インタビュー

パスポートを持ち歩かず「モバイルパスポート」で免税店やホテル、カジノで本人確認が可能に|Lordsystem チャン・ヤンホ CEO

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Lordsystem  ―チャン・ヤンホ CEO

開発経歴34年の正統開発者で金融分野の開発能力に卓越している。代表的な開発としては、PASSPORT MOBILEシステムの開発以外にも、モバイルパスポートおよび生成システム、知能型クレジットカード決済システム、モバイルQRコード税金還付、暗号通貨実物決済システム、 金融会社のモバイルアプリプリペイドカードシステムの開発など多数。


-貴社はどのような会社ですか?

当社は、モバイルパスポートベースのソリューションを提供するベンチャー企業で、業歴は8年目に突入しています。我々は'23年に優秀ベンチャー企業に選定され、Hi Seoul企業認証、INNOBIZ、ベンチャー企業、企業付設研究所の認証を受けています。

当社の核心技術は、モバイルパスポートプラットフォームです。このプラットフォームでは、実物のパスポート情報をスマートフォンに取り込み、政府機関のリアルタイム身元認証を経て、世界初のモバイルパスポートのQRコードを生成します。これにより、効率的で安全な個人認証システムを提供しています。

当社はモバイルパスポートビジネスに関連する特許を韓国およびその他の国で合計35件出願・登録済みです。特に、米国では2件、日本では3件のモバイルパスポート関連ビジネスに関する特許が登録されており、これにより我々の技術革新とビジネスの確立において一層の信頼を得ています。



-主な事業を教えてください。

当社が提供する第一の事業は、「モバイルパスポート DID身元認証事業」です。このサービスでは、身分確認(パスポート)が必要なサービス分野において、モバイルパスポートQRによる本人認証を提供しています。実物のパスポートが不要で、モバイルパスポートだけで本人認証が可能となり、紛失リスクもゼロです。外国人観光客に対しては、モバイルパスポート認証を通じて酒、タバコ、クラブ、バーの入場時に大人認証が可能であり、デジタル大国である韓国の観光デジタル化(DX)を先導しています。免税店、カジノ、リテール、公共機関などが適用分野であり、ロッテ免税店、現代免税店、外国人専用カジノ、仁川空港公社などがクライアントとして参加しています。

次に、当社の第二の事業は「モバイル決済サービス」です。このサービスでは、電子財布(プリペイド)を通じた簡単な決済が可能で、クレジットカードや口座振替によるチャージと決済が行えます。外国人にとっては、為替の問題なくモバイル決済が可能であり、キャッシュレスエコシステムの構築にも貢献しています。ZEROPAY、BCカード、KBカード、シンガポールLiquidグループがこのサービスを採用しています。

第三の事業は「モバイルTAXフリー決済」であり、モバイルパスポートを使用して店舗で即座にTAXフリーされた金額で決済ができるサービスです。払い戻しのための窓口訪問は不要で、WeChat会員はWeChatミニプログラムのモバイルパスポートサービスを通じてWeChatペイでインスタントTAXフリー決済が可能です。クライアントにはWeChatペイ、CUコンビニ、GS25、美容整形サービス(整形、皮膚、分野など)が含まれています。

最後に、当社の第四の事業は「モバイル交通カードサービス」であり、モバイルパスポートをベースに電子財布と連動して自動生成されるモバイル交通カードサービスを提供しています。外国人にとっては、別途プラスチックカードを購入する必要がなく、小銭の問題もありません。また、外国人も内国人と同じサービスを利用できます。クライアントにはEZL Corporation(旧Cashbee)が含まれています。

 

-創業されたきっかけは何ですか?

代表は、金融関連ソフトウェア開発 25年の経験を持っており、観光関連事業を行う中で、即時還付制度 (外国人が税金を即時に還付される制度)を知り、 還付を楽にする方法を研究し始めました。そこで思いついたのがパスポートでした。

外国人が韓国でホテルや免税店、 カジノなどを移動する際には、必ずパスポートを携帯する必要があります。パスポートのサイズが大きくて不便であるだけでなく、紛失する可能性もあることから、携帯性に優れたモバイルパスポートを開発することにしました。スマートフォン内のバーコードを店舗の決済機器に持っていくと、すぐに関税庁と接続され、自動的にパスポートが認証されます。さらにここに決済システムまで追加しました。

現金をモバイルで便利に使う方法を考えていたところ、観光客が現金をアプリにあらかじめチャージすれば、スマートフォンで自動決済できるようにした。そのため、パスポートをバッグで持ち歩かなくても、スマートフォンに保存されたパスポートで本人確認や金融圏など様々な場所で便利に使えるように開発したのです。

 

-貴社が提供するサービスの強みや特徴は何ですか?

弊社は、2024年のCESでベストオブイノベーション賞を受賞しました。Lordsystemは 2部門 (Financial Technologies / Cybersecurity & Personal Privacy)でイノベーション賞を受賞、 そのうち金融技術部門(Financial Technologies)はベストオブイノベーション賞を受賞しました。

インターポールによると、 2021年に世界中の公務員が合計17億件の紛失したパスポートの検索を行ったそうです。Trip.PASSのモバイルパスポートは、デジタルIDを安全に認証し、パスポートの盗難や詐欺を防止することで、この問題を解決します。このプラットフォームは、決済、 免税ショッピング、 交通など、さまざまなオンライン・オフラインサービスを提供し、 すべて高度なセキュリティ対策で強化されています。モバイルベースの金融サービスは、安全で合理化された旅行体験を提供します。Trip.PASSはデジタルセキュリティの新しい基準を提示することで、グローバル観光とサイバーセキュリティを革新しています。

グローバル時代にもかかわらず、グローバル旅行者の身元を証明する共通の身分証明書は実物のパスポートしかないのです。海外で本人であることを証明するためには、必ずこの実物パスポートを持参しなければならなりませんが、それにより 、実物パスポートの所持の不便さ、パスポートの盗難及び紛失による個人情報流出の危険性、個人情報セキュリティの脆弱性など多くの問題が発生します。

当社はこのような問題を認識し「モバイルパスポート」の開発を通じて、パスポートの身元認証のデジタルサービス化を実現しています。全世界 14億人のクロスボーダー移動客の利便性と個人情報セキュリティに大きな革新をもたらしています。

特に今回のCESに出展する核心的なサービスには、カジノ、免税店、ホテルなど外国人の身元確認が必要なサービスで、モバイルパスポートで簡単な出入認証、顔認証ウォークスルー出入認証を可能にする「スマートパス」と従来の面倒なタックスリファンドの手続きはなく、 パスポート確認からタックスリファンドまで決済時にモバイルで一度に解決する最も簡単で安価なショッピング観光「モバイル即時還付簡易決済ソリューション」があります。

また、弊社が提供するTrip.PASS(トリップパス)という、デジタルセキュリティとプライバシー保護に重点を置き、金融と観光サービスを組み合わせた画期的なプラットフォームがあります。




「Trip.Pass」は、世界中の旅行者に向けたデジタル身元認証技術である「モバイルパスポート」をベースにしたプラットフォームです。このプラットフォームは、韓国内外の観光客を対象に観光・金融O2Oサービスを提供しています。パスポートのデジタル身分証明書を基にしており、これによりグローバル観光客を対象に、現地の住民と同じ電子金融サービス(モバイルウォレット、TAXフリーなど)を提供し、国境のない自由な旅行の新しい領域を切り拓いています。

簡単な決済、交通カード、免税ショッピング、顔認証入退室認証、ホテルの迅速なチェックインなどの多岐にわたるサービスを提供することで、旅行者はスムーズで便利な旅行体験を享受することができます。

また、特許の保有状況は、海外においては5件の特許が登録され、また7件の特許が出願されています。同様に、韓国国内では9件が特許登録済みであり、11件が特許出願中です。これにより、当社は国際的な特許保有に積極的に取り組んでおり、技術革新と知的財産の保護に対する高いコミットメントを示しています。

 

-日本市場をどのように見ていますか?

LORDSYSTEMはグローバル進出を控えています。日本企業との PoCを成功裏に終え、 2024年 第1四半期にクロスボーダー決済サービスを発表する予定です。LORDSYSTEMは、日本をはじめ、ベトナム、 シンガポールなど東南アジア 10カ国に簡易決済サービスを発売する予定です。 

また、年間で韓国と日本を行き来する観光客がなんと1千万人を超えるだけに、日本は私たちにとって最も主要なターゲット市場です。特に韓国と日本は免税ショッピングが非常に活性化しているのが特徴ですが、日本の場合、2019年の免税市場規模が全体観光産業規模の10%、4兆8135億円に達します。 

この市場を対象に、弊社はモバイルパスポートを基盤とした「モバイル免税簡単決済」サービスを提供したいと考えています。決済時点で同時に10%の免税を受け、決済手数料も一般クレジットカード決済より60%以上安い1%台の手数料であり、支払いごとに常に 1% 以上のキャッシュバックが提供されるため、観光客は最も安価で簡単に観光ショッピングを楽しむことができます。

このような決済サービスは2024年CESで世界で唯一金融技術部門最高革新賞を受賞し、日本の自治体にも認められ、2022年11月に福岡市のベンチャー企業マーケットプロジェクトに選ばれ登壇しました。 また、今年10月と11月には2023 Tourism Expo Japan, Tokyo Innovation Leaders Summitにも参加し 日本企業の方々に私どものサービスを披露したりもしました。 

現在、弊社は日本の簡易決済パートナー社と共に、日本国内の簡易決済サービスをローンチするためのPoC(Poof of Concept)を行っています。PoCを成功裏に終えたら、24年第1四半期には日本での簡単決済サービスを開始する予定です。 決済の他にも流通、免税、モビリティなど日本の多くの大企業と現在サービスを協議しており、順次日本でサービスを開始していく予定です。

韓国と日本は地理的に近いだけに、多くの観光客が気軽に日常のように行き来できるというのが特徴です。私たちは観光客が本当に日常のように、韓国と日本のどこでも自由に決済し、恩恵を受けられるように観光金融サービスの革新を生み出しています。

 

-今後の計画/ビジョンを教えてください。

LORDSYSTEMのモバイルパスポートは、韓国現地人だけでなく、韓国を訪れる外国人観光客にも大変愛されています。観光金融プラットフォームであるTrip.PASSは、モバイル簡易決済、モバイル免税、モバイル交通 、決済キャッシュバック 、割引クーポンなど、旅行に必要な機能と様々な特典を提供しています。特に、モバイルパスポートによる即時免税ショッピングは、空港で払い戻しなしで決済と同時に割引特典を提供するサービスです。

基本的なショッピングを超え、整形外科市場でも革新的なサービスで好評を博しています。  LORDSYSTEMのモバイルパスポートは免税店を超え、カジノ、 タクシーなどパスポートが必要な様々な業種に使用先を拡大しています。


Lordsystem Co., Ltd.

HP: https://www.lordsystem.co.kr/en/company.html

/media/KORIT編集部
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KORIT編集部

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