本記事では11月20日、21日に東京ビッグサイトで開催される「Startup JAPAN 2024 – 秋 -」に参加する中小ベンチャー企業のうち株式会社AL.Robot日本駐在事務所 島田信之代表へのインタビューをお届けします!
■「Startup JAPAN 2024 – 秋 -」について
「Startup JAPAN 2024 – 秋 -」(以降本イベント)は、スタートアップ業界における日本最大級の展示会です。4回目となる今回は、前回比1.2倍となる300社のスタートアップやスタートアップ支援企業が出展し、1万2000人のスタートアップ関係者が参加します。国内のみならず海外のスタートアップも出展し、最新のサービスや技術を体験することができます。中でも韓国からは27社のスタートアップが出展予定となっています。
カンファレンスでは、合同会社DMM.com 会長兼CEOである亀山 敬司氏が登壇するほか、スタートアップ支援の拠点として注目されている名古屋市と福岡市の取り組み事例を紹介するセッションなど、多数のプログラムを用意しています。他にもピッチステージや交流会などのプログラムを通じてスタートアップとのネットワークづくりをしていただくことが可能です。
(出典:「Startup JAPAN 2024 – 秋 -」イベントHP)
株式会社AL.Robot日本駐在事務所代表 島田 信之
資源開発を専攻し、中東やインドネシアでのエネルギー開発、金融・再保険等に関わり、ソウル駐在時代の2012年に姜社長と知り合いました。2021年に日本事務所を創設以来、代表を務めています。日韓のビジネスの違いと類似点を楽しみながら、プレミアムセンサーを日本で紹介しています。
-貴社はどのような会社でしょうか?
当社は、2017年に創業した7年目のまだ新しい会社です。本社はソウルと仁川の中間に位置する京畿道富川市(プッチョン)のテクノパークにあります。社名のAL.Robotの由来はArtificial Life on Robotsで「ロボットに生命を与えよう」というスローガンのもと、ロボット工学・技術・エンジニアリングの分野で豊富な経験を持つ専門家が結集して設立されました。
人工知能とともに人工生命の中核となる感覚技術と制御技術を融合し、ロボット工学やロボット産業の革新に不可欠である高度な精密性と応答性を備えたトルクセンサーや制御装置の開発に取り組んでいます。
富川本社ビル入り口
現在までに10Nmから1000Nmに至る20種類以上の関節型トルクセンサー(アームの関節部に取り付けてトルクを計測)および力/トルクセンサー(複数の軸に沿って力とトルクを計測するタイプ)を開発、最近では新たにロータリータイプのトルクセンサーもラインアップに加わりました。
2020年から韓国の大手ロボットメーカー2社に関節型トルクセンサーと6軸力(力)/トルクセンサーを量産、納入しており、うち1社では全てのロボットに当社のトルクセンサーを搭載しており、国内1位のシェアを持っております。
関節型トルクセンサー
-貴社が提供するサービスについての説明とそのサービスを開発することになったきっかけは何ですか?
当社は広範なロボット応用分野向けの高度な力/トルクセンサーの開発と製造を専門にしています。現在、世界中の製造現場やサービス現場で人手不足が進行し、ロボットで代替していく動きはますます拡大しています。
特に、単純作業のためのロボットではなく、医療分野などのように人間の専門性を補完したり、同じ製造現場で人間と一緒に作業する協働ロボットと言われる分野が伸びていくと予想されています。
協働ロボットの世界市場規模は、2024年から約10年後の2033年には7.4倍に拡大すると見込まれています。(「協働ロボット世界市場規模推移・予測」出展:矢野経済研究所2024)
人間と一緒に作業する為にはロボットを柵から解放する必要がありますが、その為には人間に触れたらロボットが止まる安全機構が必要条件です。そのためにロボットのアームの関節部にトルクセンサーが配置されています。当社の関節型トルクセンサーはまさにロボットの安全で効率的な動作を制御・実現するために不可欠で正確なトルクデータの計測機器です。
同様にロボットの先端に取り付けて、X・Y・Zの3軸方向に沿った力(force)と各軸を中心に回るトルク(回転)の合計6つのデータを計測し、制御する6軸力/トルクセンサーもロボットの安全で効率的な動作制御に不可欠です。
これらノウハウが詰まった電子機器を製造工程の自動化などにより、経済的な価格で安定量産できる開発人材がそろっていたことがこれらのセンサーの開発につながり、韓国の大手ロボットメーカーで短期間での納入が可能になりました。
-貴社のサービスはB2B/B2Cのどちらで提供されますか?日本でも同じようなビジネスモデルで進出されますか?
弊社のサービスはB2Bで提供します。力やトルクのデータに基づいて作業するロボットや工作機械を作るロボットメーカーや工作機械メーカー、製品検査や稼働中の機械のトルクデータから機械の異常検知にセンサーを使う製造現場や研究者など、企業や企業の研究機関などのお客様に提供します。
また、日本では韓国で製造したセンサーを日本の販売網を経る形でお届けしていきます。
-他の会社にない貴社の魅力と強みは何ですか?
当社の強みは、経営陣がロボット工学分野で30年以上の経験を持つ専門の技術者集団であり、そのリーダーシップの下ロボットの効率的な運用に最適化された製品を開発し続けている技術力です。イノベーションは当社の全ての活動の中心です。専任の研究開発チームはセンサー技術において新たな基準を打ち立てることに全力を尽くしています。
2024年9月センサーエキスポジャパン出展時
(写真右から2番目が姜社長、左端が日本駐在事務所島田代表)
センサーの小型軽量性を実現するFEM解析技術、変化する条件に適応し、常に一貫した精度を確保するための自動リアルタイム補正技術、故障回避のためのハード・ソフトウェア全ての二重化技術などがその一例であり、お客様にとっての満足度、魅力であると言えます。
-韓国と日本のビジネスに関する違いや各国の特徴はありますか?逆に共通点はありますか?
ビジネスを進める際のスピード感の違いを感じます。日本ではなかなかお客様がどうお考えなのか分かりにくいので、お互い直接的な表現を避けがちになります。メールの宛先のアドレスが多いという点でもそういった傾向を感じます。
さらに、製品の性能や価格が必ずしも、採用の条件とならない点も日本ならではの特徴であるといえます。そこにはまず、お互いの信頼関係が重要だという日本のビジネスの特徴があり、そこに入り込むには製品そのものだけではなく背景となる技術についても説明を尽くす必要があり、信頼を醸成するには多くの時間が掛ります。
たくさんの目を通して良い結果を生み出したいという組織的な充実を求めるのが日本だとすれば、ダイレクトに早く結果を得ることが組織の活力維持にベストだと考えるのが韓国かも知れません。
いずれも組織を大事に考えているのは共通ではないでしょうか?
-日本進出の一番大きな理由は何ですか?
もちろん、日本市場の大きさと類似性、地理的な近さ、非常時の対応の素早さといった点で、韓国のビジネスモデルを試す次のマーケットとして日本進出を選択したことは間違いないです。
しかしそれだけではなく、一般的に世界で最も品質にシビアだと言われている日本市場のお客様とのビジネスを通して、製品の品質やサービスが鍛えられると考えたことも日本進出を決断した理由の一つとなっています。
ライバル社だけでなく、ユーザー企業数やそのすそ野が広いことから、お客様のニーズやクレームから学べることは多いと思います。お客様毎の異なる視点からの気づきも多いのではないでしょうか。
そのような日本市場で得た経験や知識をもとに、今後欧米市場での展開に活かしていきたいと考えております。
-これから日本で最も力をいれたいのはどのような点ですか?
AL.Robotのセンサーが日本のお客様に受け入れられ製品の精密性、使い易さ、供給の安定性、価格の経済性等の点で、高いご評価をいただき、センサーのプレミアムブランドとして浸透することに注力いたします。
ロボットメーカーだけでなく、例えば医療用であれば医療機器メーカー、遠隔医療関係者などに認知度が拡がっていくように、人間の生活を改善・革新するセンサーメーカーとして認められるように努力したいです。
-今後のビジョンを教えてください。
ロボットや機械に命を吹き込む力及びトルクセンサー技術の世界的リーダーになることを目指しています。私たちのセンサーが知能的で応答性が高く安全なロボットシステムを作り出し、産業を変革し人々の生活を改善する未来を見据えています。
市場の拡大と戦略的パートナーシップを通じて、精度・信頼性・革新性における新たな基準を設定することを目指します。当社技術の中核である研究開発チームは力/トルクセンサーで可能なことの範囲を広げることに情熱をもって専念しているメンバーで構成されています。創造性と革新性を重視する先進的な企業の一員として新しい人材を加えながらこのビジョンを常に追求し続けていきたいと考えています。
AL.Robotのイノベーションに興味を持たれた方、世界中のロボット産業に大きな影響を与えるプロジェクトに一緒にチャレンジしたい方のご参加をお待ちしています。
株式会社AL.Robot日本駐在事務所代表 島田 信之
HP(日本):http://www.al-robot.com