韓国の世宗(セジョン)大学が人工知能(AI)コンテンツ分野の人材養成にとどまらず、実質的プレーヤーに乗り出す。大学が前面に出てAIベースの制作工程の革新を主導する初の事例で、コンテンツ制作市場での構図の変化が予想される。
世宗大はAI基盤の工程設計力とコンテンツ制作に長けた人材を結合して学内企業「ソウルエンジン」を設立し、今月、法人を発足させた。大学が有するAI企画・制作技術と産業現場の経験を組み合わせ、アニメなどコンテンツ産業の新たな基準を確立し、エコシステムを主導する構想だ。
今回の試みは制作会社が容易にアプローチできなかった「AI専用パイプライン」を大学が先制的に構築したという点で意味が大きい。中・大型企画・制作会社が人材中心のコンテンツ工程構造で急激なAI転換に苦慮しているのとは異なり、世宗大は初期設計段階から「AIファースト」ベースの制作体系を構築し、工程の革新を推進する。
世宗大漫画アニメーションテック専攻のパク・ジェウ教授は「大学の企業開業にとどまらず、大学が直接漫画・アニメ産業の企画から生産まで全過程でAIを適用する主体に転換する新しいモデルだ」とし、「大学の教育と研究の役割をコンテンツ産業の現場に拡大し、技術基盤で市場を主導する初の試みだ」と話した。

世宗大学AIメディアラボ&バーチャルスタジオ
ソウルエンジンはAIベースのアニメーション制作と開所を控えた「AIメディアラボ&バーチャルスタジオ」を両軸とし、既存のコンテンツの制作方式を根本的に転換するビジネスモデルを取り入れる。企画から制作まで全工程にAIを適用して制作スピードと効率を同時に高め、労働集約的な構造であるアニメ産業の限界をAIに突破させる戦略だ。
パク教授は「既存のコンテンツ企業はレガシー工程構造と複雑な意思決定プロセス、人材がAI環境を新たに受け入れなければならない負担まで重なり、転換スピードが速くない状況だ」とし、「初めからAI基盤で制作する過程は、企画から結果物を導出するまで画期的なスピードを見せ、産業の競争方式を根本的に変えている」と説明した。
実際、産業現場の需要も急速に高まっている。パク教授によると、既存のアニメ制作会社が次回作をAIベースに転換させるための研究開発(R&D)を依頼したり、新規アニメーションのアイデアが実際のコンテンツで実現可能かを検証する概念検証(POC)トレーラー制作をAI工程で行ったりする協業事例が相次いでいる。背景・カメラ演出・視覚効果など、全工程をAIに転換しようとする試みも進んでおり、教育・公共コンテンツの制作と連携した共同制作事例など、様々な協業が続いている。
パク教授は「多くの企業がAIベースの制作パイプラインの設計と最適化のために大学に直接依頼している」とし、「どんなに技術が発展しても、労働集約的なアニメーション産業におけるAI転換は、単純な技術導入ではなく、制作方式全体を再設計するプロセスなだけに、市場の反応と呼応が非常に熱い」と強調した。
ウェブトゥーン会社、スタジオ、プラットフォームなど、企業が参加する「韓国型制作委員会」のモデルを通じて、投資と制作を同時に推進してビジネス成果を最大化させる計画だ。日本では、アニメ制作時に制作委員会を構成し、資金調達と制作、広報を一緒に推進するが、韓国では状況が異なる。制作のスピードが遅く、安定的な構築環境を担保しにくく、ファンド組成も容易ではない環境だ。
制作委員会のモデルを構築し、様々な主体が参加すれば意思決定速度を高め、コンテンツの商用化の段階と成果を早めることができると見込んでいる。特にAIを活用してPOCトレーラーを迅速に制作することで、投資家が直感的に判断できる環境をつくり、既存の高コスト・低効率の投資構造を改善する。
この変化は教育革新にもつながる見込みだ。制作期間が短縮され、学生は自分のアイデアを即座に視覚化してプラットフォームで披露することができ、大学がすぐに産業現場となる好循環構造を経験することになる。
パク教授は「アニメ分野はかなり高度化された作業で、学生たちがすぐに投入されるのは多少無理があったが、AI領域に移り、遜色ない結果が出ている」とし、「ソウルエンジンで学生たちが企画、演出など様々な領域を経験することは大きな糧になるだろう」と話した。
その上で、「学生たちや関係者たちにはアニメなどのコンテンツを『魂を動かすエンジン』と説明しており、今回のプロジェクトを通じて世宗大がコンテンツ産業の構図を効率と成果中心に変える初の事例になるものと期待している」と付け加えた。
