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「子供の時間」をデータで満たす企業「Jaranda」のストーリー|Startup's Story #463

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【Startup's Story #463】「子供の時間」をデータで満たす企業「Jaranda」のストーリー

幼児童教育・保育マッチングプラットフォーム「Jaranda(ジャランダ)」は急速な成長傾向を見せているスタートアップだ。累積140億ウォン(約14.3億円)に達したシリーズAラウンドまでの過程はVC(ベンチャーキャピタル)業界でJarandaを評価するバロメーターといえる。

Jarandaは、単純な訪問保育サービスと考えることもできるが、裏面を見るとテック企業に近い。個別児童の教育、保育関連の自然語データをテキストマイニング(Text Mining)し、条件に合った教師、教育プログラムを自動推薦する。マッチングから訪問、訪問レビューまで、全過程をデータとして蓄積しながら、4~13歳の子供たちの成長を体系的に管理している。

教育市場と保育市場に二分されていた既存のサービスとは異なり、Jarandaは学齢期の子供のための教育と保育を1箇所で探すことができる結合されたソリューションを多様に提供するのが差別点だ。

個々の子どもの性格、関心事項などを分析できる「成長データ」とマッチングアルゴリズムをもとに、今後の子どもの成長に必要な教材、コンテンツ、アクティビティなど、より多くのソリューションを提供する「キッズトータルプラットフォーム」になることを目指している。

Jarandaチャン・ソジョン代表は、Motorola(モトロラ)でモバイルUX・UIデザイナーとして10年、Cheil(チェイル企画)でデジタル事業戦略担当として2年間勤務した後、2016年「自分に必要なサービス」を作るために創業者となった。1人で創業し、5年5ヶ月目を迎えたチャン代表と会い、これまでの創業プロセスと目標を聞いた。


Jarandaは急速に成長したスタートアップとして評価されています。他のスタートアップに比べて現在までのプロセスがとても順調に見えます。

2016年度に1人で何もわからず始め、サービスは2017年にローンチしました。2017年にsopoong(ソプン)アクセラレーションプログラムを通じてMVP(最小機能製品)を作成し、2018年にGoogleスタートアップキャンパスでチームビルディングを行い成長することができました。

同年、 D.DAY(銀行青年創業財団)・D.CAMPが毎月開催しているスタートアップデモデーに出場し、優勝しました。当時、IR活動をしばらく行っていた時期でしたが、KakaoVentures(カカオベンチャーズ)が投資決定をしてくれてフリーA投資を終え、2019年初めに迅速にシリーズAラウンドをクロージングしました。

今年は97億ウォン(約9.9億円)の投資を誘致し、シリーズAブリッジラウンドを終えました。

ですが、KakaoVenturesと出会うまで投資すると言ってくれるVCはありませんでした。ほとんどの投資会社から「保育サービスという市場はない」、「市場があるとしてもゆっくり成長するので、スタートアップがやるべきことではない」というフィードバックを受けました。

投資家が望む急速な成長タイプと、当社のサービスは非常に離れていました。理解はできます。本サービスにおけるすべてのプロセスは、ITを基盤とした迅速なものではなく、人が途中でチェックしなければならない形であり、そのようなシステムを捨てる気はないと強調していました。そのため、ほとんどのVCから、市場とシステムに問題があるため、投資は難しいと言われました。

当時、周りの多くの方から、子供の保育とマッチングさえすれば拡張にも向いており、ユーザーも全国で迅速に確保できると助言されました。私たちが家庭に直接訪問し、先生は子供をどう扱うべきかということに介入し、クオリティコントロールをして一定の調整まですることがサービス拡張の障害物だという意見でした。

実のところ、当時の8人規模の組織で行うには、あまりにも膨大な事業アイテムと構造でした。それで保育先生マッチングだけにし、目に見えない管理領域の部分は切り離してしまおうか、非常に悩みました。


しかし、諦めることなく、最初に考えた方向で、これまで事業を進めてこられました。きっかけはIRの最後に出会ったKakaoVenturesだったとお聞きしました。

KakaoVenturesは投資IRが目的というよりも事業を継続しても良いのかどうか、尋ねてみたくてお会いしました。私は先生が家庭に訪れることが重要なのではなく、子供と何をしたのか、そして関連内容が親に正確に伝わっているかが核心だと感じていました。

その根幹となるのが、丁寧に書かれた訪問日誌を基にしたデータ基盤のシステムでした。しかし、それができないと感じ、歯がゆい思いでした。そこでKakaoVenturesのチョン・シンア代表に会い、私が本当に解決したかった問題とサービスの管理領域について説明しました。 

「訪問の後までコントロールしてこそ、意味のある事業だと思い、システムを作りましたが、それが今私たちの足を大きく引っ張っています。一度は諦め、後でやるべきでしょうか?」とアドバイスを求めました。その時、チョン・シンア代表が「それが1番重要な部分」であり、絶対にあきらめないようと仰いました。

そして2週間後に来ると言われ、本当に審査役を帯同して来られ投資を決めてくださいました。KakaoVenturesの投資が潤滑油となり、次の投資へと続きました。

以後、投資をしてくれたDaekyo Investment(テギョインベストメント)、ウリ銀行、Korea Investment Partners(韓国投資パートナーズ)など、すべての株主が私たちの考えに同意してくれています。


初期スタートアップが投資を受ける際に最も念頭に置かなければならない部分は何でしょうか。

結論から言えば、会社のビジョンに共感する投資家に出会わなわなければなりません。もし私がサービス的な部分だけを強調する投資家と手を取っていたら、大変だったでしょう。Jarandaは外面だけ見れば子供の保育サービスですが、目に見えない面で多くのものを作っています。

しかし、それを待ってくれる投資家は一般的ではありません。当社の投資家たちはJarandaのビジョンに完全に共感してくれれており、もはや当社のサービスのファンである方々が多数です。当社の投資家の中には「Jarandaのサービスを通じて人生が変わった」とおっしゃる方もいます。

そんな方々が投資をしてくださり、会社の方向性を支持し、待ってくれているのです。

創業当時は、自分に対して大きな自信がありました。お金さえあればどんな商品でもみんなうまく作れると思っていました。それで投資家が誰であろうと「とりあえずお金だけ受け取ればそこまで」という風にいい加減に考えていたのです。

もし実際にそのように投資を進めていたら、ここまで来られなかったでしょう。後で後悔しないためには、少額でも会社のビジョンに大きく共感をしてくれる投資家から資金を受け取らなくてはなりません。


Jarandaは2018年、Googleスタートアップキャンパス入居企業に選ばれたのに続き、2018年「4月スタートアップデモデー D.DAYで優勝した。 ⓒPlatum


12年間社会生活をしたベテランですが、創業はJarandaが初めてです。記憶に残る、試行錯誤の思い出としては何がありますか。

法人設立から試行錯誤でした。アプリ登録をするには法人が必要なため、すぐに駅三(ヨクサム)税務署に行って登録しました。急いでする必要はなかったのに。それ以外にも色々あります。

しかし、今振り返れば試行錯誤ですが、その時にまた戻っても、おそらく同じようにすると思います。あの状況で、あの判断、行動をせずに、他のことをしただろうとは思えませんし。実際、最大の試行錯誤は事業を始めたことでしょう。(笑)今知っている知識を持って当時に戻ったら、絶対に事業は始めないと思います。


職場で織員として働くのと自分の会社を作る創業者とでは何が違いますか。

製品を作るということは変わりません。ところが創業後に考えの及んでいなかった領域に直面することなになりました。特にHR(Human Resource)が最も大きく来ましたね。振り返ってみると、経営者に必要な素養が何なのか、どのような部分を成長させていくべきかについて、あまりよく考えずに創業しました。

これまで商品を作り、市場に出して、ウォーキングするようにするのはそれなりにやってきたと自負していたので。

しかし、複数の人に共通の価値観をもたせ、自発的に動くようにさせるのは、職員として働いているときには分からなかった部分です。インフラが整った組織で小規模の人員で素早く動くことに馴れてしまっていました。創業し、組織が働くようにすること、自分以外の人に動機付けをするというのは思った以上に難しいことだと知りました。

特に1番難しかったことの1つが採用です。無理数を置いた採用、状況に合わせて進めた採用は全て失敗しました。子供を産む前と育てるのでは違うように、自分の仕事を上手くやるのと経営では大きく異なることを創業プロセスで悟りました。そのため、誰でも創業者になることはできますが、経営者にはなれないと感じています。

会社のビジョンに共感する投資家に会わなければならない理由もここにあります。経営をする中で、試行錯誤も多かったですし、今後もそのようなことがもっと出てくるでしょうが、すべてを私1人の力で解決するのは大変です。会社のメンバーが最大の力となりますが、株主は色々な面から大きな力になってくれます。

さまざまな産業を見ている人たちなので、Jarandaの差別点と必要な点をたくさんアドバイスしてくださいました。

良い投資家に出会った際に得られる非常に大きな強みです。そのため、株主投資家を受け入れる時には、それがFI(財務的投資)であろうとSI(戦略的投資)であろうと、一緒に戦略について考えていくのだ、という思いで進めるべきだと感じます。

KakaoVentures、D.CAMPなど投資をしてくれた機関から最も大きな助けとして受け取るのがHRです。

Quantum Insight(クォンタムインサイト)ファン・ソンヒョン代表、sopoong Venturesチェ・ギョンヒ理事もHRの部分で多くのアドバイスをしてくださいました。メンバーが30人を越えてくると、HRの必要性が大きくなってきます。

15人未満の時は本当に一丸となって粘り強く結びついており、何かを推進すれば、すぐに達成できていましたが30人を越える中で、足並みの乱れが出てきたのです。その時、企業文化とルールが必要だと判断しました。


多くのスタートアップ創業者が同じ悩みを持っているはずです。その難関をどのように乗り越えていっていますか。

「内部顧客」という表現を使いますよね。チームJarandaを製品だと想定し、メンバーを組織内で成長させる、ということについて考えています。結局、組織というプロセス、システムにおいてメンバーが会社に寄与する部分、会社がメンバーに貢献する部分が合意されていてこそ「チームJaranda」というプロダクトも成長すると感じます。

メンバーがチームJarandaでしたい経験、会社がメンバーに提供できる報酬を調整し続けていっています。私は会社という組織が好きではなく、順応して勤めていた人でもありません。ところが皮肉にも今会社という組織を作っています。(笑)


Jarandaに勤務すると、職員が得られる利点について、もう少し具体的に説明していただければと思います。

会社と私が提供できる最高の価値ある経験は「皆が無理だと言っていたことをやりとげた経験」だと感じています。私は、同じ時間を使って同様のお金を稼ぐのなら、仕事にどれほど価値があるかが重要だと考えています。影響力が大きいところ、良い影響力を持つところに時間を使うことが意味深いと感じるのです。

当社のメンバーに与えることができる最大の価値ある経験も同じです。最後まで押し支え、自らで問題解決を行ったという経験値とキャリアを提供するのです。会社で当然味わわなければならないのが成長です。

できなかったことをできるようにし、知らなかったことを知ること、私はそれが会社の重要な役割だと感じています。Jarandaはそれをスタッフに提供することができます。


UX-UIデザイナー出身の創業者です。創業プロセスにおけるその経験の利点は何でしたか。

欲しい製品を明確にできることです。その製品を作る際、どのような相互作用、メディエーターが必要なのか、また1番最初にどのような経験をすることになるのかがすぐにわかります。

「自分のためのサービスを作らなければならない」と考え、始めたのがJarandaです。このモデルを考え出した背景としては何があるのでしょう。

子供をよく育てるにはJarandaのような子供保育サービスが必要ですが、私が必要としていた時代には市場に存在していませんでした。なぜないのかを見てみると、保育に関連した認識があまりにも不足していることが最大の理由だったのです。

両親が背負うはずの責任が、母親に偏りすぎているように感じました。それを変えるサービスが出たり、誰かが認識変化を強く唱えなければ、市場は変わらないと感じました。創業して社会認識と市場を変えよう、と考えたのです。他のことは知らずとも、「エッジ」の効いた製品を作るという自信はありました。

ご自身の創業はどの段階に来ていると考えられていますか。最初に描いたサービスのスケッチはどのくらい彩色されているでしょうか。

子供のデータをもとに複数のソリューションを推薦するという大きな画のもとで事業をしており、今はよちよち歩きの段階です。以前も今も、私にとって創業とはアイテムを作り出すことです。Jarandaを創業し、製作した商品がある程度市場に合ったので「0から1へ」は行えたと評価しています。

今は、次の段階である「1から100へ」を作る過程にいます。もし創業を悩んでいる方がいるなら、始める前にどのように「0から1へ」、「1から100へ」までを作り出すかの戦略を立てて始めることをお勧めします。その計画が明確に立っていてこそ、試行錯誤を減らすことができます。


チャン代表は自分を「決まったものより変化、慣れた道ではなく、新しい場所に行くことを好む性格」と説明したことがあります。このような考えになった背景には何があるのでしょう。

不快なものを我慢できない性格なんです。幼い頃から慣習的なものに拒否感のようなものがありました。両親は私が社会不適応者になるのではないかと心配していたそうです 。(笑)

「無条件に○○はしないでください」、あるいは「他の人がみんなこうしているから、あなたもそうしなさい」という式の論理がうまく受け入れられません。理解できなければ、理解できる方法に直して変えなければならないと思う性格です。

幼い頃の話ですが、芝生の周りに立っていた「入らないでください。」と書かれた看板にあまり納得できませんでした。公園に素敵な芝生を作っておきながら、なぜ入ってはいけないのかさっぱり理解できなかったのです。それで、普通に入って遊んで引きずり出されるのを繰り返したりしていました。後に父がなぜ入ってはいけないのか説明してくれて、やめました。

高校の時もそうです。昔学校では朝運動場で朝会をしていましたよね。私はなぜ先生と学生の両方が運動場に立って、朝会をしなければならないのかわかりませんでした。それで校長先生にその理由を説明してもらいました。ちゃんとした答えは聞かせてもらえませんでしたが。(笑)

Jarandaのサービスを作ったのも同じコンテキストです。昔も今も、子供を育てる環境は変わっていません。社会は子供たちに一括的なことを強要しています。

子供ごとにみな違い、子供だけの方式があるはずですが、画一的に塾のような教育機関に行かせることが当たり前になっています。そういう状況が理解できませんでした。だから変えたいと思ったのです。



Jarandaは「親の時間」だけでなく「子供の時間」まで満たしてくれる役割を目指しています。「子供の時間」はなんでしょうか。

「子供が欲しいものを把握し、子供の関心を拡げる」ことと言えると思います。一例として、私の家の子供は数学が好きですが、単純な問題を解くのは好きではないんです。塾でやるようにどこからどこまで問題集を解くというのは合いません。

一方、数学の本や科学の本を読むのは好きです。それでJarandaの先生に数学や科学原理を重点的に教えてもらえるよう頼みました。その方法で先生と子供が時間を過ごした後、トレーニングコースのフィードバックが来ます。それが積み重なることで、子どもへの理解が深くなり、どんどん子供に合う方法になっていくのです。

このように典型的なカリキュラムではなく、子供がどんな部分に強みがあり、それを拡げるには先生とどのような相互作用持てば良いのかを示しています。Jarandaが解決したい問題は、単純な子育てや教育ではなく、子供の時間を豊かに満たす、ということです。


システムがどんなに良くても、それを行う人が基準に満たなければ足並みは揃いません。Jarandaの先生が行うのは、一般的な子どもの保育とは違いますが、どのように先生を検証していますか。

アイデンティティ検査はあまりにも基本的なものです。Jarandaの先生として一番重要な基準は子供が好きでなければならない、ということです。この基準は私たちのチームの哲学である「好きでこそ、うまくやれる。そしてもっとうまくやりたくなる」に触れる部分です。

そして、次に見るのがスキリングです。子供とどのように相互作用を起こせるか、または対処能力がどれほど優れているかを見ます。スキルは、私たちがいくらでも育てることができると思っているので、結局は仕事をする姿勢が最も重要です。子供は物でもなく、サービスしなければならない対象でもありません。

Jarandaの先生は子供を心から理解してあげなくてはいけません。子供が好きでなくては、2時間、3時間、4時間を一緒に過ごすことはできません。


先生が子供が好きなのはどのように検証するのですか?

アンケートで同じ質問を少しずつ変えて3回以上尋ねます。HCI(Human Computer Interaction:人間とコンピュータ間の相互作用に関する研究)または認知心理学で行う方法論のいずれかを使用しました。

子供についてどう思うか尋ねるのですが、似たような質問を少しずつ変えて何度もする中で、回答が少しずつ変わる方は演劇性や仮面性があると評価します。志願してこられる方はみんな子供が好きだと書いていますが、アンケートを行うと必ずしもそうではないということが結果に出ます。


Jarandaはデータに基づいてサービスを提供します。目に見えない領域ではどんなシステムが作られているのでしょうか。

サービス名のように子供がよくJaranda(育つ)ことができるようにするデータを積みあげています。子供と先生が共に活動した記録が8時間ほどあれば、ある子供の強みをある程度は引き出すことができます。訪問日誌にある単語を抽出して構築するのです。

先生が子供たちと時間を過ごした後、訪問日誌に子供の長所を書きます。その文章から動詞を除き、動詞の前にある目的語を分類して、蓄積します。例えば、言語才能、ストーリーテリングする能力、折り紙への情熱、丁寧で暖かい心などのキーワードですね。

保護者の考える子どもの長所とJarandaで考える長所には多少違いがあります。保護者は「うちの子は周りのものに関心が高い」または「科学に関心が高い」程度にとどまっている場合が多いです。しかし、「この子は文字を分析する能力に長けている」のようなことはお考えになりません。

Jarandaの先生は何時間も没入して子供だけを眺めながら子供を観察します。英語や国語がよくできると評価するのは簡単ですが、「単語をキャッチする能力が優れている」と子供の強みを詳細に記録するのはありふれたものではありません。単に保育や子供の教育を解消することを越えて、この子は今何が上手く、何をやっていて、どんな相互作用を持つべきかまで示そうとしているのです。

データを用いて分析しなければ提示できない部分ですよね。時間が経つにつれて、データはより厚く積み上げられ、子供に合ったカスタマイズもスムーズに行えます。


Jarandaの目標は「キッズトータルプラットフォーム」です。具体的にどんなものかを説明していただければ。

ある子が持つキーワードを中心に、先生、教材、おもちゃのようなものが有機的に繋げられるのが、トータルプラットフォームだと考えています。子どもを中心に置いてデータを基に推薦を行うシステムです。

Jarandaを初めて利用する保護者にはデータがありませんよね。その場合は、簡単なアンケートで子供の基本的な情報を確認し、同様の傾向を持つ子供たちの経験を見つけます。新しいものが好きな子供と慣れ親しんだものが好きな子供では天地ほどの差があります。

新しいもの好きな6歳の男の子であれば、Jarandaで新しいもの好きな6歳の男の子たちのデータにアクセスします。その子供によく合った授業、よく合った先生、よく合ったゲーム、よく合った本を推薦するシステムです。現在、個人のデータを集めて分類する段階までは来ました。子どものデータ、先生のデータ、教材やおもちゃなど、物のデータまでキーワード別にまとめています。


ⓒPlatum


スタートアップは創業者の役割が最も大きいでしょうが、チームの力も重要です。Jarandaメンバー、職員の強みは何だと思いますか?

Jarandaのメンバーたちはチーム間の理解度がとても高いです。自分の仕事と他人の仕事を分けず、他のチームメンバーが忙しそうだったり大変そうな場合は、喜んで一緒にやってくれます。また、チームメンバーが悩んでいたり、辛そうであれば一緒に悩みます。

このような共感能力は、サービスに対する理解、市場に対する理解、顧客に対する理解を高めるとても大きな強みだと思います。そして仕事をこなす問題解決能力も大きな強みです。今までになかった市場を開拓しているため、私たちがサービスを作れば、すべて第一人者となります。このような挑戦自体をメンバーが楽しんでいます。

技術面ではJarandaの推薦システムが強みです。一般的な推薦システムとは違い、Jarandaは先生と保護者、両者に推薦を行う第三者プラットフォームです。もしあるシステムが私に炭酸水を推薦したとして、買いたければ買い、嫌なら買わないでしょう。

しかし、炭酸水が私を拒否できるとは思いません。Jarandaのシステムでは炭酸水が拒否できます。当社のグロースリーダーであるシム・ギュソプさんが「これまで数多くのデータを見てきたが、Jarandaのようにファネル(funnel)が高度化されたものは、初めて見た」と話されていました。

推薦して片方だけ受け入れれば終わりではなく、保護者、先生のファネルもそれぞれ見なければならず、子供の反応も見なければなりません。これが技術面での私たちの強みとなっています。まだ完璧なわけではないので着実に補完していっています。


Jarandaのサービスの高度化には、技術の支えが不可欠です。開発に関する人材は充分そろっていますか?

全体としては、QA担当者とデータチームまで入れると、約20人ほどになります。開発スタッフは常に不足しているため、様々な手段で探しています。1番欲しい人材はバックエンドリーダーです。私たちのビジョンに共感する方々に多く来てもらえればと思います。


開発者獲得にはCTOの魅力度が重要なケースが多いです。JarandaのCTOを紹介してください。

当社のCTOはCom2uS(カムトゥス)の初期メンバーです。Com2uSが1兆ウォン(約1.02億円)規模のイグジットをするまで在職し、教育ゲーム会社を創業しようとしていた際に入社して頂きました。Jarandaのプラットフォームインフラストラクチャの作成と、データシステム設計の部分がCTOのキャリアと多く重なっていたのです。

それで、新しい市場、教育領域でイノベーションを一緒にしてみようと一生懸命説得しました。Jarandaに入社後、CTOがプラットフォームインフラを本当に一生懸命作ってくれています。私は企画者出身なため、要求事項がとても細かいんです。それをよく理解して解決してくださっています。

そしてコミュニケーション能力も優れています。CSや運営でいろいろな問題が生じても、スムーズに他の部署とつなげてくれます。CTOの役割として理想的な方です。私には翼のない天使のように見えます。(笑)



どんどん増えてきてはいますが、女性の創設者の割合はまだ高くはありません。創業してから「ガラスの天井」を感じたことはありませんか。

単に私が女性だからと壁を感じたことはありません。ただ創業してから私のネットワークの中にテックリーダーがあまりにもいない事に気が付きました。IT業界の意思決定者レベルに女性が本当にいません。私はそれが一種の壁だと感じます。

逆に、男性の創業者が女性用品のマーケティングリーダーを探すときも同じだと思います。創業エコシステムネットワークは男女区分なく造成されていますが、やや不足していると感じます。より多様性があってこそ、質の高いネットワークへと発展するでしょう。

私がJarandaをする中で最も重要に考えているのが、子供に性的役割に対する偏見を持たせないようにすることです。私の両親も女の子が工学部に行ったり、エンジニアになるという選択肢は、あまり考えていませんでした。固定認識から抜け出して多様性を認めてくれる社会の雰囲気が形成されなければなりません。

テック方面は、そうした多様性が足りていない領域だと感じます。私が出会った女性エンジニアたちは、「コミュニティ内で後輩や新人を率いて、助けてくれる5年以上のキャリアを持つ女性エンジニアがなかなかいない」と吐露していました。


Jarandaはスタートアップ保育機関や投資会社との関わりが少なくありません。現在の韓国内の創業エコシステムを評価していただければ。

スタートアップの代表同士では「創業しやすい時代に、めいっぱい働ける年齢だったのが幸運」と話しています。それだけうまくいっているということです。ただ残念な点もあります。エコシステムのインフラが会社がMVPを作って事業化する過程、すなわちシリーズA段階に密集しています。

シリーズB段階、事業を拡大していく時点では、めっきり減るのです。自らで成長しなければならないという雰囲気がありました。個人的にはシリーズAからBに行く過程が1番苦痛でした。市場に出した製品は1度検証をし、その後組織を作っていくという時期でした。

当時、HR専門家のようなインフラが存在すれば試行錯誤を大幅に減らすことができたでしょう。そのような部分がより豊かになると、より急速に成長する企業がたくさん出てくると思います。


最後に、2021年12月現在の会社について知ってほしいこと、言いたいことがあれば。 

Jarandaはキッズ市場に所属しており、外側だけみると単純に見えるアイテムですが、私たちが教育で感じるペインポイントと子育てで感じるペインポイントは、それを解決できれば巨大な市場となりえます。魅力的に見えるアイテムは、実際には魅力的ではないかもしれません。

チャンスのない市場、可能性のない市場にみえるところだったり、解決するのが難しく見えるトピックほど宝石になる可能性が高いと思います。Jarandaのビジョンに共感する人材、特に開発者がいる場合は、ご関心をお願いします。



写真:チャン・ソジョンJaranda代表 

原文:https://platum.kr/archives/175917

/media/Platum
記事を書いた人
Platum

Platum is a media service that specializes in startups, and its motto is "Startup's story platform".

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