REALWORLD(リアルワールド)がNVIDIA(エヌビディア)と共同で、ヒューマノイドロボットの精密操作(デクスタリティ)AIを評価する業界標準「DexBench」を開発する。これまでデクスタリティ性能を測る共通基準も、学習に使うデータ標準も存在しなかった分野において、オープン標準を構築することが目標だ。
REALWORLDは、デクスタリティ性能評価ベンチマーク「DexBench」の開発、精密操作学習のためのデータ標準の策定、NVIDIAのIsaac Lab(アイザック・ラボ)およびIsaac Lab-Arena(アイザック・ラボ・アリーナ)フレームワークとの統合という3つの柱で協力を本格化すると、8日に発表した。
ロボットハンドの精緻な動作、すなわち組み立て・仕分け・梱包などの繊細な作業を行うデクスタリティAIは、ヒューマノイドAI開発における核心課題として浮上している。しかし業界には、性能を客観的に測定・比較できる共通評価基準も、大規模学習に活用できる共有データ標準も存在せず、技術の進展と商用化が遅れていた。今回の協力は、REALWORLDの評価方法論・データインフラとNVIDIAのIsaacシミュレーションプラットフォームを組み合わせ、業界が採用できるオープン標準を確立することを目的としている。
DexBenchは実際の産業現場で観察した精密操作タスクをもとに開発された。把持多様性(Grasp Diversity)、空間精度、時間精度、接触精度、状況認識の5つの評価ドメインと、18の主要アトミックタスク(Key Atomic Tasks)を定義する。REALWORLDはDexBenchをIsaac Lab-Arena環境に統合し、シミュレーションと実環境を同時に検証する体制を整える。また、精密操作学習のためのデータフォーマットをNVIDIAと共同で定義してIsaac Labパイプラインとの互換性を確保し、グローバルなロボットメーカー・研究機関が共通で活用できるデータインターフェース標準を目指す。
REALWORLDのリュ・ジュンヒ代表は「ロボットハンドの精密な動きを測定・再現する共通言語なしには、デクスタリティAIの商用化に限界がある」と述べ、「NVIDIAとDexBench・データ標準を確立することで、REALWORLDはモデル開発にとどまらず、産業全体のインフラを設計する役割を担うことになった」と語った。NVIDIAのロボティクスエコシステム責任者であるアミット・ゴエル(Amit Goel)氏は「測定可能かつ再現可能な精密操作能力は、産業環境におけるロボティクスの普及拡大に不可欠だ」とし、「Isaacプラットフォームと統合されたDexBenchは、ロボティクスコミュニティに標準化された指標とデータインフラを提供するものになる」と述べた。
REALWORLDのヒューマノイド精密操作ファウンデーションモデル「RLDX-1」は、RoboCasa Kitchen(ロボカサ・キッチン)、LIBERO-Plus(リベロ・プラス)など8つの公開シミュレーションベンチマークで最高水準の性能(SOTA)を達成したと同社は明らかにした。DexBenchはさらに一歩進み、既存のベンチマークでは測定するよう設計されていなかったデクスタリティ性能を、標準化された方法で評価できるようにする。
REALWORLDはRLDX-1のローンチイベント「Dexterity Night(デクスタリティ・ナイト)」も継続しており、先月のサンフランシスコと日本でのイベントに続き、6月10日にソウルで最後の開催を予定している。
