前回に引き続き、CES 2026でも注目を浴びたK-ロボットについて紹介していきます。
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CES 2026に参加した主要ロボティクススタートアップ(7~15)

7.neuromeka -協働ロボット分野の強者

資金調達状況:シリーズD(2021年)

neuromeka(ニューロメカ)は、韓国の協働ロボット(cobot)市場をリードする企業として、今回のCES 2026でも自社の技術力を披露しました。協働ロボットは、人と同じ作業空間で安全に作業できるロボットで、中小規模の製造企業を中心に広く活用されています。

同社は長年の経験に基づいて、安定した製品供給と技術支援を提供し、K-ロボット生態系を支える中堅企業として確固たる地位を築いています。

CES 2026に参加したneuromeka / 画像提供:ロボット新聞

8.SBB TECH – ロボットの「筋肉」を支えるハーモニック減速機

資金調達状況:非公開(1件)、シリーズD(1件)

SBB TECHは、ロボットの性能やコスト構造を左右する中核的な駆動系部品メーカーとして、ハーモニック減速機や小型アクチュエータ、操舵・偏心駆動装置などを展示しました。

同社は、ロボット駆動モジュールの中核部品であるハーモニック減速機を韓国で初めて開発・量産化し、国産化を実現した企業です。減速機はロボットの精度や安定性を支える重要な要素であり、ロボット産業の高度化とともに中長期的に最も高い成長が見込まれる分野として評価されています。

リュ・ジェワン代表は、「CES 2026は、ヒューマノイドロボットを含む次世代ロボット産業で、韓国の技術競争力を世界に示すことができる場だ。」とし、「今回の展示を通じて、ロボット中核部品の重要性と技術力をグローバル市場に印象付け、海外事業の機会を積極的に拡大していきたい。」と語りました。

SBB TECHの主なロボットアクチュエータ部品 / 画像提供:ZDNET Korea(ジーディーネットコリア)

9.Faraday Dynamics – 未来型ロボットソリューション

資金調達状況:シード 2件 (2023年)

Faraday Dynamics(ファラデーダイナミクス)は、安全かつ高精度な人間・ロボットの相互作用を実現するための、高トルク密度モーターを開発するスタートアップです。革新的な磁性体と磁束集中技術により、減速機なしで強力な力を発揮するモーターを実現し、ウェアラブルロボットや協働ロボット、ヒューマノイドなど、次世代ロボット市場の中核部品を開発しています。CES 2026では、K-ヒューマノイドMAX アライアンスに参加する企業の一つとして、革新的なロボットモーターソリューションを披露しました。

Faraday Dynamicsの高トルク密度モーター

10.Gole-Robotics – CES 2026 イノベーション賞3冠達成

資金調達状況:プレシリーズA(2024年)、シード(2023年)

Gole-Robotics(ゴレロボティクス)は建設および住環境自動化ソリューションの専門企業で、CES 2026において3部門のイノベーション賞を同時受賞し、大きな注目を集めました。これは、同社のAI・ロボティクス技術が世界市場で公式に認められたことを意味します。イ・ドンミン代表は、POSCO(ポスコ)建築の事業本部に勤務した後、社内ベンチャー制度を通じて独立し、Gole-Roboticsを立ち上げました。

受賞製品:

  • ND-3(人工知能部門):AIベースの建設現場向け資材輸送・進捗状況モニタリングロボット
  • AA-2(ロボティクス部門):ラストマイル配送ロボット
  • EVW-1(スマートコミュニティ部門):エレベーター呼び出しロボット

イ・ドンミン代表は、「当社の高い技術力と独創的なメカニズムが評価された結果だ。」とし、「この成果を基に、建設自動化への取り組みを一段と強化していく。」と語りました。また、韓国企業が工事を行っている米国の建設現場への進出に意欲を示すとともに、米国で深刻化する建設人材不足を、AIを活用した自動化ソリューションで解決していく考えを明らかにしました。

Gole-Roboticsの主なロボットソリューション

11.Sequor Robotics – フィジカルAI向け3D空間データ技術

資金調達状況:シード (2022年)

Sequor Robotics(セコアロボティクス)は、ロボティクス・ファウンデーションモデル(Robotics Foundation Models)分野をリードする企業で、汎用ロボット知能の実装に力を注いでいます。ソウル大学ロボット学習研究室の研究員らが創業した同社は、韓国最高レベルのロボティクスエンジニアによって構成されています。

CES 2026では、フィジカルAI実装に向けた3次元空間データ生成技術「Neural 3D Map(ニューラル3Dマップ)」を公開しました。同技術は、空間の複雑さや重要度に応じて解像度を柔軟に調整するAdaptive Voxel(アダプティブボクセル)ベースの3D表現方式を採用し、高精度を維持しながらもメモリ使用量を最小限に抑えている点が特長です。

100カ所以上の実環境で3次元空間データを直接収集し、それを学習データとして活用するパイプラインの構築・検証をすでに終えています。2025年の「Forbes Korea 30 Under 30(フォーブスコリア 30歳未満30人)」に選出されたオ・ジョンウ代表は、「ニューラル3Dビジョンに基づくロボティクス基盤モデルは、従来の3Dセンサーを使わず、画像データだけで3D環境を理解できる能力を備えている。」と説明しています。

Sequor Roboticsの3D空間データの技術概念 / 画像提供:Sequor Robotics(セコアロボティクス)

12.NaviFra – CES 2026イノベーション賞受賞の自律走行物流ロボット企業

資金調達状況:シード (2022年)

NaviFraは物流ロボットの自律走行を専門とする企業で、ビジョンベースのマーカーレスドッキングシステム「NaviDock(ナビドック)」で、CES 2026のロボットオートメーション(Robotics)部門イノベーション賞(Honoree)を受賞しました。パク・ジュンテ代表は、LG Electronics(LGエレクトロニクス)のロボットSW開発チームでの勤務をはじめ、clobot(クロボット)のCTO、HL Mando(HLマンド)の自律走行ロボット事業担当など、多様なロボット産業での経験を持つ専門家として知られています。

主要技術:

  • NaviCore(ナビコア):ロボットの種類を問わず、設置されたロボットの高精度自律走行(±10mm、1°)を可能にするソフトウェア
  • NaviBrain(ナビブレイン):100台以上のマルチロボットを対象に、モニタリングと滞留回避走行を実現する管制ソリューション。
  • NaviDock:追加のインフラを必要とせず、ビジョンベースで多様なタイプのロボットが自動的に充電・ドッキングできるシステム

NaviDockは、床面へのQRコード設置や反射板の取りつけ、反復的なティーチング工程を必要とせず、プラグアンドプレイ方式でドッキングが可能な設計となっています。パク・ジュンテ代表は、LG ElectronicsとSAMSUNG重工業の研究員を経て、clobotのCTOを務めたロボット自律走行の専門家で、「ビジョンベースのドッキング技術を通じて、現場でのインフラ構築負担を軽減することを目指した。」と語りました。

同社の技術は、半導体工場や電気自動車バッテリー工場などで実際に使用されており、POSCOやMANDOなどからの投資も受けています。CES 2024への出展以降は、韓国の大企業と海外での実証(PoC)を進めており、追加投資の獲得によって企業価値は7倍に成長しました。

NaviFraの物流ロボット向け自律走行ソフトウェアおよびハードウェア / 画像提供:NaviFra

13.HUROTICS – CES 2025イノベーション賞、歩行リハビリ用ウェアラブルロボット

資金調達状況:プレシリーズA 35億ウォン(約4億円)以上、シード 3億ウォン(約3,000万円)

HUROTICS(ヒューロティクス)は、中央大学の補助・リハビリロボット研究室のイ・ギウク機械工学科助教が立ち上げた教員創業スタートアップとして知られています。CES 2024およびCES 2025で2年連続イノベーション賞を受賞しました。イ・ギウク代表が率いる同社は、身体的な限界を乗り越え、歩行やリハビリテーションを支援する先進的なウェアラブルロボットスーツの開発に取り組んでいます。

主要製品:

  • H-Medi(H-メディ):病院でのリハビリ治療向けウェアラブルロボットで、2025年9月に正式発売され、食品医薬品安全処の医療機器2等級認証を取得しました。
  • H-Flex(H-フレックス):超軽量モジュール型の歩行補助ロボットで、家庭での使用にも対応しています。

HUROTICSの技術は、Edge AIと組み合わせたモジュール式駆動装置により、利用者それぞれのニーズに応じたカスタマイズを可能にします。歩行周期を分析して、利用者の歩行意図に基づいて補助力を精密に調整できる点が特長です。CES 2025では、H-Mediの体験イベントを通じて、世界各国の来場者と医療関係者から製品の有効性と今後の発展可能性が認められました。

イ・ギウク代表は、「今後、ウェアラブルロボットは病院だけでなく、個人ユーザーにとっても不可欠なソリューションとなる。」とし、「誰もが使える人間中心のウェアラブルロボット技術を通じて、身体的な制約を乗り越えるより良い生活を提供したい。」と語りました。

HUROTICSの歩行リハビリ用ウェアラブルロボット

14.Cutshion – ロボットプラットフォームサービス

資金調達状況:シード 1件 (2024年)

cutshionは、産業用ロボットおよび自動化ソリューションを提供する専門企業で、調理、溶接、パレタイジングなど、様々な分野のロボットソリューションを開発しています。ロボット本体やロボットアプリケーションの開発にとどまらず、将来的にはあらゆるロボットに適用可能なプラットフォームを開発・展開するプラットフォームサービス事業者への成長を目指しています。

cutshionのロボットとロボットアプリケーションを組み合わせたプラットフォーム

15.HOP – 屋内測位センサー

資金調達状況:シード2件 (2024年)

HOP(エイチオーピー)は、GPSが届かない屋内や地下などの環境でも、ロボットやドローンを活用できるようにする測定センサーを開発しています。小型かつ軽量で、電力消費が少なく、さまざまな産業分野への応用が可能です。

HOPの屋内測位センサーのコンセプトイメージ

おわりに:フィジカルAI時代、Kロボットの挑戦

CES 2026は、ロボットがもはや研究室の中だけの存在ではなく、工場や家庭、病院、建設現場へと広がる「フィジカルAI時代」の幕開けを象徴する舞台でした。アトラスの華やかな登場の裏には、A-robot、Tommoro Robotics、WIRoboticsといった韓国のロボティクススタートアップによる熱い挑戦がありました。

部品からソフトウェアまでを網羅する産業基盤、大企業とスタートアップの協業体制、そして現場での検証まで、Kロボットが歩むべき道はまだまだ長いものの、その挑戦が途切れることなく続いていくことを期待したいところです。

原文:https://www.innoforest.co.kr/report/NS00000446/

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