インタビュー

アジア最大の教育スーパーアプリ「QANDA」|Mathpresso Inc. Head of Japan Business 平野貴之氏

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平野貴之(ひらの・たかゆき)⁻Mathpresso Inc. Head of Japan Business

日本初上陸海外企業に特化したビジネスアクセラレーター。トレンドや変化の兆しを捉え、欧米企業文化と日本企業文化の違いや最先端テクノロジーの導入時の様々な課題・壁を乗り越え、これまでにボストン、シリコンバレー、イスラエルなど50社以上の最先端テクノロジー会社を日本市場へエントリー。最先端テクノロジーを誰でも、いつでも、どこでもご利用できるような、豊かな未来創りに少しでも役立っていきたい、もっとスピード感のある日本社会、そして幸せな生活プラットフォーム作りを支援提供していくために、1996年ベアーレ・コンサルティング株式会社を設立。現在、Mathpresso社 Head of Japan Business としても活動中。

QANDA(クァンダ)は、アジア最大の教育スーパーアプリであり、全世界6800万人の利用者数を誇る。現在、韓国、日本、ベトナム、インドネシア、タイに進出をしている。日本国内でもNo.1エデュケーションアプリとして位置付けている。各国のMAUは韓国160万、日本70万、ベトナム470万、インドネシア280万人、タイ150万人。



‐Mathpressoはどのような経緯で設立されましたか?

Mathpressoの創業者であるRay Leeが、学生時代に家庭教師をしていた際に、K12¹の生徒が同じ質問を繰り返していることに気が付いたそうです。高校時代の友人であるJake Leeと一緒に、アプリで問題をアップロードすることで生徒が質問をし、教師から細かな回答を得られるというプラットフォームの構築を決意し、これが現在のQANDA(クァンダ)です。

K12 (kay-twelve) : 幼稚園 (KindergartenのK)の年長から始まりから高校を卒業する(12年生 =高校3年生の 学年 )までの13年間の教育期間のこと 

QANDAは2016年1月に韓国でローンチし、当初は生徒と教師の1対1のQ&Aアプリとしてサービスを開始しました。2017年には、スマートフォンで問題を撮影することで数秒で答えを検索できるOCRを使った検索機能を導入しました。


‐Mathpressoが提供する「QANDA」の強みや特徴はなんでしょうか?

スマートフォンで問題を撮影するだけで、いつでもどこでも質問することができ、質の高い解答を得られるというアクセシビリティが、学生への最大の提供価値です。



QANDAは、数学の問題を章・節・ジャンルに分類する独自のカリキュラム分類システムを持ち、このシステムに従ってラベリングされたデータを活用することで、より詳細で個別性の高い、正確な解答を提供することが可能です。また、感染症流行などにより学校が閉鎖されたときに、学習を継続するための代替手段を求める生徒たちにとっても便利なものです。学生たちは、簡単にアクセスできるだけでなく、正確で高速な学習プラットフォームを求めているのです。

またQANDAは、AI基盤で稼働している点が一番大きな特徴と言えます。強力な人工知能(AI)が稼働し、あらゆる対話を指揮し、47億以上の解答データから一つの問題を解決するために複数の方法で巧みに答えと手順を提供します。今後、類似サービスを提供する会社が現れたとしてもQANDAは長くAIを活用してきた実績があるので、他社よりも質の高いサービスを提供できることも強みだと思っています。

また、AI機能で生徒が回答に満足できなかった場合は、ライブチューターに自動で切り替える機能を追加しました。 これにより、生徒が解決ステップをより明確に理解できるようになりました。


‐どのようなユーザーに好まれていますか?

韓国、日本、ベトナム、インドネシア、タイなど、教育を重視するアジア圏の中高生に人気があります。様々なレベルの学生がQANDAを利用していますが、家庭教師のような質の高い教育を受けられない学生にとっては、より便利なツールとなっています。

また、ユーザーの行動について、日本では時期によって利用率に変化があることが特徴です。韓国では利用率は年間を通してほぼ安定しており、国によって勉強の仕方や利用の集中する時期に差があることが分かりました。日本は、期末試験の前になると集中して勉強をするという傾向が顕著だということですね。こういったビックデータの収集を通して、広告などの効果も出しやすいという側面があります。


‐日本でQANDAが受け入れられた理由は?

韓国と日本は、教育制度や高等教育に対する社会の考え方が非常に似ています。両国とも、有名大学に入るために予備校や家庭教師による学習を選択することがごく一般的で、それが社会的流動性の強い推進力になっていると考えられています。さらに、数学という普遍性が日本の学生にも響いたのだと思います。



‐日本進出の際のエピソードを教えてください。

2018年に日本でもローンチしましたが、QANDAが初めてグローバル進出した地です。進出前に、日本の学生が何をどのように勉強しているのか、深く理解するために日本のカリキュラムや教育内容を徹底的に調査し、日本語のQ&Aを含む検索データベースを構築しました。

また、海外に進出する際には通常、進出国現地でマーケティングをする場合が多いと思うのですが、Mathpressoは韓国から日本国内のマーケティング活動を行いました。マーケティングメッセージやアプリのローカライズは社内の翻訳者が行い、マーケティングと運用はすべてソウルオフィスで行いました。デジタル広告は、現地に行かなくてもキャンペーンができるため、非常に効果的でした。

その国に存在しないアイテムでも、その国にとってよいものであれば、ものすごい数のユーザーを確保できるということが証明された事例だと思います。

そして、ある程度ユーザー数が増えた後に、日本の大学や数学クラブなどに訪問して、学生さんと面接したり、日本の参考書などを集めて情報収集してきました。


‐今後どのようなサービスになることを目指していますか?

より多くの学生にパーソナライズ化された学習体験を提供するために、領域を拡大していきたいと考えています。

YouTubeの動画やSpotifyのプレイリストは、すべて私たちの好みに合わせて作られていますが、教育現場はいまだに皆で教室に座り、同じ教科書で学ぶという方法を続けています。また、家庭教師のようなパーソナライズ化された教育には費用がかかります。

私たちの最終的な目標は、すべての教育コンテンツを結びつけ、AIによって生徒一人ひとりの学習状況を把握し、それぞれの生徒に必要なものを的確に提供する「総合教育スーパープラットフォーム」を構築することです。 

また、日本はQANDAが国籍に関係なく、困っているすべての学生の役に立てるサービスであると知ることができた特別な市場です。私たちはこれからも、日本の学生の皆さんのためにプラットフォームを革新させ進歩させ、質の高いパーソナライズ化された教育をもたらし続けます。 



平野貴之(ひらの・たかゆき)‐Mathpresso Inc. Head of Japan Business

QANDA HPリンク:https://mathpresso.com/ja

◆各種SNS

Linkedin:https://www.linkedin.com/company/18164030/admin/

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCUR23j0maOlOL6eBkc57YRw

Facebook:https://www.facebook.com/mathpresso


写真提供:Mathpresso Inc.

/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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