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【そのとき投資】webtoon todayジン・スグルに、ウェブトゥーン界のディズニーになるという期待を抱く

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【そのとき投資】webtoon todayジン・スグルに、ウェブトゥーン界のディズニーになるという期待を抱く

Capstone Partners(キャプストーンパートナーズ) ユ・ジュンモ審査役

@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)のコーナーでは、現役の投資審査役がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。

ベンチャーキャピタルの審査役は、1日にいくつもの多様な業界に属する企業と面談する。さまざまな業界と向きあっているため、一般の人々よりも少しだけ理解しているかもはしれないが、すべての産業群の根底にある核心を把握し、理解することは容易ではない。

監査役も人であるため、自身と馴染みのない分野での投資検討を気軽に進めるのは憚られる。ウェブトゥーンというコンテンツ産業はそういう分野だった。成長率の高いチャンスのある分野として漠然と認識しているのみで、会社内で、積極的に投資を検討したことはなかった。市場のバリューチェーンについてはあまり分かっていなかった。

ウェブトゥーン制作会社であるwebtoon today(今日のウェブトゥーン) ジン・スグル代表に出会ったのは、そうしたタイミングだった。こうした苦労を知っていたのだろうか。

ジン・スグル代表は、最初のミーティングでウェブトゥーンについてAからZまでを説明してくれた。私が慣れ親しんでいるベンチャーキャピタル市場に当てはめ、ウェブトゥーン制作業の核心を掘り下げてくれたのが印象的であった。


webtoon todayのジン・スグル代表/webtoon today


スタートアップが自身の分野に不慣れな審査役と出会うとき 

「ベンチャーキャピタル業界とウェブトゥーンの制作市場は根本的に同じです。審査役の方が賢い起業家を探すのと同じように、私たちは優れた新人作家を他より迅速にキャッチできなくてはなりません。

当社は自社開発したWebtoon Analytics(ウェブトゥーンアナリティクス)を通じて、成功の可能性が高いウェブトゥーンの要素や作家を市場でいち早く発掘することができます。それが、業界において、当社だけが持っている競争力であり差別点です。」

ウェブトゥーン制作産業は、興味深いことに、VCが投資を行うシステムと非常に似ている。VC、特に初期投資会社は、他の投資家よりも早く成功確率の高いスタートアップを発掘して投資し、企業がうまく成長した場合イグジット(Exit)によって生み出された利益を創業チームと共有する。

ウェブトゥーンの制作市場も同様に流れている。デビューを夢見る新人作家は数多く存在し、ウェブトゥーンContent Provider(コンテンツプロバイダー、CP)はその中から才能ある新人作家をキャッチし、契約を行っている。

その後は、作品制作をサポートし、作家に代わってプラットフォームとの契約を行うエージェンシーの役割も担っている。

作品がいわゆる「大ヒット」すると、該当作品から生み出された収益が作家に分配される構造だ。ベンチャーキャピタルの審査役は常に、いかにして賢く有能な創業家と多く出会えるか、そして成功の可能性を事前に見分けられるかについて悩んでいる。

ジン・スグル代表もやはり審査役と同じ悩みを抱いている。彼は悩みに対する答えを持っていた。NAVER(ネイバー)でデータを扱っていたという自身の強みを活かして、ウェブトゥーン業界に通用する「アナリティクスソリューション」を考案した。

webtoon todayの創業チームはこのソリューションを基盤に、CTR(クリック率)、連読率、完読率などのデータ分析を基にして、読者の最初の反応をチェックし、作品が成功する可能性を先手を打って特定するという、特別な武器を作った。

その結果、読者に好評だった作品だけが選ばれて制作され、興行不履行リスク(Risk)が大幅に減少した。ビリー・ビーンの「マネーボール」が思い浮かぶテーマである。

2000年代初頭にアメリカのメジャーリーグで最下位圏にいたオークランドチームが、新しい打者評価指標と徹底したデータ分析技術によってプレーオフに進出するチームとして登り詰めるストーリーだ。


Webtoon Analyticsソリューション/webtoon today


ウェブトゥーンがどんぶり勘定を脱け出すソリューション...webtoon todayは、他より3倍多くの新人作家に会う 

実のところ、このシステムは、テレビドラマやゲームなどのコンテンツで実証されている「パイロット制作システム」の一種だ。全体的な制作コストが高いコンテンツは、パイロットプロセスにおいて、興行収入の可能性を把握できるデータにより、検証され、本制作に入る。

しかも、ウェブトゥーンは、パイロット制作の単価が他のコンテンツよりも低いため、このアプローチがより容易に機能する環境である。

ウェブトゥーン市場は急速に成長したが、誰もこうした試みを行っていなかった。大雑把な新人発掘と少数の主観的な判断から興行収入の可能性を判断していたのだ。非効率な市場の中で、webtoon todayの創業チームは、他のチームには真似できない、明確な強みと差別性を確保している。

新しい試みは定量的指標によっても確認することができる。webtoon todayは、アナリティクスソリューションを通じて、業界内主要競合他社の約3倍を超える数の新人作家の原案を検討した。

また、単に多くの原稿を受け取っただけでなく、それらの作品の面白さという要素も客観化した数値により、一目で把握した。その結果、将来「テントポール」(興行作)になり得る作品たちを、新芽の状態から見分け、プラットフォームでの連載の成功率も大幅に向上させた。

ウェブトゥーンの制作市場では、1つのヒット作品を作ってから次の成功作を作りだすまでに長い時間がかかる。すなわち、成功は次の成功を保証するものではないのだ。その理由は、勘に頼った新人発掘や創作プロセスと、成功から得られるノウハウが内部に蓄積できないという問題点にある。

webtoon todayのチームは、「データに基づく検証」と「パイロットシステム」を通じて問題解決の糸口を見つけようとしているチームである。webtoon todayのやり方が正しければ、私たちはグローバルで大規模な知的財産(IP)ラインナップを持つ「ウェブトゥーン業界のディズニー」に会えるかもしれない。

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。

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