スタートアップ代表は孤独だ

代表取締役になると、みんな口を揃えて「孤独だ」と言う。数人に満たない時は皆が同じ釜の飯を食べる気分で仕事も楽しくて楽しかったが、組織が大きくなってからは役もなく代表という名前の重みのためか、以前のように自由に行動もできず職員に親近感を示すことも難しくなる。そしてある瞬間からは職員たちが私を避けているような気もする。

私は毎年200件を超える事業計画書を検討し、300人を超えるスタートアップ代表たちに会ってご飯も食べて酒も飲みながら代表取締役の孤独について考えたことがある。孤独感を解決しなければ会社が厳しくなりかねない。克服しなければならない。

これまでスタートアップ代表らと交わした対話を基に、代表取締役の孤独が何であり、どのように解決できるのか、それなりに整理してみた。人によって違うかもしれないが、寂しさに苦しむ代表取締役たちの参考になってほしい。

ひとりでご飯を食べない

代表取締役のひとりご飯は一番良くないケースだ。一人でご飯を食べる代表が思ったより多い。時間が足りなくてスマートフォンを見ながらストレスを解消しようとする職員が私を不便に思うなどの理由がある。熱心に働くのは良いが、ご飯は職員またはビジネスパートナー(取引先、メンター、投資家、公務員、同窓、友人)と一緒にするのが良い。顧客または潜在顧客とご飯を共にすれば営業もでき、製品、サービス開発にも役立つので最も良いと言える。

そしてご飯を食べながら、彼らの話をよく聞くことが何よりも重要だ。ご飯を食べながら、私たちの事業がどれほど面白くて良いことかを話し合い、顧客が何を望んでいるのかを話してみることが重要だ。カカオトークで「時間あるか」と尋ねるだけで良い。そうすれば、代表取締役の孤独は減る。

個室から抜け出そう

個室（役員室）は旧時代的企業文化だ。ドアに「役員室」と貼られていればフォームは少しできるが、コミュニケーションの非効率は防げない。ガラスの部屋は外から中が見えるのでまだましだが、情報交流を防ぐという点では同じだ。

個室で代表取締役一人ですべてを悩むのは水平的文化にも反すると言える。一人で独房に座って働いていれば、職員たちが昼食を食べに行く時も代表取締役を呼ばない。そして、この機会を逃せば、会社がどのように回るのかも分かりにくい。もちろん、一人だけの空間が必要な場合もある。その場合、会議室を図書館のようにして使用すればよい。そこで時間を過ごしながら考えを整理すればいい。

代表取締役は休みながら考える必要がある人だ。それで個室というのが誕生したが、今は個室が代表取締役を職員と遮断させ、会社の意思決定を遅らせ、職員に決済圧迫を提供する旧時代的企業文化になった。 IT最大企業の一つであるFacebookにもCEOルームがないという。水平的文化はスタートアップの立場で高速成長の原動力だ。水平的文化を語り、私たちは職責の代わりに名前を呼ぶ文化も受け入れた。同様に、個室にもこだわる理由がない。

マネージャーの役割を直接しない

業務指示は当然できるが、業務指示と成果管理は理事以下のマネジメントパートナーがしなければならない。代表取締役はビジョンと哲学、そして企業のガバナンスを強固にすることだけに最善を尽くせばよい。そのためには、外に出て人々に会い、メンターを迎えて顧客の声に耳を傾けなければならない。投資家、株主がいくらそうすべきだと言っても代表取締役がマネージャーになってはならない。実績のために組織員たちを追い詰めてみても孤独だけがさらに深まる。むしろ本部長（取締役）に怒られた職員を世話しなければならないのが代表取締役の仕事だ。組織管理、成果管理のために理事を選び持分を分配したのも結局、代表理事がやりにくい仕事を代わりにするためだ任せるものは任せよう。

たまには「目的のない対話」を楽しむ

創業家の段階を経て代表取締役になれば、時間がお金よりさらに重要だ。大半の代表取締役らは時間を割いて割いて暮らしている。それで代表たちは人に会うことも「目的達成」のために会い、集いに出ても会社の話だけを粘り強くする。そして、他人の話はよく聞かず、他人の事業と人生については質問もしない。

質問をしなければ相手が分からない。事業の機会は相手が誰なのか把握することから始まる。本当にみすぼらしい身なりの無口な老人がエンジェル投資家である可能性もあり、言葉は下手だが集いに初めて出て恥ずかしがる友人が「スーパー開発者」である可能性もある。だから質問しなければ、そのような大切な縁はそのまま通り過ぎてしまう。そうすれば、代表はさらに孤独にならざるを得ない。

「分からない人々」と「目的のない」話をしてこそ一般消費者の立場で私の事業の助言を聞くことができる。そのとき、事業アイテムは豊かになる。

分かち合いの姿勢を持とう

多くの代表取締役がメンターを置いてアドバイスを求める。そして優れた能力を持つ開発者とデザイナーにお願いをする。頼む姿勢はいい。しかし、良い人材を味方につけるためには、何かを分け合いながら頼まなければならない。株になったお金でも暖かい一言でも、あなたを助けてくれた人に何かを分けなければならない。そうでなければ、「無情だ」という評価が瞬く間に広がり、代表はさらに孤独になる。

もちろん重要なこと（持分）はあまり簡単に分けてはならない。しかし、助けてくれた人々には小さな分かち合いでもしなければならない。分かち合いの姿勢は一瞬にして作られない。人々はあなたが分かち合いの姿勢を持っている人かどうか、かなり早く気づく。

ほとんどの代表取締役は結局自分を孤独にする。代表取締役は社長ではない。代表取締役は数人の取締役で構成された取締役会を代表する者に過ぎない。ところが代表取締役が自らを社長だと考えているため、会社のメンバーがあなたを会社の「家長」と考えるので難しいのだ。

組織員たちがあなたを苦しめると、組織はあなたに話しかけない。そしてあなたは孤独になる。社長にならないようにしよう。すべての責任を自ら抱え込まないようにしよう。あなたはただ別の法人格である株式会社の株主が選出しただけだ。

そしてあまり深刻に思わないようにしよう。一緒に食事をして一人部屋から出て権限と責任を分配し、多様な人々の多様な話を聞いていると、そして何か小さなことでも分かち合えば重い責任感からも抜け出すことができる。そうすれば、最も幸せな代表取締役になれる。

原文:代表取締役の孤独

筆者紹介：BLTオム・ジョンハンパートナー弁理士はスタートアップを発掘し、直接投資する「アクセレーター型」特許事務所「特許法人BLT」の創業者です。企業診断、ビジネスモデル、投資誘致、事業戦略、アイデア戦略などの多様な業務を務めています。

原文：https://platum.kr/archives/191668