去る4月27日、麻布台ヒルズ森JPタワーにて「Tokyo Unicorn Summit 2026(TUS)」が開催された。
Tokyo Unicorn Summit(TUS)は、アジア全域のスタートアップリーダーやトップ投資家、業界の意思決定者をつなぐ招待制プラットフォームとして、2023年から開催されているイベントだ。韓国・日本を中心に、代表的なスタートアップ、ベンチャーキャピタル(VC)、企業ベンチャーキャピタル(CVC)関係者が集まる場として注目を集めている。

今回は韓国・台湾・シンガポール・ベトナムなど、アジア各国から多くの企業が参加した。

イベント冒頭では、パートナー企業として参加した森ビル株式会社より挨拶が行われたほか、KOREA STARTUP FORUM会長のキム・ジェウォン氏が登壇。「これまでの10年が韓国スタートアップの基盤を築く時間だったとすれば、これからの10年は韓国スタートアップをグローバルへ広げていく機会になる」と語った。

また、「単なる会議にとどまらず、この先の関係性につながるイベントにしたい」と述べ、アジアのスタートアップエコシステム連携への期待を示した。主催である朝鮮日報からも、4回目の開催を迎えられたことへの喜びと、日本での開催に対する感謝が語られた。

その後のスピーカーセッションでは、多くの企業がAI活用をテーマに講演を行った。
SKグループからは、AIフルスタックレイヤー戦略について紹介があった。自社でAI開発を進める一方で、自社のみでは補えない領域に関しては強力なパートナー企業との協業を進めていると説明した。また、韓国語に特化した技術開発のみでは限界があり、外部パートナーとの連携を強化していることも明かした。

中小規模事業者向けサービス「Cashnote(キャッシュノート)」を展開するCashnoteは、無料サービスとしてスタートした当初から、長期的な信頼構築を重視してきたと語った。その結果、ユーザーとの信頼関係を基盤にデータセットを集約し、店舗運営支援にとどまらないサービス展開へと拡大。信用スコアリング事業の獲得や、決済・POS・キオスクなどのビジネスソリューション提供へと発展し、収益化にも成功しているという。現在は、全80機能のうち20機能にAIを導入。段階的にAI活用や事業領域を広げてきた背景には、「ユーザーとの信頼関係」があったとし、本当に必要とされるサービスを見極める重要性を強調した。

また、Carroは自社経験を共有しながら台湾IPOに関して語った。日本でもファッション通販アプリamoodを展開するABLYは、これまでの成長過程やサービス内で活用されているアルゴリズムについて紹介し、その中でのAI活用についても説明した。

日本のNext Unicornセッションでは、LegalOn Technologiesより小笠原 匡隆氏が登壇した。また、小笠原氏が代表弁護士を務める法律事務所ZeLoからも弁護士が参加し、日本におけるAI規制について解説した。

セッションでは、著作権や個人情報とAIの関係など、日本で特に注目されている論点について説明。また、韓国から参加した弁護士は、今年施行された韓国の「AI基本法」について、具体例を交えながら注意すべきポイントを詳しく解説した。

イベント全体を通して、多くの企業がAI活用やAI関連開発について言及していたことが印象的だった。各国で共通する課題がある一方で、似ているようで異なる制度や市場環境も見られ、多国籍企業が集まる本イベントならではの視点から、日本、そして日本を取り巻くアジア各国の現在地を感じることができた。

日本だけでなく、韓国・台湾をはじめとするアジア各国でも、AIへの関心と期待が急速に高まっていることを実感させるイベントとなった。

<画像=Satoshi Tamura撮影>