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【彼のHOW】「電子ビームを生理用ナプキンに?」 本物のオーガニック生理用ナプキンの量産に成功したINERTIA(イノシア)

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 【彼のHOW】「電子ビームを生理用ナプキンに?」 本物のオーガニック生理用ナプキンの量産に成功したINERTIA

 

ちょい事情通の記者 2号 イム・ギョンオプ

 「はい。天然の材料で作ったと広告する生理用ナプキンも吸収剤はSAPという化学物質を使っており、この物質が女性の健康を害する事例が増えています。天然材料で作られた吸収剤は、吸収力が低く、顧客の満足度が低下します」 「どうやってその問題を解決しますか?」 「私たちは原子力専攻です。電子ビームを撃つと、天然材料をSAPに劣らない吸収力を持つ天然吸収剤にすることができます」

 昨年9月FuturePlay(フューチャープレイ)リュ・ジュンヒ代表の「そのとき投資」 で取り上げたINERTIA(イノシア)投資記の一部です。INERTIAは、電子ビームを使ったオーガニック生理用ナプキンを作ると言いました。寄稿当時、製品もなかった状態でした。FuturePlayは 「技術を基に生理用ナプキンを変えてみよう」と言う4人の創業メンバーに投資した状態でした。彼らの最初のアイテムはペット犬のがん治療機器であり、 それをピボットしたものがオーガニック生理用ナプキンでした。

 KAISTで原子力と量子工学を勉強した学生たち、 そして電子ビームという技術を生理用ナプキンに使うという言葉に2号も半信半疑でした。果たしてこの製品が価格競争力と量産が可能なのかどうか、がです。 YouTubeの放送UNICORN HOUSE(ユニコーンハウス)を見るときも気になりました。INERTIAと出会って約9ヶ月が経った現在、 INERTIAは最近Wadiz(ワディーズ)を通じたクラウドファンディングを始めたそうです。 

 「電子ビーム技術ですか?これを生理用ナプキンに使うと言った時、 教授もOEMメーカーもとんでもないという表情でした。 『この高価で優れた技術をたかが生理用ナプキンに?』という意味でした。しかし、結局量産に成功しました。もうすぐ市場に出るでしょう」

100% オーガニック天然生理用ナプキンという、市場への挑戦状を出したINERTIAキム・ヒョイ代表(24)にインタビューを行いました。 

 


 左からパク・ジヘ(COO)、キム・ ヒョイ(代表)、イ・ スンミン(監査)、コ・ ウンビ(CTO)。KAISTの仲間たちが集まって創業した。


 「2021年創業当時、初めのビジネスアイテムはペットのがん治療器でした。これまでペットは、人のためのがん治療器で治療していました。動物病院が中古購入して使用する方式が普通であり、 治療可能な病院も3~4か所しかありませんでした。価格も高く、 アクセシビリティも低かったのです。だから治療器を小規模病院も使用できるように小型化、 精巧化しようとしました。試作品も作り、サブスクリプション型モデルで装備を貸出し、使用料を受け取る考えでした。」



 「ペットのがん治療はまずは動物病院でやるから、 動物病院の院長が顧客だと思っていました。全国の動物病院100ヶ所を回りながら、インタビューしました。ですが、リュ・ジュンヒ代表のいくつかの言葉が私たちの虚を突きました。核心は 「だけど、飼い主ががん治療はしないと言ったら?」でした。考えてみたこともありませんでした。結局、その機器には飼い主が治療に同意し、費用を支払ってこそユーザーが生まれる、という問題があったのです。ユーザーの範囲に2つのサイドがあり、 一方を全く考慮していませんでした。

 「だから、再び病院に行って CTを撮って出てくるペットの飼い主たちにインタビューしました。ところがCTを撮って出て来る人が10人いた時、治療に同意するのは1~2人ほどに過ぎませんでした。数百万ウォン(約数十万円)の治療費が目の前に迫った時、その問いの前で、 私たちが当然の選択だと考えていたことと、ユーザーの選択は違ったのです。」 

 「アイテムから全く新しく探しました。100種類ほどのアイテムを選び出しました。3つの原則を立てました。

1.私たちがうまくやれるかどうか。うまくやれるということには、私たちが楽しく没入できるアイテムなのかという意味もあります。

2.どのくらい多くの顧客の役に立つか。役に立つ技術は本当にたくさんあります。ところが、顧客が多い技術はあまりないため、多くの顧客をターゲットにできる技術を探さなければなりませんでした。

3.後発走者にとって、ハードルがどれほど高いか。差別化された技術ポイントを持つことができるアイテム。」 

 「この3つでしたね。100種類の中には化粧品もあり、 ニキビパッチもありました。しかし、化粧品は 3つ目の原則で脱落、 ニキビパッチは2つ目の原則で脱落しました。化粧品はINERTIA以外にもうまくやっている会社が多く、 ニキビパッチは本当に多くの顧客が必要とする技術なのかについても疑問でした。」 

 「そうして、選ばれたアイテムがオーガニック生理用ナプキンだったんです。多くの顧客の役に立て、 学部と修士専攻の時に学んだ知識を基盤に、うまくやることができ、技術ハードルも作ることが出来ました。何よりも共同創業者 4人が全員女性であり、 オーガニック生理用ナプキンの問題は個人的なペインポイントでもありました。肌が弱い方のため、良い生理用ナプキンを選んだり探したりするのはいつも悩みの種でした。

 「オーガニック生理用ナプキンの原理は、分子と分子の結合を化学薬品ではなく電子ビームで行うことです。私たちがガーゼや生理用ナプキンに使う吸収材の素材はすべて特殊な構造を持っています。複数の原料を混ぜて分子と分子が結合する過程で水や血などを、簡単で吸い込むようにするのです。この過程で分子と分子を強制結合させるために、必ず化学薬品を使ってきました。既存のオーガニック生理用ナプキンもこの薬品は使わざるをえませんでした。オーガニック生理用ナプキンといっても、製品成分表を見れば、化学薬品が使われていた理由です。

 「しかし、電子ビームを撃つと話が変わります。電子ビームにも分子と分子を結合させる特性があります。ただ、装置が高価で工程が難しく、宇宙航空や自動車などの先端機器部品や製品を作ることにだけ主に使われていました。もちろん、研究単位では電子ビームの多様な活用を研究しています。数多くの論文を探し、電子ビームの多様な活用事例を探しました。論文と多様な事例を集めた後、オーガニック生理用ナプキンに適用することにしたのです。ただ、 量産の問題を克服しなければなりませんでした。」

 「最初に教授に 『私たち創業します』と言いました。教授はすごいことを期待されたようでした。 『おー、そうか、どんなアイテムだ?』と言われたのですが 、『生理用ナプキンです』と言ったら、表情が少し困惑していました。アイテムの話をずっと聞かれて 『電子ビーム?その技術を生理用ナプキンに?』と言われました。高価で特別な技術をあえて、なぜ生理用ナプキンに、 何よりそれが可能なのかという表情でした。

 電子ビームを介して材料を専門的に加工するOEM工場があります。工場を訪ねたところ、工場の社長もとんでもないという表情をされました。作るというなら作ってやるが、 意味があるのか、 そして可能かどうかもわからないという表情でしたね。 それで、いくつかの原料を空輸してきて、プロセスレシピを作ることに集中しました。結局、原価削減に成功しました。初めの5分の1レベルで、 量産のための準備をすべて終えました。どのように原価を減らしたのかは企業秘密なので公開できません(笑)」

  「製品価格は市販のオーガニック生理用ナプキンよりもやや高いというレベルです。韓国の生理用ナプキン市場規模は約5000億ウォン(約500億円)、オーガニック生理用ナプキンは約20%の1000億ウォン(約100億円)程度と推定しています。私たちは1000億ウォン(約100億円)の20%、売上200億ウォン(約20億円)市場を目指しています。生理用ナプキンは、ほとんど女性が使わざるをえない製品です。少なくて月5000ウォン(約500円)で高めの製品を使う場合月2万ウォン(約2000円)も支出します。このギャップはますます広がっています。つまり自分の体のためにもっと投資しようとする顧客が増え、 そのニーズが大きくなっているということです」

 「何より海外市場への進出も可能です。韓国内の生理用ナプキン製造のクオリティは圧倒的にグローバルトップレベルです。かさばるため、物流費に関する問題は考える必要がありますが、 それでも韓国販売開始とともに海外市場開拓の方法も着実に調べてみようと思っています。

 また、私たちが作ったオーガニック吸収剤市場では生理用ナプキンの他にも製品を作ることができます。おむつ、 尿漏れパッド、 ペットの犬排便パッドとしても活用が可能で、医療用にすることもできます。スマートファームや空調システムにも使えます」

 「なぜ生理用ナプキンだったんですか?先ほど言った創業チームの原則もありましたが、何よりも反骨気質とでも言いましょうか。私は他の人が当たり前だと考える問題を見れば、その枠を壊したいというチャレンジ精神が生まれます。

 『生理用ナプキン?それがどれだけ売れるの?』 『え、 オーガニックって本当に100%オーガニックじゃないといけないの?』 という言葉を聞くたびに、さらに負けん気が生まれました。肌や生殖器が敏感な方にとって、生理用ナプキンは本当に重要な問題です。その問題を軽く考える視線に対して、何か見せてやりたかったのです。」

 

 <INERTIAのWadizファンディング https://bit.ly/3x8pl1p>


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