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それでも韓国のスタートアップは日本に行く

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それでも韓国のスタートアップは日本に行く

日韓ベンチャー・スタートアップ投資サミット2024


日韓ベンチャー・スタートアップ投資サミット 2024


10日(金)、東京虎ノ門ヒルズ森タワーで「日韓ベンチャー・スタートアップ投資サミット2024」が開催されました。今回のサミットには韓国の中小ベンチャー企業部長官、日本の経済産業省長官をはじめ、VCやスタートアップなど約150人が参加しました。このサミットでは、両国が総額1億ドル規模の共同基金(ファンド)の設立を発表し、話題になりました。

 4月16日、総務省のLINEヤフー(ラインヤフー)に対する行政指導以降、韓国での世論がよろしくない状況の中、韓国スタートアップの日本進出は今も進んでいます。 KOTRAの統計によると、日本に進出した韓国の新規法人数が2022年の158社から昨年は初めて200社を超えました。


日本における韓国企業の新規法人数 /出典:ソウル経済

 

日本市場を開拓する理由

 韓国のスタートアップが新たなチャンスの地として日本を訪れるようになったのは、日本政府が「スタートアップ育成5カ年計画」を通じて2027年までに10兆円規模のスタートアップ投資計画を発表したからです。韓国は現在、高金利の余波でVCの投資心理が萎縮しており、そのため韓国のスタートアップは新しい市場を開拓しなければなりませんでした。

例えば、韓国のヘルスケア産業の場合、EMR(電子カルテ)やPHR(個人健康記録)のような病院や個人向けの利便性を高めるサービスは生き残りました。一方、非対面診療関連サービスの場合は、コロナ禍の期間限定で非対面診療が許可されましたが、結局、コロナ禍の終息後に再び禁止されました。 

そのため似たようなサービスを運営する企業は日本市場に目を向け始めました。すでに日本では非対面診療や薬の宅配サービスが合法化されて運営されており、市場が拡大する傾向にあったからです。


ドクターナウ日本アプリ画面 /出典 Be Success


実際、韓国非対面診療サービス1位の事業者であった「dr.now(ドクターナウ)」は、非対面診療が再び韓国で制限されたため、日本現地に法人を設立し、創業者が直接日本法人長を務めるなど積極的な動きを見せ、アマゾンヘルスケアなど日本に進出したビッグテック企業との競争を準備しています。


日本現地進出への不安と懸念


一方、一部の主張ですが、日本に進出する韓国のスタートアップが増えると同時に、今後、事業を運営する過程でLINEと同様の持分に関する論争が発生し、経営権や事業にリスクが発生する可能性があることを懸念する声もあります。 

当面は直接的な不利益はありませんが、長期的な視点でサービス利用者が増え、それによって日本の利用者のデータが蓄積されれば、今回のような事態が発生する可能性もあるということです。 特にグローバルを目標に挑戦しているスタートアップにとって、このようなリスクはできるだけ減らしたいのは当然のことです。

実際、韓国メディアの報道によると、スタートアップ関係者は匿名で、「良くない前例ができてしまった」と明かし、また、ある投資業界関係者は「韓国のスタートアップが生存のために日本に進出する状況で、一連の状況が投資誘致の過程で否定的な影響を及ぼさないか懸念する視線がある」とも明らかにしました。


それにもかかわらず



日本の主なスタートアップ育成政策


それにもかかわらず、韓国の多くのスタートアップは過去に北米や中国、東南アジアなどに進出しており、現在は日本に進出し始めています。日本社会にニーズがあり、社会全般にチャンスがたくさんあるからです。 特に日本と韓国は少子高齢化、貧富の格差、世代間格差などのペインポイントと文化的な面での類似点が多く、地理的なアクセスも良いので、サービスを発展させるのにも適しています。

また、安定した内需の市場を基盤とした十分な購買力と日本政府のスタートアップ政策、低金利政策はもちろん、莫大な社内留保金を保有する大企業の積極的な投資により、資金流動性も潤沢です。


中小ベンチャー企業部オ・ヨンジュ長官


韓国のスタートアップは皆「JAPAN Dream」を夢見て日本に進出します。彼らに必要なのは機会と投資です。そして、彼らの企業活動を通じて、日本社会に新たなデジタル雇用と活力をもたらします。 

しかし、彼らにとって、機会や投資に先んじて重要なのは確かな信念です。 オ・ヨンジュ中小ベンチャー企業部、長官は、韓日ベンチャー・スタートアップ・サミット2024に関する懇談会で、スタートアップの懸念と関連し、「韓国政府省庁レベルで現地支援機能及び法的諮問を強化する」と明らかにしました。

日本政府もこれまで以上に前向きな姿勢で、スタートアップの進出と運営、成長について、両国の信頼関係がより強固なものとなるよう共に努力していく必要があります。

 

参考リンク:https://brunch.co.kr/@dmone/119

/media/パク・ジュニョン(박준영)
記事を書いた人
パク・ジュニョン(박준영)

世の中の様々な話題を人々に伝えるコンテンツを扱うエディターです。 会社に通いながら人々に知識を共有し感じる幸せが好きで、現在はフリーランサーコンテンツエディターを目標に文を書いています。 誰でも読みやすい文を作成することが私の目標です。 現在は個人ブログと韓国の投資コミュニティ2~3ヶ所に寄稿しています。