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【2022年上半期】韓国スタートアップ資金調達動向まとめ|月間スタートアップレシピ

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この記事は、韓国のスタートアップメディア「startuprecipe(스타트업 레시피)」が発行する「月間スタートアップレシピ(월간 스타트업 레시피)」の情報をもとに、資金調達状況や動向を掲載し、企業情報を紹介しています。

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2022年上半期 韓国スタートアップ資金調達動向まとめ

2022年上半期の韓国スタートアップ企業投資概要

スタートアップ投資市場は低迷期に

2022年上半期のスタートアップ投資市場は低迷期を迎えた。昨年のような歴代級の投資好況期は今年は期待できない見通しだ。グローバル経済の不安定な状況は韓国の国内市場にも影響を与えた。投資規模が減少しており、このような流れが長期化するのではないかとの見方が強まっている。

 

年初は好調スタートも、3月から状況変化

しかし、始まりは悪くなかった。2021年の投資熱に引き続いて、今年1月には1兆3,386億ウォン(約1,395億4,100万円)が集まり、月1兆ウォン(約1,000億円)以上の資金がスタートアップに流れ込んだ。また、ソフトバンクがQraft Technologies(クラフトテクノロジー)に1,750億ウォン(約182億3,800万円)規模の単独投資を行い、韓国内のスタートアップに対するグローバル投資会社の関心も高まった。2月は1月に比べ投資件数は減ったが、総投資金額は1兆ウォン(約1,000億円)以上を維持した。

しかし、500億~1,000億ウォン(約50~100億円)台の投資が大きく減り、成長段階の投資が減少し始めた。雰囲気が確実に変わり始めたのは3月からだ。3月には月投資金が1兆ウォン以下に減少し、5月まで1兆ウォン以下で推移した。6月もコイン投資を除けば8,228億ウォン(約857億5,100万円)台の資金調達にとどまり、1兆ウォンの壁を越えられなかった。海外の主要ベンチャーキャピタルは、5月からスタートアップ企業に対する景気低迷対応策を相次いで提示。有望なスタートアップは投資急減に伴い、人員削減によるコスト削減に乗り出して、世界のスタートアップ投資市場の悪化が本格化した。

最近は成長可能性ではなく数字で成果を検証できるスタートアップに投資しようとする傾向が目立っている。そのため、リスクが相対的に低いシード投資は活発だが、実質成果がない成長段階の企業への投資は減少している。



大型の上場や合併買収は見られず

昨年は年初にcoupang(クーパン)が上場に成功し、Hyperconnect(ハイパーコネクト)が2兆ウォン(現レートで約2,083億7,700万円)で売却されるなど、歴代級のビッグニュースがあったが、2022年は現在まで、これに匹敵する大型の上場や買収合併のニュースは見られない。

しかし、スタートアップとスタートアップ間の投資と買収、そしてスタートアップが中堅企業や大企業の事業部門の一部を買収する事例は増えている。また多数の企業を一度に買収して育て、バリューチェーンを拡張する企業も登場しており、スタートアップの影響力は大きくなっている。代表例では、yanolja(ヤノルジャ)のinterpark(インターパーク)買収、Zipbang(チッパン)によるサムスンSDS IoT部門の買収があり、大企業ではGSリテールのcookat(クッカット)買収があった。

また、ユニコーンと予備ユニコーンに挙げられる企業が同種、異種のスタートアップを買収して事業競争力を強化した。ただ、硬直した市場の状況に、年内のIPO(新規上場)を予告していたMarket Kurly(マーケット・カーリー)、SOCAR(ソカー)は、上場時期をいつにするか悩んでいるという。

 

2022年上半期のスタートアップ資金調達TOP15

 資金調達、1位はBUCKET PLACEで2,300億ウォン

上半期に最大の投資金額を記録した企業は、BUCKET PLACE(バケットプレイス)で、韓国内外の投資会社から2,300億ウォン(約239億7,100万円)を確保した。投資環境は悪化しているが、有望企業には依然として投資家の投資が続いている。ただ、昨年上半期に投資1位となったViva Republica(toss)(ビバリパブリカ、トス)が調達した4,600億ウォン(約479億5,900万円)と比べれば半分程度で、下半期まで市場の雰囲気が暗いという見通しの中、昨年yanoljaが調達したような兆単位の大規模投資は今後も期待しにくい。

 

フィンテックや未来産業分野への投資活発

2022年にはモバイルの利便性を備えたフィンテック分野のスタートアップが海外送金、分割投資、BNPLなどに細分化され、第1四半期を通じて投資に成功した。AI半導体、宇宙産業、自立走行、ロボットなど、未来成長産業も注目された。また新型コロナウイルスの影響で、在宅やリモートワークが日常化し、遠隔採用・管理を支援するHR SaaSに対する需要が大きくなり、関連スタートアップへの投資家の関心も高まった。

その他、2021年から大きくなったメタバースの成長に、関連するコンテンツを作るメディア/コンテンツ分野に投資が集まった。暗号通貨市場でもP2Eゲーム、NFT、Web3.0分野のスタートアップに投資する投資会社が増えた。

 

海外投資会社が韓国のユニコーン候補を見定め

昨年から顕著に増加したグローバル投資会社は、今年も韓国内の市場でユニコーンになりそうな企業を見定めている。Greenoaks Capital(グリーンオークスキャピタル)、Index Ventures(インデックスベンチャーズ)、Radical Ventures(レディカルベンチャーズ)、DSTグローバルなど、これまで韓国内でさほど投資活動をしてこなかった投資会社が新規参入した。

ユニコーン企業の登場も続いている。モバイルゲーム会社HAGGIN(ハギン)、電子書籍サービスのRIDI BOOKS(リディブックス)、クラウドサービスのMEGAZONE CLOUD(メガゾーンクラウド)、レジャープラットフォームのヨギオッテ、メタバースコンテンツのVA Corporation(VAコーポレーション)などが上半期にユニコーン企業の仲間入りを果たした。

 

2022年上半期のスタートアップ資金調達TOP15 

企業名

分野

投資金

投資段階

投資会社

Backetplace(バケットプレイス)

インテリア

2,300億ウォン

シリーズD

KDB産業銀行、IMMインベストメント、ソフトバンクベンチャーズ、VERTEX(バーテックス)グロースボンド、BRVキャピタルマネジメント、スマイルゲートインベストメント、未来セットキャピタル、KBデジタルプラットフォームファンド

Socar(ソカー)

共有モビリティ

1,832億ウォン

非公開

ロッテキャピタル

Qraft Technologies(クラフトテクノロジーズ)

AIフィンテック

1,750億ウォン

シリーズD

ソフトバンク

Greenlabs(グリーンラボ)

データ農業

1,700億ウォン

シリーズC

RVキャピタルマネジメント、SKスクウェア、Skylake(スカイレイク)

Teamfresh(チームフレッシュ)

コールドチェーン物流

1,600億ウォン

シリーズD

Murex Paetners(ミュレックスパートナーズ)、Daol(ダオール)インベストメント、IPベンチャーズ、ウリ銀行、KT、STIC(スティック)インベストメント

HAGGUN(ハギン)

モバイルゲーム

1,500億ウォン

非公開

BON Angels Venture Partners(ボンエンジェルスベンチャーパートナーズ)、Storm Ventures(ストームベンチャーズ)、kakao(カカオ)ゲームズ、Neptune(ネプチューン)、KDB産業銀行、SKテレコム、SKスクウェア

SEMIFIVE(セミファイブ)

半導体プラットフォーム

1,300億ウォン

シリーズB

未来アセットベンチャー、韓国投資パートナーズ、ソフトバンクベンチャーズ、BON Angels Venture Partners、LBインベストメント、Game Changer(ゲームチェンジャー)、Pavillion Capital(パビリオンキャピタル)

MEGAZONE Cloud(メガゾンクラウド)

クラウド

1,300億ウォン

シリーズC

KT

RIDI(リディ)

電子書籍サービス

1,200億ウォン

プレIPO

KDB産業銀行、Atinum(エイティーナム)インベストメント、NVESTER(エヌベスター)

KlickBrands(クリックブランズ)

Eコマースプラットフォーム

1,200億ウォン

シリーズA

UNA Brands(ウナブランズ)

VA Corporation(ブイエーコーポレーション)

メタバースプラットフォーム

1,000億ウォン

シリーズA

Paratus(パラタス)インベストメント

Bear Robotics(ベアロボティクス)

自立走行サービングロボット

1,000億ウォン

シリーズB

IMMプライベートエクイティ、Cleveland Avenue(クレブランドアベニュー)、KT、smilegate(スマイルゲート)インベストメント、DSCインベストメント

Parking Cloud(パーキングクラウド)

駐車管制プラットフォーム

1,000億ウォン

シリーズD

SK E&S、NHN

musicow(ミュージッカウ)

音楽著作権投資

1,000億ウォン

シリーズD

STIC(スティック)インベストメントPEF

zigbang(チッパン)

不動産仲介

1,000億ウォン

シリーズE

KDB産業銀行、IMMインベストメント、ハナ金融投資

出典:スタートアップレシピ

/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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