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【そのとき投資】Live Anywhere、どこにでも住める世界をつくる

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【そのとき投資】Live Anywhere、どこにでも住める世界をつくる

Bluepoint Partners(ブルーポイントパートナーズ)キム・ユジョン首席審査役 

@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)のコーナーでは、現場の投資審査役がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。

数週間前、忠清道(チュンチョンド)の農村地域へのオンラインハウスツアーをした。田舎はおろか、生まれてこのかたマンションの住人として、町の入り口ですでにワクワクしていた。「いつか引退したら、こんなところに住もうかな」という気持ちだったが考えが変わった。「今」になったのだ。

仕事に打ち込むべき年齢で何を言っているのかと思うだろうが、計画は立て終わっている。引っ越すつもりはない。私は週の初めはソウルで、週の後半は大田(テジョン)で働く(私が働いているBluepointは、ソウルと大田にオフィスを構えている)。そして、自分だけの田舎の家に帰るのだ。

アプリを開いて支払いボタンを押した。漠然としていた田舎暮らしの夢を、すぐに生活にすることができる。田舎しかできないものか、次は海だ。どこでも、住めない理由はない。



旅行の住居化、住居の旅行化

ほんの数年前には夢にも見なかったライフスタイルが可能になったのは、新型コロナウイルスの流行などの予想外の変数による働き方の変化もあるが、ライフスタイル変化のニーズが高まっており、それを可能にするサービスが生まれたことが理由としてある。

宿泊施設検索サービスのLiveAnywhere(リブエニウェア、代表取締役キム・ジヨン)が代表的だ。

Live Anywhereは、長期滞在に特化したAirbnbと考えてもよい。出発したい日付や地域に合わせて宿泊施設を探すのは、従来のOTA(オンライン旅行会社)と変わらないが、「石垣」、「田舎の家」、「ワーケーション」など、好みや状況に合った宿泊施設を見つけることができる。

また、予約期間が長ければ長いほど、割引される。料理や洗濯ができる必要があり、周囲の便利施設や実際に生活する上での情報も必須だ。これは既存のOTAでは満足させられていなかった部分である。

また、LiveAnywhereは、電子契約システムを通じて簡単で合理的なリース契約が可能だ。長期割引や光熱費請求制度により、ホストの運営負担も軽減された。

LiveAnywhereがなくても長期滞在先を探すことはできる。1日単位の予約が基本のOTAで高額を支払ったり、ポータルサイトを検索して個人間の取引を行ったりすればよい。

契約詐欺にさらされるリスクは避けられない。仲介業者をいれても、確認のために足を運ばなければいけないのはもちろん、対面でリース契約を結ぶ手続きが必要だ。家賃契約のようなものだと考えてほしい。数週間の滞在は複雑だ。田舎暮らしの夢は高価である。それはLive Anywhereがない場合の話だ。

韓国農村経済研究所の昨年の調査1によると、(調査対象の)都市住民の3分の1が将来帰農を希望しており、居住形態として都市と農村の複数居住を希望している。複数の拠点を持って暮らすということを夢見ている人は少なくないのだ。

Live Anywhereは、暮らしと旅行を分けないとどうなるのか、という問いを投げ、ソリューションを与える。すでに暮らしと旅行の区別のない生活を送っている人は増えている。ワーケーション(Work+Vacation、望む場所に長時間滞在しながら休暇と業務を同時に行える勤務状態)に取り組んでいれば、すでにそうだ。


LiveAnywhere ペットフレンドリーな宿泊施設/LiveAnywhere  


疑念を成果として証明  

2年ほど前、キム・ジヨン代表がアプリサービスをローンチした頃、LiveAnywhereの仮説に協力した投資会社は多くはなかった。当時、「한달살기(ひと月暮らし)」という名前でサービスを紹介しており、済州(チェジュ)島でも江原道(カンウォンド)でも、どこでも住みたい場所に数週間ずつ滞在しながら、地元の人のように暮らすという夢を実現できるとの自負はあったものの、成長の限界を多く指摘された。

ローンチから2年後の9月上旬の時点で、LiveAnywareのアプリダウンロード数は100万を超え、今年の売上は創業初年度の売上高と比較して40倍に増加する見込みである。そして、成長曲線は収まる気配がない。現在、ベトナムのダナンを皮切りに、海外で暮らすという夢も実現し始めている。

キム・ジヨン代表と共同創業者は、旅行業界を第一線で見てきた専門家だ。キム代表は世宗(セジョン)大学でホテル観光経営学を学び、旅行業界に飛び込んだ。

旅行アクティビティ予約プラットフォーム「 WAUG Travel(ワグトラベル)」で海外営業を担当し、レストランに特化したビッグデータサービス「REDTABLE(レッドテーブル)」で外国人観光客向けのマーケティングを担当した。

その過程で、旅行方法の変化に注目したところ、ここからさらに広がり、住宅へと拡張していくまで、そう長くはかからないだろうということに気づいた。そしてLiveAnywhereを創業した。

 

キム・ジヨンLiveAnywhere代表/LiveAnywhere  


他人の夢をかなえるプロセスは簡単ではない。サービスが確立される前の初期の頃、キム代表は江原道と済州島で「住みたい」宿泊施設を持っているホストを迎えるため、走り回っていた。

チーム内で唯一運転免許を持っているため、キム・ジヨン代表がソウルと江原道を行き来し1日10時間運転していたことから、今でも創業チームの中で最高の運転技術を誇っている。デジタルマーケティングだけではホストの募集が難しいことを認識し、チラシを直接配ったりして、ホストたちに電子契約の便利さと長期宿泊運営の長所を知らせた。

ホストは、長・短期レンタルの混在と平日の空室を嫌がっており、最小6泊、またはそれ以上のみを販売しており、Live Anywhereアプリのユーザーのニーズとも合っていた。

こうして登録された宿泊施設はいつのまにか計6,000件、四半期ごとの成長率12%で、来年には設立14年になるAirbnbが持っている済州島の宿泊施設数に追いつくと予想されている。 

成長率は目覚ましいものの、Live Anywhereはまだ初期段階の企業である。ダナン、ニース、リスボン... 住みたい場所はたくさんあり、Live Anywhereが作り出す世界は無限大だ。どこでも、住めない理由はない。  


/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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