シン・ピルホ
韓国で戦略企画・Eコマース分野のキャリアをスタート。
eBay KoreaでグローバルEコマース運営を経験した後、コンサルティングおよびファッション・ライフスタイル企業で新事業・戦略企画リードを担当。 その後、クロスボーダーコマーススタートアップで日本事業戦略を総括し、海外事業をリード。
現在はIndent CorporationのCRO兼日本法人代表として、AI基盤のグローバルクリエイターマーケティング事業をグローバル市場に展開している。
目次
貴社はどのような企業でしょうか?
私たちはIndent Corporationという韓国のスタートアップで、私は日本法人であるIndent Japanを担当しています。
弊社では、AIを基盤としたクリエイターマーケティングのサービスを提供しています。
最近ではAIを活用したマーケティングツールも増えていますし、クリエイターを活用したマーケティング自体も一般的になってきました。それに伴い、同様のサービスを提供するエージェンシーも増えています。
そうした状況の中で私たちは、AIが持つ発展的な技術力を活用することで、長年業界として続いてきた非効率なやり方を変え、その産業自体の発展に貢献したいと考えています。
また、モノを売るためにはコンテンツ制作だけでなく、物流や運営、購買への転換といった要素が必要です。
そのため、私たちは単純なマーケティングだけではなく、「商品を売るための対顧客コミュニケーション」全体をマーケティングであると考え、サービスの範囲を広げています。
事業を始めたきっかけを教えてください。
「コマースを作り出すこと」が、私たちにとって事業のミッションのような存在です。
2018年の設立当初、私たちは韓国のローカルビジネスとして、Eコマース事業者向けにレビュー関連のウィジェットを提供するサービスを展開していました。
このサービスは韓国国内で6,000社以上に導入され、長い実績を持つサービスです。現在では、韓国におけるトップクラスのEコマース支援サービスの一つとして定着しています。
その後、より積極的にマーケティングを支援するツールとして開発したのが、グローバルクリエイターマーケティング向けのAIソリューション「Spray」です。
CRM的な役割にとどまらず、マーケティング実行までを支援するツールとして進化させ、さらにSprayを活用した代行・エージェンシーサービスへと事業を発展させてきました。
単にツールとして提供するだけでなく、私たち自身もSprayを活用しながら、エージェンシー事業も並行して展開しています。

AIを活用したマーケティングソリューション「Spray」
貴社の強みは何でしょうか?
私たちは、単なるマーケティング会社ではなく、AI技術に特化した会社である点が最大の強みです。
クリエイターマーケティングにおいて最も重要なのは、適切なクリエイターを見つけることです。
数多くのクリエイターの中から、自社商品・マーケティングの方向性に合うクリエイターを探すのはもちろん、選定後、数百件単位にもなるクリエイターを管理する際にも、すべてを人力で賄うには限界があります。
そういった部分を補うのためのツールが弊社のサービスですが、単なる自動化ではない点がポイントとなります。
私たちは、韓国で初めて動画レビューを収集・分析するソリューションを開発しており、過去7〜8年にわたり動画解析技術を蓄積してきました。この技術を活用することで、コンテンツ内容や地域条件をもとに、全世界から適切なクリエイターを検索・抽出することが可能です。
従来は、マーケターが一つひとつ手作業でリストアップしていた工程を、AIが状況を判断しながら制御できるレベルで担うことで、提案、連絡、商品発送、投稿確認までを一気通貫で管理できる仕組みを実現しています。

世界中のクリエイターから、条件に合うクリエイターを自動で見つけ出すことができる
一般的にエージェンシー事業の利益率は5〜10%程度とされていますが、私たちは技術を活用することで40〜50%水準の利益を実現しています。
エージェンシーでありながら技術企業として評価されている点が、私たちの最大の利点であり、これまであったエージェンシーやマーケティング企業との大きな違いだと考えています。
どのような企業がサービスを利用されていますか?
私たちはマーケティング会社なので、基本的にはマーケティングが必要な企業であれば、業種を問わずご利用いただけます。
その中でも特に注目しているのが、クリエイターへのギフティングを中心としたシーディングマーケティングです。この手法は、もともとKビューティー企業が生み出したマーケティング手法で、4〜5年前に登場し、現在ではかなり一般的なマーケティング手法となっています。
インフルエンサーやクリエイターに商品を提供し、レビュー投稿を通じて認知と購買を促すこの手法は、テレビ広告や紙媒体中心だった従来のマーケティングを大きく変えました。
そのため、現在でも私たちの顧客の多くは化粧品やスキンケア商品など、いわゆるK-ビューティー企業が多いですが、近年では食品やファッションなど、他のカテゴリーにも広がり始めています。
コンテンツマーケティングとしては初期段階とも言えますが、今後はさらに多様な業界で事例が増えていくと考えています。
日本市場について、どのように捉えていますか?
弊社のグローバル戦略としては、日本・アメリカの二か国が挙げられます。
市場規模の観点ではアメリカが圧倒的ではありますが、弊社サービスと市場の適合性という観点では日本を最優先市場と考えています。
韓国では、多くの企業が韓国国内市場だけでなく国外市場も視野に入れ、事業を展開しています。
そのため、特にグローバルクリエイターマーケティングの分野では、韓国が非常に強いリーダーシップを持っていると感じています。
また、韓国と比較した時、日本やアメリカでは、エージェンシーの活用度が高いと感じます。
韓国の場合は、自社にマーケティングチームがあって、足りない部分があればエージェンシーを利用するといった体制が多く見られます。逆に日本やアメリカは、アウトソーシングに慣れていて、最初から弊社のようなエージェンシーやマーケティング専門企業に一貫してお任せする企業が多いと感じています。
他にも近年の、日本企業における海外市場への関心の高まりにも注目しています。
私たちが韓国で培ったノウハウと実績を活かし、日本企業のグローバル展開にも活用いただけると思っています。
そういった理由から、日本市場を始めとする海外市場は重要な戦略拠点として位置づけています。それぞれの国の市場に合わせたサービス提供や事業方式を考慮しながら、事業を展開していきたいと考えています。
ソウルで行われたCOMEUPでの反応はいかがでしたか?
B2B事業は実際にそのサービスを使う立場、求めている人であればこそ、その有用性を真に感じることができると思っています。なので、こういった広い分野を扱うイベントでどういった反応を得られるか、マーケティングやエージェンシーへの需要はあるのか、不安に感じている部分もありました。
ですが、弊社のサービスや技術に関心を持ってお話しを聞いてくださった方も多くいましたし、海外企業も集まる大規模なイベントだからこそ海外の方々に直接サービスの魅力を伝えたり、お話しをお伺い出来たのは非常に貴重な機会でした。
以前と比較するとスタートアップ向けのイベントもかなり増加しましたが、その分スタートアップ間の競争率も高まっているのは事実です。そうなると、単純な資金面の問題だけではなく、参加できる機会自体を得ることが簡単ではなくなってきます。
そういう状況の中でこのようなプログラムに参加できたことは、今後のサービス提供・グローバル進出においても大きな力になりました。

COMEUPでのピッチングの様子
今後のビジョンを教えてください。
企業の規模や業種に関係なく、多くの会社で共通して使われる基盤的なツールがあるように、エージェンシー・マーケティング領域において「Spray」が当たり前の選択肢になることが、私たちの最大の目的です。
このビジョンを実現するため、私たちは目に見える成果や実証を積み重ねながら事業を展開してきました。理論や構想を語るだけでなく、実際に事業として成立させ、その成果を示し続けることで、マーケットの中でのリーダーシップを築いていくことを重視しています。
Spray Marketing Solutionでは、マーケターや代理店に所属するスタッフなど、業種や立場を問わず、マーケティングに携わる人であれば誰もが使えるソリューションを目指しています。
利用する企業や業態はさまざまですが、グローバルなクリエイターマーケティングを実行する上で、最も実務的に役立つ存在でありたいと考えています。
さらに、「AIを活用してコマースを生み出す」という内部的な大きなビジョンの実現に向け、今後もサービス提供と技術の向上に注力していきます。弊社の日本での取り組みにご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

indent
HP(JP):https://indentjapan.com/
HP(KR):https://indentcorp.com/
