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スマートな店舗管理と、働きやすい環境を提供するアプリ「WKDK」|株式会社HIGHERX クォン・ミンジェ CEO

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株式会社HIGHERX  -クォン・ミンジェ  CEO

慶熙大学で産業経営工学と産業デザインを専攻。LS-Nikko銅製錬研究企画チームで1年間勤務した後、製品デザイン会社の創業を始めた。その後、O2Oプラットフォームおよび外食売場をオープンし、運営。売り場を運営しながら発生する問題点を解決しようと「WKDK(ワーキードーキー)」サービスを始めた。実際、70坪規模のレストランを30人の勤務者と約6年間運営しながら、蓄積されたノウハウと現場で必ず必要な部分を「WKDK」に反映している。社長と勤務者間のコミュニケーションの問題を解決し、より良い環境で働ける生態系を作っている。


-HIGHERXはどのような会社でしょうか?

HIGHERX(ハイヤーエックス)はオフライン店舗業務管理サービスWKDK(ワーキードーキ―)を運営しています。アルバイトなどの勤務者は、チェックリストベースでタスクを確認・実行し、店主または管理者が完了した業務を写真で確認できます。

これには、2つのメリットがあります。1つ目は、働く人がタスクを忘れてしまうことを防げるので、勤務中に起こるミスを減らすことができます。2つ目は、新人トレーニングや引継ぎの際に、時間とリソースを節約でき、コストを削減できます。

現在韓国では、韓国のコンビニエンスストア全国1位の「GS25」で当社のサービスが広く活用されています。その他、ロッテスーパーやコーヒーショップ、外食業、さらに、清掃業者や警備業者でも当社のサービスを活用しています。



-サービスの強みと特徴を教えてください。

第一に、現場で使うアプリであり、勤務者の年齢層も様々なので、UX/UI的にシンプルで簡単に使えるようにデザインしたことが強みです。私が現場で経験した多くのノウハウがあるため、それをうまく適用し、現場で実際に使用する方が不便なく迅速に業務を処理できるように設計したのが最大の特徴です。

2つ目は、チェックリストは写真の認証で行うため、より信頼性の高い資料を活用できる点です。

しかし、一つ懸念したのは、もし前に撮った写真をアップしたらどうなるのかということでした。実際に初期にあったことですが、あるコンビニのアルバイトの方が、出勤してすぐに整理整頓された状況を全て撮影しておいて、退勤時にアップしていたのです。そのため、私たちは携帯電話のアルバムにある「マイデータ」情報を活用し、いつ撮影したかを正確に確認できるようにしました。

例えば、5時間以上前に撮った写真を業務完了写真としてアップすると、赤色で表示されるようになっています。この結果をもとに、私たちのサービスのユーザーである店主のために細かな部分にも気を配って設計しています。もう一つの例を挙げると、カカオトークやLINEの場合は、グループトークルームで誰かがメッセージを送ると何人が読んだかは分かりますが、誰が読んだかまでは分かりません。しかし、WKDKにお知らせや伝達事項を作成すると、その内容を読まない勤務者が表示され、読まない勤務者にもう一度プッシュ通知を送ることができます。このように現場で必要な様々な要素が適用されており、とても便利です。


3つ目は、特定された業種ではなく、オフライン店舗に基づく様々な業種で多くの人が使用できるようにSaaS形式で作ったので使い方が簡単で便利です。デジタル化のためのハードウェアを購入したりインストールする必要がなく、携帯電話さえあれば簡単に始めることができるという利点があります。


-創業のきっかけを教えてください。

私自身が実際に外食業を営んでいました。昨年まで約30人の職員と6年ほど運営をしていました。私はそれなりに若い社長だと思いますが、それでもアルバイトに様々な指示を出す必要があるので、お互いの関係性を維持することは難しいですね。また、外出中に、勤務者が仕事をきちんとしているのかを知りたくて何度もCCTVを確認していました。細かいタイプではなかったのですが知らず知らずのうちに…。アルバイトの方はお金を稼ぐために働いていますが、私は経営者ですので、やはり見る視線が違うんでしょうね。

アルバイトがやるべきことをやらないという時は悩みました。この時にこういったことをアルバイトの方に直接言うより、仕事のしやすい環境を作ってあげたらどうだろうと思ったんです。

他の店主にも聞いてみると、多くが従業員にチャットや電話で指示をしながら運営しているということが分かりました。これを現代に合うように変化させたいと思いました。MZ世代が仕事をしやすい環境を作ってあげたらいいのではないかと思い、WKDKというサービスを作りました。


-日本市場をどのように見ていますか?

日本から、弊社のサービスを利用したいとメールをいただいたことがあり、需要を感じました。また「日本ではまだLINEで指示を出しているが、日本にもアプリで管理できるサービスがあればいいのに」というフィードバックもいただきました。

また、ある日本現地の投資家の方によると「セブンイレブンに行っても紙のマニュアルがたくさんあり、誰でも簡単に理解できるようになればいいなと思った」、「日本はまだデジタル転換をしきれておらず、このような技術が非常に必要とされている」とのことでした。

日本はフリーランスやアルバイトだけでお金を稼ぐ仕組みがリードしており、そのための体制が整っているので、当社のサービスを導入できれば、反応は良いのではないかと予想しています。

また、新たな試みとしてアルバイトが仕事を終わらせると、ゲームのようにポイントやリワードが与えられる仕組みは、仕事に対するモチベーションを上げることができ効率性を上げることができるのではないかという仮説を立て、日本に進出しようと考えています。


-日本には外国人労働者が多いですが、英語でのサービス提供も検討されていますか?

 日本は、韓国に比べて外国人労働者が多いということを知りました。まずは日本語版でリリースした後、英語版もリリースし、日本現地の状況に合わせてすべての労働者が便利に使えるようにするために、段階的にサービスを構成しようと考えています。

また、私たちのサービスは業務完了時点で写真をベースにコミュニケーションを行うため、言語の壁がなく、老若男女問わず明確に理解できるため、基本的に誰でも使いやすいサービスです。

 

-もう一つのサービス「brwnie (ブラウニー)」とは?

「brwnie」は近所の無人店舗を定期的に管理するサービスです。韓国国内の約10万店の無人店舗に定期的にbrwnieに所属しているギグワーカー(gig worker)が訪問し、1時間から2時間程度、品物の陳列や清掃業務を代行しています。例えば、無人コインランドリーのような場合は乾燥機フィルターの清掃や洗濯機の掃除、無人写真館のような場合は印画紙の交換や掃除などを行うため、地域をベースに人の手が必要な無人店舗を代わりに管理するサービスと言えます。

日本は韓国のように無人店舗が活性化されていないため、「brwnie」サービスは今後の状況に応じて進出の可否を判断することになりそうです。

 

-韓国のWKDKには求人情報機能がありますがどういったサービスでしょうか?

韓国のWKDKサービスでは求人募集機能があります。韓国で最も多く使われている1、2位の採用サービスの場合には、経歴の有無、またはポートフォリオの作成などの主観的な内容が多いです。しかし、WKDKでは、勤務者である本人が遂行した詳細な業務で製作されたポートフォリオを提供しています。 

例えば、幅広く「店舗管理」という業務ではなく、実際の店舗で働いた具体的な履歴をデータ化し個々人が持っている業務能力に基づき、最も適した店舗とマッチングすることができます。また店長には、自身の店舗に適したアルバイトを推薦してマッチングするサービスを今年4月から提供し始めました。これにより、アルバイトはこれまでの自分のアルバイト履歴をもとに自動的にポートフォリオが作成され、店主と労働者双方にとって便利なエコシステムが構築され始めています。

日本の場合は、まずは最も基本的な店舗管理に注力し、ある程度日本国内での認知度を高めてから、採用サービスまで進出していこうと考えています。


-今後の計画とビジョンを教えてください。

私たちの最終的なビジョンと目標は、店主と従業員が働きやすいエコシステムを作ることです。そのため、この生態系における必需品を作ろうと考え、努力しています。

お店や事業を始める時に、まず「WKDKを設置しなければ」と思うくらい、なくてはならない存在になりたいです。例えば、店舗で決済をするためにはPOS端末が必要であるように、店舗を管理するためにはWORKEY DOKEYは必ず用意しなければならないという考えを広めていきたいです。

私たちの会社名は「HIGHERX」です。Xは「未知数」「空白」という意味をもっています。現在私たちは「WKDK」、「brwnie 」の2つのサービスがありますが、これからまた様々なサービスを提供していくという抱負が込められています。また、人が必要なところは私たちのサービスですべて管理できるという意味もあります。

今は人の代わりにロボットやAIが業務を担うケースが増えてきていますが、必ずどこかでは人の手が必要な部分があります。無人店舗も同様に、陳列や掃除は人がしなければなりません。

この部分を高齢化問題が深刻な現代社会に応用し、60代以上の方でも無人店舗で比較的簡単な作業である清掃や管理ができるようにし、シニアクルーを育成しています。高齢者の雇用創出にも貢献したいというビジョンも持っています。


株式会社HIGHERX - クォン・ミンジェ CEO

HP: https://www.wkdk.kr/

Facebook:  https://www.facebook.com/WorkeyDokey/

Instagram: https://www.instagram.com/workeydokey/

YouTube:  https://www.youtube.com/channel/UCf9xSWkce6eYS4pu-hylrdQ


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/media/KORIT編集部
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