
バン・スンエ CEO
大学ではメディアアート工学を学びベンチャーキャピタルでの職務経験を持つ。
Hamada Labsでは代表を務め、AI開発の新しい基準を提示し、世界中のユーザーが自由にAIソリューションを具現できるプラットフォームになることを目標としている。
主力サービスであるWindiyFlowを通じて、日本企業でも迅速で手軽なAI基盤サービス導入を実現できるよう事業を進めている。

イ・トゥッキ CTO
大学では電子工学を学び、エンジニアとして10年以上開発に携わる。
韓国での受賞経験、日本での開発経験もあり、Hamada LabsでもAI R&D、データエンジニアリング等を担当している。
エンジニアの立場から、開発に関わる全ての人がより簡単に、強力なAI機能の開発と活用をできるよう製品の開発に取り組んでいる。
目次
貴社はどのような会社ですか?
CEO バン・スンエ
私たちはWindyFlo(ウィンディフロー)というAIを使ったサービスを提供しています。WindyFloを利用することで、開発者は迅速かつ簡単にWebサイト上にAIを利用した機能を作成出来ます。
本来、AIを使った開発を進める際には、AI開発者やシニア級開発者といった技術力のある開発者が必要ですが、そういった人材を探すのは簡単なことではありません。
運良く見つけられたとしても、技術力の分、人件費の面で苦労することも多いんです。
かといって、外注するのもコスト面・セキュリティ面での問題は無視できません。
しかし、WindyFloはSaaSツールのため、そういった理由から、AI技術の導入をためらっている企業に対して、効果的な解決策となります。
また、WindyFloは、ドラッグアンドドロップといった直感的な操作が可能で、現在作成されているシステムがどういった構造になっているのか一目でわかるUIを採用しています。
そのため、複雑なシステムだったとしても企画者、デザイナー、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、データエンジニアなど、そこに関わるすべての人がシステムを理解しながら開発を進められるようになっています。

詳しい使い方なども日本語で紹介されているWindyFloサイト
サービスを開始したきっかけは何ですか?
CEO バン・スンエ
私はエクセラレータ初期投資会社に勤めていたのですが、そこでイ・トゥッキCTOと知り合いました。
今も弊社の開発を担ってくれていますが、当時からAIエンジニアとして、頭角を現していました。そんなCTOの能力を、ここだけに留めておくのはもったいない。この開発力を生かせばもっと多くの企業の力になるはずだと思い、創業をすることになりました。
また、創業する上で、経営や事業総括、営業といったCTOにはない分野を私自身が得意としていたので、お互いの得意なことを生かして二人で事業を進められると思った点も創業のきっかけの一つでした。
日本進出の理由は何ですか?
CTO イ・トゥッキ
私は、2019年に日本の企業でAIの開発を行っていましたが、2020年に流行したコロナウイルスの影響で、韓国に戻り、そこからは韓国で仕事をしていました。
日本で仕事をできたのは短い期間でしたが、短期間でも実際に働いてみたことで韓国と日本の違いを肌で感じることができました。
開発者に対する待遇も良かったですし、何より元々好きだった日本文化に触れながら生活できること自体に魅力を感じました。いろいろな地域を訪れて、その町が持つ特色を感じられたのも良かったです。
そうして日本で生活していくうちに、日本市場についてその規模の大きさと、すぐ隣の国にいながらそれを知らずに生きてきた自分自身に驚きました。
また、今でこそAIは世界的に活用されていて、法整備も行われてきていますが、当時AI開発は少しずつ流行り始めた段階でした。そういった状況でも日本政府は流動的な姿で発展を進めていました。韓国はそういう面で少し保守的だったんです。
そういった韓国と違う様々な面に惹かれ、いつか日本に戻ってきたい。また日本で仕事をしたい、そう思っていました。
そのため、今回自分の会社としてまた日本に戻ってくることができてうれしく思っています。
CEO バン・スンエ
私自身はこれまで日本と縁があったわけではないですが、文化的多様性に寛容な国だと思っています。
今、こうして実際に韓国と日本、二つの国で仕事をしながら違いを感じる点も多く面白いです。そして、そんな日本でも事業を進められると思うと、これからが非常に楽しみです。
会社名「ハマダラプス」の由来は何ですか?
CTO イ・トゥッキ
私が日本で働いているときに住んでいた駅名が「浜田山駅」だったんです。
そこから名付けました。
先ほどもお話ししましたが、会社名にするほど日本での暮らしが充実していたことの証でもあります。
また、漢字の意味をみても「浜」「田」といった食料が豊富で水や土に恵まれた場所を意味しますし、日本でもこの名前を使っていきたいなと思っています。
他社にない貴社だけの魅力や強みはありますか?
CTO イ・トゥッキ
私たちの最大の強みは、LLM Ops(大規模言語モデル運用)を現場でスムーズに行うための「リアルタイムコラボレーション機能」にあります。
通常、AI開発の現場では、エンジニアにしても担当分野は様々ですし、企画・進行担当など、エンジニア以外の様々な職種が関わります。しかし、職域を超えた連携は難しく、生産性が低下することがあります。
また、既存のLLM Opsツールでは、チーム招待や権限付与はあっても、「誰が・何を・どのように作業しているか」をリアルタイムで確認し、共に編集・改善していく機能は限定的でした。
そこで私たちは、共同作業のしやすさをAI開発領域に導入しました。
リアルタイムで他メンバーの作業状況を確認・共有し、直接話して伝わりづらい部分はUIで補うことができ、技術者だけでなく非エンジニアも含めたチーム全体の明確な意思疎通を可能にし、開発効率を向上させることができます。
CEO バン・スンエ
もう一つの特徴として、ソフトウェアのインストールが不要な「オープンコミュニティ形式」を採用したことも強みだと思います。
ユーザーは私たちが構築したAIモデルやパイプラインのハブにアクセスし、自分のニーズに合った構成を選んでカスタマイズするだけで、ゼロから開発する必要がありません。
この柔軟性と手軽さにより、誰もがAI開発に参入しやすくなる環境を提供しています。
日本でのサービスはどのように提供されていく予定ですか?
CEO バン・スンエ
現在、当社のサービスはSaaS(クラウド型)とオンプレミス(自社サーバー設置型)の2形態で展開しています。日本でもこの二軸をベースに、用途やニーズに応じた柔軟な導入を目指しています。
韓国では、LLMの強みを生かし、文書作成・編集に強いツールとして導入いただくケースが多くありました。例えば、心理カウンセリングに関わる事業でカウンセリング内容を録音し、自動的に文書化したり、会議録を自動生成したりといった形です。
記録し、レポートを作成するだけでなく、そこからのデータ分析などの用途にも対応しています。
日本でもこうした文書やデータをベースにした業務支援ニーズにも的確に応えられると自負しています。
また、企業様のご要望に応じて、AIカスタマイズの支援も可能です。
専門的なAI人材がいない企業でも、私たちのプラットフォームを活用いただければ、開発の専門知識なしに高度な処理を実行できます。必要に応じて、当社が開発を代行するモデルも用意しています。
さらに、セキュリティを重視する日本企業向けには、オンプレミス版の提供にも力を入れています。データを社内に留め処理したい、外部クラウドに依存したくないというニーズにもお応えできます。
加えて、韓国では現在AIを活用した教育プログラムも提供しています。こうした教育モデルも将来的に日本で提供できればと考えています。
今後のビジョンや目標を教えてください
CEO バン・スンエ
私たちは現在、スタートアップビザ制度を通じて日本に拠点を持ち、今回の『KOTRA ICT EXPO』のようなイベントに参加し、事業検証(PoC)やネットワークの拡大に取り組んでいます。短期的には、日本企業とPoCを実施できる機会を得ることが目標です。
また、来年初めには日本法人の設立を計画しており、それに向けて着実に準備を進めています。
CTO イ・トゥッキ
私たちは、アジア版の『Difi(ディファイ)』、さらにLLM領域における『Figma』のような存在を目指しています。
少し大きな目標のように聞こえるかもしれませんが、それだけの技術と内容を兼ね備えたサービスだと自負しています。
多くの企業では現在、BtoB向けAI開発においてセキュリティや運用基盤に不安を感じる場面もありますが、私たちは日本にサーバーを置くことを検討し、日本企業が安心して使えるインフラとツールの提供を目指します。
長期的には、日本を本社としたグローバル展開を視野に入れています。日本市場の寛容さと技術に対する柔軟さの文化を活かし、単なるツールの提供にとどまらず、未来のAI開発環境そのものを提案していける存在になりたいと考えています。

HamadaLabs
HP:https://www.hamadalabs.com/
WindyFlo:https://www.windyflo.com/jp