インタビュー

無人スマホ買取機「MINTIT」日本進出の舞台裏|SKネットワークス株式会社

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SKネットワークス株式会社 (エス・ケー・ネットワークス) 

スマホ買取機「MINTIT(ミンティット)」を開発・提供するSKネットワークス株式会社。スマホ買取をより手軽でスピーディーに行えることから韓国では既に約6,000台が導入されている。現在、日本でテスト運用をしており、関東を中心に拡大中。日本のニーズをくみ取り、ユーザーが安心して利用できることを第一に開発をしている。


-スマホ買取機「MINTIT」を開発するSK Networks(株)のMINTIT Global TF Team Leaderのキム・イルグォンさん、SK Networks Japan(株)代表取締役社長のクォン・ヒョクミンさんにKORITが独占インタビューをしました。


-「MINTIT」とははどんなサービスですか?

キムさん 使わなくなったり、買い替えが必要な携帯電話・スマートフォンをその場で査定・販売できる無人のスマホ買取機です。査定はAIとカメラによって行われ、10分ほどで本人確認~査定までを行います。韓国では「MINTIT ATM」と呼んでおり、ショッピングモールなどに約6,000台が導入され、2021年には約100万台に及ぶスマホの買い取り実績があります。

日本にも既にスマホの買取機は存在するのですが、全自動の機械導入は弊社が日本初になります。最近ではスマートフォンの値上がりの影響もあり中古スマホ市場が活発で、お客様の反応も良いです。


Smart Labo北千住マルイ店


-日本市場をどのように見ていますか?

キムさん  技術面においては、まずは日本と韓国には時差がないことが魅力です。何か問題が発生した時にリアルタイムで対応ができるためです。

また、日本と韓国のスマホ市場に関して似ている部分が多くあります。まずは、流通構造ですね。日本も韓国と同様、販売代理店を通してスマホを販売しており、流通構造が韓国と異なる他国よりも、市場について理解しやすく我々にとって魅力的な点だと言えます。

また、中古スマホ市場を活性化させたいというニーズが両国ともあり、積極的に動いているというところも似ていますね。通信費が上がる中でもプレミアムスマホ(上位機種のスマートフォン)が欲しいというニーズに答えられるのが中古スマホです。

クォンさん  日本の特徴として、プライベート用のスマホ以外に、社用の携帯電話を持っている場合が多いので、眠っているスマホや携帯電話の数が多いですし、世界的にも人気の端末であるiPhoneのユーザーが多いことも魅力的です。また日本は韓国に比べて人口も多いので、確実にスマホの中古市場が存在していると見ています。


MINTITのキャラクターであるMINTI(ミンティ)です。

 

 -日本へ進出する際に株式会社ティーガイアと事業を進めることになった背景はなんでしょうか?

キムさん 日本に進出するときの前提条件として単純な協業ではなくて「緊密な協力関係」をあげていました。消費者への理解がないと、B2Cでの成功は難しいと考えており、弊社は技術を保有しているので、協業をする会社には市場に対する知識やノウハウを期待していました。つまり、短所と長所をお互いに補え合えるか、という点を気にしていました。

ティーガイアの場合は、一般の方には有名な企業ではないのかもしれませんが、携帯販売業界では1位の会社で、我々と事業が似ている部分もあり、お互いに理解、協力がしやすいのではないかと考えました。

また、協業する際に大事なことは、事業に対する「意思」だと考えているのですが、ティーガイアの場合は既に中古スマホ事業に関しての「意思」があり、さらに通信市場にも理解があります。

そして、私たちはSDGs経営を実践しており、この方向性が合わなければ協業は難しいと考えていることも率直に先方にお伝えしたのですが、幸いにもティーガイアと親会社である住友商事もSDGs経営に関心があるだけでなく、すでに推進していました。それならば、共感しながら事業を進めていけると思い、ティーガイアと協業することを決めました。

現在は取引関係ではなく、弊社が機器の輸出をし共同でテストをしている状態です。今年中には協業形態について協議をし、本格的に事業化する予定です。

  

- 今回、事業を準備する中で難しかった点は何でしょうか?

キムさん まずは準備段階で、やはりレギュレーションの部分が複雑で苦戦しましたね。日本の古物営業法などの法律や許認可の部分です。

MINTITのビジネスモデルは、「簡単」「早い」が特徴ですが、日本での法律などを考慮しながら開発することは容易ではなく、既存の韓国でのビジネスモデルを日本で実現するという部分が難しかったです。

クォンさん  オンラインでの本人確認の方法であるeKYCの導入に一番時間がかかりました。

eKYCによる本人確認のプロセスは、韓国における既存のMINTITキオスクにはなかったためカメラや身分証明書の撮影箱を別途で制作してPoCモデルに適用しました。LINEなど多くのパートナー企業との協業を通じて今の日本向けモデルが出来ました。 

韓国の場合は、個人番号カードを皆が持っているので本人確認が比較的簡単に行えるのですが、日本の場合、本人確認の証明方法として顔写真、身分証(運転免許証、マイナンバーカード、在留カードのいずれか)の原本が必要なので、どうしても時間がかかってしまい、サービス特徴である「早さ」の実現に苦労しました。

また、テスト段階でのユーザーの声も、予想外の反応がありました。本人確認のためにその場で顔写真を撮影するのですが、「恥ずかしい」という意見がありました。というのも、MINTITはショッピングモールなどの一角などに置いているのですが、日本のユーザーからは「プリクラや、証明写真BOXのようにカーテンがほしい」、「半個室にしてほしい」という要望がありました。韓国とのニーズの違いを感じた瞬間でしたね。

 

-今後どのように事業を進めていく計画でしょうか?

キムさん 現在日本では、テスト段階であるとお伝えしておきます。

韓国と同様に、日本でも日常生活の中でよく利用するスーパーやショッピングモール、携帯電話の販売代理店に「MINTIT」を設置することを考えていますが、なによりも日本の消費者のニーズに合わせていきたいと思っています。銀行のATM近くにあったら安心感があったりもしますよね。日本の消費者の方に安心して利用していただけることを第一に考え、決めていきたいです。

クォンさん  製品に関して言えば、スマホだけでなく、PCやタブレットなどに対応することも念頭に置いています。

また、eKYCを活用して、他のビジネスモデルに拡張することもできるのかなと考えています。人手不足問題もあって無人機器がトレンドになりつつあるので、そういった部分で私たちができることがあると思っています。

 

-最後に伝えたいことはありますか。

キムさん MINTITは、消費者の反応を見ながらどこが不便なのかを常に確認し、消費者の皆さんが便利に利用できるように改善していくつもりです。なので、今の機械で完成ではなくて、何か月後にはまた違う形になっているかもしれません。

なにか不便を感じる部分があったら教えていただければと思いますし、日本でも地域に合ったものを提供できる「誠実な事業」を心がけて進めていきたいです。

クォンさん 日本では音楽やコスメなどの韓国文化が好まれていますが、個人情報を扱う機械については、海外製品という部分で拒否感もあると思います。この部分を払拭していき、「リサイクルをして好循環を作ろう」、「良いものは使おう」という考え方に変えていけばいいなと思っています。



SKネットワークス株式会社 

会社 URL:https://www.sknetworks.co.kr/

設立:1953 年 4月  資本金:6,487 億ウォン(約65,776 百万円)

代表者:代表取締役社長 朴相奎  本社所在地: 韓国ソウル特別市鍾路区清渓川路85、31ビル

事業内容:(1)韓国の携帯電話端末卸売り事業 (2)自動車軽整備事業及び輸入車部品の流通等 (3)ホテル及びレジャー産業


MINTIT

ミンティットジャパンHPhttps://www.mintit.co.jp/


/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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