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【そのとき投資】子どもたちは2年で平均1000枚の絵を描く...全部捨てるしかない?

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【そのとき投資】子どもたちは2年で平均1000枚の絵を描く...全部捨てるしかない?


sopoong Ventures(ソプンベンチャーズ)チェ・ギョンヒパートナー

@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)のコーナーでは、現場の投資審査役がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。今日の寄稿を書いているチェ・ギョンヒパートナーが気になる場合は、この記事をクリックしてください。


「1年で子供たちは何枚絵を描くのか知っていますか?」

Kiwi Studio(キウイスタジオ)チームに会ったのは、とても寒い冬に行われた慶熙大(キョンヒ大)キャンパスタウンのデモデー発表でだった。創業者のパク・チョンミョン代表は、多数のスタートアップで開発者として働いた経歴があり、自分の子供の絵が何百枚も溜まっていくことを管理するのに困難を感じて創業したと発表した。

1人の子供が1年間で描く絵は平均500枚。ほとんどの親は、最初に子供が描いた絵はとても不思議で大切なものだと感じるが、2年で1,000枚も絵が溜まれば保管に困難を感じるということから創業アイデアを得た。パク代表はこのポイントをつかんで「子どもの絵保管サービス」をアイテムとして定めた。

デモデーが終わった後、代表を訪ねてもう一度会って気になる点を尋ねようと彼に名刺を渡した。1ヶ月後、sopoongは彼の会社にシードラウンド投資を行った。後で知った事実だが投資すると乗り出した企業が7カ所あったという。他がどんな会社だったのかは分からないが、投資家として選択されたということを感じ、達成感を感じた瞬間だった。  


子どもの絵を保管して、分析してくれるのがKiwi Studioである。この絵を描いた子どもはピカソの素質があるようにみえるしょうか?/Kiwi Studio提供    


Kiwi Studioのビジネスモデル

Kiwi Studioの最終目標は、子どもたちの絵画データを集め、最終的に子ども別に心理診断サービスを行うことだ。言語で多くを表現できない子どもたちの場合、絵を通して自分の心を表現することもあるが、それを読むのは容易ではない。最近オ・ウニョン博士を通じて子どもたちの行動の背後には多くの意味があり、これを両親が理解できていない場合、その後深刻な問題に発展することが大衆にも知られた。そういう意味で子どもたちが描く絵1枚1枚を集めて「data(データ)」にすれば、自分の子どものことを知ることができるというのがKiwi Studioの仮説であり、これは市場で通じると確信した。

Kiwi Studioの1つ目のビジネスモデルは、子どもたちが描いた絵をそれぞれの家庭で撮影し、「Little Picasso(リトル・ピカソ)」アプリにギャラリーとして保管するものだ。今後、絵別に録音機能やテキストメモを入れて、子どもたちと絵を通して分かちあった話を一緒に保管することもできるよう高度化する予定だ。これは祖父母など家族とも共有できる。

このアーカイブサービスは美術塾を対象としても行われる予定だが、普通美術塾に子どもを通わせる場合、最初の1、2回の持って帰る絵以外の残りの絵は先生たちがいちいち各家庭にKakaoTalkを通じて写真で撮って送っていて苦労しているというということを知って作ったビジネスモデルだ。Kiwi Studioはこのように「保管」に対して月定額で課金するシステムだ。

2つ目のビジネスモデルは、これらの絵を集め、人工知能を通じて子供たちの性格、心理状態などを診断することである。sopoong内に投資審議を上げる前、この部分が最大のハードルだった。果たして子供たちの絵を分析することで子どもの心の中を知ることができるのだろうか?

人工知能(AI)の専門家何人かに意見を求め、リサーチを行った結果、まだその技術は非常に初期段階にあった。主に使う色、線の強度、形などの情報のみ認識可能であった。私たちがよく知っている木、家など特定の絵を通して診断する場合にはガイドがあり、絵について会話を交わしながら把握するが、その会話という過程が欠けている状況であり、診断用の絵ではなく日常で描いた絵を通して評価するにはまだ技術の水準が不足していた。  


Kiwi Studioのメンバー。一番左がパク・チョンミョン起業家/Kiwi Studio提供  


投資ポイント

オ・ウニョン博士のおかげで児童心理への関心が高まり、MZ世代の間ではMBTIに対する熱狂が数年続いている。自分について知りたいと思うのは、人間の上位の欲望の一つだ。ここ数年、心理相談センターと精神科は大きく成長しており、これに非対面心理相談を行ったり繋げたりするスタートアップも大きな成長をしてきた。このような経験をした保護者は子どもにも同じニーズを求めるだろうと考え、投資を決めることになった。

子供の絵を保管するサービスの場合、ニーズはあるがクラウドサービスなど代替できるサービスが多く、技術ハードルが低く、該当ビジネスモデルだけでは投資魅力度が落ちてくるだろう。しかし、絵画分析サービスは、絵画以外に他のデータがあれば精度を向上させることができると考えた。

コロナのために非対面で投資審議していた今年2月、Kiwi Studioはアペンディックスを含む103枚のIR資料を準備してきた。投票審議委員たちの質問に従い72ページ、94ページなどスムーズにページを移動しながら、準備した返答を堂々とやり遂げた。1人の子供ごとに予想されるクラウドのウォン単位の費用まで計算して示した。代表者のこのような準備性と最後まで最善を尽くす姿も投資家にとって魅力的に見えた。 


今年8月のApple App Store「今日のアプリ」に選ばれた「LittlePicasso」/Kiwi Studio提供 


専門知識を強化するための戦略的投資家HUNO(ヒューノ)とGlorang(グロラン)

初投資をした後、投資審議に出たグローバル経験と心理分野の専門性が弱いという部分がアクセラレーティングのポイントだった。デモデーの発表を聞いた時から頭の中に浮かんだのがHUNOとGlorangの2社だった。投資することになれば、ぜひ紹介してあげたいと思っていたため、投資後、すぐに両社へとアシストした。 

(注)HUNOは関連分野の売上や、人的構成などで、韓国ナンバーワンの心理サービス企業だ。 顧客情報保護のため、すべてを使うことはできないが、全国単位の公共機関及び大企業等に評価及び相談サービスを提供中であり、また病院で使われる数多くの精神健康評価ツール、公企業及び大企業の職員選抜用評価サービス、子どもの進路及び適性関連、親の養育関連の診断評価などを開発して供給する企業がHUNOである。160人余りの従業員のほとんどが心理学およびIT専攻者である研究組織として構成されており、Kiwi Studioのとても大きな助けになるだろうと考えた。

Kiwi Studioの場合、心理専門職員が不足しており、信頼性の高い専門機関が成長に不可欠だと感じた。HUNOも関連分野のスタートアップ投資への関心が高かったとこと、そしてB2G、B2Bを中心に事業を展開していたHUNOにもB2Cサービスをするスタートアップはこれまで積み重ねたデータを活用する機会になるだろうと感じた。

子どもたちの絵は特性上、非定型的な絵が多く、絵を通して行う専門的な検査は特定の指示とガイドラインが一緒にあってこそ実行でき、単に子供たちの絵データが多いからといって精度が高くなるわけではなかった。HUNO側は、子どもたちを対象とした心理検査を提供し、絵とともに分析すれば研究開発を加速させられると考え、関連研究を共にすることにして株主となった。

Kiwi Studioのビジネスモデルは、絵を通して言語と文化の境界を越えるサービスが可能であり、グローバル進出も容易だろうと考えた。すでに英米圏では反応があり、グローバル進出のロードマップにおいて、役立つスタートアップとコラボレーションをすると良いだろうと考え、Gguge(クッグ)をサービスするGlorangを繋いだ。

(注)GlorangはGgugeというオンラインライブキッズスクールを運営するエドテック企業である。Glorangはコロナ以前は「留学」というサービスを通じてオフライン留学塾を革新する事業モデルを持っていたが、コロナ期間中にサービスをピボットし、最近120億(12.55億円)の投資金を受け取り勢いに乗っているスタートアップだ。マーケティングと海外進出についてのアドバイスを受けることにし、最初のミーティングでGlorangはKiwi Studioに投資を決定した。

開発力を保有するKiwi Studioは23年目の専門心理サービス専門メーカーであるHUNOと子ども向けコンテンツ市場でナンバーワンのGlorangの戦略的投資で心強い味方を得ることになった。


HUNOのチョン・ジョンヒョン代表とは個人的に10年を超える縁があり、HUNOがどんなことをしているのか、どんな強みがあるのかとてもよく知っていた。B2BとB2G取引をメインにしており一般人の間では知られていない企業だが、心理診断シートを作って分析する企業としては韓国ナンバーワンの企業である。Glorangのファン・テイル代表も3年の縁をがある代表だった。 「ウィン・ウィン・ウィン」戦略だった。



私たちのKPIは家族間のコミュニケーション時間の増加と幸福 

子どもの絵を通して自閉症スペクトラムをもう少し早く診断できるようになれば、どうなるだろうか?Kiwi Studioは慎重だが大きな夢を今回のTIPS発表で言及した。特定の障害を持つ子どもたちの状態を絵を通して少しでも早く診断できれば、その家族の人生は大きく変わるだろう。技術のレベルが一段階高くなる3~4年後、Kiwi Studioのアプリを通じて家族間のより多くのコミュニケーションが実現できると期待している。   


 

Kiwi Studioで子供の夢を大きくするメンバーたち。後列中央パク・チョンミョン創業者/Kiwi Studio提供 

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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