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我々はある瞬間から、プラットフォームなしでは生きることができなくなった

朝、目を覚まし、Kakao talk(カカオトーク)でメッセージを確認し、出勤途中にCoupang(クーパン)で生活必需品を注文する生活。現代人にとって、メッセンジャーとEコマースはもはや選択の領域ではなく、空気や水のような日常を構成するインフラになりました。しかし、我々がこの便利さに慣れて転換費用(Switching Cost)が増え、プラットフォームに埋没した瞬間、彼らは約束した「共生」と「革新」の仮面を脱いで投げ出してしまいました。
2025年下半期、韓国人が最も多く利用するメッセンジャーであるKakao Talk(カカオトーク)と早朝配送で有名なEコマース企業Coupang(クーパン)が見せたのは、「国民サービス」という名称がどれほど重いのかを示した失望する時間でした。
収益性に目がくらんだ巨大ITプラットフォームの白々しい嘘

<出典:chosun.com>

昨年9月、メッセンジャーアプリのKakao Talkは、ユーザーが最も多く時間を消費する友人タブを格子型広告フィードの形でUIを改善するアップデートを進めました。 「ユーザー体験を高度化した」というKakao Talkの説明とは異なり、画面は全て商業広告で埋め尽くされ、業務上の連絡先を知っている人々の日常の近況まで無差別に上段に露出され、ユーザーの反発はみるみるうちに広がりました。
しかし、Kakaoの対応は高圧的でした。10月12日、公式のコメントを通じて「新しいUIはシステム構造と深く結合しており、以前のバージョンに戻すこと(ロールバック)は技術的に不可能に近い」とし、事実上利用者に「適応または退会しろ」との発表をしました。しかし、ほどなくして、無名の1人の開発者がITコミュニティに「Kakao Talkの旧バージョンUIパッチ」を制作してリリースし、巨大IT企業の嘘はほどなくして露呈しました。
結局、四半期の売上が減少し、世論や政界はもちろん、今回のアップデートを主導的に進めていた内部役員の問題まで浮上し、雰囲気は悪化。結果、Kakaoは12月15日、旧バージョンへのロールバックを宣言することとなりました。
米国企業という名の後ろに隠れてしまった責任経営

<出典:nocutnews.co.kr>
韓国の代表的なEコマース企業であり、日本で現在、Rocketnow(ロケットナウ)という名称で食品配達サービス市場に再挑戦したCoupangは昨年11月19日、当初約4,500件と発表した個人情報流出の規模が、その後の調査の結果、なんと約3,370万人に上ることが明らかになり、大きな衝撃を与えました。流出項目には名前、住所、共用玄関の暗証番号、カード情報、注文内訳などの秘匿データが多く含まれており、流出したと疑われる個人の通関番号も他人の海外の直接購入に盗用される状況にもなりました。事実上、Coupangを利用する全顧客の個人情報が全て流出したわけです。
それにもかかわらず、Coupangの対応は「隠蔽と回避」に終始しました。個人情報の「流出」を「露出」と表現して事案を縮小し、被害事実の告知を遅らせる一方、退会を難しくするダークパターン(ユーザーが望む行動が取れないようにするUX構造)を適用して消費者の選択権を妨げました。

<出典:hankyung.com>
国会での責任追及にもCoupangはやや傲慢な態度を見せました。経営陣は海外での日程を言い訳に聴聞会に参加せず、前代表の辞任後、新たに任命された臨時代表は韓国語を全く話せず、「最終決定権は米国本社にある」との論理で返答を避けました。売上の90%以上を韓国で上げながら、いざ責任を負わなければならない時には米国法人という盾の後ろに隠れたのです。
Coupangは韓国での売上比率が90%に上るにもかかわらず、責任経営より米国投資家の利益を優先する二重的な態度を見せています。調査の過程での証拠隠滅はもちろん、韓国とアメリカの報道資料や公示資料に微妙に異なる表現を使って韓国の利用者を欺き、米国の投資家の顔色をうかがう姿勢を見せました。これに失望した利用者たちの間で「Coupang離れ」が相次ぎ、10月に比べ、デイリー・アクティブ・ユーザー(DAU)数は約180万人減りました。

さらに深刻なのは、市場独自の地位を利用して国家システムと消費者を圧迫していることです。2024年夏、自社のPB商品の上位露出のためにアルゴリズムを操作した疑いで1,400億ウォン(約150億8700万円)の課徴金の制裁を受けるや、Coupangは報道資料を通じて「商品の推薦が禁止されれば早朝配送サービスを維持するのが難しい」との見解を発表しました。
これは、法的・行政的制裁に対してサービスの中断を担保に政府と国民を脅迫する傲慢な態度であり、韓国のEコマース市場のプラットフォーム権力がいかに社会的責任を免れ、政府の規制システムさえ無力化しようとしているのかを如実に見せた最悪の事例であり、現在も進行中の問題です。
国民の牛乳「南陽(ナミャン)」が「没落のアイコン」になるまで

<出典:mbc>
消費者の信頼を失った企業は、長くその審判を消費者から受けることになります。業界1位の乳製品企業だった南陽(ナミャン)乳業が韓国で落ちぶれていく過程を見る中で、韓国市場に参入する企業が責任経営についての内容に悩むべき部分があると感じます。
2013年、代理店主に対する暴言と物の押し売りにより、いわゆる「パワハラ」企業の代名詞となった南陽乳業は、当時は業界1位でしたが、反省のない態度を続け、2021年には、自社の乳製品のコロナウイルス抑制効果をうたった無理なマーケティングや、オーナーの親族による横領、麻薬疑惑、虚偽マーケティングなどで信頼は地に落ちました。当時、会長は経営の第一線から退く意向を示しましたが、しばらくして決定を撤回し、プライベート・エクイティ・ファンドとの法廷争いの末に昨年11月、裁判所から賠償金の支払いを命じられると共に、オーナー一族の経営が幕を閉じました。

<出典:pressian>
この過程で南陽乳業は全盛期の時価総額比60%以上が蒸発する大きな代償を払うことになりました。業界1位の座からも長く遠ざかっており、企業に対する消費者の拒否感を避けるため、製品から「南陽」のロゴを隠して販売する欺瞞(ぎまん)戦略を繰り広げたりもしましたが、これはむしろ消費者の怒りを増幅させました。 「牛乳市場には代用品が多い」という自明な真理を見過ごした傲慢が、結局、12年にわたる経営権の剥奪というブーメランとして戻ってきたのです。
永遠の1位はない
南陽乳業が見せた過去の対応は、最近、CoupangやKakao Talkが描く軌跡と驚くほど似ています。市場支配力が臨界点を超えた瞬間、プラットフォームが掲げた「ユーザーの利便性」は、すぐさまユーザーを閉じ込める「障壁」に変質します。
売上の大半を韓国内で上げながらも、実際の視線は外部の利害関係だけに置いたままの二重的な態度を見せるCoupangの対応、そして課徴金制裁に「サービス中断」を暗示し、利用者を人質にして政府とにらみ合う態度は、プラットフォーム自らが既に統制不可能な権力になっていることを自認しています。

<出典:thescoop.co.kr>
しかし、最近、消費者は多くの情報習得により、効率消費を越え、今や価値消費、所信消費へと消費形態を変えてきています。消費者も進化しているのです。自分の信念を消費で証明する「ミーニングアウト(Meaning Out)」、これ以上プラットフォームの捕虜になることを拒否しています。不便さを甘受しても自分の価値観に合ったブランドを選ぶ消費者が増えているのです。
CoupangとKakao Talkが今回の問題で「我々がいなければ、消費者は不便で生活できないだろう」とのプラットフォームの確信は、「我々の牛乳がなければ困るはずだ」と信じていた南陽乳業の錯覚に似ています。

消費者にとって、企業の「独占的地位」は依然として有効な戦略ですが、以前ほど絶対的な武器にはならないようです。14年前、Kakao Talkをサービスする中で、「Kakaoチームはそんなに窮しておらず、広告を入れるスペースもない」と告知をしました。そして、2025年にKakaoが見せた屈辱的なサービスロールバック宣言は、いくら堅固なアルゴリズムを持ったプラットフォームであっても、利用者の集団的拒否の前では、単なる脆弱(ぜいじゃく)なソフトウェアに過ぎないことを如実に証明しました。
プラットフォームは人質を閉じ込める監獄ではなく、信頼が流れる広場でなければなりません。かつては善良なプラットフォームをうたい、本音を隠す戦略が有効だったかもしれません。しかし、信頼を失った後に再び大衆の心を惹きつけることは不可能に近いです。企業も「代替不可能なサービスはない」という事実を自覚し、企業の倫理と責任経営に対する姿勢をさらに強化しなければならないでしょう。
永遠の1位が存在しない市場の現実の中で、自分たちが提供するサービスが真の「必須素材」なのか、それとも運よく日常を占有した「拘束犯」なのかということです。
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