チームメンバーに言っているのは「半歩だけ早く行こう」ということです。

無駄に一歩も二歩も先に行って、投資金を使い果たしたらダメでしょう。私たちは地に足をつけてオフラインのトラフィックを実際に見ている会社であるため、当社に入ってくるデータを綿密に分析することから始めようということを大切にしています。見ているデータから「ああ、これだ」という勘をつかむ必要があると思います。リーディングまでは嘘ですが、誰よりも早くフォローすれば、プラットフォームの中では1位になれる可能性があります。

Share.IT(シェアイット)の始まりは、運動が好きな創業者、パク・サンジュン代表が学校のコートや運動場を簡単に借りるためのサイトを作ったことでした。早起きサッカー会やバスケットボール同好会をやっている方の永遠の悩みの種、「今週はどこで運動しようか?」から始まったのです。いざ探してみると、学校に余ったスペースがたくさんあることがわかり、これを誰もが簡単に借りられる仲介プラットフォームを始めました。

パク代表は「市場の需要を予測するのは無意味なときもある」と語ります。Share.ITは、不思議なことにスペースに対する市場の需要の方から先に訪ねて来た会社です。小中高校の運動場から「大学を借りたい」、「運動場だけでなく、寮や食堂も借りたい」という要望もありました。ポップアップストア、パーティースペースまで自然に拡大することになりました。

しかし、予期せぬ危機。

コロナで全てがシャットダウンされました。それでもTIPSに選ばれ、資金調達まで行いました。その間に他のお客様の需要を発見し、毎年50%以上の成長を遂げました。

あるスタートアップは「すべては計画があった」というように、大きな計画と尖った技術を持ち、忍耐の末に光を見ます。市場や環境の変化に柔軟に対応するスタートアップもあります。市場の変化に半歩ずつ素早く対応したところ、成長はついてきたというShare.ITのストーリーです。

Share.IT パク・サンジュン代表 /Share.IT提供

1.年間2万8000件以上のスペースを仲介…コーディング合宿から企業研修、博覧会まで 

-最初は単純に学校の空きスペースを貸すことから始まりました。

実際に運営してみると、このような空きスペースは大学だけでなく、リゾートや商業施設にもたくさんあることがわかりました。

例えば、リゾートでは、客室の収益以外に追加的な収益を得るために、当社のプラットフォームを利用して空きスペースをシェアすることもあります。少し小さめの講義室やセミナー室も同様に活用できるので、そのような空間を必要としている方に繋げています。

貸してくださる方は、大学や一般商業施設など本当に様々です。自分が家賃を払っている人であろうと、自分の建物を持っている人であろうと、いずれにせよ、遊休タイムにその空間をもっと効率的に使ってみたいというニーズがある場所やホストであれば、Share.ITに参加しています。

-スペースの用途は?性格が異なる空間なので、利用者の活用法も様々だと思いますが…

講演・教育・セミナーといった本来の用途のスペースをそのまま活用することも多く、体育館なら企業が体育大会を開催したり、大会形式のイベントを行うこともあります。ベビーフェアや博覧会などのイベントも開催されます。

撮影需要も多くありますね。学校での撮影はアクセスが難しかったですが、Share.ITがプラットフォーム化したおかげで、図書館や廊下などのスペースを利用した撮影もできるようになりました。最近では、ポップアップストアが非常に活発で、ここ1年半でポップアップストアのスペース数が1,000か所ほど増えました。ポップアップストアで発生した年間売上が50億ウォン(約5.4億円)を超えるほどの盛況ぶりです。

-Share.ITに登録されているスペースは全部でいくつありますか?

(取材時点2024年)現在約1万1,750か所が登録されています。年末までの累積では1万2500か所を超えそうです。取引件数を基準にすると、今年の第3四半期まで約2万1,000件のスペースが取引されました。年末までに約2万8,000件の取引を見込んでいます。

-スペースごとに取引金額のばらつきが大きいですね。

取引規模は大きく2つに分かれますが、企業が大きなスペースを借りる場合、客単価は通常250万ウォン(約27万円)程度と高額です。例えば、大学の野外劇場や大講堂、あるいは大学の建物一棟を一日中、撮影のために借りる場合などがこれに該当します。

一方、パーティールームやジム、スタジオなど、比較的小規模な「遊びや余暇を楽しむ」空間を借りる取引は平均20万ウォン(約2.1万円)程度で形成されています。「働く空間」と「遊ぶ空間」の平均取引額は約10倍の差があります。

-企業の需要で大学の寮を借りることもあったそうです。

学校の休み期間中の研修プログラムの需要はかなりのものです。

例えばKRAFTON(クラフトン)のJungle(ジャングル)と呼ばれる開発者人材育成プログラムプログラムがあるのですが、そこで行われる数ヶ月間のコーディング教育の際にもShare.ITをご利用いただきました。

-事業8年でBEP(損益分岐点)達成を見込んでいるそうですね。

今年の予想売上高は100億ウォン(約10.8億円)ほどになります。1~3四半期とも四半期黒字を達成し、今年は初めて年間黒字を期待しています。

Share.ITが仲介したスペースの活用事例、KRAFTONのJungle

Share.ITが仲介したスペースの活用事例、企業博覧会が行われた学校の体育館

2.「中学校の体育レンタル」から始めた事業、やっているうちに顧客から来てくれた

-最初のサービス名は「スクールシェア」でした。

始まりは2017年頃でした。私は運動がとても好きなのですが、バスケットボールやサッカーをするたびにスペースを確保するのがとても大変でした。

予約システムも複雑で、少し出遅れるとすでに枠は埋まってしまいます。

ですが、家に帰る途中で見かける学校の体育館はいつも空いていて、「あのスペースが借りられたらいいな」と思い、中学校の体育館を借りて、自分で申し込みサイトを作ってみることにしました。

会社もなく、ただウェブサイトを1つ作って申し込みを受け付けられるようにしただけです。でも、ものすごくたくさんの人が集まってくるんです。体育館を使いたい人がこんなにたくさんいることを知りました。それで「ああ、これだ」と思い、すぐに会社を立ち上げました。最初のサービス名である「スクールシェア」は文字通り、学校の空間をシェアするという意味でした。

‐学校をどのように説得したのでしょうか。

直接挨拶をしに回りました。校長先生や事務室長に会い、「生徒が使わない時間帯に体育館を貸してほしい。そこで発生する収益を学校と共有しよう」と提案しました。

学校側も空いている時間帯は費用負担にしかならない空間なので、うまく運営できれば悪い提案ではなかったのです。そうやって学校と契約して、利用料の約20%を私たちが手数料として受け取り、残りは学校が受け取れる仕組みを作りました。

-最初は大学のスペースを貸していなかったんですね。

そうですね。大学のスペース利用に関しては市場からの要望に応えながら拡大したものです。

当時、3校ほど高校のスペース仲介をしていた頃、有名な証券会社から、夜間に体育館だけでなく、学校の食堂や教室、そして講堂まで貸してもらえないかと声をかけられたのです。当時は体育館だけが契約されていて、食堂や教室は範囲外だったので、悩みました。さらに、小・中・高校はどうしても学生がいるので、体育館以外の施設を貸すことにあまり前向きではありませんでした。

そこで大学を調べてみました。たまたまある大学とコンタクトが取れたので、その需要をつなぎました。すると単価が10倍くらい上がったんですよ。苦労は同じようなものですが、利益がはるかに大きいので、その頃から本格的に大学のほうもやるようになりました。

-市場を予想していたというよりは、始めてから市場の需要を知ったということですね。

そうですね。撮影需要に関してもそのよに拡大したケースです。

大学ですから当然、講演・教育・セミナーのような用途にしか使えないと思っていました。ところが、実際に仕事をしていると、撮影に関する問い合わせが突然殺到してきました。放送局やエンターテインメント会社、YouTubeクリエイターなど、大学の撮影をするには、行政手続きも複雑で、許可を取るのに時間がかかるのですが、当社はすでにプラットフォームの形ですべてのプロセスを簡素化しているので、その点が口コミで広まったのです。大学にも収益の多様化ニーズがあるということで、すぐにサービスの幅を拡大することができました。

-最初はスペースの写真が掲載されているサイトレベルだったんですね。

はい。当初は、スペースの写真だけを載せて、電話相談で繋げるレベルでした。バックエンドに決済も予約機能などもありませんでした。そうやってスタートし、徐々にプラットフォームとしての機能を揃えていったのです。

3.パンデミックが起きてもTOEICは受けなければならない

-2020年にパンデミックが発生しました。

10校以上の学校と契約し、売上も少しずつ伸びてきたので、「ここからもっと伸びることができる」と思っていました。中小企業庁のTIPS(TIPS)事業にも選ばれ、投資を受けることになり、事業の拡大も考えていました。ところが、新型コロナウイルスパンデミックが始まって、学校がロックダウンされたので、当然、体育館も教室も全部閉めなければならなくなりました。「ああ、ここで事業を畳むしかないのか…」という不安が大きかったですね。

-複数の学校と契約を結んでいたのでは?

まず契約していた学校側に電話して、「やむを得ず、当分の間、運営を中止することになりそうです。生活費を削ってでもお金を送ります」そうお伝えしました。国から正式に大勢で集まることを禁止され、とりあえず3ヶ月間、再整備をすることにしました。事実上休みでした。

ところが皮肉なことに、そのタイミングで投資を受けたんです。投資は受けたけれど学校が閉まってしいる。これからどうしようか、すごく悩みました。

ですが、そんな時期に電話での問い合わせが多くなりました。理由を調べてみると、どこもスペースを貸してくれないが、試験を実施しなければならない機関が困っているとのことでした。TOEIC、TOEFL、韓国語試験、日本語試験などの資格試験が多かったです。マスクの着用、消毒など、防疫の手順を守りながら試験を受けるには、ある程度管理された空間が必要なのですが、そのような場所がほとんど埋まっているため、問い合わせが殺到したのです。

そうして試験や撮影がどうしても必要な方が当社のプラットフォームを利用するようになり、逆説的ですが、コロナウイルスの時期にもある程度の需要が生まれました。実のところ全部閉めて行く先がない場所がない状況だったのですが、思いがけない形でチャンスが訪れたわけです。その時改めて、市場を決めつけるのは無意味なことだと思いました。

-私の勤めている会社も毎回同じ高校で入社試験を受けます。企業側も協力してもらっている大学や学校、スペースがあると思います。Share.ITに手数料を払ってスペースを仲介される理由、つまり提供する意味はどこにあるのでしょうか?

従来でも大学や高校で試験を受けることは可能でした。しかし、行政担当者の立場からすると貸館業務が主な仕事ではないので、協力のスピードが遅いことが多いです。手続きも複雑で、ある日突然学校側の都合でキャンセルの連絡が来るなど、リスクもありました。

Share.ITはそのような部分を解決することに注力しています。学校と事前に契約を結んで、一度予約が取れたら簡単にキャンセルされないようにシステムを整えています。行政手続きも弊社が担当するので、企業側としては面倒な手続きが不要です。もちろん手数料はかかりますが、時間とエネルギーを節約できるという点で、企業側も「マシ」だと判断しているようです。

-学校側としては、なぜShare.ITを使う必要があるのでしょうか?

学校側も人件費をかけ、施設をいちいち管理するのは大変です。Share.ITが管理・監督し、利用が終わったら清掃業者を呼んで原状回復までするので、学校側の追加負担はほとんどありません。システムを通じて清掃完了の有無やトラブル状況を記録すれば、学校でもすぐに確認することができます。

-生徒数は減り、学校のスペースはどんどん空っぽになり、学校は財政難。学校側としても、不足している収入を埋めることができるスペースリサイクルに関心が高いようです。

ですが、そんな中でも一つネックになっている点があります。

学校が直接使用する不動産については、固定資産税と地域資源施設税をそれぞれ免除する特例がありますが、その不動産を収益事業に使用する場合は特例が適用されないのです。この法律の解釈が曖昧なため、大学側としては積極的にShare.ITのようなプラットフォームを使うのは難しい状況です。人口が減るなかで韓国内の大学も海外の大学のようにキャンパス内に外部の民間企業を誘致し、不動産・資機材などを活用して学費以外の収益を増やしたいと考えています。

それと同時に、学校側としては、このようなことをして万が一地方税課税当局から遡及的に財産税や取得税などを払えと言われたら、何億円もの税金がかかる可能性があるので、なかなか動けないという状況なのです。

-学校側としては、副収入が得られるのに、不安なんですね。法律を変えてほしいという要望があるでしょう。

学校側としては「教育用資産を一定の時間帯に外部収益化用途に活用しても、既存の地方税減免の恩恵を維持してほしい」という要望があります。学校内に物流倉庫を作ったり、寮の空きスペースをシニアレジデンスに変えようということです。

放課期に学校の寮と教育スペースを借りる企業1社を誘致するだけでも7億ウォン(約7,500万円)の収益となり、それが学費1,000万ウォン(約108万円)の学生70人を集めるのと同等の金額です。

「とりあえずやってみよう」と取り組みを始めた大学もあり、現在、40校ほどがShare.ITに参入しています。全国に約350の大学があり、首都圏だけでも130の大学がありますが、この法律問題が明確に解決出来たら、そのうちのかなりの数の大学がShare.ITを利用してくださる思います。この問題を解決するために、私も2年前から関連フォーラムや立法活動に参加しています。

共同創業者のチェ・ヘフンCOOとパク・サンジュン代表が「SCHOOL SHARING(スクールシェアリング)」というプロジェクトパネルを掲げる様子。 /Share.IT

4.購入できなかった70%、思ったより複雑な空間に対するニーズとDB

-2022年売上高52億、仲介スペースも2020年約500から7,000に垂直上昇しました。

2021年から、「学校以外にも、たくさんの空間があるんじゃないか」と考えはじめました。同時に、コロナ禍で大きなスペースでイベントを開催することができないので、パーティールームやスタジオなどの小規模スペースの需要が大きく増えました。だから、その部分をすぐに確保し始めました。

さらに、学校のスペースは、学生が使っていない時間しか使えないという限界があることも懸念点でした。そのため、いくら頑張っても利用率は30%程度に留まってしまうんです。残りの70%の需要をどこから生み出すか、悩みましたが、ホテル・セミナー室・結婚式場などの他の空間を利用することでその問題を解決しました。これらの空間は比較的利用可能な時間帯が広いので、一度サービスを開始したら、大小様々な規模の利用者様とマッチングが可能でした。

-予約が実際に継続して行われなければ、プラットフォームの意味がありません。アグレッシブにスペースを増やしたので、その分取引が続かなくてはならないのではないでしょうか?

実は、まだコンバージョン率は20%前半くらいです。コンバージョンとは、「こんなスペースを探しています」というリクエストがあった場合、実際にそのスペースを予約し決済まで完了することを示しています。今は20%くらいですから、逆に言えば70%以上の人がまだ希望のスペースを見つけられずに去っていくということです。厳しい数字ではありますが、当社が成長できる余地がまだ3倍くらい残っているということだと受け止めています。

-では、なぜ70~80%のお客様が実際の購入に繋がらなかったのでしょうか?

一度に300~400万ウォン(約32.5~42.5万円)のスペースを借りたい方は、要求が非常に多いです。時間、場所、価格、貨物用エレベーターの有無、駐車場の設備、ステージの状態など、全てが揃わないといけません。このうちたった1つでも条件が合わなければ、取引が成立しないんです。

例えば、イベントに国会議員をお呼びする場合、待合室がないと進行が難しいであるとか、そういう細かい要素がたくさんあります。そのため、コンバージョン率が20%前半というのは、当社のプラットフォームでもっと様々なニーズを満たすように補完する必要があるということだと思います。これを解決するために、空間情報をより詳細に入力し、予約プロセスを簡素化し、必要な付加サービスを連携させるなど、改善を続けています。

結局、お客さまが望む空間を、望む条件で簡単に見つけられるようにするのが当社がこれからも取り組むべき事なのです。

-最近最もホットな空間活用は、ポップアップストア市場です。その理由は何でしょうか?

ビルオーナーの立場からすると、当然ながら利用時間を細かく区切ってでも収益を上げたいし、ユーザーの立場からすると、必要な期間だけ借りて使いたいわけですから、ポップアップでの利用はこの両者のニーズが非常によく合致しています。固定された店舗を1つオープンして運営するのには、リスクとコストが大きすぎるからです。

しかし、ポップアップスペースを少しだけ借りて使ってみると、自分のブランドが実際に市場で通用するのか、仮説を検証することができます。1ヶ月なら1ヶ月、2ヶ月なら2ヶ月間だけ運営してみて、ダメだと思ったらすぐに費用処理して中断することができるからです。

また、消費者は常に新しいものを欲しがり、SNSやYouTubeのようなチャンネルが発達し、新しい空間や体験を求める人が以前よりずっと増えました。例えば、ただの飲料水を販売する会社でも、ポップアップスペースでブランドの歴史やコンセプトを体験してもらうことで、消費者の立場からすると、コンビニでロゴを見るだけだったブランドをより深く知ることができます。企業側にとっても、このように短期間にインパクトのあるマーケティングを行う方が、固定された店舗を運営するよりもはるかに効率的です。

ビルオーナーは短期的にでもスペースを利用してもらい収益を上げ、ブランドは合理的なコストの中で市場の反応を検証し、消費者は毎回新しい体験を楽しむことができるのです。これがポップアップが爆発的に増えざるを得ない構造です。

-このビジネスの拡大には何が必要ですか?単純な空間拡張以上の何かが必要そうですね。

やはりまず第一に、スペース自体をもっとたくさん確保することでしょう。そうすることで、ユーザーが欲しいところをより正確に、より多くつなげることができ、それだけ取引成立率が上がるからです。結局、スペースが多ければ多いほど、ユーザーの選択の幅が広がり、マッチングが活発になります。

二つ目は技術的な部分です。現在もDBを構築して様々な空間情報を持っていますが、300万ウォン(約32.5万円)の大きなスペースを借りたい方の要望は本当に複雑で、「駐車場は何台あるのか、舞台設備はどうなっているのか、控え室はあるのか、照明のセッティングは可能なのか」などをいちいち聞いて、実際にスタッフが直接相談に応じることが多いです。

この部分を自動化・知能化するために、AI技術が必要です。例えば、ユーザーが「駐車場の問い合わせ」などをすると、すぐにDBからその情報を引き出して表示するのです。今は人が手作業でやっていますが、長期的にはこれを自動化、効率化する必要があります。

-MAU、DAUのような指標で空間取引を説明するのは難しいと思います。

MAUやDAUのような指標だけでこの事業を説明するのはちょっと難しいと思います。実はこのビジネスは、「毎日アクセスして取引が行われる」というよりは、一度取引を行う際に金額が大きく、手続きが複雑という特徴があります。

だから、一般的な消費財プラットフォームのように「ユーザー数を増やし続ける」というアプローチよりも、「本当に必要な時に一番最初に思い浮かぶプラットフォームになる」ことが重要だと思います。幸いなことに、現在再購入率(再利用率)が50%を超えていますが、これは一度使った人が再び使うほど満足度が高いということです。市場自体が高関与(High Involvement)市場です。特に、パーティールームやスタジオのような小さなスペースに慣れた個人ユーザーだけでなく、代理店や企業から「このプラットフォームは便利だ!」とリピートして利用するケースも増えています。 量的なMAUの拡大よりも、「本当にスペースが必要なときにすぐに思い浮かぶ選択肢になること」が重要です。

Share.ITがEスポーツスタジアム用に仲介したスペース。劇場を活用した/Share.IT

5.スペースに入るコンテンツ、コンテンツのバックエンドに無数のものを接続することができる。

-空間にも結局は空間を埋めるものが必要です。講演でも試験でも、試合でも、パフォーマンスでも。そのコンテンツと空間の繋がりが重要なのです。コンテンツの裏側に必要なもの全てに拡張が可能です。

スペースを借りた後、必要なすべてのサービスを一度につなげるんです。

実際にエージェンシーの方は、スペースを確保するところから苦労するのが現実です。業者の手配から始まり、ステージの設営や撤去、横断幕の制作や印刷物もしなければならないし、イベントが終わったら掃除もしなければなりませんよね。これまでは、これらが全てバラバラに動くアウトソーシング市場でした。舞台設備業者が別にあり、清掃業者が別にあり、懸垂幕製作所も別に探さなければなりませんでした。でも、来年末くらいには、このようなサービスを全部プラットフォームの中に入れようと思っています。いわば、空間と一緒に必要な業者を一箇所で簡単にマッチングできるようにするのです。

例えば、ポップアップストアを借りたとすると、そこに必要な人手から各種設置物の製作、清掃、レンタル用品まで一度に解決できるように準備しています。今は空間だけに焦点を当てていますが、もう少し拡大すれば、『空間+すべての必要なサービス』を網羅するワンストップソリューションプラットフォームが目標です

-現在、ソウル、京畿道のスペースのみ提供しています。このビジネスは、ショッピングやデリバリーのように継続的な取引が起こりにくいので…借りられるスペースの限界、つなげられるサービスの限界が来ると、市場規模の限界もあるでしょう。

総合広告代理店全体の受注額が25兆ウォン(約2.7兆円)程度ですが、そのうちオフラインの割合は通常20%程度だそうです。そうすると、5兆ウォン(約5,400億円)程度がオフラインイベントやプロモーションに投入されますが、この市場にはまだまともなプラットフォームがありません。大手広告代理店も、実際のオフラインのスペース手配や付帯施設の準備は、何段階もかけて電話を回したり、下請けをしたり…2次、3次代理店まで使いながら、スペース探し、設置・運営人員の手配、清掃のようなことまで全部別々にアウトソーシングする構造です。2500万人が使うデリバリーアプリ市場か、30万人程度の代理店・制作関係者が5兆ウォンを回すオフラインイベント市場かということになると思います。

この30万人が動く5兆ウォン規模の市場にはもっと大きなチャンスが残っているでしょう。宅配と同じように、スペースレンタルも「こういうのは昔から電話でやるものだ」と思って、今までデジタル化が進まなかっただけなんです。

– 「空間ビジネス」というと、多くの投資家はまず「不動産分野だろう」と先入観を持たれることが多いですよね。

事業が不動産賃貸業でも不動産開発業でもないのに、不動産業と見なす投資家が実際に多いです。特にWeWork(ウィークーク)事件以降、プロップテックに対する視線も保守的なものになっています。投資審査の過程で、きちんとお会いする前に「不動産関連はダメだ」とブロックされることがしばしばありました。

もちろん、実際に当社のビジネスをよく見ると、プラットフォームであることがわかります。むしろ今後は、このデータをもとに、「PB商品」と呼べるようなカスタマイズされた空間を企画していくこともできると思います。いわば、「このような形の空間はきっと市場で通用するだろう」という確信が持てる領域に直接飛び込めるわけです。

問題は、当社がこのようなビジョンを説明する前に、「あ、不動産…?」とそれだけで手を引く投資家の方が結構いることです。不動産というキーワードだけでも否定的な結論が出ますが、このハードルを超えて、プラットフォームとデータをベースにした独自の空間開発も成功することを証明してみせます。

6.今後のスペース需要、公演関連の需要がもっと増える

-市場が変わるたびに、素早く追いかけるポジションですね。会社も聖水洞(ソンスドン)に移転しましたね。

ポップアップストアもそうでした。前職の頃からポップアップストアを結構やっていたのですが、当時はここまでやることはなかったんです。しかし、コロナが終わりに近づくにつれて、ポップアップストアの需要が徐々に増え始め、私たちのデータを見ると、コンバージョン率も高く、訪問速度も速いことを確認しました。そして聖水洞(ソンスドン)に事務所を移ました。

-今後、スペースを借りる需要があります。どの分野が大きくなりそうですか。

公演に関する分野はすごく大きくなる可能性があると思います。まだ公演の売り上げはそれほど大きくはないのですが、もし大きくなり始めたら、私たちがいち早く知ることができるのではないでしょうか。

なぜなら、会場を確保する必要があり、これが足りないと感じたら、学校の会場など他の空間が必要になるので、その需要はすぐに目に見えてくるからです。そのような新たな動きを見逃さずにキャッチするのが当社の役目だと考えています。

-海外にも同様のサービスがありますか?また、海外進出や成功の可能性はありますか

アメリカ、日本、東南アジアなどでも同様のサービスがあります。どれも空間をつなぐモデルに留まっているのですが、ここでどのプラットフォームが領域を広げていくかが勝負になると思います。

例えば、Feverのようなプラットフォームはコンテンツを中心に予約決済をするプラットフォームですが、Share.ITが空間とコンテンツを一緒に繋げれば差別化が可能です。日本はITプラットフォームの普及率が低く、香港やシンガポールはグローバルなイベントやセミナーが多いので、いつか海外でもテストしてみたいと思っています。

-今後は2倍の成長が目標だそうです。

来年は今年の2倍、2029年の売上目標は2000億円です。プラットフォームの規模自体が今の15倍程度になる必要があり、より多くのスペース、より多くの取引が必要です。B2BからB2Cの全てに拡張する必要があります。

例えば、特定のスペースでポップアップストアを行う場合、裏側の設置や清掃、運営に関するサービスから、実際のスペース運営に必要な予約や決済プラットフォームのようなものもすべて提供することが最終目標です。