インタビュー

どんな子どもたちにも身近で使い心地の良い製品を|Enuma Inc.

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Enuma Inc. 

創業者のイ・スインCEO(写真右)とイ・ゴンホCTO(写真左)は、ともにゲーム開発者出身の夫婦である。留学中だったアメリカで障害を持つ子どもが生まれたことをきっかけにEnumaを設立した。美術を専攻してゲームデザイナーとして働いていたイ・スイン CEO と、NCソフトのテクニカルディレクターであり、バークレー大学のコンピューター工学博士であるイ・ゴンホ CTO がそれぞれ製品デザインと製品開発をリードしている。彼らのゲーム開発者としての経験に加えて、学習が難しい子どもを育てる経験、他国に移住して言語を新たに学ばなければならなかった経験が、Enumaの製品と戦略に溶け込んでいる。


-Enumaはどのような会社ですか?

Enuma(エヌマ)は、2012年に米国バークレーで創業した基礎学習アプリケーション専門のエドテック会社です。Enumaは創業理念として「学習が難しい、または障害のある子どもたちも一人で学習できる最高の学習ツールを作ろう」 という目標を掲げています。そのような心から作られたEnumaの製品は、ゲームを基盤にした自己主導学習を通じて、まだ学習習慣が出来ていない子どもたちや、学校教育がうまく届かない発展途上国の奥地にいる子どもたちも楽しく学習できるという特徴を持っています。

モバイル/タブレット端末が提供するタッチスクリーンベースの経験は、子どもの脳が基礎概念を学ぶことをサポートするものとして、最も適していると考えています。 3歳から小学校 2年生コースまでの学習に焦点を当てて運営しており、世界中で1000万件以上ダウンロードを記録したベストセラーアプリである「トドさんすう」、2020年にローンチ以降、韓国と日本で大きな人気を集めている 「トド英語」 が代表製品です。



また、Enumaは基礎的な読解と算数を教える総合的な基礎学習アプリを世界中のNGOと政府を対象にサービス提供しています。 Enumaの 「Kitkit School」 は、グローバルラーニングXPRIZE¹で優勝をしました。

タンザニア奥地で生活する生徒たちが、教師がいない環境でタブレットベースのアプリだけで基本的な読み書きが学べることを15ヶ月間のタンザニアフィールドテストを通じて証明した結果でした。Kitkit Schoolの後続作である 「Enumaスクール」 は現在、韓国、インドネシア、マレーシアの学校を対象に事業を進行中です。

¹グローバルラーニングXPRIZE:XPRIZE Foundation、ユネスコ、世界食糧機構が5年にわたり開催した世界大会で、15ヵ月間で子どもたちが基本的な読み書きと算数を自ら学べるソフトウェアの発掘を目指し、優秀なチームに賞金1500万ドルを授与するもの。

 

‐Enumaではどのような戦略を持っていますか?

Enumaは 「学習が難しい子どもたち」 をまず先に考える企業理念を製品に深く反映しています。学びのユニバーサルデザイン (Universal Design for Learning)を使用して視覚と聴覚情報のバランスを整え、学習に困難を感じていたり、幼い子どもを対象にテストしながらUI/UX を整えることを続けています。難民キャンプや、低所得層、海外にルーツを持つ子ども、 特別支援学級など一般的な学習が難しい場所を選び、フィールドテストを実施しながら教育的効果を検証し、活用性を改善するリサーチも着実に進めています。

このように学習が難しい子どもたちに配慮することで、すべての子どもたちにとって身近で使い心地の良い製品を作ることができると信じています。



‐日本市場をどのように見ていますか?

 学校に入学する前に問題集を通じて基本的な読解と算数の基礎を準備する傾向は日本から始まり、他の東アジア諸国に伝播されています。その点で韓国・中国・日本市場の基礎教育市場は類似性が非常に高いです。親たちのIT活用度も高く、モバイルやタブレットを使用したデジタル基礎教育教材に対する関心も高いです。 2014年の日本語版のトドさんすうをローンチした後、特にマーケティングやサービスを行わなくても、アプリストアを通じてトドさんすうを発見し、好んでくださったユーザーが着実に増えていきました。このことから、日本支社を設立し、トド英語の日本語版とLINEを通じたサービスチャンネルを設置した後、2021年から本格的な日本サービスを開始しました。

日本の親たちは、ゲームベースの学習に対して世界で最も肯定的な反応を示しているようです。トドさんすうや、トド英語を子どもの学習のための主教材として認め、一日に特定の時間を決めて行うなど使用する習慣も勤勉です。LINEを通じて提供される子どもたちの学習レポートやレベルアップに対する反応も韓国より高いようです。 

ただ英語への関心はこれからだと考えています。小学校入学前に英語を学ばなければならないという圧力が強い韓国や中国に比べて、日本は英語学習が始まる時期が少し遅れているようです。実際、国語や算数の場合、紙での学習とデジタル学習にはそれぞれ長所と短所がありますが、外国語学習については、視聴覚刺激と AIをも同時に使用するデジタル学習が絶対的に効果があるため、トド英語の人気が高まるにつれて英語学習市場のトレンド自体が変わる余地があると思います。 

日本に本格的に進出してから一年、コンパクトに始めましたが、良い成果を出しており、今後も日本市場での成長を期待しています。他の国で実験を進めている多くのサービス (英語のオンラインライブクラス、国語や漢字までを網羅した総合的な学習サービス)を日本市場で披露できることを願っています。

 

‐最後に伝えたいことはありますか?

幼稚園から小学校2年生まで日本に住み、学校に通っていたイ・ゴンホCTOは問題集がとても面白く一人でストップウォッチを用いて問題を解いていたそうです。そのため、イ・スインCEOが 「問題集を人が楽しんでできるものにする」というアイデアを出したとき、イ・ゴンホ CTOは 「そんなに面白いものをなぜあえてゲームにするの?」と言ったほどです。Enumaのチームは、子どもたちの傾向や脳の構造がそれぞれ異なることを理解しています。勉強が得意な子もいて、そうでない子もいる、問題集をきちんと解く子もいて、そうでない子もいますよね。今までの勉強方法で、まったく興味を感じられなかった子どもたちに、Enumaの製品が役に立てれば嬉しいです。


Enuma Inc.(エヌマ)

Enuma HPリンク:https://www.todoschool.com/jp/math


/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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