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【彼のHow】160億の投資を受けたTictoc CrocのシリーズB資金調達記

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【彼のHow】160億の投資を受けたTictoc CrocのシリーズB資金調達記

ちょい事情通の記者 第1号ソン・ホチョル

「スタートアップへの投資は氷河期だ」という漠然とした恐れがスタート業界に渦巻いています。 知らない時の方が怖く、どれほど厳しい相手でも知りさえすれば不安はなくなるものです。

去る9月29日、째깍악어(Tictoc Croc)が160億ウォン(約16.3億円)規模のシリーズB資金調達を終えたと明らかにしました。累積投資誘致金額は290億ウォン(約29.6億円)です。

企業価値は前回にくらべ約2倍ほどになったと言われています。キム・ヒジョンTictoc Croc創業家に「2022年の資金調達」についての話を聞きました。キム創業家が伝える「生のスタートアップ資金調達の現実」です。 

Tictoc CrocのシリーズBには、以前からの投資家であるKyobo(キョボ)証券、KB証券、woomi(ウミ)が後続投資、LG U+(LGユープラス)、NHヘッジ資産運用、Hana(ハナ)証券、IBK中小企業銀行が新規で参加しました。

実は、Tictoc Crocの創業家キム・ヒジョン代表には、ちょい事情通の記者たちのシーズン3(昨年9~12月)でお会いしています。

インタビューを推薦したのはLOTTE VENTURES(ロッテベンチャーズ)のぺ・ジュンソンチーム長で、「韓国社会における保育という難しい話題に希望を与えているTictoc Croc」「私自身も共働きで子どもを育てる中で、信頼して子どもを預けられるサービスを探し続けていたが、当時はTictoc Crocがなかった」「Tictoc Crocは低出産問題を解決する力量を持っている」と語りました。

当時のインタビューはちょい事情通の記者1号である私が引き受け、「カン・ジミンの母という名刺と信頼の価値のジレンマ」がタイトルでした。現在、Tictoc Crocは保護者会員23万人と先生会員11万人を誇っています。

今年1~8月の売上は昨年比約3倍近くに成長しました。今年、オフラインのTictoc島キッズセンターも4ヶ所追加でオープンし、計7つを運営しています。

 

この方の情熱は、会話をするたびに改めて伝わってきます。Tictoc Crocキム・ヒジョン代表/Tictoc Croc提供  


プラットフォームには投資しないという現在の雰囲気

-今年に入り、スタートアップは資金調達に苦戦しています。

「今年4月からシリーズB資金調達を始めました。160億ウォン(約16.3億円)の資金を調達しました。投資氷河期だと皆言っていますが、やはり手強かったです。

以前はあちらから『Tictoc Croc知ってますよ』と声を掛けてくる方も多かったですし、紹介でも出会えていましたが、最近はすぐにタームシート(term sheet)の雰囲気です。企業価値と投資条件から見よう、というところが多かったですね。 最初から価値が高い、低い、で始めるケースがかなりありました」

「例えば、以前は投資を多く誘致し、その投資金をマーケティングに投入し、クーポンをつけて広告を出すことで会員数を多く増やしたり、売上を増加させるというような説明の仕方が多かったですよね。資金調達において説明する際に、営業利益までは行かなくてもよい、というような、ある程度の余裕があったようです。

しかし、今年はすぐに企業価値を参照し、昨年どれくらい使ったのかという質問を多くされます。 もちろん以前もあった質問ではあるのですが、以前より特にこのような質問がたくさん行き来していたような気がします」

「例えば、本投審(投資審議委員会)を直前に控え、投資議論を行ってい会社でこれからはプラットフォームには投資しないという内部方針が決定される場面もありました。幸いにもTictoc Crocはその1日前に行われていたことから、Tictoc Crocが最後のプラットフォーム投資スタートアップになったりもしました。」


-プラットフォームには投資しない?

「スタートアップの状況が良い悪いではなく、そのような雰囲気です。昨年はかなりの期間バイオがそうでしたが、今年はコマースとプラットフォームの(投資)状況がかなり悪くなっています。

今年のトレンドとでも言いましょうか、それが1つ目はタームシート、つまりBEP(損益分岐点)をどのように合わせるか数字を持ってくること、2つ目はプラットフォームには投資しないということのようです 」

「一部のベンチャーキャピタル(VC)はプラットフォームに投資しないと宣言もしました。実際、Tictoc Crocより先に資金調達を行った、他のプラットフォームスタートアップが市場で良い成果を出していないのも事実のようです。マーケティング費を使うことで、成長するという会社には投資しないというような感じだと思います。

Tictoc Crocは幸い、昨年からそれと似たような考えをもっていました。プラットフォームで収益を上げるのは難しいため、チャンネルを少し多角化しなければなりません。Tictoc島というオフライン事業を開いたのは、マーケティング費を使わずとも収益を上げようという挑戦だったんです。

2年間、当社なりにこれを証明し、こうしたTictoc Crocの論理に納得してくださるハウス達がありました。プラットフォームではあるが、Tictoc Crocは違う、ということです。競合他社と比べ、マーケティング費は半分しか使っていませんが、会員数は2倍集まったという説明を投資家に行いました」

 


「3ヶ月間、マーケティング費を切った。それでも生存可能だと証明した」

-Tictoc島というオフラインビジネスの説明がより効いたということですか?

「Tictoc Crocは実のところ、マッチングプラットフォームなので、収益はマッチング手数料となりますが、これが15%、多くて20%程度にしかなりません。オフラインや他のコンテンツで収益の多角化をしました。

『なぜオフラインの収益が好調なのか』と聞かれますが、Tictoc Crocはお金を出したところから、すぐに入ってくるため、進出するなりすぐに収益を合わせることができます。(@通常オフラインは家賃やインテリアのような初期投資コストが高いという欠点があるが、Tictoc Crocはこの部分を解決したという説明。)」

「Tictoc crocは子供の世話をしてくれる先生を教育して検証し、アプリを通じて、必要とする家庭にマッチングするサービスです。そしてサービスをチェックして管理します。オフラインサービスのTictoc島では、先生たちを家庭に送るだけではなく、Tictoc crocが用意したオフライン空間でも会えるようにしています」

「ただ、オープンするための費用にすべて投資するというよりは、商業施設やホテル、アパートなどのような子守りの需要がある空間と相談を行っています。オフライン投資費を大幅に削減し、運用収益を確実に上げているのです。

収益だけ見ればマッチング手数料よりはるかに高いです。アプリマッチングでは先生が家に行き、1対1で子守りをしますが、オフラインでは先生1人で子供6~8人の子守りを行うので」


-Tictoc島はむしろ、マーケティング費のかからないプラットフォームビジネスは可能だということを立証をしたということでしょうか?

「オフラインのTictoc島を体験した方が再びアプリに会員登録をすることで、マーケティング費を減らすことができます。最近、Tictoc Crocは3ヶ月間すべてのマーケティング広告費を切りました。このような試みが可能なのは(Tictoc島のように)別の会員流入チャンネルを作ったためです。

もちろんオンライン広告をオフにすると会員数が減りはします。ところが申込を行う会員数は減らないのです。これまで(マーケティング費を使ったことによる)オンライン加入はかなりありましたが、こうしたオンライン加入者に(子守りの)申込をするようにさせるのは、かなり難しかったのです。 

現在は本当に申込を考えている方々が会員加入をしているということでしょう。(@Tictoc Crocの収益面においては、単純に会員加入する人より実際に子守りを申し込む会員のほうがより重要である、ということ)


-逆説的にオフラインビジネスがオンラインビジネスの生存確率を高めたということですか?

「昨年はTictoc島は3つでしたが、今では7つです。1つ1つで膨大なお金を稼ぐというより、しっかりとビジネスが進んでいるという部分を示しており、ベンチャーキャピタル(VC)の審査役には説得力があったようです。言い換えれば、マーケティングをオフにしても、Tictoc Crocは生き残ることができるほど強固であるということをアピールしました」



「シード投資を受けるスタートアップはまだ大丈夫」

-BEP(損益分岐点)を合わせた数字を持って来いという投資家も多いでしょう?

「そうですね。最近の雰囲気がそんな感じです。Tictoc Crocは来年の下半期にBEPを合わせると話しています。それが数字的に可能そうである、Tictoc Crocはできそうだ、そのように通じたようです」

「実際、人件費の負担は少し減りました。昨年は、開発者であれば人件費は聞きもせず、ただ入社させていました。市場に誰か出てくれば、無条件に、すぐに使うあてがなくても入社させていたんです。今年はそのような部分は少し減りました。Tictoc Crocはこのような費用の減少まで考え、来年下半期にBEP合わせると話しました」


-昨年まで、スタートアップへの投資の際にはスケールアップがメインの話題でしたが。

「以前は本当にBEPの話はほとんどしませんでした。『お金を集めて(目標としている問題を)解決しなきゃでしょう、 BEPはその時、意思決定してもらえばいい』というのが基本でした。今は最初からBEPをいつ合わせるのか、コストをどこまで減らせるのか、このような質問が本当に多いです」


-認知度の高いTictoc Crocでそのレベルなら、できたばかりのスタートアップはもっと難しいでしょうね?

「いえ。実は大変なのはシリーズB以降のラウンドなんです。上場市場に近いところです。だからTictoc Crocが試練の時です。『Tictoc CrocのEXIT(イグジット)モデルがどのくらい本当に実現しそうか聞いてみよう』『上場した際に企業価値がどれくらいまで行くだろうか』という風に。

むしろシード投資を受ける初期企業は悪くない状況だと聞きました。良い会社であれば、投資する、と」


-シリーズBでも、投資決定する際にEXITプランが重要な案件になるのですか?

「BEPプランと同じほど、EXITプランが重要です。ほとんどEXITがIPOじゃないですか。買収合併でもあってこそ、起こることですから。しかし、IPOを行った際には、当然のことながら、同様の上場企業と比較されますが、既存の上場企業のほとんどは、以前からある古い企業です。

実は振り返って見てみると、そうして既存の上場会社と比較する会社はほとんど投資をしないようです。そのような質問に対しては、当社も論理的に既存の教育会社と当社の違いについてお話するのですが、その違いがまさに当社がプラットフォーム会社であるということなのです。

しかし、申し上げたようにプラットフォームの状況はあまりにも悪いじゃないですか。堂々巡りですよ。本当にとても頭が痛かったです」



予備創業者に.... 「待っていて時期を逃すのはよくない」 「投資のために創業するわけではないですから」

-ファンディングに成功したTictoc Crocは投資金をどのように活用しますか?

「Tictoc Crocはとても幸運でした。こうした市場の状況になる前から外形より収益化、という考えを予めもっていたためです。今後上場を行っても、M&A市場を行っても、とにかく自生できる会社となることがとても重要だと思います。収益化に集中し続けるつもりです。

会員獲得のためにマーケティング費を狂ったように使うよりは、最近はCRM(顧客関係管理)といますが、顧客を獲得するより獲得した顧客がより多く利用するように、そうした方向にもう少し焦点を当てようとしています」

「お金を使う箇所としては、 むしろ、お客様の流れを管理し、どこで離脱するのか、どこでより活かせる機会があるのに逃しているのか、このような内的充実に投資するつもりです。 外部広告よりも内部をよりきちんと見る方にお金を使うということです」


-創業を準備している方々にアドバイスするとしたらどうでしょう?氷河期でも創業しろ、それとも、今の会社に勤めて待ち、後で創業するべき?

「実のところ、創業というのは、投資のためにするのではありませんよね。市場が良い製品を出すために創業するのでしょう。だから当然、今市場にこんなサービスや製品が出なければならないタイミングだと思えば、投資氷河期であることには関係なく、創業するべきでしょう。また、初期投資はそれほど氷河期ではありません」

「(投資状況が良い環境を)待っていて時期を逃すよりも、市場から適切なタイミングで製品が出てくる方がはるかに重要だと思います」


-投資氷河期は創業氷河期ではない?

「慎重にはなりますが、こういう話もしています。投資を受ける人は受ける、と。創業をしようとする方々に、慎重にお話ししているのが、こんな時期だからと投資を受けられないようなアイテムなら、実際、市場で長く成功するのは難しいアイテムだと見ていいのではないか、ということです 」

「厳しい時期に投資を受けられはしましたが、心は重く1日1日が戦争です。市場が良いなら良いで、『市場にこれだけお金があるのに資金調達できないなんておかしい。自分だけ取り残されているのか?』と不安に思うでしょう。できないとできないなりに、資金調達をしないならしないなりにまた不安になるのでしょう」 


-海外進出は考えていませんか?

「次のラウンドに行くには考える必要があります。韓国の出生児数が少なすぎるのが、Tictoc Crocには試練です。今後2年間で海外の可能性を作らなければならないというのが、私の課題です。ベトナムを継続的に視野に入れており、行き来しています。

多くの方々が『みんながアメリカや、日本に行くのには理由がある』と仰います。ベトナムは人口が多く、魅力的に見えますが、まだ生活所得水準が低いのです。そのため企業が日本とアメリカに行く理由がすべてあるのだ、と。しかし、それほど簡単な市場ではないでしょう?」

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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