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2024年韓国投資のための3つのキーワード

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2024年韓国投資のための3つのキーワード

 はじめに

こんにちは。KORIT読者の皆さん。

波乱万丈だった2023年を終え、新しい2024年が始まりました。

パンデミック以降、新たなニューノーマル(New normal)の時代に入り、多くのことが変化している今、グローバル経済は難しいものの、それでも韓国は多くの変化を図っています。特に経済、社会、文化の領域ではそのような部分が目立っています。新年を迎え、韓国のトレンドをキーワードを中心に例とともにまとめてみたいと思います。

 

1.人工知能(AI)


世界中で同様ですが、韓国でも最も注目されているキーワードは、人工知能(AI)です。1月9日から12日まで米国ラスベガスで開催されるCES 2024のスローガンが「All Together, All On」であることは、現在AIが最もホットなキーワードであることを物語っています。AI技術は産業を問わず、あらゆる産業に適用され、融合し、イノベーションを起こしています。

昨年、科学技術情報通信部では2023年をAI日常化元年と宣言しましたが、実質的に私たちの生活の領域にAI技術が積極的に介入されるのは今年になるでしょう。韓国の時価総額2位の半導体企業であるSK Hynix(SKハイニックス)のCEOは、AIを基盤とした革新を新年の挨拶で言及し、今年1月17日に米国で公開予定のSAMSUNG(サムスン電子)のスマートフォン「Galaxy S24」をはじめ、On-Device(オンデバイス)AI、インターネットが接続されていなくても独自のAI演算が可能な機器がリリースされる予定です。 

ハリウッド作家のストライキ

実際にChatGPTの登場で日常生活に浸透したAIは、私たちの生活に多くの変化をもたらしました。特にクリエイティビティが求められる、絵画、音楽をはじめとするアートや創作の領域は、AIの発展の中でも生き残るだろうと思われていましたが、真っ先にAIに市場を侵食されています。ハリウッドでは作家や俳優がAIを起因としたストライキを繰り広げ、韓国のゲーム業界では声優やイラストレーターの代わりにAIを活用したゲームが制作され始めました。 

他にもヘルスケア、金融など様々な産業にAIが融合し、チャットボット、ロボット、セキュリティシステムなどの形で私たちの生活に適用されています。特に韓国は新しい文化や技術に対する受容性が高く、グローバル市場を狙った製品のテストベッド(Testbed)市場として脚光を浴びているため、AI関連ソリューションであれば、2024年の韓国のAIトレンドに注目する必要があります。


2.デジタル・トランスフォーメーション(DT)とESG

デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)とは、デジタル技術を活用して企業のビジネスモデル、プロセス、製品、サービスなどを革新し、顧客のニーズと価値を満たす変化を指します。デジタル・トランスフォーメーションは、新型コロナウイルス発生以降、伝統的な企業のDTへの転換がさらに加速しています。特に、在宅勤務や非対面サービスが増加し、デジタルが企業の競争力を判断する基準になりつつあります。

韓国国内メディア「韓国経済新聞」の報道によると、投資氷河期だった昨年、大規模な投資を受けたスタートアップは、主にB2B(企業間取引)領域のビジネスを行う企業でした。業務自動化SaaSを開発したmuhayu(ムハユ)は最近、プレIPO(上場前株式投資)ラウンドで150億ウォン(約16.5億円)の資金調達を行い、病院・医院の再診患者管理のためのSaaSアフタードックを運営するMedipal(メディパル)は50億ウォン(約5.5億円)規模のシリーズA投資を受けました。その他、業務用コラボレーションツール「JANDI(ジャンディ)」を運営するToss Lab(トスラボ)、チャットボット運営会社のChannel Corporation(チャンネルコーポレーション)なども海外で実績を上げています。

 

ESGは環境(Environment)、社会(Social)、政府(Governance)の略で、企業の社会的責任と持続可能性を評価する指標として用いられています。海外でももちろんESGは重要な話題ですが、最近の韓国ではESG経営を行わない企業に対する否定的な認識が以前よりずっと高まっています。

代表的なものとしては、2022年、SPCグループの系列会社であるSPLの食パン工場で従業員が機械に挟まれて死亡した事件を処理する過程における、企業の責任回避的な態度と事故前後の労働者に対する待遇の問題、そして加盟店に対する共生の気持ちの欠如したトラブル達が次々と明らかになり、世間の非難を受けました。しかも、事故の1週間前にも同様の事故が発生していたにも関わらず、期間工であることを理由に「病院には自分で勝手に行け」という発言をしたことが明らかになり、世論は「最悪」の方向へと傾きました。

 

SPC工場死亡事故現場

 その後、韓国国内ほとんどのパンを供給しているSPCグループの系列会社には、パン市場の83%を占めているのにもかかわらず、不買運動が起こり、結局、当該企業の株価は事故後、現在まで下落傾向を逃れられていません。80~90年代の高度成長期には、事故発生や労働者への不当な処遇のようなESGリスクがあっても、製品が良ければ消費者の選択を受けることができていました。しかし、現在、今回のSPC事件のようにESGリスクを犯したまま、何か一つの事件がトリガー(Trigger)となれば、結果として企業の危機と生存の問題につながることもあります。  

 

3.サブカルチャー

 「サブカル」コンテンツが大衆の関心を集めています。特に日本風のサブカルコンテンツが韓国の若い世代の心を奪っています。ほんの数年前までは一部のマニア層の非主流文化として扱われていましたが、今では地上波放送に取り上げられたり、大企業とのコラボも行われています。韓国で、サブカルチャーは自身の領域を限りなく広げていっているのです。

NAVERコンテンツ部門実績推移(2021~2022)

かつては音楽、ゲーム、漫画、アニメなどの趣味を持つ人だけが楽しむもので、産業規模が小さかったのですが、今では他の大衆文化と同じか、むしろより大きな規模となっている状況です。韓国国内マーケティング企業のレポートによると、2022年のNaver(ネイバー)のウェブ小説、ウェブトゥーン売上は1兆664億ウォン(約1173.4億円)で、Naverのコンテンツ売上の90%を占めています。 

インターネットや雑誌、配信などサブカルチャーに比較的親和的なメディアはもちろん、地上波放送でもサブカルチャーを否定的に扱うことはなくなり、ファン文化やオタクを肯定的に描くことが多くなりました。そのため、K-POPアイドルや有名俳優をはじめとする有名セレブもゲームやアニメなど、これまでサブカルチャーとして扱われていた趣味を公開し、ファンと積極的に交流するようなケースも多くなりました。


俳優シム・ヒョンタク

このようなサブカルチャーの普及は、やがて産業全般にも影響を及ぼし始めました。ソロ配信から始まった韓国初のバーチャルアイドル「ISEGYE IDOL(イセゲアイドル)」が音源チャートの上位を占領し、それを基にエンターテインメント企業もバーチャルアイドル「PLAVE」をデビューさせ、今年は単独コンサートまで準備しています。

また、2023年の映画産業は、日本アニメの興行がなければ絶望的だったといえるほど、事実上アニメが劇場を養っていました。韓国の大作映画が相次いで大敗する中、昨年1月4日に公開された「The First SLAMDUNK」、新海誠監督の「すずめの戸締り」などが興行に成功し、観客を劇場に誘い込み、ゲーム界でも日本の代表的なサブカルゲームである「ウマ娘 プリティダービー」が興行上大成功を収め、昨年7月基準で累積売上1,000億ウォン(約110億円)を達成しました。






ウマ娘/The first SLAMDUNK/すずめの戸締り

このような認識の変化は、食文化にも日本的なトレンドを生み出しています。韓国では、これまでも流行していたラーメンや天丼を超え、お好み焼きや焼き鳥がトレンドとなり、アサヒビールのSUPER DRY生ビール缶は品薄になるほどヒットしました。現在では特定の商品だけでなく、外食産業でも、お店の外観まで日本風のインテリアで飾り付けられた店が、若い世代にホットスポットとして人気を集めています。

 

飲食店を占領した日本風インテリア

結論として、日本文化は今や韓国で見慣れぬ文化ではなく、主流文化の一つとして扱われているのです。特に若い世代には、以前の世代よりも文化的な親しみがあります。K-POPが日本の大衆文化に影響を与え、日本の外食産業でも韓国風のインテリアが人気を集めていると聞いています。それだけ両国の文化的親密度が高まった今、KORIT購読者の皆さんが韓国への新たな投資を模索しているならば、今が良いタイミング、チャンスとなるやもしれません。

2024年もよろしくお願いします!

/media/パク・ジュニョン(박준영)
記事を書いた人
パク・ジュニョン(박준영)

世の中の様々な話題を人々に伝えるコンテンツを扱うエディターです。 会社に通いながら人々に知識を共有し感じる幸せが好きで、現在はフリーランサーコンテンツエディターを目標に文を書いています。 誰でも読みやすい文を作成することが私の目標です。 現在は個人ブログと韓国の投資コミュニティ2~3ヶ所に寄稿しています。

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