貴社について教えて下さい。

弊社IIRTECH(イルテック)はAI開発を行う企業です。現在はAIを基盤とした韓国語教育サービスプラットフォームとソリューションを主に開発しています。

私たちが開発したサービスの最大の特徴は、韓国語学習における、必須領域であるリスニング、リーディング、スピーキング、作文の4つの分野すべてをサポート出来る点です。

このために、音声認識による発音評価、翻訳、画像の自動生成などのAI技術を活用したサービスを提供しています。

サービスを始めたきっかけは何ですか?

もともと私は公文書国語学を専攻しており、大学では韓国語の言語構造や運用について研究していました。同時に、子どもの頃からプログラミングにも親しんでいたことから、国語研究で得た知見をコンピューター上で再現し、検証したいという思いが芽生え、そこからAIに興味を持つようになりました。
今から10年ほど前の当時は、AIを学ぶ環境すら整っていませんでしたが、私は言語とAIを結びつけた独自の研究を続けてきました。

このサービスを始めたのも、人が言語を学ぶプロセスを、AIに応用できないかという考えからでした。AIに人間のように言語を「教える」ためには、学習データが重要です。より良いデータを収集し、AIがより人間らしく言語を習得できる環境をつくるために、このサービスを立ち上げることにしました。

韓国語教育に焦点を当てた理由というと、自身が国語(韓国語)を専攻していたことも理由の一つですし、それ以外にも外国語を学ぶこと、教えることは非常に難しく、多くの人が挑戦しながらもなかなか成果を得られない現実があるからです。
もちろん努力して話せるようになっている人もたくさんいますが、自然な会話やビジネスレベルに到達するのは並大抵の努力では実現できません。

だからこそ、誰もが「外国語を楽しく、自然に話せるようになる」という理想の実現をサポートできるサービスを作りたいと思いました。
韓国語に興味を持つ外国人が、学習を通じて楽しく対話できるようになり、その過程で私のAI研究も価値を発揮する。そんな相互的なゴールを目指して、この韓国語教育サービスを開発するに至りました。

日本への進出を考えた理由は何ですか?

本格的な日本進出に関しては、まだ計画中の段階ですが、少しずつ準備を進めています。

日本進出を意識し始めたのは、2022年にKOTRAのエデュテック関連の相談事業に選ばれたことがきっかけでした。

日本に行くのはそれが初めてでしたが、思ったより日本について何も知らない自分自身に驚きました。日本のアニメや漫画などのコンテンツについては昔から馴染みがあったので、よく知っている国だと思っていたんです。

でも、実際に行ってみると新しい発見がたくさんありました。

特に書店を訪れたとき、とても驚きました。

韓国の本屋よりはるかに種類が豊富な韓国語学習用の教材がたくさん売っているんです。それもレベル別、重点別、資格試験対策だけでなく推し活で使える韓国語などもあり非常に興味深かったです。

このときの発見を経て、それまでは東南アジア圏への進出が優先されていましたが、日本市場への進出が最優先事項となりました。

そこから、日本で韓国語教育に関わる方々と協業して本格的な日本進出に向けて準備を進めています。

今後、日本で参加したい展示会はありますか?

先日日本で行われたEDIXという教育に関する製品が集まる展示会に参加したのですが、今後は出版系のコンテンツに関連する展示会にも参加したいと考えています。

近年教材を購入して学習する人は減りつつありますが、そういった状況下でも、我々のAI開発の技術力が加わることで、紙や電子の教材をより効果的な教材に強化することができ、多くの学習者の方に手に取っていただけるようになるのではないかと考えています。

以前はAI開発と聞くと、難しい分野だ、出版業とは無縁だと説明すら聞いていただけないこともありましたが、最近はChatGPTなどの登場により、日常的にAIを利用している方も増え、AIとのコラボレーションを先方から望んでくださる機会も増えました。

教材を始め、さまざまなコンテンツの作成が盛んな日本だからこそ、そういったサービスに関する展示会にも一度挑戦したいと思っています。

日本市場での具体的な事業計画について教えて下さい。

正直なところ、現時点では日本市場や日本企業に関する情報は多く持っていません。

ですが、そんな中でも韓国語教育と関連した市場と、少し抽象的に絞りつつ今後の計画を練っています。今回参加した展示会のように教育関連の企業や塾、大学、教師との提携ももちろんですが、先ほども申し上げたように、韓国を超える盛り上がりをみせている日本の韓国語教材の出版やコンテンツ作成に携わる企業などとの提携も考えています。

また、日本で韓国語学習に関するコンテンツが充実している一方で、東南アジアやヨーロッパやアメリカでは、これほどまで多様でクオリティの高い学習コンテンツや教材は普及していないんです。

そのため、日本のコンテンツと私たちのプラットフォームの技術を結合して、それを東南アジアや欧米諸国といった地域に進出していくことも検討しています。

そういった面で、提携してくださる企業があれば非常にうれしいです。

韓国語以外のサービスに関してはどのようにお考えですか?

私が最初にサービスを始めようと思ったとき、韓国語を選択したのは私たちが作ったサービスで韓国以外にも、全世界にいる韓国に関心のある人々に韓国語を学習する機会を供給したいという考えからでした。

また、英語を学習するコンテンツはたくさんありますが、それとはちょっと違うと思っています。

現在まで韓国語教育を中心にしたサービスを提供してきましたが、日本に行ってみたら日本語を外国人に教えることも、私たちが韓国語教育を提供することと共通点があると感じました。

その為今後は日本語教育をする上でも、私たちのプラットフォームを活用できるサービスを提供したいと考えており、こちらに関してもコンテンツを提供してくださるパートナーを見つけたいと思っています。

今後のビジョンや目標について教えて下さい。

最大の目標は、韓国語を学ぶ上で、より簡単に、楽しく学べるためのプラットフォームとしての役割を確固たるものにすることです。

しかし、私たちは単なる教育関連企業ではなく、AI開発という大きな強みをもった企業です。その強みを最大限に生かして、先ほどお話しした日本語学習用のサービスなど、他にも活用しようという考えがあります。

例えば、お互いが違う言語で話していても、イヤホンを付けて話せばそこからそれぞれに合った言語に翻訳して、意思疎通ができるような技術もAIを活用すれば実現できると考えています。

実際に活用されるまでには、少し先になるかもしれませんが、まずは言語学習コンテンツから、言語という壁を越えて勉強や仕事における言語の壁を少しでも低くするようなサービスを提供していきたいと考えています。