fxIP – CEO シン・ソンホ
サムスン電子モバイルデザインチームにて7年間デザイナー勤務。その後デザイン会社を経営し、7年間で約100種のブランドを手がけた。
サムスン電子での経験と、デザインカルチャーマガジン「MXI」の編集長としての実績を活かし、現在はIPを軸としたブランドグループfxIPのCEOとして、幅広いIPビジネスを展開中。
目次
fxIPはどのような会社ですか?
私たちは、さまざまなIP(知的財産)を活用し、新しいブランド体験を創出する「クリエイティブ・コラボレーショングループ」です。
幅広いIPとの協業を通じてプロダクトを開発し、その過程で培ったノウハウを活かし、持続可能なIPビジネスの構築を目指しています。
「fxIP(エフエックスアイピー)」という社名には、「数学の関数f(x)のように、IPをxに代入して、ブランド価値を最大化する」という意味が込められています。
近年、市場はキャラクターやクリエイターコンテンツなど、IPを中心とした構造へと徐々に再編されつつあり、消費者もまた、IPベースのコンテンツや製品を求めるようになっています。
しかし、実際にブランドと深く結びつき、長期的に成功している事例はごくわずかです。
その要因として、多くのコラボレーションが単発で終わり、ユーザーとの深い関係性を築きにくい構造になっていることが挙げられます。
単なるコラボレーションを超え、構造的な拡張性とブランドストーリーテリングを兼ね備えたビジネスモデルを提示できる企業は、まだ多くないんです。
fxIPは、こうしたIPビジネスの課題に取り組み、単なるコラボ商品の枠を超えて、IPの魅力を最大限に引き出す高感度なプロダクトを開発し、ブランドとIPがともに成長できる、持続可能な構造の実現に注力しています。
提供しているサービスについて、教えてください。
アトムエディション – Apple、アトム、イッソプによるコラボプロジェクト
私たちはAppleの正規リセラー「A#(エイショップ)」と協業し、鉄腕アトムをベースにしたスペシャルエディション製品を発表しました。

韓国のITクリエイター「イッソプ」とのコラボレーションにより、デザインとストーリーテリングの両面にこだわったプロダクトを開発し、発売後には単一プロジェクトで1億円以上の売上を記録しました。
さらに、このプロジェクトは商品の販売だけで終わるのではなく、バリエーションの拡充、ポップアップストア、編集ショップとのコラボ、グローバル展開などを通じて、現在ではひとつの「ブランド」として独自の成長を遂げています。
サムスン ポケモンエディション – Samsungとポケモンのコラボプロジェクト
韓国の大手家電メーカーであるSamsungのBESPOKE AIスチームクリーナーと日本の大人気キャラクターポケモンを掛け合わせ、インテリアトレンドにマッチした製品を企画・発売しました。

単なるステッカーを貼る形式のコラボとは異なり、製品本体を専用設計した点が大きな差別化ポイントです。
2025年時点で約8,000万円の売上を目標としており、今後はSamsungクリーナーの他シリーズにも展開を広げていく予定です。
ポケモンやアトムのような日本のキャラクターを製品に取り入れた理由はなんですか?
日本のキャラクターIPは、単なるコンテンツを超え、世代を超えて共有される「文化」であり、「アイデンティティ」に近い存在です。
ポケモンやアトムのような象徴的なキャラクターは、日本国内にとどまらず、世界中で強い感情的なつながりを生み出しており、ブランドと結びついたときには、消費者に深い没入体験を提供します。
私たちは、IPが本来持つ価値や世界観をさらに広げていくために、こうしたキャラクターの象徴性や文化的背景に注目しました。
単なるライセンス活用にとどまらず、ストーリーテリングとプロダクトの感性を掛け合わせることで、その魅力を最大限に引き出せると考え、日本のキャラクターIPを取り入れています。
日本進出を決めた理由はなんですか?
アトム、ポケモン、サンリオ、ドラえもんなど、世界的に知られる代表的なキャラクターIPの多くは、日本から始まりました。
IP産業の発祥地であり、今なお中心地である日本において、韓国企業である私たちが「高感度」に仕上げたIPプロジェクトを展開することで、差別化された成果を創出できると確信しています。
特に「アトム」のようなプロジェクトは、日本現地においても大きな反響が期待できると考えています。
日本ではどのようなサービスを計画していますか?
現在、韓国で展開しているプロジェクトをそのまま日本に拡張すると同時に、日本ならではのIP(クリエイター、エンターテインメント、コンテンツ)とのコラボレーションを通じて、fxIP独自のIPビジネスモデルをさらに高度化していく計画です。
日本市場においても弊社だけが実現できる「IP × コマース」の新たな可能性を証明していきたいです。
また、これまで展示会などに出展する中で、日本は「オフラインでの体験」を重視する消費文化が根強く存在していると感じています。
オンラインよりも、実際に自身が見て、触れて、感じることで購買へとつながる傾向が強いんです。
このような文化的背景を踏まえ、私たちは日本市場においてオフライン中心の体験機会を積極的に創出しています。単なる販売ではなく、「実際に見て、触れて、体験するブランド体験」こそが、日本市場攻略の鍵であると考えています。
このようなキャラクターを取り入れた製品に対して、消費者の反応はいかがでしたか?
多くの消費者の方々から、「これまでに見たことのないコラボ製品だ」というご感想をいただきました。
たとえば「アトム iPhone エディション」の場合、単なるコラボレーション商品にとどまらず、日常の中でインテリアオブジェとしても楽しめる高感度なITデバイスとして再解釈された点が高く評価されました。
実際に、パッケージを捨てずに大切に保管されるお客様も多くいらっしゃいます。
製品一つひとつが「体験」の一部となる設計に対して、消費者の皆様から高い満足の声をいただいており、これは私たちのIPに対するアプローチが市場において肯定的に評価された証であると受け止めています。
日本で事業を展開するにあたって、どのような企業とパートナーシップを結びたいですか?
IPを基盤とした事業の拡張性を考えるとき、私たちは流通や展示スペースに限らず、 コンテンツ、クリエイター、工芸、デザイン、テクノロジーといった多様な領域を横断できるパートナーとご一緒したいと考えています。
たとえば、複合型のカルチャースペースやデザイン編集ショップ、クリエイティブなブランド、 あるいは独自の製品企画力を持つメーカーとの協業を希望しています。単なるプロダクトの販売にとどまらず、日本の文化とIPが交差する新たな接点を共に創出していけるようなパートナーであれば、いつでも大歓迎です。
今後どのような製品を制作したいですか?
私たちは、IPとプロダクトを結びつける際に、一次的に消費されるグッズではなく、日常の中で長く使われ、感情が宿るような「オブジェ」としてのあり方を追求しています。
今後は、オーディオ、家電、家具といった、より広範なライフスタイル領域へと展開を広げていきたいと考えています。特に、日本の伝統的なIPや素材と融合したハイエンドなコラボレーションにも挑戦してみたいと考えています。
IPとローカルな感性との新たな接点をデザインすること 、それが私たちの次なる目標のひとつです。
貴社の今後のビジョンと目標を教えてください。
fxIPのビジョンは、単に「IPを活用した製品」をつくることではありません。
私たちは、IPを中心に据えながら、ブランド、コンテンツ、プロダクト、そして体験までも一体的に結びつけた、拡張可能なIPビジネスモデルの構築を目指しています。
これまで一つひとつのプロジェクトとして展開してきたコラボレーションが、今後fxIP独自のブランドとして発展し、グローバル市場において持続可能なIPエコシステムを築いていく計画です。
最終的に目指すのは、IPとブランドが出会ったときに、消費者の感情を動かし、記憶に残る体験を提供すること。それこそが、fxIPが追求するコアバリューです。

fxIP
HP:https://www.fxip.io/
Instagram:https://www.instagram.com/fxip.official/
アトムエディション特設サイト:https://jp.astroboyedition.com/