[今週の資金調達投] 12月第2週

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グラフ=キム・ダナ

12月第2週(8〜12日)は、GALAXY CORPORATION(ギャラクシーコーポレーション)、Neosapience(ネオサピエンス)、Sky Labs(スカイラボ)、Neubility(ニュービリティ)、KIMU(キミュ)、REALTEETH(リアルティース)、intflow(イントフロー)、Sherpas(セルパス)、GBM(ジービーエム)、RenewEarth Lab(リニューアスラボ)、savethefarms(セーブザファームズ)、ARKAIN(アーカイン)が資金調達のニュースを伝えた。

エンターテイメント事業から知能型自律走行ロボットサービスまで、様々な産業領域の企業が資金調達を行ったわけだが、投資ラウンドという側面においてもプレIPO(上場前持分投資)から極初期段階のプレシードまで多様に分布するという点が目を引く。

「企業価値1兆(約1060億円)」新規ユニコーン誕生

3月30日に行われた「G-DRAGON 2025ワールドツアー」画像=GALAXY CORPORATION提供 

最も注目するべきはG-DRAGONの所属会社であるエンターテック企業GALAXY CORPORATIONが1000億ウォン(約106億円)規模のフリーIPO資金し、企業価値1兆ウォン(約1060億円)を認められ、新規ユニコーンとなったこと。直前の企業価値5000億ウォン(約530億円)と比較して2倍の数値となった。

今回の資金調達は全量普通株で行われた。一般的なスタートアップ投資の場合、元本損失リスクを減らすために、返済条件を含むRCPS(償還転換優先株)を主に利用する。投資家がリスクヘッジ機能を利用していないというのは、それだけGALAXY CORPORATIONの成長可能性は高くみられていると分析できる。

AI音声生成プラットフォーム「Typecast(タイプキャスト)」を運営するNeosapience(ネオサピエンス)は165億ウォン(約17.4億円)規模のプレIPO資金調達を行った累積資金調達金額は427億ウォン(約45.1億円)となる。先月末基準でTypecast累積加入者数は263万人となり、今年の売上は100億ウォン(約10.6億円)を突破する見通しだ。

Neosapienceは今回の資金調達をもとに、AI音声生成技術を超え、AIが聞き、考え、話す機能を統合した、リアルタイムで人とコミュニケーションする対話型AI全般へと、事業範囲を拡大する計画だ。

ウェアラブル診断機器企業SkyLabs(スカイラボ)は、プレIPOで115億ウォン(約12.1億円)ほどの資金を調達した。Sky Labsは、血圧を計ったときに空気を注入する圧迫帯(カフ)方式ではなく、光センサーで微小血流の変化を感知する「CART BP(カートビーピー)」を開発した。リング形式の製品を着用することで、24時間の血圧管理が可能となる。

一度、血圧測定で正常判定を受けても、睡眠中には血圧の数値が変わることもある。専門家は、夜間睡眠時の血圧は、起きている時の血圧よりも心脳血管疾患の死亡の可能性をより正確に予測できると分析している。このためCART BPを導入する病院は急速に増加している。

ジェンスン・フアンも賞賛…251億ウォン(約26.5億円)の資金調達を行った韓国のロボット企業

NVIDIAのジェンセン・フアンCEOの基調演説中、ステージ上を走行する「Neubie」 画像=Neubility提供 

NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営者(CEO)の注目を受けた韓国のロボット企業Neubility(ニュービリティ)は、251億ウォン(約26.5億円)規模のシリーズB資金調達を行った。累積資金調達額は550億ウォン(約58.1億円)に達する。

Neubilityは自律走行ロボット「Neubie(ニュービー)」をはじめ、様々なロボットサービスを実際の環境下で運用し、ロボットが自ら状況を認知・判断・対応できるフィジカルAIスキルを高度化してきた。累積142以上のサービスサイトを確保し、複雑な都心環境データを集積した。

ジェンスン・フアンCEOは昨年6月に台湾で開かれた「COMPUTEX 2024(コンピューテックス2024)」の基調演説で「次世代AIの波」とNeubieを紹介した。NeubilityはNVIDIAと継続的に技術フィードバックをやり取りしながら、日本、サウジアラビアなど主要企業とのパートナーシップを通じて海外事業を本格化している。

また今週もAIを全面に打ち出した初期企業の資金調達が相次いだ。デジタル歯科自動化ソリューション企業であるREALTEETH(リアルティース)は、AIを利用してクラウン、インプラント、義歯など歯科補綴物の3D設計と品質検証を自動化する技術で23億ウォン(約2.4億円)のプレシリーズA資金調達を行った。

intflow(イントフロウ)は、オンデバイスAIベースの家畜ヘルスケアソリューション「edgefarm(エッジファーム)」を通じて、豚の個体識別、体重変化、飼料摂取パターンなどをリアルタイムで分析し、農家の意思決定を支援する技術力を認められ、10億ウォン(約1億円)規模のプレシリーズA資金調達に成功した。

AIベースの映像制作技術を保有するARKAIN(アカイン)はショートドラマプラットフォーム「Vigloo(ビグルー)」運営会社のSpoon Labs(スプーンラボ)からシード資金調達を行った。今回の投資をもとに韓国映画・ドラマ制作陣の創作力とAI基盤制作技術を組み合わせて新しい形態のコンテンツ制作モデルを構築する予定だ。

RenewEarth Lab(リニューアスラボ)もAIベースのカーボンデータプラットフォーム「CarbonLink(カーボンリンク)」の技術力を認められ、KIMGISA LAB(キムギサラボ)からシード資金調達を行った。CarbonLinkは製造サプライチェーン全体で発生する温室効果ガス排出量測定(スコープ3)と製品炭素足跡(PCF)データを自動的に収集・検証・報告する。

これまでのエクセル・メール基盤の手作業をAIで自動化し、実務者の業務負担を軽減、△欧州炭素国勢勢(CBAM)△製品炭素発足国△グローバル顧客社報告などの国際規制への対応力を高めることが特徴だ。

社会的・環境的価値を追求するスタートアップも資金調達

写真=イム・ジョンチョル 

デザイナー企業経営効率化をはじめ、社会的・環境的価値を追求するスタートアップにも資金が集まった。企業向けIT資産管理サービス「SMPLY(シンプリー)」を運営するSherpas(セルパス)は21億ウォン(約2.2億円)規模のプレシリーズA資金調達を行った。

SMPLYは、企業のソリューション登録料、ソフトウェアライセンス、社内IT資産の一括管理を可能にする。法人カード・口座を連動して費用の不足と過剰支出を容易に把握でき、PCエージェントを通じて実際の使用量ベースの最適化案も提案する。

SMPLYはESTsoft(イーストソフト、17,990ウォン(約1900円)▼530 -2.86%)、AJung Networks(アジャンネットワークス)、Air Premia(エアプレミア)、Yeogiotte(ヨギオッテ)などさまざまな産業分野の企業400社以上企業に導入された。Sherpasは今回の投資を基にSMPLYのLLM(巨大言語モデル)API管理、高度化されたセキュリティ、AIベースのIT運営管理機能を強化する計画だ。

他にも発達障害をもつアーティストを発掘・教育し、プロの芸術家として成長できるようにサポートするKIMU(キミュ)はプレシリーズAの後続資金調達を行い、制服・卒業衣装など衣料レンタルプラットフォームを運営するGBM(ジビエム)もプレシリーズA資金調達に成功した。

スマート農業ソリューション企業savethefarms(セーブザファームズ)はシード資金調達を行った。savethefarmsは農業の製造過程で残った副産物を資源循環型システムを通じて高機能性バイオ原料として生産する。農業副産物だけでなく、海洋副産物を活用した高機能性バイオ製品を開発中である。

米国で韓国化粧品パーソナライズ定期購入プラットフォーム「Seoul Beauty Club(ソウルビューティークラブ)」を運営するFar Eastern Corp(ファ0ストンコーポレーションは約29億ウォン(約30.6億円)規模のプレシード資金調達を行った。Seoul Beauty Clubは、米国の30~60代の女性を対象にキュレーションベースの韓国化粧品定期購読ボックスとパーソナライズされた製品推薦を提供する。

パク・ドンヒ代表は「Seoul Beauty Clubは効能中心のキュレーションで顧客の気になる部分を解決している」とし「今回の投資をきっかけに米国物流およびエンジニアリングスキルを拡大して米国消費者の韓国化粧品体験を革新するグローバルビューティーインフラとして生まれ変わる」と抱負を語った。

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2025121415404514091