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法律×ITの発展:リーガルテックとは?Part1|リーガルテック徹底分析

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現在、IT技術の発展が法律産業全般に大きな変化をもたらしています。 金融、広告など、かつては技術とあまり結びつかないとされていた分野に技術が結びつき、フィンテック(金融+IT)、アドテック(広告+IT)として生まれ変わったように、法律(Legal)と技術(Technology)が結びついた新しい形態の法律サービス、リーガルテック(Legaltech)が脚光を浴びています。 もともとリーガルテックは法律サービスを提供するための技術やソフトウェアを指す用語だったのですが、最近韓国では、IT技術をもとにした新しい形態の法律サービスを法律産業従事者に提供するビジネスを意味するようになりつつあります。

しかし、リーガルテックという言葉は、一般人には耳慣れない、少し難しく感じる言葉もしれません。「リーガルテックってどんな種類があるの?」「どんなサービスがあるの?」「韓国ではどのようなリーガルテックが流行ってるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。 


そこで、今回の記事では読者の皆さんに簡単に理解していただけるように

  • 「リーガルテックの概念」
  • 「リーガルテックがもたらす3つの効果」
  • 「韓国のリーガルテック市場とスタートアップ」
  • 「今後の韓国リーガルテック市場の展望と課題」

について、5回に渡ってまとめました。ぜひ最後までお付き合いください。


リーガルテックが注目されている理由とは?  

法律サービスはこれまで、金融、広告など他の知識サービス産業に比べて、IT技術の導入に保守的でした。 しかし最近、データ分析や人工知能(以下,AI)などのIT技術の発展によって、法律と技術の融合が加速化しています。 法律市場においても、次の二つの側面からリーガルテックを歓迎しています。

まず第一に、急増した情報量の処理という側面です。一つの事件の処理に際して検討しなければならない資料が膨大にあるため、法曹人の負担が増加するわけですが、これを代わりにAIが分析し、その助言を提供する事業者が現れて、注目されるようになってきました。 第二に、法律サービスを利用する法曹人の増加という側面です。 開業弁護士の数が増えるにつれ、事件の受任・解決をめぐる弁護士間の競争が激化し、その中で優位に立つためにIT技術に関心をもつ法曹人が多くなりました。 また、一般人にとっても、法律サービスに関する理解が進み、利用しやすくなったという点でもリーガルテックは注目されています。


リーガルテックの種類

リーガルテックには様々な種類があります。たとえば、e ディスカバリー(e-Discovery)やデジタルフォレンジック(Digital Forensic)は、リーガルテックの代表的な例です。 他にも人工知能検査や、弁護士に代わる人工知能法律技術(AI Legaltech)、弁護士と法律の検索(Lawyer&Legal Search)、各種オンライン法律サービスなどもリーガルテック産業の一種です。

それぞれについて、もう少し詳しく説明します。


1) eディスカバリー (e-Discovery)

eディスカバリーはリーガルテック分野で最も著しく発展した領域で、アメリカでは関連市場が大きく発達しています。 eディスカバリーとは、裁判が始まる前に電子メール、文書などデジタルで構成された電子文書や資料を法廷証拠として提出しなければならない制度のことを言います。これは特別な事由がない限り、裁判が行われる前に検事と被告人、また、原告と被告がお互いに証拠を閲覧したり複写したりできるようにした制度で、その証拠開示制度をデジタル化して領域を広げたものです。2006年に米国訴訟規則が改正され、eディスカバリーが明文化されて以降、イギリス、カナダ、オーストラリアなど英米法系国家で採択されています。

たとえば、eディスカバリーの開示が施行された後、英米法系国家の裁判所で、企業間の特許争いや契約不履行による民事訴訟が行われている間に、開示すべき電子証拠をきちんと開示できなかったために罰金を払わさせられたり、訴訟で不利益を被る事例が増えたりしたことから、この制度に対する関心が高まっています。 そして、企業各社がどのような電子証拠を保有しているのかを、開示された膨大な情報の中からAIが見つけ、裁判に有利な証拠としてまとめるソフトウェアやサービスが、リーガルテックの一領域として特に注目を集めています。


2) デジタルフォレンジック(Digital Forensic)

デジタルフォレンジックとは、現在犯罪捜査に広く活用されている科学的証拠の収集と分析手法のことです。スマートフォン、パソコン、タブレットPC、サーバーなど各種デジタル機器に残っているデータ(メール・メッセージアプリ、通話記録など)を収集・分析して、事件に関する証拠を確保するものです。 現代人は自分でも知らないうちに最低1つ以上のデジタル機器とつながっており、そのために何らかのデジタル情報が、その機器に残っている場合が多いのです。たとえ事件につながる証拠を隠そうとしてデータを削除しても、現在は、ほとんどのデータを復元できるほど技術も発達しています。 このように、現代の犯罪捜査でデジタルフォレンジックの重要性は日々高まっており、デジタルフォレンジック関連技術やサービスを提供する企業やスタートアップも急激に成長しています。 


3) 人工知能法律技術 (AI Legaltech)

人工知能法律技術とは、AIを法律市場に導入して、判事、検事、弁護士などがより正確でスピーディーな法律サービスを提供できるように支援するサービスのことで、 リーガルテックの一軸として最近急成長しています。 AIが彼らの代わりをすることや、リーガルテック企業が法律事務所の代わりをすることはまだ不可能とされています。 多様で複雑な事件を綿密に分析して合理的な判断を下すことは、判事、検事と弁護士の手を経なければなりません。したがって、AIはデータを分析し、業務を標準化し、彼らが合理的な判断を正確に下せるよう手助けする役割を果たします。


4) 弁護士と法律の検索(Lawyer&Legal Search)

一般の人々に日常生活と関わる身近な法律を知らせたり、有能な弁護士や法律そのものの検索機能を提供することもリーガルテックの重要な分野です。法律関連情報は簡単に探せますが、実際の判決で勝訴できるかどうかを左右する判例や、その判例に関わった弁護士の情報は見つけにくいのが実情です。 このような問題を解決するために、多くのリーガルテック・スタートアップが生まれています。その代表例が2005年に設立された弁護士ドットコム株式会社です。



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/media/安基盛(アン・ギソン)
記事を書いた人
安基盛(アン・ギソン)

安基盛(アン・ギソン) 慶應義塾大学 経済学部 経済学科 少し面白い話を共有しようと思います。ある本で読みましたが、過去1万年の期間のうち9900年間の科学的進化速度が10だとすれば、1946年に最初のコンピューターができてから2000年までの進化速度はなんと100だそうです。 そして、2000年から2010年までの進化速度は4,000、その後の10年の進化速度は6,000、そして2030年までの進化速度は78,000以上になると専門家は述べています。 今後10年の世界では、我々は想像すらできないことが現実されるかもしれません。ますますデジタル化するこの世の中で、みんながエンジニアになる必要はなくても、少しでもI T技術の勉強に振れることは重要じゃないかなと思いました。 そこで、私の記事を通じて読者の皆さんに少しでもITの世の中に関心を持っていただけたら本当に幸いです。

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