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【現地レポ】高麗大学ビジネススクール主催デモデー「2023 Spring CHOO CHOO DAY」

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【現地レポ】高麗大学ビジネススクール主催デモデー「2023 Spring CHOO CHOO DAY」

5月12日に高麗大学にて開催された、高麗大学ビジネススクール主催デモデー「2023 Spring CHOO CHOO DAY」に参加してきました!

韓国留学中のKORIT編集部ももが、参加したデモデーの内容や雰囲気、感じたこと等をレポしていきます!
また、今回ピッチをしたスタートアップは若年層が多い初期段階のスタートアップであったため、その視点から感じたことも書いていきます。

CHOO CHOO DAYとは?

CHOO CHOO DAYは、高麗大学スタートアップステーションの創業育成プログラムを通して成長したスタートアップ企業が、自社の製品やサービスを発表するスタートアップデモデーです。

スタートアップステーションは、アクセラレーターやエンジェル投資家、ベンチャーキャピタルなどから初期段階の資金調達を募り、スタートアップ企業が次のステップに進むことを目的にCHOO CHOO DAYを開催しています。春と秋の年に2回開催しており、今回は第13回目の開催でした。

 3年ぶりにキャンパス内にてオフライン開催されたこともあり、投資家関係者をはじめとし、大学、公的機関、メディア、民間企業、起業家候補者、学生などが多数集まりました。


会場外に設置された展示ブースの様子


今回は全6社がピッチを行いました。参加企業は、▲データに基づくチームトレーニングフィットネス「GUTS」▲中長期滞在向けオンライン・オフラインソリューション「GSPACE」▲ローカル旅行キュレーションプラットフォーム「budify」▲スケジュールサブスクリプションサービス「CalBack」▲近距離ソーシャルネットワーキングアプリ「timebomb」▲小型データ収集・生成プラットフォーム「Pickply」の6社です。

6社のスタートアップによるピッチの中で特に注目した企業2社

今回全6社のピッチを聞いた中で特に興味深いと感じた2社について紹介します。

まず紹介する1社目はbudifyです。budifyは海外居住経験が合計30年に達する代表2人が創業した、ローカル旅行キュレーティングプラットフォームです。一般的な旅行プラットフォームではなく、外国人が韓国を韓国人のように旅行することができるようサポートしています。


budify キム・ギュヒョン代表によるピッチの様子


具体的なサービス内容は主に3つです。1つ目は、現地の韓国人だからこそ知っている情報をアプリ内で無料で紹介することです。例えば、「看板もないキムチチゲの美味しいお店」や、「BLACKPINKが訪れた粉物店」などがあげられます。2つ目は、韓国人が自身の趣味や居住地域の特性を活用してオリジナルで企画、提供する体験商品を販売することです。体験商品の中には、「韓国の主婦と一緒に市場で買い物をした後、韓国料理を実際に作ってみる」、「韓国の大学生と一緒に居酒屋ツアー」など、一般的な旅行では体験する機会がないものを商品として提供しています。3つ目は、ローカルコンテンツや商品を散発的に提供するのではなく、ChatGPTと地図APIを活用して個人に合わせたプランを提供することです。

budifyのサービスの中で興味深いと感じた点は、Instagramを有効活用していることです。budifyは英語で投稿しているインスタグラムを運営しています。Instagramを通して韓国のローカルスポット紹介を始めたところ、外国人フォロワーが7,000人を超えたとのことです。 このうちの半分がコンテンツをより詳細に知るためにアプリをインストールし、会員登録した20%はプラットフォーム内の体験商品まで購入したという結果も出しています。

他社との差別化としてあげているのは、ローカルスポット情報を無料で提供することです。費用が掛かっていないにもかかわらず、商品だけを扱った場合よりユーザーを3倍以上に急増させることができ、商品だけを扱う他社に比べてユーザーをよりサービス内にとどまらせることもできているとのことです。
増加し続けている独自のコンテンツ数は6,000個を突破し、ユーザーの反応からコンテンツに対するクオリティーも他社より高いことがわかっています。


 ピッチ後に行われた視聴者からのQ&Aコーナーでは、

「主にどのような体験プログラムが人気か?」という質問があがりました。これに対しキム・ギュヒョン代表は、

「トレンド、K-Beauty、ウェルネスが人気である」と答えました。トレンドの場合は、「韓服を着用し、景福宮で専門の韓国人写真家が写真を撮り、撮った写真データを受け取れる」というInstagramに投稿できるようなものが一番人気だと答えました。K-Beautyは、「韓国メイクアップアーティストに直接メイクアップをしてもらうプログラムや、自分に合う化粧品を作ることができるプログラムなどが人気」で、ウェルネスの場合は、「瞑想をしたり、一緒にお茶を飲む茶道体験プログラムが人気」との回答でした。

最近は日本人が韓国旅行をする割合が高いことに注目し、日本市場に集中していく予定だと述べていました。中でもK-Beautyとウェルネスのプログラムに注目しているとのことです。 日本と韓国は距離も近く、韓国を訪問する日本人も急増していることから、今後様々な日本向けコンテンツが出てくるのではないかと思います。是非budifyアプリでどのようなプログラムがあるのか確認してみてください。


budifyアプリ内画面



注目した2社目は「timebomb」です。timebombは徒歩30分以内の距離にいる友人が、正確な距離とランダムな方向で設定、表示され、気軽に友人と会うことができるサービスです。自身の詳細なプライバシー露出の心配もありません。好きな時間に設定すると消えたり生成される「吹き出し」を通して、お互いが何をしているか状態を確認し共有、反応することで気軽に友人を誘うことができます。


timebomb イ・ミョンウン代表によるピッチの様子


timebombは、誘う手間や恥ずかしさなく友人と会えるようにすることを目的として作られたサービスです。
ピッチ冒頭でイ・ミョンウン代表は、「例えば一緒にご飯を食べたい、カフェで勉強をしたいときに友人を誘うため様々なチャットルームで『今何してる?どこにいる?時間ある?』と質問をするのが現状だ」と述べました。確かに、複数のチャットルームに入り友人たちを誘うのが一般的だと思います。しかし、面倒なだけでなく勇気を出して誘ったにもかかわらず断られる場合も多いと思います。続けて、「Instagramのストーリーや投稿機能でも友人を誘うことはできるが、友人のリアルタイムの状態や現在地まではわからず、すぐに会うことは難しい」と述べました。
このような悩みを解決しようと timebombアプリを制作し、まずは高麗大学内で広報をしたところ、約2か月で900人以上の学生がアプリをダウンロードをしたそうです。

また、timebombでは 地域広告も行っているとのことです。地域広告の具体例としては、店の活性化のためにtimebombを通じて訪問した顧客に限り、おかずや間食などを提供するプロモーションなどがあると説明しました。実際に顧客が該当広告を照会した後、お店に訪問した割合は約43%に達し、店の社長たちは「人通りが少なかった路地奥まで新しい顧客が入ってきてとても有意義なサービスだ」と述べているそうです。

最近は多くの企業がオフライン市場を強化しようとしています。今後は企業と提携を結び顧客の特性に合わせて場所を推薦したり、さらにはオンライン前払い、予約、注文まで管理できるビジネスに拡張させていく予定とのことです。


 ピッチ後に行われた視聴者からのQ&Aコーナーでは、

利用者が面倒を感じず持続的にアプリを使い続けられるような策はあるのか?」という質問があがりました。これに対しイ・ミョンウン代表は、

「ミニゲームを設置する予定である」と述べました。 「例えば、30分間の爆弾をアプリ内で友人に投げると、次は爆弾を受け取った友人が他の友人に投げ、30分になった時に持っている人がご飯を奢らなければならないというようにアプリを継続して使いたくなるような誘引策をできるだけ多くサービスに導入する予定だ」と述べました。



timebombアプリ


デモデーに参加した感想


デモデー会場の高麗大学100周年記念館


「現在スタートアップ界では『冬が来た』と言われるように、グローバルの経済状況と相まり資金調達も以前のように上手く進まず、倒産するスタートアップも多くなっている」と、高麗大学スタートアップステーションのジョン・ジェホセンター長がピッチ前に述べました。そのような現状の中、新たなスタートアップが革新的なサービスを生み出し、情熱のこもったピッチを会場で行っていました。

今回のピッチを聞いて感じたことは、時代の変化や最新のトレンドに合わせたサービスが多いことです。若年層の多いスタートアップが大半だったこともあり、SNSを積極的に活用することや、若者の悩みに焦点を合わせてサービスが考えられていました。斬新で面白いアイデアやひらめきがあってもそこからサービスに繋げ、収益を出していくのは難しいと感じます。ただ、今回ピッチをしたスタートアップは着実な収益モデルを構想をしており、今後の展望まで述べていました。


今回ピッチをしたスタートアップが今後どのように成長していくのか、私自身もサービスを利用しながら注目していきたいです。

/media/もも
記事を書いた人
もも

【KORIT編集部インターン】2020年青山学院大学を卒業後、新卒入社した金融企業にて勤務。入社と同時に独学で始めた韓国語に夢中になり、渡韓を決意。2022年6月から西江大学の語学堂にて現在韓国留学中。

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