前回に引き続き、ファン・ユンイク代表に今後の市場戦略、新起業家へのアドバイス、そして夢見ている未来についてお聞きしていきます。
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目次
- 11.市場の規模と成長の可能性をどのように見ていらっしゃいますか?
- 12.会社の競争優位ポイントは何でしょうか、また、どのように維持していく予定でしょうか?
- 13.会社の収益モデルはどういったものでしょうか?
- 14.新規顧客誘致戦略としては何がありますか?
- 15.会社の組織文化とチーム構成について教えてください。
- 16.会社の成長過程で経験した主な挑戦とそれを成功させた方法について教えてください。
- 17.3~5年後のVUSはどうなっているでしょうか?
- 18.初期投資で資金調達する過程で投資家にアピールしたメッセージは何でしょうか?
- 19.追加資金調達をするなら、注力したい分野はありますか?
- 20.予備起業家にどんなアドバイスをしたいですか?
11.市場の規模と成長の可能性をどのように見ていらっしゃいますか?
韓国廃棄物市場の全体規模は約25兆ウォン(約2.6兆円)程度と知られています。3つの部分に分かれています。収集運搬業が3兆ウォン(約3200億円)、処理業が5兆ウォン(約5300億円)、リサイクル業が10兆ウォン(約1.5兆円)ほどを占めています。VUSは、一次的に収集運搬業に集中していますが、処理業やリサイクル業においても当社のソリューションは必要だと見て市場を広げています。
海外市場を見ると、米国の大規模な環境企業では、収集運搬業が全体の売上の半分以上を占めています。10年前でも処理業がより大きな割合を占めていましたが、今では収集運搬業がより重要になりました。これは、なぜでしょうか?現在、単に廃棄物を運ぶだけではなく、データに基づいてリサイクルし、資源を循環させる最初のボタンの役割を務めるようになったためです。
もう1つ注目すべきなのは、産業がますます大型化している点です。今は中小企業が多いが、急速に統合される傾向にあります。もしそうなら、当然効率がより重要になり、当社のような大規模なソリューションプロバイダーの役割は大きくなると確信しています。その過程で収集運搬業は端から中心になっていくでしょう。単に廃棄物を運ぶのではなく、処理とリサイクルのためのデータセンターであり循環経済の始点の役割を担うことになります。
12.会社の競争優位ポイントは何でしょうか、また、どのように維持していく予定でしょうか?
VUSは廃棄物管理市場に比較的早く参入しました。この市場はあまりにも閉鎖的な産業です。当社は初期から入ってデジタル化の必要性を強調し、顧客基盤を広げてきました。このようなプリエンプション効果が今大きな力となっています。韓国1位の環境企業「ECORBIT(エコビット)」とも協力しているという点も競争優位として働きます。このような大企業と協力することで、当社の技術力と信頼性は証明されています。他の企業とのパートナーシップを築くのにも役立ちます。
他にも中小収集運搬業者と素早く関係を形成したという点があります。収集運搬業はほとんど中小企業で構成されていますが、これらの企業とパートナーシップを結ぶのはかなり難しいです。しかし、当社はすぐに信頼関係を築きました。おかげで、市場でのソリューション開発に大きなサポートを受け、多くの顧客に出会えました。
最後に、事業化能力と技術力を備えました。KakaoTaxiやTADAのようなモビリティプラットフォームで経験を積んできた私以外にも、チームメンバーが積み重ねてきた事業的な力量、技術的なノウハウがすべて結集されました。
13.会社の収益モデルはどういったものでしょうか?
まず、SaaS、つまりクラウドベースのサービスです。主に中小規模の顧客向けです。月間や年間で購読する方式になっています。SaaSビジネスモデルの利点はそのままです。初期費用なしで迅速にビジネスに適用できるという利点があります。お客様がご希望される場合は、ルート最適化などの高度な機能も追加でご利用いただけます。
2つ目はOn-Premise、構築型ソリューションで収益を実現しています。このモデルは比較的大規模な事業者のためのものです。お客様の環境に合わせてシステムを構築し、初期構築費にメンテナンスサービスで収益を生み出しています。今後は先ほど申し上げた収集運搬業の売上。早ければ2025年から直接収集運搬業にも飛び込む予定です。廃棄物管理の最初から最後まで、全プロセスを支援しながら新たな収益を生み出す予定です。
14.新規顧客誘致戦略としては何がありますか?
中小収集運搬会社との着実に協力しています。収集運搬業の特性上、地域別クラスター中心に仕事が回ります。個々の収集運送会社が中心となり、地域拠点に基づいて推進する戦略をとっています。
ECORBITのような大型処理業者あるいはリサイクル業者とのパートナーシップを結ぶことによっても新規顧客を誘致しています。例えば、ECORBITとパートナー関係にある収集運送会社に当社サービスを紹介しながら新規顧客を確保する方式を利用しています。このような大企業との協力が当社の技術力と信頼性を立証できる手段としても働いています。

顧客が見るMangoサービスの画面(出典:VUS)
15.会社の組織文化とチーム構成について教えてください。
当社のチームメンバーは目的指向的に集まったという特徴があります。起業当時は公共交通技術革新に共感して同意する方が集まりました。そうしている内に、単に仕事をするだけではなく、自社が作るサービスが実際のユーザーにとってどんな風に役立てるかについて、深く悩む方々が集まることになりました。
他にもモビリティをはじめ、それぞれの分野で大小経験して、合流した方が大半です。特に3年目から資金調達だけでなく、M&Aまで対応する必要性があり、経営戦略、財務、会計経験をお持ちの方を補強したことが大きな助けとなりました。
昨年は組織文化のため外部専門家と2日間セミナーを行ったりしました。最近資金調達によりランウェイが確保され、不安等が少し少なくはなったものの、スタートアップですので、依然として生き残ることを最優先としています。継続的にVUSのみの組織文化をつくっていくために、様々な試みをしてみる予定です。

出典:INNOFOREST
16.会社の成長過程で経験した主な挑戦とそれを成功させた方法について教えてください。
サービスピボットのプロセスは、最も記憶に残っている課題の一つです。 「公共交通革新」を目指し、走り出して1年で現実的な限界にぶつかりました。その時点で、Mark&Company(マーク&カンパニー)のチャン・ヘスン理事を通して、新しいビジネスチャンスを発見しました。理事の周りに廃棄物業界に従事されている方がいらっしゃいました。ちょうどその方は廃棄物収集運搬車両管理ソリューションを見つけようとして、困難にぶつかっているような状況でした。そのような過程で交流をもつようになったのが韓国内環境企業1位のECORBITでした。
今考えてみても、ピボットは私だけでなくチームメンバーにとっても、困惑するような要素でした。幸いチームメンバーたちもバスを後にして、ゴミ収集車に乗り換える試みに理解を示してくれました。新たな挑戦を共にしてくれたということ、私の決定そしてチームメンバーの理解がVUSのターニングポイントでした。
17.3~5年後のVUSはどうなっているでしょうか?
もしかするとCESCO(セスコ)が当社のロールモデルになるのでは、と思っています。CESCOもそれまでなかった分野を1つの産業にして社会的に信頼されるブランドになりました。当社は現在、零細で散り散りになっている廃棄物収集運搬業のデジタル転換(DX)を支援していますが、今後成長するこの分野の価値を広め、産業化する過程がCESCOのそれと似ていると感じています。
まだ廃棄物産業は日常生活と密接に繋がってはいません。しかし、詳しく見てみると、道路や電気、水道のような社会で非常に重要なインフラストラクチャです。当社はこのような重要なインフラを産業化という名分とともに、より体系的かつスマートに変換することに積極的な一助になりたいと思っています。
長期的には大きな夢もあります。韓国内で十分な経験を積んで「K-Wastes」という新しいグローバル基準を作りたいというものです。K-POPや韓国ドラマ、韓国フードが世界中で人気を集めているように、K-Wastesも可能性の高い領域だと思っています。そしてその主人公がVUSとなる想像をして、一生懸命歩を進めています。
18.初期投資で資金調達する過程で投資家にアピールしたメッセージは何でしょうか?
色々理由はあるのでしょうが、シード資金調達では私の個人的なキャリアがアピールポイントになったように思います。KakaoTaxi、SOCARを経てきた経験に基づき、投資家の方々が私を信頼してくれているという印象を受けました。
廃棄物市場へのピボット後、ECORBITとのコラボレーションを進めながら実際の成果が出てきた後には大胆にメッセージを変えました。
「最も閉鎖的な市場、唯一のプレーヤー」。
「VUSは、既存の最も閉鎖的な市場の1つである廃棄物市場でソリューションを提供する唯一の企業であり、この市場をデジタル化しながら成長し続けることが可能です」
コア能力の差別化されたポイントを投資家にアピールしました。もちろん「本当に唯一なのか?」という質問も受けましたが、もし見つけたら教えてほしい、と言いました。鳥栖文も着実に探しており、依然として努力しているところなので。
19.追加資金調達をするなら、注力したい分野はありますか?
追加投資を受けたら、AI技術開発に重きを置きたいと思っています。今まで廃棄物管理産業はデジタル転換がほとんど進んでいない分野でしたが、このような市場にAIを融合できる部分が多いと考えています。
もちろん、すでにAIを適用して車両配車を最適化しています。しかし、今後も廃棄物排出量予測、収集運搬過程でのアビュージングディテクトなど、AIを通じて商品性を改善できる部分は未だに、多く残っています。そうすれば、グローバル市場でも独歩的なソリューションになることができるでしょう。
20.予備起業家にどんなアドバイスをしたいですか?
私は52歳で起業しました。私の人生計画に起業は絶対に存在しないものでした。ただ自分がやりたいことをやっている内に起業に巡り会いました。おそらく他の方法があったら起業しなかったでしょう。起業は考えるだけでも、すごく大変なことだと思っていたので。
しかし、起業が目標ではなく手段として近づいてきたとき、始めざるを得ませんでした。自分でやらなければなりませんでした。計画を持って起業したわけではないので、準備する暇もありませんでした。そのため、もっと色々試行錯誤できたんじゃないかと時々思いますが、それでも準備をしてたからといって何ができたんだろうとも思います。
それまで、私は起業というのは青年に適した言葉だと思っていました。自分でやってみると、むしろ経験と経歴が役に立つ場面にたくさん遭遇しました。年齢による限界は一度も感じたことはありません。また、私の年齢でこんなにやる気に満ちた時間を過ごせるということ自体が楽しく感謝しています。
質問に戻り、予備起業家の方々にしてあげたいアドバイスは、実のところありません。起業はまだ私にとっても難しいからです。これからもずっとそうだと思います。でも、本当にやりたいことの実現方法は起業であれば、私はおすすめしたいと思います。避けずに挑戦してみてください。何かしらは、残るでしょうから。
インタビューを終えて
VUSファン・ユンイク代表とのインタビューは、実直さが伝わってくる席でした。ファン代表は起業のきっかけとして「目標ではなく手段だったから」と答えました。廃棄物産業はすぐになくてはならない重要なインフラですが、道路や電気、水道と比べると聞き慣れない産業です。
まだ明確な競合他社が存在しないという利点はあるでしょうが、それだけ新たに発掘しなければならないことが多い過程の中で苦しいことも沢山あることと思います。それにもかかわらず「Patagonia」のように社会的価値を志向する価値観を信じて、本気で飛び込んだファン代表とVUSチームの姿がとても印象的でした。VUSのこれからを心から応援します。
