インタビュー

韓国ITスタートアップ企業で働く日本人‐Spoon Radioジャパンカントリーマネージャー川村絵美香さん

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川村絵美香(かわむら・えみか)

早稲田大学社会科学部卒業。2014年ヤフー株式会社に新卒で入社。アプリ運営や新規事業の立ち上げに携わった後、留学のため渡韓。渡韓中の2018年にSpoon Radio Inc.に日本人第一号社員として入社。Spoon日本サービスの立ち上げから携わり、現在はSpoon Radio ジャパンカントリーマネージャーを務める。


-日本での社会人経験を経て、韓国に留学、そして韓国ITスタートアップ企業に就職をした川村絵美香さんに韓国のスタートアップで働くとはどういうことなのか、KORITが独占インタビューをしました。


-現在勤務している会社について詳しく教えてください。

川村さん 声だけで、誰でも簡単に音声配信ができるアプリ「Spoon」を運営しています。スマホさえあれば誰でも簡単にワンタッチで配信ができ、顔出しをする必要もないのでプライバシー意識の高い方にも安心してお楽しみいただけます。「声」を通して活動していきたい方々が、歌や喋りなど自分だけの個性でファンを作っていけるプラットフォームです。ギフティングを通して収益を上げることができ、人気スプナー(Spoonユーザーのこと)の中には、Spoonだけで車を購入できるくらいの収益を上げている方もいます。

本社は韓国にあり、日本、アメリカ、中東など全世界にサービスを提供しているグローバルKスタートアップです。全世界累計3,000万ユーザー突破し、年間のグローバルアイテム販売額は2020年実績 83.7億円(837億ウォン)を達成しました。


-なぜ韓国で働くことになったのですか?

川村さん 韓国で就職をしようと綿密に準備をしたタイプではないのですが、偶然が偶然を呼び、韓国で働いてもうすぐ4年になろうとしています。

元々K-POPなど韓国の文化に興味があり、韓国留学をしたいと思っていました。前職で働く中でその思いが更に高まり退職、韓国での1年間の語学留学生活(延世大学語学堂)をスタートしました。社会人から学生になり、毎月当たり前のように入金されていた給与がなくなったのが、わかっていたことではありましたが正直すごく怖くなり、「アルバイトしたい、せっかくなら経験のあるIT企業でアルバイトしたい」と思い、無理を承知で履歴書を大量に送りつけたのですが見事惨敗しました。諦めかけていた時に、就活サイトに登録した履歴書を見て連絡をくれたのが今の代表です。

日本サービスの立ち上げをするから一緒に働こうと言ってくれて、アルバイトで日本人第一号メンバーとしてジョインしました。実は自分自身が、当時韓国版Spoonのユーザーでした。日本でリリースしたら上手くいきそうなのに、と思っていたのでこんなチャンスはないと特に迷いはしませんでした。アルバイトとして勤務を開始し、その後ビザの切り替えを経て、正社員になりました。


-日韓両方の企業経験から感じる、韓国と日本の働き方や社内の雰囲気など「違い」はありますか?

川村さん 仕事や意思決定の速度が尋常ではないスピードだったことでしょうか。慎重に検討を重ねるというよりは、大胆な決断を早くする、「一旦まずやってみよう」の精神が強いです。ウリ(우리)の文化もすごく感じましたね。

入社当時、言葉もままならず成果も出せていない頃、仕事中に体調を崩してしまいまして。その様子を見た上司が突然ダッシュでオフィスを出ていってしまい、こんな忙しいタイミングで体調崩して呆れたのかなと落ち込んでいたんです。数分後、その上司なんと薬やらおかゆやらを買って戻ってきて、「これ持って家に帰って休んで」と言ってくれて。職場の先輩という関係を超えて、家族のようにサポートしようとする姿勢に感銘を受けたことを覚えています。


-語学については、働きながら覚えたのですか?

川村さん そうですね。入社当時の韓国語レベルは、ぎりぎり韓国語で意思疎通できるレベルでした。語学堂に6ヶ月ほど通ったタイミングで、当時会社に日本人は私だけでした。

教科書に出てくる韓国語と会社で使う韓国語が全く異なったため、正直語学堂よりも会社で韓国語力が伸びたように感じます。特に役立った勉強方法は二つあり、自分専用のビジネス韓国語単語帳作ること、会議をリスニング教材として活用することです。ビジネス韓国語の教材を購入した事もありますが、ビジネスの範囲というのは会社によって全く異なるため、市販の教材でカバーし切るというのは無理があり私にとってはあまり有効な勉強法ではありませんでした。最初はかなり苦労しましたが、今では100人以上の前で韓国語を使用しプレゼンをしたり、韓国の地上波TVから韓国語でインタビューを受けるレベルに成長できました。


-実際に韓国で働く中でむずかしいなと感じたエピソードはありますか?

川村さん これは韓国に限った話ではなく海外企業で働く難しさと言うべきかもしれませんが、日本人同士なら説明する必要もない当たり前の共通認識だとしても、それぞれの文化的常識が異なる相手には、丁寧に言語化しない限り全く伝わらない、と言うことです。例えば、「年末年始は長期で休む人が多い」という事実は、日本人同士なら説明しなくても把握している共通認識だと思います。そこで、年末年始に合わせてキャンペーンの企画をするべきだと、提案をしたとします。日本人ならそのタイミングは逃してはいけないと、納得を得やすいはずです。

しかし、「年末年始は長期で休む人が多い」というのは日本の常識であり、韓国での共通認識ではありません。長期で休む時期は旧正月のため、年末年始ではないからです。なぜ年末年始が大事で、なぜそのタイミングにキャンペーンが必要なのか、一つずつ言語化し説明しない限り、承認はおりないでしょう。

例に出した内容は少々大袈裟な例でしたが、企画提案以外にも、ユーザー様の意見の共有やちょっとした雑談など様々なシーンで、「具体的に説明しなくてもわかるよね?」と言う共通認識をベースとしたコミュニケーションというのは、思ったよりも発生します。自分の常識は相手の常識ではないという考えを持って、全てを丁寧に言語化していくように努力していますが、日々難しさを感じています。


-韓国での就職を目指している方にアドバイスなどありますか?

川村さん 「韓国で働きたい」という方からたまに質問をいただくのですが、何をしたいのかを具現化するべきだと伝えています。「韓国で〇〇をして働きたい」の〇〇の部分が具体的であればあるほど、今後取るべき行動も明確にしていけるので。

そして今できることをまずはやってみることです。語学力が足りないから、自分は○才だから、など行動を後回しにする理由を作ることは簡単ですが、待ちの姿勢ではチャンスは回ってこない国だなと感じます。まずは韓国語で履歴書を書いてみるとか、韓国系の日本支社がないか調べてみるとか、自分なりにできる範囲で行動を実践してみると見える世界があるはずです。


-今後について

川村さん Spoonをグローバルナンバーワンの音声配信プラットフォームにする、その目標に向けて日本の事業責任者としてこれからも奮闘していくつもりです。個人としては、コロナのせいで2年以上日本に帰国できていないので、今年は一時帰国したいなと思っています。家族にも会いたいですし、日本のユーザー様にもお会いできる機会があれば嬉しいですね。



川村絵美香(かわむら・えみか)‐Spoon Radio ジャパンカントリーマネージャー

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/media/KORIT編集部
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