KDB NextONE Global Roadshow in Japanプログラム2日目となる21日にはTMI総合法律事務所にて、日本でのビジネスを行う際に重要になる商習慣や注意すべき法・税務上のポイントについての講義が行われた。参加した韓国スタートアップは日本進出後の事業展開を見据え、意欲的に講義を聞く姿が印象的であった。

まずはTMI総合法律事務所のイ・ジュニ弁護士が商習慣や法的における日本と韓国の違いについて解説した。
自身が日本での業務を開始した際に実際に経験した日本と韓国の違い、日本のビジネス上の特徴などを交えながら講義を行った。

「日本の法律は韓国の法体系と共通する部分も多いが、細かな点では異なる部分も少なくない。その違いを理解せずに事業を進めると、思わぬ認識のズレやトラブルにつながることもある」と指摘。特に契約、労働、知的財産の領域などでは、条文上の相似点の裏に文化的・実務的な違いが存在するため、慎重な対応が求められると強調した。

続いて、日本市場の特徴についても言及した。
「日本のECや交通・物流の仕組みはアジアの中でもしっかりと整備が進んでおり、そのスケールは他国と比較しても圧倒的である。大手ECサイトを経由せずに販売を行うのは難しいが、その一方で手数料の仕組みなどは数十年前から大きく変わっていない」と述べ、日本市場の特性を理解した上での戦略構築の重要性を語った。

また、日本企業のビジネス文化や人間関係のマナー、雇用形態・働き方の違いなどにも触れ、「一見似ているようで根本は異なる国。同じだと思い込むのではなく、違いを前提に向き合う姿勢が大切である。」とまとめた。

続いて、スターシアの黄代表からは、日本国内での法人設立および事業運用に関する実践的な講義が行われた。

自身がこれまで多数の韓国スタートアップの日本進出を支援してきた経験をもとに、実際の法人設立手続きの流れや、設立後の会計・税務・人材採用におけるポイントを具体的な事例を交えて紹介した。

特に、税理士の視点から見た日本の税法上の留意点や、韓国との制度的な違い・各種専門家の費用に関する注意点など、現場経験をもとにアドバイスを行い、参加した韓国スタートアップ企業が個別に質問する姿も見られた。

実務的な知識だけでなく、日本という市場をより深く理解するきっかけとなる充実した時間となった。