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【仕事の格、シン・スジョン】創業家たちはなぜ「NETFLIX式リーダーシップ」を真似し、職員を失うのか?

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【仕事の格、シン・スジョン】創業家たちはなぜ「NETFLIX式リーダーシップ」を真似し、職員を失うのか?

ちょい事情通の記者 第1号ソン・ホチョル

「私は衛星ではなく輝く星だ」「実際は失敗するのを恐れて全力を尽くしていなかったのかもしれない」。ときめきもするが、振り返ればどきっとする指摘たち。「일의 격(仕事の格)」はそうして、多くの人々に愛される本です。著者はシン・スジョンKT副社長(下の写真)です。しかしご存知でしょうか?シン副社長には2000年代にベンチャーを共同創業した経験があります。

18日午前、東京にいるちょい事情通の記者がソウル光化門(クァンファムン)のシン副社長に会いました。いきなりした質問は「リーダーとは一体何なのでしょうか」です。ちょい事情通の記者はシン副社長と初対面です。それもZoomでの初対面なのに、あまりにも無責任な質問かもしれないとも思いました。それでも気になったのです。 「仕事の格」のシン・スジョンにとっての「リーダーの定義」とは何なのか。


- 一体リーダーとは何なのでしょうか?

「自分ではなく、他人を動かす人をリーダーと言うことができるでしょう。アイゼンハワーは「リーダーシップというのは、自分が望むことを他の人達が自ら望んで行うようにする技術だ」と語りました。リーダーには3つの要素があると思います。1つは、メンバーにインスピレーションと動機を呼び起こさせ、その人々を動かすこと。次はそのチーム内のダイナミクスを作ること、3つ目はそのような力で組織の目的を達成させることです。裏返せば、結局は組織の目的を達成させる人がリーダーでしょう」


-宗教の教祖のようではないですか?知り合いの創業者の一人が「私の仕事は、メンバーに絶えず希望と勇気を吹き込む傍ら、自分は不安を口にできず、何かの教祖のようです」と話していたことがあります。

「モチベーションはスタートアップにとってとても重要なんです。報酬だとか、そんなことではスタートアップメンバーの動機を満たすことはできません。しかも、その報酬も少ないのに、従業員に動機を与えて、前に進まなければならないのがスタートアップ創業家です。もちろん報酬は重要です。ただ、動機付け心理実験や行動経済学では、どの結果を見ても、経済的な利得が人を動かすことにおける唯一または核心的な要素ではないとされています。人を動かし、動機づけを行う要素として、ダニエル・ピンクも話していた通り、通常3つがあります。その1つが自律目的の成長」

「お金だけを見た場合、ソン・ホチョル記者は、記者を続けていたでしょうか?お金だけで動くのではない、何か秘密がありますよね。他でたくさんのお金を稼ぐこともできるが、ここにいることに意味があり、何か目的があるため、やれるのだという部分。

2つ目は自律です。私も以前ベンチャーを3人で共同創業したことがありました。その時は年俸は関係なく狂ったように仕事をしていました。そうした理由は何かと考えてみると、自律だったんです。私に責任があるから。私はCEOではありませんでしたが、この組織を思い通りにドライブできるというような要素が強く影響を与えていました。

そして成長。自分が成長し続けることができれば、今は小さな扱いでも未来のために働くことができるということです。これら3つに1つ追加したいと思います。『関係』です」 

「一緒に働く周りの人の影響はとても大きいです。スタートアップはどこでも、すべて同じだと思います。私たちが考えるように、誰もがお金のために行ったり来たりするわけではありません。その下にある動機を見れば、上司との関係が壊れたであるとか、これ以上ここで学ぶことはないと思うだとか、誰かがずっと上から圧力をかけてくるため自らの意思で動くことができないだとかがあるのです」

「リーダーは結局、これらの要素デバイスをどのように構成するかという部分が重要です。 宗教を一度考えてみてください。 私は世界で一番強い組織は宗教組織だと思っています。宗教組織では、自分はお金を受け取らずに、むしろお金を払いますよね。お金を払いながらも頑張るじゃないですか。不思議ですよね。普通に考えれば、多くのお金を受けとってこそ、会社により最善を尽くしそうなものですが、宗教では、自分がお金を出しながら駐車を手伝ったり、教会学校の教師をしたりして、それでも2000年以上生き残っています。宗教はお金ではない、何を与えてくれるのでしょう。目的、生きる意味を与え、また良い人々との良い関係を与えるのです。そうした部分が人々を動かしたのです」

「もちろん(会社組織が)お金を払わずに、そのようなものだけを掲げるとしたら、教祖で言えば悪徳教祖でしょう。スタートアップの組織においても、適切な強化や動機付けは必要です。スタートアップの代表達の特徴は何かというと、みんな賢さと熱心さを持って成功した人々だということです。だからか、こうした人間の心理的なものについてあまり興味を持っていません。

スタートアップの代表たちは、他のメンバーに『自分もこうしたんだから、お前たちもそうしなければならない』と言う場合があります。また他の極端なものとしては、人は金で動くんだ、違うというのはすべて理想論だと話す代表もかなり多いです。少し時間が経てば、理解できるでしょう。組織を動かすというのには、ただお金だけ持っていればいいわけでもなく、だからといってスマートさだけあればいいわけでもなく、そうした要素が必要なのだということを」

「そうしたことが生まれながらにして上手い人がいます。私が思うには、ジョブズのような人物たちはほとんど天才です。偏屈な性格も、人々に何か意味を与えたのです。世界を変えることをしているんだ、という意味を。ジョブズも、イーロン・マスクもそう、生まれついての人たちです。生まれながら卓越しているわけではない人々は学ばなければなりません。学びながらバランスを見つけて行ってこそ、(組織が)持続可能になると考えます」


「BROWNBAG COFFEE(ブラウンバックコーヒー)のソン・ジョンス代表はそれがとても上手です。 

-起業家が組織のリーダーシップにおいて、最も多く失敗していることは?

「残念なケースとして、本を通して学んだことを、創業者たちがコンテキストを無視してマネすることがあります。たとえば、NETFLIXに関する本を読み、『極端なまでに率直であること』というようなことを見て、自分たちの会社のコンテキストに合わない形で実行してしまうんです。

創業者はNETFLIXのように率直さ、誠実さを追及したと思っているのに対し、構成員はむしろ攻撃されたと感じています。NETFLIXにはそれができる基盤があるからこそなのに、ただ本を読んで、とてもよさそうだと、会社に持ち込んで実行してしまう。代表が突然職員たちを呼んで率直に話をするのです。ガンガンフィードバックを行い、直説的に指摘する。『自分は、これはあなたが100%間違っていると思う』という風に。それで、自分はNETFLIX方式だと思っているのです。職員は当惑しますよね。人がたちまち去ってしまいます」

「ある代表は本で公私を明確に分けなければならないと読んだといいます。組織のためには個人のプライバシーを守らなければならない、と。それにかなり囚われ、あえて職員の私的な部分に興味を持ちませんでした。もちろん、職員の中には私的な部分に敏感な人もいます。でも、その人が何が好きで、どのような家庭で、何に悩んでいるのかということが分からない状態で信頼感を形成するのは難しいのです。そのため、職員が去っていきます。

しかし、本人は職員が辞めていく理由が分からないんです。会って話してみると、スタッフが離れる他ないんですよ。本人はとてもクールな経営をしているつもりですが、職員側としては、先ほどの動機付けのもう1つの要素である『関係』という部分がないのです」

「実際のところ、ビジネスモデルが良く、運が良ければお金を稼ぐことはできます。しかし、それを持続させられるか、という問題は別です。大きくはありませんが、とても上手くやっているスタートアップがあります。BROWNBAG COFFEEのソン・ジョンス代表という方がいます。この組織の職員はとても堅固です。

私がコーチングを行っているスタートアップ20カ所で企業文化アンケートを実施し、職員たちに評価してもらったところ、BROWNBAG COFFEEが一番高評価でした。しかし、平均年俸はここが一番低いです。それでも堅固な組織なのです。会社のミッションと核心価値を明確にし、職員を訓練するために毎週セミナーを着実に行う、職員との1対1コーチングを行う等、このようなことをずっと前から実行してきました。 まるで宗教団体かのように、組織がしっかりと結びついている、そんな様子が見えます」


-創業家たちが本でリーダーシップを間違って学ばないようにするには、何に注意しなければなりませんか。

「本を読むのはいいことです。しかし、本の一番大きな問題はコンテキストがないということです。ある背景の下でこそ、あることが効果を持ちます。リーダーシップについても極端なものが多いんです。ある時は従業員に寛大でなければならないと書いていたのに、また他では、従業員にはかなり厳しくしなければならない、とある。統制するのが妥当とも、水平的な組織が正しいとも書いてあります。また、組織図をひっくり返さなければならないという話もありますね。

要はそれが通じる環境と、その企業だけの哲学のようなものがあり、だからこそ、成功したのです。しかし、本にはそうしたことは詳しく書いてありません。それを、自分の会社の職員と文化に入れ込もうとするから失敗するのです。特に創業者たちはシリコンバレーの文化にかなり囚われています。

水平、個人、能力主義であるため、GoogleやNETFLIXなどのリーダーシップの本をたくさん読んでいます。実はそのシリコンバレーも最近は変化しているんです。現在の不確実な(経営)環境では、カリスマ的に導くのは少しずつ難しくなってきているため、結局、職員たちに共感してオープンにする方法で行かなければならないという風に変わっています。いうなれば本で勉強しても、その底のコンテキストに注意しなければならないということです。問題は、それらを自分で悟るのは難しいということです」


「創業者はシリコンバレーに囚われているのです。倣うものの、いざ実行するのは…」

「気づくのは難しいため、良いメンターを置くのが良いでしょう。アメリカにはビル・キャンベルのような有名なコーチがとても多く存在します。しかも、GoogleやApple、CISCO(シスコ)のCEOがコーチングを受けています。アメリカはスタートアップや、あるいは既に成功した企業に対するコーチング環境が充実しているのです。韓国にはまだそのようなものがありません。そうなってくると、無謀なことをしだします。本だけに頼らず、可能であれば経験のある先輩たち、様々な知恵を与えることができるメンターやコーチを選定し、着実にサポートしてもらうことをお勧めします」

「メンターやコーチは経営を教えてくれるのではありません。ただ、少なくとも、創業者自身を客観的に見ることができます。正直、組織の代表が自身を客観的に見ることができるでしょうか?下の人が言ってくれるでしょうか?誰も言ってくれません。みな良い話だけします。

実は、社内でCEOやスタートアップ創業者にきちんとしたフィードバックを行うことができる人はほとんどいません。万に一つ、組織内でフィードバックを受けたとしても、本人はきちんと認めないでしょう。組織で自分が一番偉いためです。

結局は年輪のあるメンターやコーチを置いて、自分自身を客観的に見つめるだけでも、前進に繋がるということです 」

「本を読むのは良いですが、常にその下にあるコンテキストを読まなければなりませんし、その本に書いてある通りにしようとあまり急いてはいけません。大企業では、役員らが自身の会社のCEOに朝の勉強会のようなものに行かないでほしいと思っています。 そうしたものに行けば、必ず何かを学んできて、それをただそのまま実行しようとするためです。

勤勉な方は毎週一つずつ。とても疲れるのです。名台詞もある、良い話だったため、全部正しいんだと思われているんですね。しかし、組織としては今週はこれを、前回はそれを、としていたら、職員は大変です。自分の哲学がなければならないのであって、ただ本を一冊読んでバイブルとして揚げ、倣ってはいけないということです」 


- 創業者たちは一度は、同僚をリストラしなければならない状況に置かれたりするものです。そして、本人も大きく傷ついたりします。

「フレームを変えなければならないと思います。例えば、ある人が辞めて行くのは悪いことであり、私が間違っていたんだという考え、私たちの会社にその人をキープするのが良いことであり、私はうまくやっているんだという考えを変えよう、ということです。そのフレームが真実ではないかもしれないじゃないですか。もしかすると、その人が辞めて行って、うまくいくかもしれません」 

「夫婦の離婚を考えてみてください。どちらも良い人です。でも2人は合いませんでした。他の人と出会ったところ、2人とも幸せに暮らしています。ただ合わない人同士で暮らしていたため、難しかったのです。会社ごとに価値というものがあるでしょう。 お互いが悪かったり、能力がないわけではなく、お互いの価値と状況が合わないだけで、その人が他の場所に行けばより上手く行くこともあるという考えを持たなければなりません。私がその人に対して責任を負わなければならない、と思うのは過干渉の一つだと思います」

「けれど、リストラに悩むCEO達はとても善い人なんです。リストラする際、心を痛める創業家は善良な部類で、パーセンテージとしては20%ほどしかいないかもしれません。こういう優しい方々に悪い心を持たせるようというのではなく、その人がここを出た時、自分の環境とより合うところでうまくいくこともあるという考えを持って、そのような観点から、その人を手放せば、後には自分たちの会社の「同窓」となることができると信じるのです。

コンサルティング会社がうまくいっているのがそれでしょう。人々が自発的に辞めていったり、リストラしたりする際にも、常にその人々が自分たちの同窓であるという認識を持ち、つながるようにしていますよね。 そうなるには普段の信頼が必要です。私も以前に一度、リストラを行った経験があります。心が痛みましたが、辞めて行く人も十分にその状況を理解していました。お互いに信頼があったためです。

しかし、辞めて行った方は、在職時よりうまく行っており、むしろ、残った人はあまりうまくいきませんでした」

「創業者にはむしろ他の側面の話が多いです。創業家の中には職員の裏切りを経験する人もいます。こちらの方がより創業者を深刻な状況に陥らせます。創業者のほとんど善良な意志で出発します。自分1人だけが良い暮らしをして、職員たちを苦しめようと考えている創業者は1人もいません。ところが、職員の1人が重要な機密を持って逃げただとか、あるいはぱっと辞めて似たような会社を作っただとかの裏切りに遭う場合があり、そうすると、突然創業者の哲学が変わってしまうのです。この人たちのことは手段として扱わなければならない、よくしてやったところで何の意味もない、という性悪説の方に」

「そんな創業者に話します。裏切られることもあるだろう、と。イエス様でも12人弟子の中の1人に裏切られたでしょう。従業員10人いれば、1人が裏切ることもある、それを全てだと思ってはいけない。一般化してみんながそうだと思って、性悪説に基づいて会社を運営すると、残っている人との信頼関係が生まれません。それは持続可能にするのが難しいということを意味します。

私は性弱説について話すようにしています。性弱説は、日本の経営学者によって作られた用語です。性弱説というのは、人は弱いということです。生まれながら善いのでも、生まれながら悪いのでもなく、人は弱いのです。状況によっては善になることも、悪になることもあります。 その人が悪になる可能性のある環境を私たちが作らないように努力しなければなりません」 


「職員を扱うときは、性善説でも、性悪説でもなく、性弱説でなければ」

「それまでは何の問題もない職員でも、家に突然お金の問題が生じれば、その時会社に資金に対するシステム的統制がなければ、誘惑にハマってしまい、横領のような問題が生じる可能性があります。悪い人だからそうなるというわけではなく、弱いからそうなるのです。人間に対する信頼は維持しつつも、人は常に弱る可能性があるという仮定の下経営をするのが安全でしょう。

極端に人は善良だという考えで経営をしていると、1度や2度、そうした裏切りに遭うと『人は常に悪なのだ』という風にパっと正反対に行ってしまうのですが、さっき話した通り、それでは動機づけができないのです。そうじゃないですか、人はすべて悪だと思っているのに、自律、成長、目的、これらのことを実現できるわけがないですよね」


- 著書「仕事の格」には「私は衛星ではなく輝く星だ」という表現があります。しかし、自分で輝くのはとても難しいじゃないですか。自分で発案して、それを最後まで実現して、というのは誰にでもきることではありませんよね。

「他の人をサポートするのは衛星であり、自分が企画したものを行うことだけが星だというのは、一種の二分法です。他の人をサポートするのも星としての1つの役割かもしれません。星であるか衛星であるかの焦点は自発性です。衛星とは他人の目によって、他人の視点から、何かをすることを意味します。他人の期待のために生きることが、衛星の人生だと思っています。

星の人生とは他人の視点ではなく、自分の視点、私らしい視点で生きていくことです。自身の主体的な想いが、他の人をサポートしたい、というのであれば、それが星として生きることになるのです。つまり、他の人をサポートし、他の人が言うことに従っているからといって衛星ではないということです。

サッカーを一度見てみてください。サッカー選手は、各個人が自身の能力を開発して、競技で発揮しています。だからといって試合の際、個人が自分の勝手で走ることはありませんよね。勝利という目標があるためです。勝利するためにコーチのリーディングの下、一つのチームとして、自身の役割を果たすのです。それぞれは星です。星ではあるものの、共に調和して目標を達成する星になるのです。まるでオーケストラのように。それぞれ自律的に演奏していますが、良いハーモニーにするために、心を合わせているのです」


「実は私は、失敗するかと思って、あえて頑張らなかったこともある」という話の意味は?

- 「実は私は、失敗するかと思って、あえて頑張らなかったこともある」という表現もありました。失敗を恐れないでこそ、きちんと前に進めるのではありませんか?

「恐れていないのは変です。恐れがなければ、その人はサイコパスでしょう。危険な状況にいるのに恐れを持たないのは、正常な精神状態ではありません。危険に対して恐れを感じるのは当然です。 失敗するのではないかという恐れは、誰にでもあります。積み重ねたものが多い人ほど大きいでしょう。持っているものが多いほど、他人の目には神経質に思えるほど恐れは大きくなります。そしてそれを取り除く方法はありません。それではどうするか。

たとえば、アジャイルというのがありますよね。リスクが大きいものに果敢に挑むのは危険なため、少しずつやってみるのです。失敗しても大丈夫なほどの実験をしてみて、『お、大丈夫だ』となれば、もう少し拡張して。バッっと計画を立ててオールインするのは、失敗した場合打撃が大きくなります、私は『失敗を恐れるな』、こうした言葉は信じません」


-悩む創業家に出会ったとき、最もかける言葉はなんですか?

「創業者にとって『意味』です。ミッションと価値についての部分を探求し、一緒に明確にできるようサポートするのが初期に最も多く行うコーチングです。最初に私の元を訪れる際、ほとんどの創業家は非常に具体的な問題を持って来ます。例えば、こういう人が辞めるのですが、どう対処しなければいけないのでしょうか、職員が年俸のせいで辛いと言っているのですがどのように対応すればよいのでしょうか、とこんな風にです。逆にお尋ねします。あなたは一体なぜこの会社をしているのか、この会社を通して何を成し遂げようとしているのか、メンバーにどんな価値を与えるのがあなたの本当の目的なのか、ということを。

実際、創業者が本人の哲学と価値をある程度固めれば、残りの問題は自然に解決されます。小枝のような多くの単発的な問題に対処し始めれば、問題は解決できません。意外にも、創業者たちはこうした『目的』についてぼんやりと考えており、明瞭にまとめている人はあまりいないようです。明瞭にすれば、自分でかなり判断していけるようになると思います。元々会社を作った意味はこれだ、という明瞭な考えがあれば、メンバーのこのような問題にどのような対処をすべきか答えが出てきます」

「経営は4つの要素でしょう。戦略、マーケティング、財務会計、そして人事リーダーシップ。興味深いことに、創業家の中で私に戦略やマーケティングを聞く人はほとんどいませんでした。それほど本人たちがスマートなためです。戦略やマーケティングについては自信があるのです。それに自信がない創業者たちはあまり見たことがありません。財務や会計は数字なのでCFOなどと協議します。最も難しいのは、人事とリーダーシップです。

人々をどのようにリーディングし、動機づけを行うのかを悩んでいます。しかし、韓国にはこのテーマについてサポートを行う体系があまりありません。とても残念に思います。大企業を退職した役員をスタートアップ創業者と繋げる場合もあるのですが、いざ大企業の役員たちはこうした人たちのメンターの役割をうまくできません。

なぜなら大企業を退職した役員たちは創業した経験もなく、小さな会社に行った経験もないのです。そうすると、創業家たちはせいぜいVCであるとか、先輩創業家を頼ることになりますが、彼らも忙しいのです。いつかこのペインポイントを解決することに挑戦してみたいです」


/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
記事を書いた人
ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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