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子供をデジタル世界に安全に着陸させるパイロットたち|Startup's Story #471

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【Startup's Story #471】 子供をデジタル世界に安全に着陸させるパイロットたち

Piloto(ピロト)のイ・ダヨン代表は、幼い頃から社会参加的な奉仕活動に積極的に参加した。大学生の時には、障害児童音楽治療サービスを作って複数の賞を受賞するなど注目を受けた。しかし、それよりも記憶に残っているのは、そのサービスを使った保護者の涙だった。

「多くの保護者の方々が私の手を握って涙を流されました。 『私財をはたいてでも投資するから、これを作り続けてほしい』と言ってくれた方もいました。しかし、いくつかの問題が重なってやりたくてもできない状況になり、その期待に応えられませんでした。それが今でも心残りです」

SAMSUNG(サムスン電子)に入社願書を出した理由の一つは、自分が実装したいサービスを一緒に作ることができる開発者が多いということだった。「社会的弱者を支援するITプロダクトに着実に挑戦してきたのですが、共に製作を行える開発者に出会うのが難しかったんです。だから単純に開発者がたくさんいる会社に入って欲しいサービスを作ることを考えました」

会社で働きながら、恥ずかしくないサービスを企画するため、昇進とは無関係の教育大学院に志願した。社の業務で週末にも出勤しなければならなかったため、絶対的に時間が足りなかった。飲み会のある日には、酔いを覚ますため、わざと吐きながら邁進した。その結果、成績優秀者として入学することになった。そして大学院で現職の幼稚園教師に出会い、今の事業アイテムのモチーフを得た。

「先生たちが現場で経験した話をたくさんしてくれました。特に子供たちが携帯電話を使用する中で起こるさまざまな問題を取り上げていました。今、私たちが行っている初のビジネスアイテムは先生たちの問題提起から始まったんです」

イ代表はアイデションを経て教育と技術を結びつけるモデルを企画した。そしてAIキャラクターが子供が正しいスマートデバイス使用習慣を身につけることができるよう教育するサービスを選択した。事前に保護者が設定したデバイス使用時間が経過すると、スマートフォン画面の中にキャラクターが登場し、親しみを感じさせる雰囲気で使用の終了へと誘導する方式だ。アニミズム的思考(無生物に生命と感情を与える思考幼児期に現れる認知的特性の一つ)が投影された。

また、デバイスとの適正な距離の維持、有害コンテンツの遮断などのリアルタイム監視サービス機能も追加されており、オーダーメイドAI教育も可能だ。

このアイテムでSAMSUNG(サムスン電子)社内ベンチャープログラム「C-LAB Inside(シーラボ インサイド)」に志願し、優秀課題に選ばれた。最初から創業を考えていたわけではなかった。SAMSUNG(サムスン電子)内のサービスに移植すること考えたが、会社の製品タイプと合っていないことから、スピンオフを選択した。会社も、望むものを作ってみなさい、と励ましてくれた。それが、わずかひと月前のことであり、法人設立もしていない状況である。

創業初心者となり、ジャングルに足を踏み入れたが、スタートは悪くなかった。辞表を出してから1週間で125箇所のスタートアップが志願したStartup DemoDay(2022年5月、D.CAMP D.DAY)で優勝を果たし、入居スペースと初期投資の道が開かれた。

「入居スペースを切実に求めていた状況だったため、志願しました。共に舞台に立つ企業を見ると、孔雀とひよこが競う戦いのように思えました。ただ、舞台上で私たちの話を気楽に話そう、とだけ考えていました。運良く優勝しましたが、良いことばかりではありません。私たちに期待しているでしょうし、それ以上の成果を出さなければならないというプレッシャーがあります。まず、製品をきちんと製作することだけに集中しようとしています。ユーザーが望んでいるものを迅速に製作し、ご覧に入れることが目下の目標です。

Pilotoの長期的なマイルストーンは数年後ではなく100年後に合わせられている。

「教育は「百年の計」といいますが、100年後の教育が今と同じでしょうか。100年後、世界は明らかに変わっているでしょうし、その変化した姿に合わせた教育と育児モデルが存在しているでしょう。その時に、ふさわしいサービスを作ることが長期的な計画です。子供たちがデジタル世界に無事に着陸するよう、子供たちの目線のに合わせたサービスを作ろうと考えています。

Piloto創業チーム。 (左から)チョ・ジェホンCTO、チョン・スンチョンデザインチーム長、イ・ダヨン代表、チャハンナ開発者。Pilotoは去る5月、D.CAMP(銀行青年創業財団)「D.DAY(Startup DemoDay)」優勝チームに選ばれた。チームメンバー全員が会社に辞表を出してから一週間のことだった。 写真:D.CAMP


-幼い頃から社会参加活動をたくさんされています。

問題が生じる前に早期に発見してあげられる何かが必要だといつも考えていました。昔も今も、保育を行う際には、特定の手がかりを見逃してしまうと、ゴールデンタイムを逃すこともあります。適切な時期に必要な教育を遅れずに行えることが必要です。エドテックの分野で私が興味を持っているのは、より勉強ができるようになり、より優秀になることではなく、落ちこぼれてしまう子どもたちがいないようにし、問題が生まれないよう守ってあげることです。保護者が子供をいつも見守ることができない家庭でも問題がないようにするのです。非常に優秀な子供を育てるのではなく、教育の最低線を合わせることに興味があります。

教会や地域団体で奉仕活動をしていました。中学校の時から低所得層の子供たちや障害者のための美術治療の授業に補助教師として参加したりもしました。そのような授業を受ける人は少数に過ぎなかったので、より多くの人が恩恵を受けるためにはデジタルに置換することが必要だと感じました。それが大学生になった時に、障害児を対象とした音楽治療サービスを作った背景です。


-障害児に音楽治療サービスがなぜ必要なのですか。それをデジタルに替えることにはどのような意味があるのですか? 

障害児に音楽治療を提供する際には、100種類以上のアナログ楽器を持ってきて、先生たちが子供たちの状況や反応をチェックしながら小筋肉運動などを誘導します。障害のある子どもたちは手の動きを遊びでしか学べないため、持続的に行ってこそ意味がありますが、そうすると費用も持続的に発生します。コンスタントに行なわなければ、退行する形式です。

それで、スマートフォンゲームの形で音楽治療サービスを作り、モジュラーデバイスに手の動きを段階的にさせてくれるおもちゃをペアリングするようにしました。それを通じ、複数の学会や機関で賞を多数頂きました。賞よりも保護者の方が私の手を握り、涙を流されていたことが記憶に残っています。 「私財をはたいてでも、投資をするから、これを作り続けてほしい」と言ってくれた方もいました。しかし、いろいろな問題があってやりたくてもできない状況になって、その期待に応えられませんでした。それが、とても心残りです。


-その後、SAMSUNG(サムスン電子)に入社されました。

社会的弱者を支援するITプロダクトへの挑戦を続けていたのですが、私がデザインベースなため、共に製作できる人を見つけるのが難しかったんです。それで考えたのが、開発者がたくさんいる会社に入って実現化させることでした。それが、SAMSUNG(サムスン電子)に入社願書を出した理由の一つです(笑)。 入社後一緒に働いていた開発者の方と持続的にいくつかの試みを行い、C-LAB(サムスン電子社内ベンチャー制度)に挑戦しました。フルタイムで働いても大丈夫か、きちんと製作できるのかを実験し、最終的に共に製作していたチームメンバーとスピンオフをすることに決めました。それが今のPilotoチームです。


-創業の話に入りましょう。 「Piloto(ピロト)」という会社名にはどのような意味が込められているのですか?

「Piloto」はスペイン語で「パイロット」という意味です。 「子どもたちがデジタル世界へ旅立つ際、上手く着陸させられるパイロットにしよう」という意味を込めました。


-世界に必要なものを作る上で様々な選択肢があっただろうに、なぜ創業を選んだのでしょうか。

そうですね。大企業であろうと、スタートアップであろうと、形式は重要ではありません。世界に必要で、私が作りたいサービスを作ることが優先順位の1番でした。私にとって創業というのは「人に必要とさせ、好きなことを証明して見せるアプローチ」に近いです。SAMSUNG(サムスン電子)では大企業のサービス、製品に私が考えた機能がついてほしいという単純な考えで働いていました。

実は私は会社生活をとても楽しんだ人です。チームメンバーのほとんどが教授か博士であり、たくさん学び成長したと感じました。ありがたいことに、大きなプロジェクトもたくさん任せていただきました。そのため、退社したいとか創業をしたいという気持ちはありませんでした。

ところが作りたいと思うものが会社サービスのタイプと合わないことが分かり、悩みました。その時会社側から、一度外に出て試してみるよう励まして頂いたんです。C-LABはそうしたことを証明してみるプログラムじゃないですか。それで、選択しました。


-チームメンバー紹介をするなら?2人の開発者と2人のデザイナーで構成されています。チームビルディングはどのように行いましたか?

SAMSUNG(サムスン電子)で新入りの時から一緒にプロジェクトを行った開発者チャ・ハンナさん、SAMSUNG(サムスン電子)に16年在職したベテラン開発者チョ・ジェホンさん、そしてSBS VIDEOMUG(ビデオマグ)で私のメンターだったチョン・スンチョンさん、この4人です。一人一人の強みがすごくはっきりしているチームであり、自らで仕事をやりこなしてくださり、私がいなくてもよく回るチームです。おそらく、それが私たちのチームの最大の利点でしょう。

うちのCTO(チョ・ジェホン)は、2009年に発売されたアイスクリームフォンの時からスマートフォンの開発に参加されていた開発者です。私が描くビジョンに共感し、参加してくださいました。二人の子供のお父さんが大企業の良い福利厚生を後回しにして、難しい選択をしてくれました。CTOは、休みの日や余裕があるときに、自身の子供のための教育アプリを作っていたといいます。それで、教育と子供のためのソリューションには大きな可能性があり、私が作ろうとしているサービスを自分もきっと必要としていたと共感してくださいました。

デザインチーム長(チョン・スンチョン)はサムスンに来る前はCJ ENM、SBSなどでチーム長として働いていました。マネージングを務めるべき経歴ですが、今うちのチームではキャラクターを一つ一つすべて制作していらっしゃいます。本人が持つ才能で世の中に良い影響力を及ぼしたいと仰っていました。


- C-LABプログラムは独立しても、5年以内であれば再入社できるチャンスがあります。C-LAB出身の創業者がよく聞かれる質問でしょうが、もし今プロジェクトに失敗したらどんな選択をするでしょうか。

「温室の中の花、帰る場所がある人たち」と呼ばれることがあると、聞きました。結論から言って、戻る予定はありません。チームメンバー全員が会社内で高い人事考課を受けていた人であり、重要な仕事を任せられていた人材たちです。単にスタートアップごっこをするつもりであれば、退社しなかったでしょう。当社のチームは、「次世代のための技術とサービスが現在の方法で十分か」という共通の視点を持っています。併せて、持分構造、賃金、勤務方式等も、恥ずかしくないものにしなくてはならないと考え、少し過激なほどに徹底的に守っています。


-デザイナー出身の創業者はディテールにこだわるという評価があります。しかし、そのような代表と共に働く職員は辛いという意見も共にあります (笑)。 

以前は私もアイコン一つ、ボタンひとつこだわる方でしたが、開発者たちと共に働くうちに丸くなったようです。私たちのチームの開発者は私よりもディテールにこだわりが強く、完璧にしようという意志があります。そのため、結果物に対する信頼も大きいです。しかし、私はそれよりも適切な時期に必要な製品を迅速にローンチし、ユーザーにベネフィットを与えることを主に考えています。本質ではないことで、人々を疲れさせたくないのです。


-多くのスタートアップがD.CAMP D.DAYステージに立つことを念頭に置いています。125社が志願した5月のイベントで最終6チームに選定され、優勝までしました。予想していましたか?

まったく。私たちは他のスタートアップに比べ、超初期企業じゃないですか。スタートアップエコシステムにおけるD.CAMPの地位も知らなかったですし、実はD.DAYが正確にどんなイベントなのかもよく知らずに志願しました。非常に率直に言えば、入居スペースにとても切実だった状況でした。 (笑) 共に舞台に立つ企業を見て孔雀とひよこが競う戦いだと感じました。ただ気楽に私たちの話をしよう、とだけ誓ってステージに立ったんです。実は今このインタビューの席も恥ずかしいです。まだ作ったものがなく、人々に愛されたこともないため、少し身分不相応のように感じられます。


Piloto初のサービスは、7歳未満の子供向けスマートデバイス使用習慣教育AIソリューションです。画像:D.CAMP D.DAY発表画面キャプチャ


-会社業務に関連し、幼児教育専攻ということが目立っていますが、大学時代の専攻はデザインです。大学院で幼児教育を学ばれています

SAMSUNG(サムスン電子)で子供のための製品とサービスを企画し、「子供たちがどうすれば製品を簡単に楽しくたくさん使うか、そのサービスが子供たちに究極的にどのような影響を及ぼすか」について非常に悩みました。人工知能(AI)スピーカーは子供たちにどのように話しかけるべきだろう。

ため口で話しかけて親近感を与えるのが良いだろうか、それとも敬語を使って尊重する感じを与えるのが良いだろうか。それについては様々な意思決定があるでしょう。技術と子どもたちがどのような関係でスタートを切るのか、技術がどのような影響を及ぼすのかなどを、悩むことなくサービスを設計すれば、後で恥ずかしく、後悔するだろうと思いました。

最初は周囲に意見を求めて回り、テッド(TED)の動画を見たりもしました。それでも解決しなかったため、会社の近くにあるソウル教育大学で聴講をしてみようと思って、ホームページに入り、教育大学院入学選考のお知らせを目にしました。他の専攻過程はほとんど小学校教員だけが受講できると表示されていたのですが、幼児教育だけはなかったんです。それで非専攻者も受講できそうだと思い志願しました。

後で知ったのですが、私立幼稚園教師には正規教員の資格がないため、表示されていなかったんですよ。入学書類を出し行った際、所属機関にSAMSUNG(サムスン電子)と書かれたのを見て、学校関係者が「社内保育園ですか?」とお聞きになったんです (笑)。「面接で試験を受ける学校ではなく、論述試験と問答試験で受ける学校なので落ちる確率は非常に高い。任用試験を受ける人々が合格できるようなレベルで問題を出す。」とも説明してくれました。ただ受付をしたので試験は受けられるようにしてほしいと言いました。

試験のための準備量が任用試験なみに凄まじかったです。さらに、会社でIFデザインアワード公募展の準備もしなければならず、週末にも出勤していた時でした。飲み会でお酒でも飲むようなことになれば、わざと吐いてから勉強をしたこともあります。そんな条件の中で準備して試験を受けましたが、幸いにも成績優秀者として合格しました。余談ですが、周りの視線は理解できない、という感じでした。学校では、「ITデザイナーがなぜ教育大学院に来たのですか?会社でも昇進するのに必要だったんですか?」という話を聞き、会社では「教育大学院になぜ行ったのですか?老後に幼稚園をする準備ですか?」と言われました。 (笑)


-子供が正しいスマートデバイスの使用習慣を身につけることができるように教育するサービスを作られています。大学院で発見したとお聞きしました。

大学院で出会った幼稚園の先生たちの異議提起が発端になりました。私がSAMSUNG(サムスン電子)で働いてると言ったら、先生たちが怒ったんです (笑)。健康診断をすると、ストレートネックと手根管症候群を患う子供たちが多い、携帯電話をなぜそんなに重くするのか、ということでした。子どもたちはスマートフォン機器を腹ばいになって見ます。それは、スマートフォンが重いことが理由なんです。また、子どもたちが携帯電話を使用しながら起こる様々な問題を教えてくれました。

7歳未満の子供たちのスマートフォンの使用は、保護者により、各家庭ごとの程度の差が生じることがあります。他の子供から悪い表現を学ぶときも多いそうです。幼稚園で子どもたちの頭を叩きながら、「頭カチ割るぞ」と言う子どもたちもいるそうです。どこで習ったのかと聞くと、YouTubeで見たということが多いです。先生は大変です。保護者がそうするしかない理由を知っているのに、断固として注意することも難しいです。子育てはとても難しく、動画コンテンツでも見せてこそご飯も楽に食べられ、急いでいることを処理できます。

幼稚園の先生たちは口を揃えて「間に入ってくれる人がいたらいいのに」と話していました。それが、今、私たちが乳幼児をターゲットにしたサービスを作る主な背景です。だからうちのビジネスアイテムは完全に私のアイデアとは言えません。現場の先生の意見がたくさん入っています。


-そうしたアイディションを通じ、MVP(最小要件製品)まで作られたでしょうが、仮説検証はどのように行われましたが?

子供たちにとって不適切なコンテンツは、保護者がままならない状況にある時、あるいは良くないことであるという認識が不足しているときに、目に入ることになります。そうでなくても、保護者は子供のためのフィルタリング機能を求めています。正しい姿勢で適切に見てほしいし、ある程度時間が経つと案内を入れてくれると嬉しい、子供から携帯電話を取り上げたり、すぐに消してしまうのではなく、自らで見るのをやめる習慣を習慣をつける機能を。

これらのニーズを収集して分類してみましたが、要約すると「使う時はきちんと使えて、やめる時はすぐに切れるといい」ということになりました。数多くのニーズには、技術で実現できるものも、できないものもあるじゃないですか。まず、技術で解決できるものを推測する作業をし、それを教育に適合させるプロセスへと進みました。

スマートフォンをやめなければならない時間になったときの状況を考えてみましょう。今、スマートフォン管理アプリやプログラムはほとんど大人の立場で作られています。ただ画面を消すのは簡単ですが、教育的には危険な方法です。この時必要なのはどれくらい使うかを約束し、時間になったのでやめなければならない、ということを教えてやる事です。私たちのサービスではそれをAIキャラクターが案内します。

子供が自ら自制できるステップをプラスし、目線に合わせたUX的デバイスを追加しました。子供の目線で自分のいる状況を理解し、何をすべきか、そして何を期待されているのかを理解させることができます。1年間、ユーザーが語る改善点などフィードバックを収集して反映し、MVPを製作しました。

当社の製品をテストする会社内の保護者の方々は、良い評価だけをする可能性がありますよね。それで外部家庭にオファーし、使ってもらい、どれだけ改善がなされたのか大学病院で臨床実験を行いました。自己調節力が本当に発展したのか、スマートフォン中毒がどれくらい緩和されたのか、テストを通じて効果を確認しました。


-そこには「アミニズム的思考」のような理論的背景もあるでしょう。

現在、スマートデバイスを初めて使用する年齢は、乳幼児にまで低年齢化しています。なので、乳幼児の目線に合わせるために、アミニズム的思考のような認知発達特性を借用して簡単に理解できるようにしました。乳幼児の時期には文を読み書きするのが容易ではなく、発達が早くなければ文を読むのが、たどたどしいですよね。

そのため、使用状況のすべてを音で聞かせました。子供の心理カウンセリングの専門家を訪ね、私たちが考えた表現が子供たちが理解しやすい表現なのか、いくつかの単語を使う際に子供たちが一度に理解できるかどうかを確かめてもらいました。また、文章を短く分節し、5歳レベルの言語発達状況でも内容が正確に理解できるかを見ながら、スクリプトを一つずつ整えました。

保護者がスマートフォンデバイスを許可した時間が30分なら、27分くらいにAIキャラクターが「私と決まった時間にバイバイできる?約束を守れる?」と話しかけます。子供は約束を守るかもしれませんし、そうでないかもしれません。その時には、キャラクターが「待ってるね」と言いながら自分で止められるように待ってあげます。キャラクターが粘り強く待つのを見せ、子供にキャラクターとお別れしなくてはいけないような気持ちにさせるシステムにしています。

30分経つとキャラクターが「もう、本当にダメだ。ごめんね」と言いながら画面が消えます。子供が自分できちんと切れたら、褒めてあげます。 「この間きちんと約束を守ってくれたから、もっと元気になったよ。だから今日はもっと沢山遊べるよ。」と言います。きちんと守らなかった場合は「今日はちゃんと約束守ってくれる?」と聞きます。ACT(受容専念治療)療法の技法を適用して、できるだけ子供たちが自分でできるように誘導するのです。質問し、答えるのは単純なチャットボットではありません。子供の答えに基づいて、その子供の文章構成力を分析するようにしました。子供の年齢に合わせて話すようにしたのです。

当社の製品を見て「タイマー?キャラクタータイマーだよね?」と反応されることが多いです。私たちは、ユーザーに私たちの製品を見て「ただの単純なアプリじゃない?」と思ってもらいたいです。それは、直感的に理解しやすいという意味ですよね。その背後にどんな技術があるのか、私たちが何をしたいのかは、利用者にとってあまり重要なことではないでしょう。ただ、ユーザーにベネフィットだけ楽しんでいただきたいんです。


-他社が真似をする可能性もあると思います。特許出願はどうされていますか。

当社の特許は「子供のスマート機器の使用習慣と使用形態を教育し管理する人工知能音声認識アシスタント」です。通常、企業が出願する際にコア技術または一部を保護する形で行いますが、私たちはコンセプト全体を保護します。人工知能(AI)が子供の目線に合わせて対話しケアする、すべての場合の数、技術をまとめたため、より包括的だと思います。特許の所有権が事実上SAMSUNG(サムスン電子)にあり、私たちは実施権を譲渡されている形なので、もし誰か真似しようとするなら、SAMSUNG(サムスン電子)特許チームに勝たなければなりません。 (笑)

それでも、同一のサービスが出るかもしれません。当社がアプリの中に特定の自然言語処理モデルを入れたといっても、スマートデバイスの使用習慣を管理する技術が従来存在しなかったわけではありません。しかし、なぜそのように設計されていて、どのような利点があり、またどのような危険性があるのか、データをなぜ収集し、どのように分析するのかなど、「WHY」が明らかでなければ難しいと思います。あえて申し上げると、私たちはWHYが明確です。後に誰かがコピーキャットを作ると言っても、もう私たちは次のものを作っているでしょう。

また、コピーキャットが多くなれば、むしろ良いような気もします。消費者が本当に必要としていることを反証していますら。

イ・ダヨンPiloto代表ⓒPlatum


- 市場規模はどの程度だと推算していますか?国内だけでなく海外進出も念頭に置いてサービスを開始していますよね。

韓国は低出産国家なため、市場が小さいと考えている方もいますが、国家機関の調査に依り、子どもたちがスマート機器を使用している比率だけを見れば競争力のある市場です。Forbes(フォーブス)の調査によると、昨年基準(2021)で1兆ウォン(約1050憶円)規模の市場であり、年11%ほど成長しています。韓国は世界的に文盲率がとても低く、子供たちが文字を早く読み書きする方です。特に会話を通して仲裁する、子供向けカスタムUIを提供する私たちのようなサービスの需要は高いです。

最初からグローバル市場を念頭に置いて始めました。ハングル版と英語版との両方を作っているのですが、同時にローンチする計画です。アプリサービスなのでアプリマーケットに上げるだけで良いですし、InstagramやFacebookのようなメディアでターゲティング広告をすれば海外に当社のお報せが届くでしょう。CESに参加してみて、海外での需要が多いことを体感しました。今後、英語以外の言語を多く追加して反応を見ていこうと思っています。


-単なるスマートデバイス使用習慣管理に留まらないように思えます。どの領域に拡張を検討していますか。

画面と子供の顔の距離を分析し、少し遠くから見るように誘導したり、傾向を分析して前月に比べて今月はとても近くから見ているという情報を提供することができるでしょう。あるいは、6ヶ月間のデータをもとに眼科検診、視力検査案内もできるはずです。

スマートデバイスを使用しているあいだ、ログデータが溜まっていきます。何が好きで、何に興味があるのかがわかるんです。両親の同意を受ければそれを分析して商業的でない範囲でおすすめコンテンツを表示することが可能です。子供が「ちびっこバス タヨ」が好きなら、キャラクターに関する詳細情報を提供し、子供たちとの会話の話題になる情報をお届けすることができます。子供が恐竜が好きなら、恐竜展示会の情報をお知らせできます。そうした情報をお伝えすることができるでしょう。ある意味、私たちが最終的に進めたい方向です。


-今後青少年にまで使用対象を拡張する計画だと伺っています。青少年層はアニミズム的思考が通じない世代です。 (笑) 

進路や関心事に関するデータを分析して、保護者だけでなく子供本人にも提供できると思います。ほとんどの青少年が進路や勉強について悩むことが多いでしょう。自分のデータを元に、幼い頃から今まで何が好きだったのか教えてくれるんです。そのような文脈によって、専攻分野についての情報を提供することもできるでしょう。関心のある情報についての本を推薦できますし、子どもの関心事に関連する学科についての情報、関連識者の講演情報などを教えることもできます。子供たちがスマートデバイスを使う中で、形作ってきた軌跡が何を意味するのかを教えてあげたいのです。それがデジタル世界で私たちが描くデータ分析の未来です。


イ・ダヨンPiloto代表ⓒPlatum

-事業だから当然収益モデルがあると思います。どうやってお金を稼ぐのですか。

SAMSUNG(サムスン電子)でテストをしているときは、「サムスンの「キッズモード」を変えたい」という目的から始めました。スピンオフして事業化を始めたばかりで収益モデルについては初期段階です。

世間にスマートデバイスのシンプルな制御機能を提供する無料サービスは多くあります。私たちも無料の方針ですが、子供たちが自己調整力を養い、主体的にスマートデバイスの使用をきちんと主導できるようにし、子供たちの目線に合わせて教育する機能が入っています。どっちにしてもアラームをしてくれるだけなら、消費者は私たちの製品を選ぶ可能性が高いと思います。ある程度利用者が集まれば、アプリの中でキャラクタースキンを変えたり、有害コンテンツをリアルタイムでブロックする機能をアプリ内で提供することができるでしょう。

子供たちに提供されるアプリでは一切の収益を発生させない計画です。代わりに保護者用のアプリで収益モデルを考えています。5歳の子供を育てている保護者であれば、それに合ったカスタマイズされた情報をご提供するか、カスタマイズされた広告のようなものを提供する方向性でとりあえず考えています。まだ具体的でない初期段階のプランです。


-今後の長短期計画を教えてください。

会社に辞表を出してから一週間で、D.DAY優勝という良いことがありましたが、プレッシャーでもあります。期待以上の成果を出さなければならないというプレッシャーがあります。とりあえず短期的には、製品をきちんと作ることだけに集中しようと考えています。ユーザーが期待するものを迅速に製作し「これでしょう?」とお見せするのが短期目標です。

教育は「百年の計」といいますが、100年後の教育が今と同じでしょうか。100年後、世界は明らかに変化し、その変化した姿に合った教育と子育てを想像しながらサービスを作ろうとしています。子供たちがデジタル世界に安全に着陸するのを手助けするパイロットになりたいです。そのような観点からサービスを製作しようとしています。


キャプチャー画像:Pilotoのイ・ダヨン代表ⓒPlatum

原文:https://platum.kr/archives/186933


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Platum

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