【2023年1月にKOSDAQ上場:TEMC株式会社】|K-IPOレポート~会計士のぶはらが現地から韓国IPO情報を発信
2023年1月にKOSDAQ上場:TEMC株式会社
2023年1月19日にKOSDAQ上場したTEMCという会社についてご紹介致します。
韓国で2023年に最初に上場した企業です。
会社概要
(参考:韓国取引所電子開示システム、金融監督院電子開示システム)
TEMCは半導体およびディスプレイ工程に使われる特殊ガスを製造、供給している会社です。ガス合成および水電解技術、希少ガスを抽出および分離する技術、特殊ガスを精製·混合·充填する技術をはじめとし、特殊ガス製造の全工程を内在化した技術を保有しています。
財務情報(連結ベース)
続いて直近の財務状態、業績の推移です。
(参考:韓国取引所電子開示システム、金融監督院電子開示システム)
(参考:韓国取引所電子開示システム、金融監督院電子開示システム)
過去の資本取引及び株主
2022年12月期の監査報告書の注記事項を元に過去の資本取引及び株主について整理しました。
2022年12月期の株主は次の通りです。
(参考:金融監督院電子開示システム)
ポスコGEM1号ファンドはポスコ技術投資が組成し、ポスコが出資したファンドです。 SVIC52号はサムスンベンチャー投資が組成し、サムスン電子が昨年99%を出資して結成されたファンドです。2022年に有償増資(約77億ウォン)及び既存株主から追加取得で10.02%の持分を持っています。
ポスコとの関係では、2022年にポスコと共に国内で初めて露光工程(半導体表面に回路パターンを描く工程)に使うEximer laser用ネオンガス抽出設備および精製技術を開発し、ネオンガスを量産するのに成功したとのことです。
直近の資金調達時の株価及び公募時の株価と比較した結果は、次の通りです。
※ 2022年5月の無償増資考慮後の株価
上場前3年間の資金調達時の株価と公募価額(28,000ウォン)を比較すると2.3倍~8倍となっています。
上場時公募情報及び上場後の株価、時価総額の推移
(参考:韓国取引所電子開示システム)
公開価格決定時、希望価格は、32,000~38,000ウォンだったようですが、約13パーセント低い28,000ウォンで決定されました。
上場後は、順調に株価が増加しており、2023年6月9日現在で株価は、53,400ウォン、時価総額は、5,674億ウォンで、公開時の90.7%増となっております。
今後、特殊ガスの需要は、増加すると言われていますし、2023年最初の上場企業がこのように順調に株価を伸ばしており、幸先がいいですね。
#K-IPO👈過去のK-IPOはこちらから!
■著者PROFILE
申原 侑祐 (のぶはら・ゆうすけ)
―日本公認会計士・公認不正検査士
株式会社スターシアにて、韓国企業の日本子会社を含む日本法人の会計監査、日本企業及び韓国企業に対する財務デューデリジェンス業務やバリュエーション業務、日系企業の韓国進出支援、韓国系企業の日本進出支援、日系企業の韓国拠点に対する不正調査を含む内部監査支援等に従事している。
株式会社スターシアHP:株式会社スターシア (starsia.co.jp)
日本企業の韓国進出・韓国企業の日本進出を支援する会計事務所系コンサルティング会社です。現地拠点の会計税務やクロスボーダーM&Aなどの各種業務にも対応しています。
関連記事
-
スタートアップ支援金打ち切り問題、TIPSだけ信じていいのか?
#韓国 #スタートアップ #資金調達 -
投資の低迷期に革新を生み出すスタートアップになるには
#韓国 #スタートアップ #ユニコーン企業 -
【ちょい事情通の記者が送るキュレーティングレター】
#ちょい事情通の記者 #韓国 #AI #ChatGPT -
【そのとき投資】LIVIT、気候危機のゲームチェンジャー「タンソリューション」を提示する
#ちょい事情通の記者 #気候テック #炭素 #環境 #スタートアップ -
【ちょいやり手の社員】catchtable、月500万ウォン(約54万円)のマーケティング予算で100万人のユーザーを集める
#ちょい事情通の記者 #マーケティング #フードテック #SaaS -
ショートフォームコンテンツ時代のスタートアップのマーケティング戦略
#韓国 #スタートアップ #マーケティング #アドテック