今年1月、米国ラスベガスで開かれた「CES 2025」でNVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアン代表は「フィジカル人工知能(AI)」時代を宣告した。2次元(2D)スクリーンのアルゴリズムにとどまっていたAIが、ロボットの腕と自動運転車の車輪になり、3D物理の世界と相互作用する新しい革命の幕が開く瞬間だった。AIに3Dを理解する目、LiDARをつける筆者にとって、彼のメッセージは単なる予言ではなく既に始まった現実だった。まるで、かけっこのスタートの号砲のようだった。
まさに今が、大韓民国が最も上手くいく時間であり、政府もこれに合わせてスタートを切った。光州(クァンジュ)、大邱(テグ)、全北(チョンブク)、慶南(キョンナム)の特化AI事業に対する予備妥当性調査の免除は、単純な行政手続きの省略を越えて、AI主権競争で本格的に走り出そうという国家的意志の表れであり、積極的に応援する。韓国は国家危機の状況で、どの国よりも自発的によく団結して危機を克服する底力がある。決まった問題を解いて1位に追いついたことも、一度や二度ではない。
AI国家危機の状況で我々が勝たなければならない相手は明確だ。NVIDIAとTSMCを主軸とした台湾のデータセンターエコシステム、そしてOpenAI、テスラ、パランティアといったAIファンデーションモデルから各分野の最適なソリューションまで、熾烈(しれつ)な競争が繰り広げられている。
政府と自治体は各地域に特化した事業を割り当て、予算を支援し、我々に勝利する「名分」と「トラック」を設けてくれた。光州の「AI転換(AX)実証バレー造成事業」(科学技術情報通信部・産業通商資源部)、大邱の「地域拠点AXイノベーション技術開発事業」(科学技術情報通信部・産業通商資源部・保健福祉部)、慶南の「人間-AI協業型大型アクションモデル(LAM)開発・グローバル実証事業(科学技術情報通信部)」、全北(チョンブク)の「協業知能フィジカルAIベースのSWプラットフォーム研究開発エコシステム造成事業」(科学技術情報通信部)がまさにその出発点だ。
AI競争は単純に決まった目標に向かって最も速く走る競技ではない。素早く動くターゲットを機敏に追跡し、次を予測して先制的に撃墜しなければならない「ゲーム」のような領域が広い。事業を企画した当時の世界最高水準の競争相手をベンチマークするだけにとどまってはならない。地域の特性と目標事業分野に合った目標を決めて走る「特攻隊」を割り当てなければならない。
例えば、自律走行ロボットタクシー分野の場合、Google Waymo(グーグルウェイモ)を具体的な目標に設定し、これを達成できる大企業、スタートアップ、研究所、自治体が一緒になって法律、規制、保険など、関連する問題まで統合的に解決しなければならない。この全てのプロセスを責任感を持って最後まで導くリーダーシップが最も重要であり、それがまさに政府と大統領室の役割だ。
各自治体と産学研の役割も重要だ。大企業は蓄積した技術力と資本で革新を加速し、スタートアップは敏感なアイデアで新しい市場を開拓しなければならない。大学と研究所は学問的深さと実用的研究を並行しており、各地域の自治体は産業界と学界の協力のための有機的なプラットフォームを構築しなければならない。地域間の些細な競争を越えて、互いの知識と成果を共有する共鳴の文化を作らなければならない。我々は皆、大韓民国の国家代表チーム、「チームコリア」という一つの名の下で団結する時だ。
我々の目標は世界AI3大強国だ。しかし、オリンピックで銅メダルが目標ではないように、我々が伝統的に上手くやってきた分野でAI技術によりバリューアップして金メダルを取ることが、まさに我々がしなければならないことだ。オリンピックの柔道をはじめ、フェンシング、アーチェリー、バドミントンで日々メダルのニュースで我々を歓喜させたように、各自治体と部署、産学研はそれぞれのポジションで最高の力を発揮し、地域別に特化したAI種目で必ずや金メダルを首にかけなければならないだろう。
<画像=AI産学研協会のチョン・ジソン会長(SOSLAB代表)>