土曜日の午前、ソウルのとある街カフェの前。眼鏡店を曲がり、路地まで続く列の終わりが見えない。冬のパディングを着た人たちが待っているのはコーヒーではない。1個当たり6,000~8,000ウォン(約630~850円)、プレミアム製品は1万ウォン(約1,060円)を超える「ドゥチョンク(ドバイもちもちクッキー)」だ。1月、イギリスの公共放送BBCが報じ、Toss(トス)が在庫追跡マップを作り、コンビニ3社が入荷してもすぐ売り切れになるこの現象は、既に単純なデザートの流行範囲を超えた。ところが、このブームの本当の地形の変化は、消費者の列の裏側、B2B食材のサプライチェーンで繰り広げられている。
カダイフ130倍、マシュマロ17倍-食材プラットフォームが読み取ったサイン
外食事業者向け食材のオープンマーケット、シクボム(marketboro)が自社の販売データを分析して公開した結果によると、今年1月にドゥチョンク関連の核となる材料の注文量が爆発的に増加した。カダイフの販売額は前月比130倍に急増し、マシュマロは17倍、ホワイトチョコレートは7倍増えた。
シクボムはこの現象を「テストから本格販売へ」の転換サインと見た。昨年まではレシピテスト目的の少量購入が中心だったが、年末を起点に実際の販売を前提とした大量購入に転換したのだ。カフェ・ベーカリーの業種の新規会員・加入者数も、ドゥチョンクが拡大し始めた昨年9月比で2倍以上増えた。
消費者の検索量やSNSの言及量から「関心」の度合いが測れる。コンビニ販売量からは「消費」が測れる。B2B食材の注文量からは、その間にある「事業者の意思決定」具合が測れる。トレンドを見守っていたカフェの店主が「これは商売になる」と判断して原材料を大量に注文した瞬間、バイラルは初めて実経済の言語に翻訳される。シクボムのデータが捉えたのはその臨界点だ。
4月のレシピから12月の大流行まで
ドゥチョンクの拡大経路を追跡すると、韓国の消費トレンドの典型的なパターンが見られる。
2025年4月、金浦(キンポ)のデザート専門店モントクッキー(Mond Cookie)がドバイチョコレートのカダイフ・ピスタチオピーリングをマシュマロで包んだレシピを公開した。同じ頃、ダラット(Dallato)が「ドバイもちもちクッキー」という名称を初めて使用した。下半期まではデザート業界の中で静かに口コミが広がっていたが、9月にガールズグループIVE(アイヴ)のチャン・ウォニョンがInstagram(インスタグラム)のストーリーにドゥチョンクの写真を投稿すると状況が急変した。グーグルトレンド(Google Trends)では、10月中旬までほぼ0だった検索量が10月末に急騰し始め、12月にはNAVER(ネイバー)内の関連検索量が100万件を超えた。
検索量の激増は実店舗での長い客列に、長い客列は配達プラットフォームの検索語の順位UPにつながった。Coupang Eats(クーパンイーツ)の人気検索語1位、配達の民族では12月に上位圏。コンビニエンスストア3社の関連商品は数百万個単位で売れており、1個3,100ウォン(約330円)のコンビニのチャプサルトク(大福餅)からカフェの8,000ウォン(約850円)台のプレミアム製品まで価格帯が分化したこと自体が、このトレンドの規模を物語っている。
輸入原料、手作業、そしてプラットフォームの機会
ドゥチョンクの中核材料であるカダイフとピスタチオスプレッドはほとんどが輸入原料だ。ここにカダイフをバターで炒めてサクッとさせる事前の作業、マシュマロを溶かして手作業で成形する工程が加わると、一般のカフェが材料を市販から一度に調達することは容易ではない。外食事業者のコミュニティで「ドゥチョンクの材料がシクボムには全部ある」という口コミが広がったのはこうした背景からだ。ベーキング専門流通会社が多数入店している食材のオープンマーケットが輸入原料調達のハブの役割を果たすことになったのだ。
この構造はドゥチョンクにだけ当てはまるものではない。SNSベースのデザートのトレンドが短いサイクルで爆発する環境で、小規模カフェやベーカリーがトレンドに迅速に対応するには、多品種の輸入原料を少量から大量まで柔軟に調達できるチャンネルが必要だ。次のトレンドが何であれ、その材料の注文が集中するところが、B2B食材プラットフォームになる可能性が高い。
クッキー1個の経済学
ドゥチョンクブームの持続性については意見が分かれる。タンフル、クロッフル、モクテカンのように、一時的な流行にとどまるだろうとの見方がある一方、コンビニ、フランチャイズ、配達プラットフォームまで浸透しただけに、一定期間は市場に定着するだろうと見る向きもある。タイムアウト(Time Out)ドバイ版はドゥチョンクを「2026年のドバイで注目される9つのグルメトレンド」の一つに選定し、実際にドバイで「韓国もちもちクッキー(Korea’s viral chewy cookies)」という名前で販売が始まった。
流行の寿命とは別に、6,000~8,000ウォン(約630~850円)のクッキーに喜んで列をなす消費心理の構造は明確だ。不景気に高級品の代わりに「トレンディなデザート1個」で心理的満足を得るスモールラグジュアリー(Small Luxury)消費が需要の底を支え、SNS認証という体験消費が拡大のエンジンになる。そして、そのエンジンが生み出す需要は結局、誰かの原材料の注文書に帰結する。
Instagramの認証ショット1枚が、街カフェの客列に、客列が食材オープンマーケットのカダイフ130倍の売上に翻訳される連鎖構造。この流れを最初にデータとして読み取るプラットフォームが、次のトレンドでも利益をもたらすだろう。ドゥチョンクが残すのはクッキーの味ではなく、その裏側のサプライチェーンデータだ。
<画像=土曜日の午前、ドゥチョンク(ドバイもちもちクッキー)を販売している、ソウルのとある街カフェの前に並ぶ市民たち>
