をするときに使うのでしょう?」、何を開発すべきなのか、その機能の本質についてきちんと理解できなくなります。しかし、ただついていくのです。創業者が言うから。それでも、上手くいきません。そのため、「そんなわけない」 「開発者がいないし、マーケティング費がないからそうなんだ」、そういう話を自らするようになり、こうしたすべての過程を経た後、初めて顧客に会って話を聞くことになります。

そして顧客から、真実の瞬間に直面させられ、死ぬのです。それに、どれほどかかったかというと、ほぼ1年半という時間と、とても大切な2.2億ウォン(約2,300万円)を消費しました。また、8人の人を雇っていましたが、開発者、デザイナー、その他すべてのチームメンバーが出て行きました。そして、気づきました。

「ああ、このように機能等を良くすることよりも、成功することがより重要なんだ。そして、成功のために必要なことであれば、言いづらい話でも話して、お互いに直すところは直して行かなければならないということも悟りました。皆さん、今皆さんもなんらかのスプリントを作り、なんらかの機能やものを作っていらっしゃると思いますが、まだそれがなんらかの指標を変えると思っていますか?それについて、「うまくいくだろう」

「最終的に、私たちの会社の運命を変えるだろう」このように考えているでしょうか?もしそうであれば、この失敗した私を前にして、私と自分では何が違うと思われますか?反対側の話をしましょう。私たちがその後、ゴーストプロトコルとなり、会社に出勤せずにいました。どうせ会社に自分たちだけでいてもアイデアが突然出てくるわけもないと感じていたからです。  




2日間1万ウォンだけ使って、いいね35個、インプレッション6,000人、クリック率は0.4%

 当時、開発者を含め全員が会社に出勤せず、ソウル各地を巡り始めました。そして、人々を見て観察しながらビジネスアイテムを考える、そんな時間を持ちました。当時、およそ100個以上のアイテムを思いつきました。その時、まとめたアイテムがすべてここにあります。昔、これをTrelloボードにまとめました。見ると、予選、本選、プロトタイプの制作。次に廃棄されたもの。廃棄物保管所。それからやったがうまくいかなかったもののアーカイブ。こうして本当にたくさんの実験をすごく迅速に行いました。

みなさん、5年間で8回失敗してみてください。5年で8回失敗すれば、このような状態になるということが、2つあります。まずは、失敗するだなんだといって、心理的に何の打撃も感じなくなります。

2つ目に、次のアイテムはうまくいくだろうと考えなくなります。次のアイテムも失敗するだろうと感じます。早く失敗して早く次に行こう、このようなモードで進むことになります。ここを見ていただくと、予選も通過できなかったアイテムがあります。このアイテムの名前を見ると「送金と決済をfrictionlessにする」「送金と決済を簡単に」このようなものでした。このアイテムは、私が出しました。当時の私の記憶では、このアイテムは、誰も共感してくれませんでした。そのため、これを本選に上げるには何か根拠がなければならない。

実はメンバーたちに投票してもらい、良いと思うといわれたアイテムをこのように提出していました。実際に、実現できたものにはこういったものがあります。領収書の写真を撮って保管するアイテム、文化センターやデパート講習ポータル、

企画書やデザインリソース作業進捗チェックを一度に解決できるダッシュボード。このようなアイテムです。こう見ると、最近ではたまに見かける製品ですね。とにかくプロトタイピングしてローンチしていたのですが、予選も通過できなくなりました。通過させるため、その当時の私の考えとしては、開発するものが全然なく、会社があまりに退屈であれば、開発者たちが去ってしまうかもしれない。忙しくしたい、本気でそう思い、何もしないわけにはいかず、実は製品開発も何も、やっていることは何もなかったのに、ただ闇雲にFacebookに広告を掲載していました。

Facebookに広告を掲載しましたが、2日間2万ウォン(約2000円)を使って、いいね35個、6000名を越えるインプレッション、クリック率0.4%を出しました。当時、私が出していた広告は「送金を簡単に。10秒での送金サービス」。サービス名もなかった時で、ただそれくらいの説明フレーズをつけて、広告を出しましたが、とても良いクリック率が出ました。

実はこのアイテムを出す際に、それまでと変わったことは何かというと初めから「これは最高だ、世界を変えるだろう」ではなく、どうせダメだろう、だから核心だけ検証して早く次のアイテムに行こう、これもダメだということだけ早く確認して次に行こう。こういう風に考えていたことです。それで、その前には1年4ヶ月かけ、2億ウォン(約2000万円)も使って、8人がかりでやったことを、一人きりで2日間、2万ウォン(約2000円)だけ使って検証したのですが、成功したのです。

広告を見ると、製品もなく何もないのに反応が少しある。このように、変わったのです。失敗するのにかかる時間とコストがかなり減少させました。それ以前には、本当に製品も全て作り、チームも全て作り、きちんと始めたとするなら、今は、どうせ失敗するから時間と費用をかなり少なくして失敗しようと思えるような状態にまで到達したんです。それで2日で検証しました。私一人で広告を出して。しかし、すこし規模は小さいけれど、広告で良い結果が出ていて、クリック率も良かったから、一度やってみよう、こういう風になりました。

だからといって、私たちは急にアプリ製作は行いませんでした。どうせ、うまくいかないアイテムだろうと思っていました。そのため、アプリを作る前にホームページから作ってみよう。ホームページを作って、まるで製品があるかのように少しフェイクテストをやってみよう。こんな風に行いました。

これがその当時私がデザインしたホームページです。デザインがとてもすっきりしていて、綺麗ですよね?その当時はドメインを買わなければならず、名前を決めました。スパイクで決めようとしていたこともあり、連絡先に送金するというような機能だったので、「マネーリンク」や「ビバキャッシュ」というようなものもありましたが、最終的にTossになり、それで現在の社名もTossになりました。

ここを見ていただくと、「簡単で安全な口座振替サービス」、このように書いてあります。まだ機能はありませんでした。右画面にアプリがどのように駆動し、どのように送金するか、30秒ほどの動画にしたものがあります。私たちはこの時になっても、どうせ製品にはならないだろう、どうせこれも失敗するのに、何のために製品を作るんだ、アプリを作るのにも数ヶ月かかるのに、そんな風に思っていました。どれくらいライブだったのかというと、色、塗り、代表へ電話、このようにガイドラインを私がここに書いて、開発者に渡していました。

当時、デザイナーはいませんでした。お金があまりにもなくなってしまい、私がデザインしましたが、これを見た当時の開発者の方は「デザインを絶対にやらないでください」と話してくれました。私は、それはそれで嬉しく感じました。私たちは、沢山資源をかけ、綺麗に作りRed Dot  Awardにまで行く、そんなものではなく、ある意味本当にローな製品、こんなふうにやっても使えるものは使えるだろう、そんな考えでやっていたと思います。

どうせダメなアイテムだから大体で検証してみよう。昔はUX、「絶対にデザインが良くないから、使われないんだ」と思っていたとしたら、今は「うまくいく製品はきれいでなくてもインプレッションが少なくともとにかく上手く行く」ということを理解しました。

なぜならこのホームページを立ち上げた当時、週末だったにもかかわらず、訪問者数が1日で数万人に上りました。金、土、日の3日間で、メールを通じ、使いたいと申し込まれる方がほぼ1000人近くいらっしゃった記憶があります。当時、ホームページに、このように、メールアドレスを入力する箇所がありました。5年にわたって様々な製品を作るなかで、お金を使わず、人為的に押し付けずに、このレベルのトラフィックを生み出したのは初めてだったと思います。3日で1000人とは、とても驚きでした。

実際の所、それがTossの始まりです。それで、うまくいく製品はきれいでなくてもいいんだな、ということを知りました。

他に変わった点として、上手く行っていない時、「この機能がない、あの機能がない」「これを入れれば全てうまくいくだろうと」と思っていましたが、違う、核となる仮説、それだけをきちんと実現し、それで上手く行けばさらに大きく、ダメならば、ただ次のアイテムに移れば良い。

仮説をきちんと立て、次に他の機能を入れたときに、より順調に進みそうか、そのアイテムに今全てを打ち込んだからといって上手く行くわけではない、こんな考えを覚えるようになったのです。

そのため、本当にうまくいくアイテムだからリテンションも大きく出るだろう。3か月間、ただ大人しくユーザー広告だけ出すのではなく、静かにリテンションデータでも集めよう、と言ってリテンションデータを集計しました。私がずっと言っているリテンションコホートの概念を、私たちはこの時初めて適用しました。

1週当たりの再使用率は30%台でした。これはものすごく高い数値で、マンスリー、つまり月間再利用率にするとほとんど70%台になる奇跡のサービスでした。当時、Ingstagramレベルの再使用率になっていたと思います。金融アプリとして唯一、レビュー評価が4点台を超えるアプリであり、40%以上の再利用率、そして毎週何もしなくとも1.4倍ずつの大きい成長率を見せていました。毎週1.4倍ずつ成長していたため、1ヶ月では4、5倍成長していたと思います。そうして3ヶ月間データを集めたのですが、これもかなり変化した点です。

マーケティング計画を用いて、どうやって広報するか考える中で「私は何をしなければならないのか」 「私が作った計画どおりにしなければならない」ではなく顧客に尋ねて、把握しました。このアプリはどういうところが不便ですか?どういうところが良いですか?そして、データモデリングやエクセルモデリングを通じてインサイトを導き出し、チームが考える、私が考える、あればいいなという機能を世界に送り出すのではなく、顧客が望む機能を。視点を完全に変える、そのような変化を経験しました。


「お金のにおいがぷんぷんする」  

これを一通り開発している頃、あの時、私に悟らせてくれたあの方に再会しました。会社に遊びに来られたので、いや、会社に遊びに来られたというわけではなく、近所に遊びに来られていたのですが、その方に今何をしているのかを説明し、どうせまた失敗するだろうけど、指標が少し良く出ているため、一度ちょっとやってみようと思っている、と説明しました。送金アプリで、このように送金をかなり楽に行うことができるアプリだ。

そう言って、お見せしたところ、その方がこう言いました。 「お金のにおいがぷんぷんするね。うまくいきそうだ。」私はこの時気づきました。これは本当に大ヒットするかもしれない。それまでは、ずっとダメだろうと思っていたのです。

5年間失敗してみてください。目の前に成功が来てもわからなくなります。しかし、そんな保守的で控えめな、

否定的な視点を持ち続けていたため、先に顧客の話を聞くという考えになったのです。この心理の流れを見ると、完全に先ほどとは異なっています。 「どうせうまくいかないだろうか」 「いろんなことはせずに、核となる技術だけ開発しよう」 「そして、うまくいかない製品のデザインは綺麗にしなくてもいい。イライラするから」 「どうせ捨てるから」 「うまくいかないんだから、確信が出来た時以外はユーザーに広報するな」 「広報するとしても、リテンションデータが出る程度の最小限にだけ広報しよう」

このように、普通開発すれば周囲の人々に「私はこういうことをしている」と知らせたい思うだろうに、当社は違っていたのです。むしろ、より謙虚で静かだったと思います。製品もめちゃくちゃな状態でチームが考えたのは、顧客に会う事、そして話を聞くことでした。 

「お金のにおいがぷんぷんする。うまくいくよ」、そのように言われたため、製品の状態が良くないのに、先に顧客に会いました。以前のように製品が完成した後に顧客に会うのではなく、数字も良く出ているし、顧客の話を先に聞いてから、少しずつ改善していこうか。このように話したのですが、チームから出た面白い反応として「何を開発しているのか分かっています」 「私に説明する必要はありません」 「何をしようとしているのか分かっていますから、こちらでデザインします」というのがありました。正確に説明をしなくとも、デザイナーたちはすでにとても明確に掴んでいたのです。

何を解決しようとしているのかを。だからデザインがとても自然に生まれ、多くの説明をせずとも完成しました。機能についても「こんな機能が必要だと言われている。一度入れてみようか」 こういう話をすれば開発者の方も「ああ、説明されなくても、何をすべきかわかります。」と言って、開発も1、2週間で終わりました。 とても迅速に。何をしようとしているかが明確だったため、説明の必要がなかったのです。全く違う反応が出てきました。

皆さん、メーカーの方々が、概念を理解するのが難しい場合は、その機能は100%失敗すると思ってください。内部のチームメンバーも理解できない機能をどうやって外部の人々に説明して売るんだ、という話です。そのような機能は成功しません。絶対に。これは私にとっては、とても重要な指標なのですが、皆さんがどうお考えになるかは、分かりません。それでも、私の中ではずっと大きな要素です。しかし、「いや、これも失敗するだろう」 「結局は失敗する」 「もっと保守的にアプローチしよう」「けれど、今は少しうまくいっているから開発者とマーケティング費をもっと使ってみよう」こんな風にある意味以前のそれとは全く違う風に考えるようにようになりました。

死のうとする者が、どんな考えの流れを持っていたのかを考え、いつかは成功するだろうと思うようになりました。いつかは成功する。なぜなら続けているから。もう5年目6年、諦めずに走り続けているから。それでも、最後まで違うかもしれない、という気持ちは持ち続けたいと思っていました。

成功するだろう、ということに対して。チームメンバー同士でも「ああこれじゃダメだ」 「結局失敗するよ」、そういう話をさりげなくしていましたが、だからといって誰も離脱することは考えておらず、むしろ「ダメだ」と話をする自分たちをかっこよく感じ、誇りに思っていたようです。私たちは本当に大きな成功でなければ無視する、失敗したと捉える。実際、多くのチームは自信がないため、「私たちはうまくいくだろう」 「これを見てみろ」と強がります。自信があるからこそ、ずっと否定的だったようです。そうして、これはダメだろうという謙虚さが本当の強さであることに、チームとして気づきました。

成功を望むチームメンバーに「これは失敗するよ」 「そして私たちは今後の人生とても苦労するだろう」「あと2、3年かかる」、こうして失敗が当たり前である環境こそが正常であるということを認知させました。その時はデモチベーションになったかもしれませんが、6ヶ月、1年経ってから振り返ると、初めにそのように話をしたことがむしろより大きな自信と勇気を取り戻すことに繋がっていました。そのような心構えを持ち、否定的なコミュニケーションも躊躇せずに交わしてこそ、成功するということをメンバーも、そして私も深く悟るようになりました速い失敗、速い諦め。失敗したら、ああ、これはダメだと言って、次に行く、このような柔軟な考えが実際にチームメンバーにとって最善だということを知りました。

当時は、代表として、「なぜこんなに正解を見つけられず、才能がないんだ」、そんな目で見られるのではないかと恥ずかしく、恐ろしく思っていましたが、むしろそのようなことを勇気をもって受け入れ、弱い姿も共有できるのが実際チームメンバーがより望み、期待するリーダーの姿であることをきちんと把握できました。


「生きようとする者は死に、死のうとする者は生きる」  

イ・スンシン将軍の閑山島海戦を扱った映画「漢山」。27日公開/LotteEntertainment  


この2つの考えの前後を少し比較をしてみると、「必ずうまくいくだろう」、そして、「いやこれもダメだろう」というのがあって、「うまくいくだろうから、色々と全部開発して」「失敗するだろうから、核となる技術1つだけ実験して」こういう風にもなりますし、「失敗する製品の企画をいくつも開発しないで。」「デザインも労力をかけてしないで」こうも言った気がします。Tossの最初のロゴは40万ウォン(約4万1,000円)で購入した、外部製作のデザインでした。当時は、色も青ではなく黒でした。

Tossの最初のバージョンは送金に8時間かかりました。それで一日3回しか送金できませんでした。午前12時や1時に送金すると、午後4時に送金されます。8時間ごとに送金が行われ、リアルタイム送金ではありませんでした。しかし、送金過程はとても楽でした。なぜそうしたのか。当時、金融のさまざまな難しい規制などにより、金融連動ができておらず、私がインターネットバンキングで8時間ごとに送金していたのです。そうしていても、先ほどの凄まじい再使用率でした。それほど適当に作っていたんですよ。電算システムとの連動もしていなかったのです。ところが8時間ごとに送金する方式でも、かなり使われるため、じゃあリアルタイム機能としてやってみよう。それなら、ここはこうしよう、このように進化してきました。

本当に失敗すると思っていたため、リアルタイムで連動させ、数ヶ月使用すること自体が無駄だとまで思っていた気がします。それでも、上手くいったのです。しかし、逆に先ほど見たUlablaチームではうまくいくだろうから、広告も頑張って打ち、できるだけ多くのユーザーの目に入れようとしていたのに、このチームでは失敗するだろうから絶対にユーザーに広報しないでいよう、そんな風に考えていました。製品がきちんとしていないのに、先に顧客に会いました。

そのため、顧客の声や反応を先に聞くことになりました。しかし、まだ否定的な姿勢を続けており、万が一分からないから、少しずつ改善してみようと、そんな風にアプローチしましたが、Ulablaでは「いやデザインをより上手くやればいい」

「UXライティングに何か問題がある。機能が不足しているから、そうなんだ」 という風に、核となる仮説ではないものを実験することになりました。

一方、こちらは、ユーザーのために、ユーザーが望むものを作ることになります。Ulablaは、実はチームが求めるものを作っていたのです。「そんなわけない、開発者とマーケティング費が必要だ。」という同じ結論ではあるのですが、

とにかく、メンタリティ自体が完全に異なるということをお伝えしたいと思います。実のところ、これが当社のWinning戦略です。強がり、成功に向けて執拗な執着をしたりしますが、実際には、勝利とは謙虚さ、そして自分の弱さを認める中で、訪れるのだと知りました。そのため、成功は、失敗からくる敗北感を恐れない勇気を持ってこそ、スタートするのです。同じアイテムを扱っていても、このようなメンタリティを持っているのかないのかによって、そのチームが成功するか失敗するかは決まると感じます。

実は、私は、この話をTossに入社されるPOの方々にも、毎週、毎月のようにしています。それでも、受け入れることができない方もいます。失敗からくる恐怖や、敗北感を怖がるあまり、複数の機能を開発し、複数の仮説を作って、いざ元々実験しようとしていた核となる仮説は、一ヶ月目放置されている、ということが実際にTossの中でありましたし、今も起きています。実践するのが本当に難しいことなのです。世界は本当に公平で、これをこなせさえすれば成功します。

失敗、人々の視線、そのようなものに打ち勝ち、恐れない勇気を持つこと。成功するのはとても簡単なんです。思ったより。しかし、これが出来ないんですよ。世界は本当に公平です。それができる人にだけ成功が与えられるのです。皆さんにも一度考えてもらえればと思います。


これを私が一言で現わしたものが、「生きようとする者は死に、死のうとする者は生きるだろう」という言葉です。これが私が皆さんに必ず伝えたい勝利戦略です。みんなで復唱したいと思います。今YouTubeをご覧になっている方も、みなさんご自身の場所で、バスでもタクシーでも、ベッドに横になっていても、関係ありません。復唱してください。私の後に続いてください!「生きようとする者は死に、死のうとする者は生きるだろう」この言葉を忘れず、製品開発の際に必ず、思い浮かべて貰えれば思います。



/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
記事を書いた人
ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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