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韓国投資のパイオニアに聞く(1/5):日韓スタートアップの違い |合同会社PKSHA Technology Capitalパートナー海老原秀幸

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海老原秀幸(えびはら・ひでゆき)

合同会社PKSHA Technology Capitalパートナー

  • プロフィール

1979年生まれ。2003年早稲田大学社会科学部卒。マーケティングコンサルティング会社を経て、05年より㈱サイバーエージェント・キャピタル(当時は㈱サイバーエージェント・インベストメント)入社。日本国内で20社超の投資や投資先のインキュベーション活動を経験した後、12年より韓国投資事業の立ち上げのためソウルに駐在。韓国法人代表として韓国企業への投資活動や経営・グローバル展開の支援に従事。17年サイバーエージェント・ベンチャーズを退社し、2019年5月より現職。

2012年より韓国企業への投資に取り組みはじめた海老原秀幸さんは、日韓ビジネスの今、そして未来をどのようにみているのか。日本と韓国のスタートアップの違いや最近の韓国ビジネスのトレンドなどとあわせて聞いてみた。



日本と韓国のスタートアップの違い


―現在、海老原さんはどのような事業を手掛けているのですか。

海老原さん ㈱PKSHA Technologyの子会社である合同会社PKSHA Technology Capitalとスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントが共同で運営するPKSHA SPARX アルゴリズムファンドというベンチャーファンドでパートナーとして主に日本、韓国、中国企業への投資に携わっています。主な投資対象はAI・知能化関連技術を有する未公開企業、当該技術の活用により成長が見込まれるソフトウェア・ハードウェア・関連オペレーションを有する未公開企業で、現状、日本企業への投資が7割を占めており、そのほかは中国と韓国、そしてそれ以外の国といった感じです。


―㈱サイバーエージェント・キャピタルの韓国駐在員を務めて以降、韓国企業への投資にかかわるようになったそうですね。

海老原さん 会社から行ってほしいといわれたので、駐在したというのが本当のところです。正直、当時は韓国を旅行先としてしかみておらず、韓国ビジネスといわれてもピンとこない状態でしたね。でも、海外駐在の経験は自分にとってもプラスになると感じたので、前向きに引き受けさせてもらいました。


―実際に韓国に駐在しての印象はどうでしたか。聞くのと見るとでは違うところもたくさんあったかと思います。

海老原さん 先入観では治安が悪いのかなと思っていたんですが、まったくそんなことはなくて、むしろ良かったですね。ビジネス面でも日本在住の韓国人から「韓国で投資するとだまされるぞ」といわれていたんですが、怪しい人はどこにだっているし、直感的に判別がつくので、そんなにおかしなことに巻き込まれたりはしませんでした。日本とのギャップという点でいうと、仕事の仕方は日本に比べるとやや粗く、スピード重視という印象はありましたね。事業計画とかの投資検討に必要な書類がそれほど緻密ではない一方で、早く検討結果を求められるケースが多いというか。そのため、韓国企業に投資しようとしても、本社の決裁をとるのに苦労することがしばしばありました。


―日本での投資と韓国でのスタートアップ投資には、どのような違いがありますか。

海老原さん そもそも、韓国企業はスタートアップであっても最初から海外市場を見据えている点で、日本の企業と大きく異なります。韓国は人口規模が約5000万人と日本よりもかなり小さく、その分だけマーケットも小さいため、内需だけでは企業を成長させ続けることが難しい環境です。だからこそ、最初から海外市場を意識するのが当たり前になっているのです。その点、日本は高齢化社会になっているとはいえ約1億2000万人の人口を抱えており、内需だけでもそれなりの規模までに企業を大きくすることができるため、海外市場を視野に入れる企業があまりあらわれません。そしてその影響もあってか、製品やサービスがガラパゴス化したり、スケールしにくかったりする傾向があります。なので、韓国企業に投資する場合は、その会社のビジネスが世界でどのように受け止められるのか、といったことを念頭に置く必要があるのです。


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/media/KORIT編集部
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